アンペアブレーカーがない!スマートメーターの仕組み解説

ご自宅の分電盤を見て、「あるはずのアンペアブレーカーがない…」と不安に感じていませんか。
特に、引越したばかりの賃貸マンションやアパートでこの状況に気づくと、これはやばいのではないかと心配になるかもしれません。
もしご自宅の分電盤に従来のようなアンペアブレーカーがない状態なら、それはスマートメーターが設置されているサインです。
しかし、スマートメーターに変わってから、容量オーバーで以前より停電しやすいと感じたり、突然、漏電ブレーカーが落ちるといったトラブルに戸惑うこともあります。
また、メーターの表示が消える・点滅するなど、故障を疑うような挙動に遭遇するケースも少なくありません。
そもそも「従来のアンペアブレーカーは不要ですか?」という基本的な疑問から、契約アンペアの確認方法、そしてアンペア変更の手続き、さらには古いブレーカーをなぜ撤去しない場合があるのか、といった点まで、あなたの不安をスッキリ解消していきます。
この記事では、東京電力エリアの例も交えながら、アンペアブレーカーがないスマートメーターに関するあらゆる疑問に答えます。
記事のポイント
- アンペアブレーカーがない理由とスマートメーターの仕組み
- 契約アンペアの確認方法と簡単な変更手順
- 容量オーバーによる停電や故障などトラブル時の具体的な対処法
- 賃貸物件における注意点と確認事項
- 1. アンペアブレーカーがないのはスマートメーターが理由
- 1.1. ない理由とは
- 1.1.1. スマートメーターがもたらす主な機能と変化
- 1.2. 従来のアンペアブレーカーは不要ですか?
- 1.2.1. 【重要】漏電・安全ブレーカーは引き続き家庭の安全を守ります
- 1.3. 契約アンペアの確認方法を解説
- 1.3.1. 1. 電力会社の会員向けWebサイトで確認する
- 1.3.2. 2. 毎月の検針票(電気ご使用量のお知らせ)で確認する
- 1.4. アンペア変更は遠隔で簡単にできる
- 1.4.1. スマートメーターによるアンペア変更の主なメリット
- 1.4.2. アンペア変更時の注意点とルールの確認
- 1.4.3. 【補足】アンペア制と最低料金制の違い
- 1.5. 賃貸マンションやアパートで撤去しない場合
- 1.5.1. 撤去工事の手間とコスト
- 1.5.2. 原状回復の問題
- 1.5.3. 管理会社・大家の意向
- 1.5.4. 自己判断での撤去や改造は絶対にしないでください
- 2. アンペアブレーカーがないスマートメーターの注意点
- 2.1. 容量オーバーで停電しやすいのはやばい?
- 2.1.1. 自動復旧した際の正しい対処法
- 2.1.2. 【最重要】自動復旧の繰り返しは「ロックアウト」を招く!
- 2.2. 漏電ブレーカーが落ちる原因と対処法
- 2.2.1. 安全な漏電箇所の特定と応急処置の手順
- 2.3. 故障?メーターの表示が消える・点滅する時
- 2.3.1. 正常な状態の表示をまず知っておく
- 2.3.2. 異常が疑われる表示の例
- 2.3.3. 連絡先がわからない場合
- 2.4. 東京電力の契約アンペアについて
- 2.5. 総括:アンペアブレーカーのないスマートメーター
アンペアブレーカーがないのはスマートメーターが理由
- ない理由とは
- 従来のアンペアブレーカーは不要ですか?
