給湯器のリモコンの位置を変えたい！費用・方法・注意点をプロが徹底解説

「給湯器のリモコンが使いにくい場所にあって毎日不便…」「調理中にサッと操作したいのに、キッチンの壁にあれば家事がもっと楽なのに」と感じていませんか。

給湯器リモコンの「位置が悪い」という悩みは、日々の暮らしにおける小さなストレスの積み重ねとなり、決して無視できない問題です。

この記事では、リモコンの移設や増設にかかる具体的な費用相場から、DIYの可否とリスク、そして生活動線を劇的に改善するおすすめの設置場所や最適な高さまで、専門の業者に依頼する際の重要ポイントを余すところなく解説します。

TOTOサザナのような最新のユニットバスでの具体的な設置事例や、多くの時間を過ごすキッチン・リビングでの注意点、さらにはノーリツやリンナイといった主要メーカーごとの特徴にも深く踏み込んでいきます。

加えて、意外と見落としがちなインターホンとの位置関係や、壁工事が不要な無線リモコンという賢い選択肢、そして賃貸物件で工事を行う際の注意点と退去時の対応まで、「給湯器のリモコンの位置を変えたい」という希望を、叶えるための全ての情報を網羅しています。

この記事で解決できること

給湯器用リモコンの設置位置を変えたい！まず知るべき基本情報

• 依頼する業者はどう選ぶ？
• 移設・増設にかかる費用
• DIYで可能？リモコンの外し方
• おすすめ設置場所と最適な高さとは
• ノーリツとリンナイの比較
• 配線工事が不要な無線リモコン

依頼する業者はどう選ぶ？

給湯器リモコンの位置変更を成功させるためには、信頼できる業者選びが最も重要と言っても過言ではありません。

どこに依頼するかによって、工事の質、費用、そして将来的な安心感が大きく変わってきます。主な依頼先は「ガス会社」「給湯器専門業者」「リフォーム会社」の3つに大別されます。

それぞれの特性を深く理解し、ご自身の状況や優先順位に最も適したパートナーを見つけることが、満足のいく結果への最短ルートです。

これらの特徴を比較検討し、賢い選択を行いましょう。

依頼先	メリット	デメリット	こんな人におすすめ
ガス会社	・日頃から付き合いがあり、圧倒的な信頼感と安心感がある ・ガス設備全般に関する知識が豊富で、安全基準を遵守した確実な施工が期待できる ・アフターサービスや保証体制が非常に手厚い	・中間マージンが発生しやすく、費用が他の業者に比べて高額になる傾向がある ・対応できるリモコンの種類が限られる場合がある	・多少費用が高くても、とにかく安心と信頼を最優先したい人 ・ガス関連の相談もまとめて行いたい人
給湯器専門業者	・給湯器とリモコンに関する専門知識が非常に豊富で、施工がスピーディかつ正確 ・メーカーから直接仕入れるため、価格競争力があり費用を抑えやすい ・取り扱いメーカーや機種が豊富	・業者の数が非常に多く、中には技術力や対応に差があるため、優良業者を自身で見極める必要がある ・ウェブサイトの情報だけでは実態が分かりにくい場合がある	・専門的な施工を適正価格で依頼したい人 ・リモコンの機種にもこだわりたい人
リフォーム会社	・キッチンや浴室全体のリフォームと一括で依頼できるため、打ち合わせの手間が省ける ・壁紙の補修や内装との調和を考慮した、デザイン性の高い提案が期待できる	・実際の施工は下請けの電気工事業者や設備業者が行うことが多く、専門性がやや劣る可能性がある ・中間マージンが発生し、費用が割高になることがある	・キッチンや浴室全体のリフォームの一環として位置変更を検討している人 ・デザインや内装との統一感を重視する人

後悔しない業者選びで絶対に確認すべき3つの鉄則

⒈詳細な見積書を要求する

「工事一式」といった曖昧な見積もりではなく、「基本作業料」「配線延長費」「壁面開口費」「旧穴補修費」など、作業内容と部材費が項目ごとに細かく記載された見積書を必ず取得してください。