- 契約アンペアの確認方法を解説
- アンペア変更は遠隔で簡単にできる
- 賃貸マンションアパートで撤去しない場合
ない理由とは
ご家庭の分電盤からアンペアブレーカーがなくなっている最も大きな理由は、「スマートメーター」にその機能が内蔵されたためです。
これは単なる技術の更新ではなく、国が推進するエネルギー政策の一環として、全国的に旧式のメーターからの交換が進められています。
スマートメーターは、単に電気使用量を測るだけの旧式のアナログメーターとは異なり、デジタル計測機能と通信機能を備えた次世代の電力メーターです。
このメーターが導入されたことで、電力会社は検針員を派遣することなく、遠隔で各家庭の電気使用量を30分ごとに正確に把握できるようになりました。
この業務効率化の一環として、電力会社との契約アンペアを管理し、それを超えた際に電気を遮断する機能もスマートメーター自体に組み込まれたのです。
これにより、これまで分電盤に物理的に設置されていたアンペアブレーカー(サービスブレーカーや契約ブレーカーとも呼ばれます)は役割を終え、不要となりました。
そのため、近年の新築住宅では最初から設置されていなかったり、既存住宅でもメーター交換のタイミングで撤去されたりしています。結果として、分電盤が以前よりスリムで小型になるケースも見られます。
スマートメーターがもたらす主な機能と変化
- 遠隔での自動検針
- 検針員による敷地内への立ち入りや、検針のための訪問がなくなります。プライバシーの確保にも繋がります。
- 電力使用量の「見える化」
- スマートメーターは30分間隔で電力使用量を記録可能です。WebサービスやHEMSを通じて、家庭内の使用傾向を確認できます。
- アンペアブレーカー機能の内蔵
- 契約アンペアの制御をメーター側でデジタルに行います。これにより、後述する遠隔でのアンペア変更が可能になりました。
- 電力網の安定化
- 各家庭の電力使用状況をリアルタイムで把握することで、電力会社は電力需要をより正確に予測し、電力網全体の安定供給に役立てています。
つまり、ブレーカーが「なくなった」のではなく、「より高機能なメーターと一体化した」と理解するのが最も正確な表現と言えるでしょう。

従来のアンペアブレーカーは不要ですか?
スマートメーターが設置されているご家庭では、従来のアンペアブレーカーは完全に不要になります。
ただし、ここで最も重要なのは、分電盤にある全てのブレーカーが不要になったわけではない、という点です。
分電盤には通常、3種類のブレーカーが設置されており、それぞれが異なる役割を担っています。スマートメーターが代替するのは、そのうちの1つ、アンペアブレーカーの機能だけです。
「ブレーカー」と一括りに考えがちですが、それぞれが家庭の電気安全を守るための重要な役割を分担しているんですよ。それぞれの役割を知っておくことが、いざという時の冷静な対応に繋がります。
それぞれのブレーカーの役割をしっかり区別し、スマートメーター時代における分電盤の正しい見方を理解しておきましょう。
ブレーカーの種類 | 役割 | スマートメーターとの関係 | 設置場所・見た目の特徴 |
---|---|---|---|
アンペアブレーカー (サービスブレーカー) | 家全体の契約アンペアを管理し、契約量を超えた電気の使用(容量オーバー)で電気を遮断する。電力会社からの供給を管理する元栓の役割。 | 不要 (スマートメーターに機能が内蔵されたため、物理的な機器は必要なくなりました) | 分電盤の左端にある一番大きなブレーカー。電力会社によって色が分けられていることが多い。 |
漏電ブレーカー (漏電遮断器) | 家庭内のどこかで漏電を検知した際に電気を遮断し、感電や火災事故を防ぐ。人の安全を守るための最重要装置。 | 必要 (役割が全く異なるため、引き続き分電盤に設置されています) | 分電盤の中央付近にある。小さな「テストボタン」が付いているのが特徴。 |
安全ブレーカー (配線用遮断器) | 各部屋や特定のコンセントへの分岐回路を個別に管理する。回路ごとの使い過ぎ(過負荷)やショート(短絡)を検知し、該当箇所のみ電気を遮断する。 | 必要 (役割が全く異なるため、引き続き分電盤に設置されています) | 分電盤の右側に複数並んでいる小さなスイッチ。各スイッチに「台所」「居間」などの記載がある。 |