これにより、作業範囲が明確になり、後からの不当な追加請求トラブルを確実に防げます。

⒉保有資格の有無を確認する

リモコンの通信線（低電圧）の配線自体に資格は不要ですが、例えば近くにコンセントを増設する場合など、関連工事で「第二種電気工事士」の資格が必須になるケースがあります。

また、万が一ガス管に触れる可能性がある作業ではガス関連の資格も求められます。有資格者が在籍しているか事前に確認することで、法令を遵守した安全な工事が保証されます。

⒊施工実績と具体的な保証内容を問う

ウェブサイトなどで豊富な施工実績を確認するとともに、「工事に対する保証」が何年付くのか、万が一の不具合発生時にどのような対応をしてくれるのかを具体的に質問しましょう。

「製品保証」と「工事保証」は別物です。誠実な業者は、自社の施工に責任を持ち、明確な保証制度を設けています。

最終的には、最低でも2〜3社から相見積もりを取ることを強く推奨します。

料金を比較するだけでなく、担当者の対応の丁寧さや専門知識の豊富さ、質問への回答の的確さなどを総合的に判断し、信頼して任せられる業者を見極めることが、何よりも重要です。

移設・増設にかかる費用

給湯器リモコンの位置変更を具体的に考え始めると、やはり最も気になるのは「一体いくらかかるのか？」という費用面でしょう。

結論からお伝えすると、リモコンの移設や増設にかかる費用の一般的な相場は約15,000円から40,000円程度です（現場条件で増減）。

給湯器交換と同時に行う場合など、条件が良ければ1万円以下で済むこともあります。ただし、この金額はあくまで標準的なケースの目安です。

なぜなら、工事費用は「配線をどれだけ延長するか」「壁の材質や内部構造がどうなっているか」といった、一つ一つのご家庭の現場状況に大きく左右されるからです。

そのため、「我が家の場合はいくら？」を正確に知るためには、費用の内訳と価格が変動する要因をしっかり理解しておく必要があります。

費用の詳細な内訳と価格変動のメカニズム

専門業者から提示される見積もりは、主に以下の項目で構成されています。これらの要素が組み合わさって最終的な金額が決まります。

項目	費用の目安	価格が変動する主な要因
基本作業料	10,000円～20,000円	既存リモコンの撤去、新規取り付け、動作確認などの基本的な人件費。業者の料金体系によって変動します。
配線・材料費	2,000円～5,000円	延長するリモコンコードの長さ、接続端子、防水用のコーキング材などの実費。移設距離が長くなればなるほど高くなります。
壁の開口・補修費	3,000円～15,000円+	新しい位置への穴あけと、元の穴の処理費用。この費用は壁の材質によって最も大きく変動します。
諸経費	3,000円～10,000円	出張費や駐車料金など。現場が遠方の場合などに加算されます。

【最重要】壁の材質による費用の違いに要注意！

壁の開口・補修費は、材質によって必要な工具と技術レベルが全く異なるため、費用に大きな差が生まれます。

石膏ボード（一般的なクロス壁）

最も安価。ホールソーなどで比較的簡単に穴を開けられ、補修も容易です。

合板・木壁

石膏ボードと同様に比較的安価ですが、硬さによって多少手間賃が加算されることがあります。

タイル壁（浴室など）

費用が高くなる要因です。タイルを割らずに綺麗に穴を開けるには、ダイヤモンドコアドリルといった専用工具と熟練の技術が必要になります。

コンクリート・ALC壁

最も高額になる可能性があります。振動ドリルや専用のアンカーが必要となり、作業時間も長くなるため、費用が数万円単位で上乗せされることも覚悟が必要です。

例えば、同じ室内で数メートル移動させるだけの簡単な工事で、壁が石膏ボードであれば1万円台で完了することも珍しくありません。

しかし、1階から2階へ配線を通す、壁の内部に障害物が多くて配線ルートの確保が困難、かつ壁がコンクリートである、といった悪条件が重なると、5万円を超えるケースも十分に考えられます。

したがって、正確な費用を把握するためには、必ず複数の業者に現地調査を依頼し、詳細な見積もりを取得することが不可欠です。

その際には、元の穴の処理方法（安価な化粧カバーで塞ぐだけか、壁紙の張り替えまで含めた完全な補修を望むか）についても、希望を明確に伝えましょう。

そのうえで、どこまでの作業が費用に含まれているのかをしっかりと確認しておきます。

DIYで可能？リモコンの外し方

「専門業者に頼むと費用がかかるし、少しの位置変更なら自分でできないだろうか？」と、DIYでのリモコン移設を検討する方も少なくないでしょう。

給湯器のリモコンを接続している通信線は低電圧であるため、その配線作業自体に「電気工事士」のような国家資格は法的に要求されません。そのため、理論上はDIYでも可能と言えます。

しかし、これはあくまで「法的に禁止されていない」というだけであり、安全かつ確実に作業を完了できることを保証するものではありません。

安易なDIYは、予期せぬトラブルや、結果的にプロに依頼するよりも高額な修理費用に繋がる重大なリスクを伴うため、専門家としては強く業者への依頼を推奨します。

安易なDIYに潜む、具体的かつ深刻なリスク

「自分なら大丈夫」と思っていても、プロの技術と経験がなければ回避困難なリスクが存在します。特に以下の3点は、DIYで頻発する致命的な失敗例です。

防水処理の失敗による二次被害

特に浴室リモコンの移設において、最も多く、そして最も深刻なリスクです。

プロは古いコーキングを完全に除去し、下地を整えてから新しい防カビ性シリコンを充填しますが、この工程を怠ると完璧な防水は望めません。

不完全なコーキングは、壁の内部に湿気や水分が侵入する原因となり、リモコン本体の電子基板をショートさせます。

さらには、壁材の腐食、断熱材のカビの発生、さらにはシロアリを呼び寄せるといった、住宅の躯体そのものを傷める深刻な二次被害を引き起こす恐れがあります。

壁裏への配線落下という悪夢

作業中にリモコンコードを壁の裏側に「ポトリ」と落としてしまうのは、DIYで非常によくあるトラブルです。

一度壁の奥深くに落下させてしまうと、細い穴から釣り上げるのは至難の業です。

多くの場合、壁を大きく四角く開口して手を入れて取り出す以外に方法がなくなり、簡単な作業が一転して、大掛かりな壁の修復工事へと発展しかねません。

不適切な配線接続による動作不良

低電圧とはいえ、配線の接続が甘いと様々な不具合を招きます。

電線をただよじってビニールテープで巻いただけの素人処理では、やがて接触不良を起こし、リモコンが点灯しない、ボタンが反応しないといった動作不安定の原因となります。

プロは「絶縁被覆付閉端接続子」のような専用の部材と圧着工具を使用し、永続的な電気的信頼性を確保します。

【プロの技】参考：リモコンの外し方の基本手順

それでもDIYを検討したいという方のために、プロがどのような手順で安全に作業を行うかを知っておきましょう。この手順のどこか一つでも不安を感じる場合は、迷わず専門業者に連絡してください。

⒈【最重要】安全確保

感電や機器の故障を防ぐため、作業前に必ず給湯器本体の電源プラグを抜くか、給湯器に繋がる住宅のブレーカーを「切」にします。

⒉養生作業

壁や床を傷つけないよう、リモコンの下に養生シートやタオルなどを敷きます。

⒊コーキングの丁寧な除去

（浴室の場合）リモコンの周囲に充填されている古いコーキングを、カッターナイフで壁を傷つけないよう慎重に切り込みを入れ、丁寧に取り除きます。

⒋本体の取り外し

リモコン本体を壁に固定している上下のネジを、ドライバーでゆっくりと外します。ネジを外したら、本体を壁からゆっくりと引き離します。

⒌配線の確実な確保と取り外し

リモコンの裏側には、通常2本の通信線が端子に接続されています。この線を外す前に、必ず配線が壁の中に落ちないよう、クリップやマスキングテープなどで壁の外側に固定します。その後、端子のネジを緩めて配線を外します。