【重要】漏電・安全ブレーカーは引き続き家庭の安全を守ります
スマートメーターが担うのは、あくまで電力会社との契約アンペアの管理です。
人の命を感電事故から守るための漏電ブレーカーや、各部屋の配線を過負荷やショートから保護する安全ブレーカーは、これまで通り分電盤の重要な構成要素です。
これらは、私たちの暮らしの安全を確保するために不可欠な存在です。
このように、アンペアブレーカーはスマートメーターにその役目を譲りましたが、他の安全装置は引き続き私たちの暮らしの安全をしっかりと守ってくれています。

契約アンペアの確認方法を解説
アンペアブレーカーがなくなると、「我が家の契約アンペアは、一体どうやって確認すればいいのだろう?」と疑問に思うのは当然です。
ブレーカー本体の色や数字で一目でわかった従来の方法とは異なり、スマートメーターが設置された家ではデータで確認する必要があります。
しかし、ご安心ください。確認方法は非常に簡単で、主に以下の2つの方法があります。
1. 電力会社の会員向けWebサイトで確認する
現在契約している電力会社の会員向けWebサイト(マイページ)にログインすることで、現在の契約内容を最も手軽かつ詳細に確認できます。
多くの電力会社がスマートフォンアプリも提供しており、いつでも好きな時にチェックすることが可能です。
例えば、東京電力エナジーパートナーと契約している場合は、「くらしTEPCO WEB」という無料サービスが利用できます。
このサービスでは、現在の契約アンペア数が表示されるだけでなく、日ごと、時間ごとの電気使用量もグラフで視覚的に確認できます。
「昨日の15時頃に電気使用量が跳ね上がっているのは、エアコンと電子レンジを同時に使ったからかな?」といったように、ご家庭のエネルギー消費パターンを分析するのに非常に役立ちます。
2. 毎月の検針票(電気ご使用量のお知らせ)で確認する
電力会社から毎月郵送、またはWebで発行される検針票にも、契約アンペア数は必ず明記されています。
紙の検針票がお手元にある場合は、「ご契約種別」や「ご契約」といった欄をご確認ください。「従量電灯B 40A」のように記載されている数字部分が、ご自宅の契約アンペアです。
「紙の検針票は捨ててしまった…」という方でも大丈夫です。前述の電力会社のWebサイトにログインすれば、過去数年分の請求情報や使用量データをPDF形式でダウンロードできる場合がほとんどです。
一度チェックしてみてくださいね。物理的な表示がなくなった分、最初は少し手間に感じるかもしれません。
しかし、Webサービスを活用することで、単に契約アンペアを知るだけでなく、ご家庭の電気の使い方を見直すきっかけを得られるという大きなメリットがあります。

アンペア変更は遠隔で簡単にできる
スマートメーターの導入によって、契約アンペアの変更手続きは、驚くほど簡単かつ迅速になりました。
従来は、アンペア数を変更するためには電力会社の作業員がご自宅を訪問し、分電盤の中にあるアンペアブレーカーそのものを物理的に交換する必要がありました。
そのため、事前に工事の日程を調整し、当日は作業に立ち会う必要がありましたが、スマートメーターではこうした手間が一切不要になったのです。
現在のアンペア変更は、契約している電力会社のWebサイト(マイページ)やコールセンターに申し込むだけで完結します。
申し込み後、電力会社が通信回線を通じて遠隔でご自宅のスマートメーターの設定値を書き換えるため、作業員の訪問やそれに伴う停電工事は原則としてありません。
ただし、設備の条件次第では立会いや工事が必要になることもあります。
スマートメーターによるアンペア変更の主なメリット
- 立ち会い不要
- ご自身が在宅している必要がなく、日中お仕事などで家を空けている方でも、ご自身の都合の良いタイミングで申し込めます。
- 迅速な対応
- 申し込み後、早ければ翌営業日、通常は数日以内に変更が完了することが多いです。
- 費用無料
- 10~60Aの範囲内であれば、変更は無料です。
- ただし、アンペアブレーカー未設置や配線工事が必要な場合は、別途工事費が発生することがあります。(参考:ご契約アンペアの選び方│ご契約内容の変更│東京電力エナジーパートナー)
ただし、この便利なアンペア変更にもいくつかの注意点が存在します。
アンペア変更時の注意点とルールの確認
- 年1回のルール
- 東京電力などのアンペア制エリアでは、原則として、一度契約アンペアを変更すると、その後1年間は再度変更することができません。
ただし、**転居などに伴う新規契約の場合はこの限りではありません。**頻繁に変更はできないため、家族構成の変化や導入予定の家電などをよく考慮した上で、最適なアンペア数を選ぶことが重要です。(参考:ご契約アンペアの選び方│ご契約内容の変更│東京電力エナジーパートナー) - 賃貸物件の場合
- アンペア数を上げる場合、建物の電気設備の容量によっては対応できないことがあります。変更を申し込む前に、一度管理会社や大家さんに確認することをおすすめします。
また、このアンペア契約の仕組みは、採用している電力エリアが限られることを知っておく必要があります。
【補足】アンペア制と最低料金制の違い
日本の電気料金制度は、大きく分けて2種類あります。
制度 | 仕組み | 主な採用電力会社 |
---|---|---|
アンペア制 | 契約するアンペア数(30A, 40Aなど)に応じて毎月の基本料金が決まる。アンペア変更の手続きが存在する。 | 東京電力、東北電力、中部電力、北陸電力、九州電力、北海道電力 |
最低料金制 | 契約アンペアの概念がありませんが、基本料金が完全にないわけではなく、一定量まで含む最低料金設定のプランも存在します。 | 関西電力、中国電力、四国電力、沖縄電力 |
もしご自身が関西電力などの「最低料金制」エリアにお住まいの場合、そもそも契約アンペアという概念がないため、アンペア変更の手続き自体が存在しないことになります。

賃貸マンションやアパートで撤去しない場合
「うちのアパートはスマートメーターに交換されたはずなのに、分電盤には昔ながらのアンペアブレーカーがそのまま残っている…」という状況は、特に賃貸マンションやアパートでは決して珍しくありません。
これには、いくつかの実務的な理由が考えられます。
撤去工事の手間とコスト
スマートメーターの設置は電力会社(正確には送配電事業者)の義務として行われますが、既存のアンペアブレーカーの撤去までを標準工事に含めていない場合があります。
撤去には別途電気工事士による作業が必要になるため、そのまま残置されることがあります。
原状回復の問題
ブレーカーは壁にしっかりと固定されています。これを撤去すると、壁紙に跡が残ったり、取り付け用の穴が露出したりすることがあります。
賃貸物件では退去時の原状回復が原則となるため、美観を損なわないよう、あえて設備をそのまま残しておくという判断がなされることがあります。
管理会社・大家の意向
物件の電気設備として、管理会社や大家さんが現状のまま維持する方針を取っているケースです。
入居者が変わるたびに、契約アンペアがどうなっているかを物理的なブレーカーで確認したい、といった理由も考えられます。
ブレーカーが残っていると「一体どっちの機能が有効なの?」と混乱してしまいますよね。万が一、両方が作動したらどうなるんだろう、と不安になるかもしれません。
この点については明確な答えがあります。たとえ分電盤に古いアンペアブレーカーが残っていたとしても、電力の制御は新しく設置されたスマートメーター側が常に行います。
つまり、分電盤に残っているアンペアブレーカーは、実質的に何の機能も果たしていない「ダミー」または「抜け殻」の状態なのです。
容量オーバーが起きても、作動するのは屋外のスマートメーターであり、室内の古いブレーカーが落ちることはありません。
自己判断での撤去や改造は絶対にしないでください
分電盤内の設備は、たとえ機能していなくても電力会社の所有物であったり、物件の重要な設備であったりします。
「使われていないなら邪魔だから外してしまおう」といった自己判断での撤去や改造は、賃貸借契約の違反にあたるだけでなく、万が一配線を誤ると重大な電気事故に繋がる危険性があります。
絶対に避けてください。もし、どうしても気になる場合は、まず物件の管理会社や大家さんに相談し、指示を仰ぎましょう。

アンペアブレーカーがないスマートメーターの注意点
- 容量オーバーで停電しやすいのはやばい?