この後に、新しい場所への穴あけ、壁内を通しての配線、確実な延長接続、そして最も重要な完璧な防水処理を行います。

このような作業には、前述の通り圧着ペンチやコーキングガン、ホールソーといった専門工具と、豊富な経験に裏打ちされた技術が不可欠です。

これらの多岐にわたるリスクと必要な専門技術を総合的に考慮すると、数万円の工事費を節約するためにDIYに挑戦するよりも、確実な施工品質と工事保証が提供される専門業者に任せる方が、長期的にはるかに安心で、結果として経済的であると言えるでしょう。

おすすめ設置場所と最適な高さとは

リモコンの位置を変更するなら、どこに設置するのが最も使いやすく、日々の暮らしを快適にするのでしょうか。

この選択で失敗しないための重要なポイントは、「ご自身の、そしてご家族の具体的な生活動線」と「誰が、いつ、どのようにリモコンを操作するのか」を徹底的にイメージすることです。

ここでは、主要な設置場所ごとの最適なポジションと、家族全員がストレスなく使える高さの基準について、プロの視点から詳しく解説します。

【場所別】生活が劇的に変わる！おすすめ設置ポイント

主にリモコンが設置されるキッチン、浴室、そして近年その利便性から人気が急上昇している洗面所について、それぞれの理想的な位置を見ていきましょう。

せっかく位置を変えるのですから、絶対に後悔はしたくないですよね。毎日の「あ、便利だな」という小さな感動の積み重ねが、暮らし全体の満足度を大きく向上させます。

キッチン

キッチンでのリモコン操作は、調理中や洗い物の最中など「ながら作業」が中心です。

そのため、シンクとコンロの「中間」にあたる壁面で、かつ調理のメインスペースから一歩も動かずに手が届く位置がゴールデンポジションです。

ただし、水はねや油飛びが直接かからないように、シンクやコンロの真横から少しずらす配慮が、リモコンを長持ちさせる秘訣です。

また、頻繁に通る動線上や、調理器具を置く可能性のあるスペースのすぐ横は避け、作業の邪魔にならないことも確認しましょう。

浴室

浴室での快適さを左右するのは、「浴槽に浸かってリラックスしている時」と「洗い場で体を洗っている時」の両方から、無理のない姿勢で楽に手が届く位置です。

多くの場合、鏡の横や、シャワーフックと浴槽の中間点などが、視認性と操作性を両立できる最適なポイントとなります。

「追い焚きしたいだけなのに、毎回よいしょっと体勢を変えなければならない」というストレスから解放されます。

洗面所

近年、最も人気が高まっているのがこの場所です。

お風呂に入る前に給湯温度を確認したり、リビングからお湯はりを開始したりと、浴室の濡れた床に足を踏み入れることなく、全ての準備が完了できるというメリットは計り知れません。

特に冬場、寒い脱衣所で服を脱ぐ前に浴室暖房のスイッチを入れることができるなど、生活の質（QOL）を大きく向上させます。設置場所は、洗面台の横や、浴室ドアのすぐ脇の壁が一般的です。

誰にとっても使いやすい「ユニバーサルな高さ」の基準

多くの住宅では、照明などのスイッチ類の中心高さを床から110cm～120cmに設定するのが一般的です。これは、国土交通省の定める公共建築工事標準仕様書などでも基準とされている高さです。

（参考：国交省の設計標準）

家族構成に合わせた「オーダーメイド」の高さ調整を

ただし、これはあくまで標準的な目安に過ぎません。本当に使いやすい高さは、ご家庭の状況によって異なります。以下の点を考慮して、最適な高さを決めましょう。

小さなお子さんがいるご家庭

お子様が面白がってボタンを押してしまうといった、誤操作を防ぐことは重要です。そのため、少し高めの140cm程度に設置すると安心感が増します。

多くのリモコンにはチャイルドロック機能も搭載されているため、併せて活用すると万全です。

ご高齢の方や車椅子を利用する方がいるご家庭

ユニバーサルデザインの観点から、無理なく操作できる高さへの配慮が求められます。この場合、少し低めの90cm～110cm程度に設置することが推奨されています。

立った状態でも、座った状態でも、誰もが楽に操作できる高さを見つけることが大切です。

新築やリフォームの際に図面だけで位置を決めてしまうのは失敗のもとです。

実際にその場に立ち、腕を伸ばしてみたり、座ってみたりと、家族全員で日常の動作をシミュレーションしてみましょう。

みんなにとって本当に使いやすい「我が家だけの黄金のポジション」を確実に見つけることができます。

ノーリツとリンナイの比較

給湯器リモコンは、私たちの暮らしに欠かせないインターフェースです。毎日何度も目にし、手で触れるものだからこそ、その機能性や操作性はもちろんのこと、デザイン性も重要な選択基準になります。