- 漏電ブレーカーが落ちる原因と対処法
- 故障?メーターの表示が消える・点滅する時
- 東京電力の契約アンペアについて
容量オーバーで停電しやすいのはやばい?
スマートメーターの家に住み始めてから、「以前より頻繁に電気が落ちるようになった気がする…」と感じる方がいるかもしれません。
これは故障ではなく、むしろスマートメーターのブレーカー機能がデジタル制御によって極めて正確に作動している証拠でもあります。
契約アンペアを超える電気(例えば、40A契約の家で41Aの電流)を同時に使用すると、スマートメーターの内蔵ブレーカーが瞬時にそれを検知し、安全のために家全体への電力供給を遮断します。
これが停電の正体です。しかし、ここからが従来のアンペアブレーカーとの大きな違いです。
停電後、約10秒で自動的に電力は復旧します。
夜中に突然停電しても、暗闇の中で懐中電灯を探し、分電盤のスイッチを上げに行く、といった一連の作業はもう必要ありません。これがスマートメーターの便利な点です。
自動復旧した際の正しい対処法
- 慌てない
- まずは停電しても慌てず、10秒程度待ちます。
- 原因を減らす
- 電気が復旧したら、直前まで使用していた消費電力の大きい電化製品(電子レンジ、ドライヤー、エアコンの暖房運転など)のスイッチを切ったり、コンセントからプラグを抜いたりして、全体の電力消費量を減らします。
- 通常通り使用する
- 原因を取り除けば、そのまま電気を使い続けられます。
しかし、この便利な自動復旧機能には、知っておかなければならない非常に重要な「落とし穴」があります。
【最重要】自動復旧の繰り返しは「ロックアウト」を招く!
自動復旧は非常に便利な機能ですが、これはあくまで「電気の使い過ぎですよ」という警告です。警告を無視して電力の使い過ぎを改善せず、短時間に何度も停電と自動復旧を繰り返したとします。
その場合、スマートメーターは配線などの電気設備を保護する最終手段として、「ロックアウト」状態になってしまいます。
ロックアウトされると、今度は自動復旧機能が停止し、電気がつかないままの状態になってしまいます。
この状態はまさに「やばい」状況と言え、分電盤を操作しても自分では絶対に復旧できません。
復旧させるには、お住まいの地域を管轄する送配電事業者(例:東京電力パワーグリッド)のコールセンターに連絡し、遠隔で復旧作業をしてもらう必要があります。
「停電しやすい」と感じる根本的な原因は、現在のライフスタイルに対して契約アンペアが不足していることです。
頻繁に自動復旧が起こるようであれば、それは生活が不便であるだけでなく、ロックアウトのリスクを常に抱えている状態です。根本的な解決策として、契約アンペアの見直し(アンペアアップ)を真剣に検討しましょう。

漏電ブレーカーが落ちる原因と対処法
前述の通り、スマートメーターが管理するのは「アンペア超過(容量オーバー)」による停電です。
もし、家全体が停電し、10秒以上待っても自動で復旧しない場合は、別の原因が考えられます。「漏電」の発生や、短時間のアンペア超過を繰り返したことによる「ロックアウト状態」、あるいはお住まいの地域一帯での「広域停電」の可能性もあります。
特にご自宅だけが停電している場合、作動しているのはスマートメーターではなく、分電盤にある「漏電ブレーカー」かもしれません。
漏電は感電や火災に直結する非常に危険な状態であり、漏電ブレーカーはそれを未然に防ぐための重要な安全装置です。
漏電ブレーカーが落ちる主な原因には、以下のようなものが挙げられます。
- 電化製品の故障や経年劣化
- 特に洗濯機や冷蔵庫、温水洗浄便座といった水回りで使用する家電や、長年使用している古い家電の内部で絶縁が劣化し、電気が本来の回路から漏れ出してしまうことがあります。
- 配線や電源コードの損傷
- 家具の下敷きになって圧迫されたコードや、ペットが噛んで被覆が剥がれたコード、延長コードのたこ足配線などが原因でショートし、漏電することがあります。
- 雨漏りや屋外コンセントへの浸水
- 建物の雨漏りや、防水が不十分な屋外のコンセントや照明器具に雨水が浸入することで、漏電が発生します。
- 雷による過電流(雷サージ)
- 落雷によって瞬間的に大きな電圧が電線に流れ込み、漏電ブレーカーが作動することがあります。
もし漏電ブレーカーが落ちた場合は、パニックにならず、以下の手順で原因となっている回路を特定し、安全に電気を復旧させてください。
安全な漏電箇所の特定と応急処置の手順
漏電箇所が特定できたら、その回路に接続されている電化製品のコンセントを全て抜き、原因となっていそうな製品(特に水回りや古いもの)がないか確認してください。
原因がわからない場合や、対処しても復旧しない場合は、感電の危険があるため、絶対に無理をせず、すぐに地域の電気工事店などの専門業者に点検を依頼しましょう。
横浜・川崎・東京都南部エリアで業者をお探しの方へ
こうした専門的な判断や工事については、私たち「横浜電気工事レスキュー」のような東京電力の指定工事店(登録番号:701-1730)にお任せください。
ご家庭の状況に合わせた最適なご提案をさせていただきますので、お気軽にご相談ください。
故障?メーターの表示が消える・点滅する時
スマートメーターは高機能な電子機器ですが、屋外の厳しい環境に設置されているため、故障することもあります。
「メーターの液晶表示が完全に消えている」「いつもと違う見慣れないパターンで点滅している」といった場合は、メーター本体の故障や通信エラーの可能性があります。
正常な状態の表示をまず知っておく
通常、スマートメーターは現在の総使用電力量(kWh)をデジタル数字で表示しています。
製品によっては、10秒ごとなどに表示が切り替わり、現在の瞬時電力(W)などを表示するものもあります。多くの場合、正常に通信していることを示すランプがゆっくり点滅しています。
異常が疑われる表示の例
- 液晶表示が完全に消えている(無表示)
- メーターへの電力供給が何らかの理由で止まっているか、メーター内部の電源回路や液晶部分の故障が考えられます。
- エラーコードが表示されている
- 「Err-XXXX」のような英数字が表示されている場合、通信異常や内部エラーが発生しているサインです。
- 普段と違うランプが点滅・点灯している
- 例えば、通信状態を示すランプが高速で点滅していたり、異常を示す赤色のランプが点灯したりしている場合は、何らかのトラブルを抱えています。
メーターの異常は、単に表示が見えないだけでなく、電気料金が正しく計測されないといった実害に繋がる可能性もあります。気づいたら早めに対応するのがおすすめです。
このような異常に気づいた場合、ご自身でメーターを叩いたり、再起動を試みたりせず、速やかに適切な窓口へ連絡してください。
ここで注意すべきなのは、連絡先です。
私たちが電気の契約をしているのは「小売電気事業者」(例:東京電力エナジーパートナー、ENEOSでんき等)ですが、スマートメーターの所有・管理を行っているのは「一般送配電事業者」(例:東京電力パワーグリッド、関西電力送配電等)という別の会社です。
メーターの不具合に関する連絡は、この送配電事業者に行うのが正解です。
連絡先がわからない場合
「うちの地域の送配電事業者がどこかわからない…」という場合は、毎月の電気の検針票を確認してみてください。必ず記載があります。
それでも不明な場合は、契約している小売電気事業者に連絡すれば、適切な窓口を案内してくれます。

東京電力の契約アンペアについて
東京電力エリアをはじめとする多くの地域では、家庭向けの電気料金プランに「アンペア制」が採用されています。
これは、電力会社と結ぶ契約アンペア数によって、毎月固定で支払う基本料金が変動する仕組みです。
契約アンペア数が大きいほど、電子レンジ、エアコン、ドライヤーといった消費電力の大きい家電を一度にたくさん使えるようになりますが、その分、基本料金は高くなります。
逆に、契約アンペア数が小さいと基本料金は安く抑えられますが、同時に使える家電が限られ、頻繁にブレーカーが作動(停電)する可能性があります。
ご自身のライフスタイルに合わないアンペア契約は、無駄な出費や日々の不便に直結します。最適なアンペア数を選ぶことが、快適な暮らしと電気代節約を両立させるカギになります。
以下は、東京電力の一般的なプラン(従量電灯B)における契約アンペアと、同時に使用できる家電の目安、そして基本料金をまとめた表です。
ご自身の家庭に合ったアンペア数を検討する際の参考にしてください。
契約アンペア | 2025年8月時点の基本料金(税込) | 同時に使える電化製品の目安 | こんな世帯におすすめ |
---|---|---|---|
30A | 935.25円 | エアコン(暖房)、テレビ、冷蔵庫を使用中に、電子レンジを使うと超過する可能性あり。調理と空調の同時使用に注意が必要。 | 電気をあまり使わない一人暮らし・二人暮らし |
40A | 1,247.00円 | 基本的な家電に加え、ドライヤーや電気ケトルなどを同時に使用可能。一般的な家庭で最も多く選ばれている契約。 | 標準的な二人~三人暮らしのファミリー |
50A | 1,558.75円 | 複数の部屋でエアコンを使いながら、食洗機や電子レンジなどの調理家電も同時に使える余裕がある。 | 家電が多い、または在宅時間が長い三人~四人暮らし |
60A | 1,870.50円 | IHクッキングヒーターやエコキュート、電気自動車の充電器など、消費電力の大きい機器を使用する家庭向け。 | オール電化住宅や大家族、複数の大型家電を同時に使う世帯 |
「最近、家族が増えて同時にエアコンを使うようになった」「テレワークで在宅時間が増えた」「消費電力の大きいドラム式洗濯乾燥機を買った」など、ご自身の生活に何か変化はありましたか?
そのような場合は、この表を目安にご自宅の電気の使い方を一度見直してみることを強くおすすめします。

総括:アンペアブレーカーのないスマートメーター
この記事では、アンペアブレーカーがないスマートメーターについて、その仕組みから日々の使い方、トラブル対処法まで詳しく解説しました。最後に、本記事の重要なポイントを改めてまとめます。
- 分電盤にアンペアブレーカーがない主な理由はスマートメーターに機能が内蔵されたためである
- スマートメーターは遠隔検針や契約管理を効率化する国の政策で普及した次世代の電力メーター
- アンペアブレーカーは不要になったが感電や火災を防ぐ漏電ブレーカーや安全ブレーカーは引き続き必要
- 現在の契約アンペアの確認は電力会社の会員向けWebサイトや毎月の検針票で行う
- アンペア変更は工事や立ち会いが不要でWebや電話から遠隔で簡単に手続きが完了する
- 賃貸物件では美観や管理の都合上スマートメーター交換後も古いブレーカーが残ることがある
- 分電盤に残った古いブレーカーは機能しておらず自己判断での撤去は絶対に行ってはならない
- 容量オーバーで停電しても約10秒で自動復旧するのがスマートメーターの最大の特徴
- 電気の使い過ぎを改善しないと短時間で停電を繰り返し最終的にロックアウトされる危険がある
- ロックアウトされると自力で復旧できず地域の送配電事業者への連絡が必要になる
- 10秒以上待っても自動復旧しない停電は漏電ブレーカーが作動している可能性が高い
- 漏電ブレーカーが落ちた際は慌てず手順に沿って原因となっている回路を特定することが重要
- メーターの液晶表示が消える・点滅するなどの異常は故障の可能性があるため送配電事業者に連絡する
- 東京電力エリアなどは契約アンペア数で基本料金が決まるアンペア制を採用している
- ご自身のライフスタイルの変化に合わせて適切な契約アンペアに見直すことが快適さと節約に繋がる