国内の主要メーカーであるノーリツとリンナイでは、リモコンの開発思想にそれぞれ特徴があり、ユーザー体験も異なります。

ここでは、両社のリモコンが持つ主な特徴を多角的に比較します。どちらの哲学がご自身の好みやライフスタイルに合致しているか、じっくりと考えてみましょう。

メーカー	デザイン・操作性の特徴	先進機能・その他の特徴
リンナイ	・デザイン性が高く、モダンでスタイリッシュなモデルが豊富。フラットなタッチパネル式など、キッチンや浴室のインテリアに美しく調和する製品ラインナップが魅力。 ・ユーザーインターフェース（UI）の研究が進んでおり、直感的に操作できるボタン配置や、グラフィカルで分かりやすい表示に定評がある。	・スマートフォンアプリ「どこでもリンナイアプリ」との連携機能が充実。外出先からの遠隔操作や、光熱費の見える化機能「エネルック」が人気。 ・浴室テレビとの連携など、バスライフを豊かにする機能も得意。
ノーリツ	・シンプルで誰にでも分かりやすいユニバーサルデザインを重視。過度な装飾を排し、機能性を追求した実直なデザインが特徴。 ・ボタンや文字が大きく、コントラストもはっきりしているため、視認性が非常に高い。ご高齢の方でも迷わず操作できる安心感がある。	・「わかすアプリ」によるスマホ連携はもちろん、長時間の入浴を検知してアプリに通知したり、浴室へ呼びかけたりできる「見まもり機能」など、家族の安心・安全に配慮した独自の機能が強み。

配線工事が不要な無線リモコン

「リモコンの位置は変えたいけれど、壁に新しく穴を開けるのはどうしても抵抗がある…」「我が家の壁はコンクリートで、配線工事が物理的に難しい、または非常に高額になると言われた」——

そんな場合に、絶望する必要は全くありません。

現代の技術は、大掛かりな壁の配線工事を行うことなく、希望の場所で給湯器を快適に操作するための、非常にスマートで有効な選択肢を提供しています。

それが、無線（ワイヤレス）リモコンや、Wi-Fiを活用したスマートフォンアプリの連携です。これらを活用すれば、物理的な制約を乗り越え、理想の操作環境を実現できます。

現代の主な無線（ワイヤレス）ソリューション

現在の主な選択肢は、最も高機能な「Wi-Fi対応リモコン＋スマホアプリ」と、一部の機種で提供されているシンプルな「コードレスリモコン」の2つです。

それぞれのメリット・デメリットを理解し、最適な方法を選びましょう。

【主流】Wi-Fi対応リモコン ＋ スマートフォンアプリ

ノーリツやリンナイといった主要メーカーが現在最も力を入れている、高機能なソリューションです。

仕組みはシンプルで、既存の台所・浴室リモコンセットを、家庭のWi-Fiネットワークに接続できる新しいモデルに交換するだけです。

これにより、専用のスマートフォンアプリが、家中のどこでも、さらには外出先からでも使える、超高機能なサブリモコンになります。

• 主なメリット
  • 帰宅途中に電車の中からお湯はりを予約する。
  • 日・月・年単位のガスや電気の使用量をグラフで確認し、省エネ意識を高める。
  • 離れて暮らす家族の給湯器使用状況を見守る。
  など、単なるリモコン移設では得られない、生活を豊かにする多くの付加価値が得られます。
• 注意点：Wi-Fi対応の台所／浴室マルチリモコンは、メーカー希望小売で5.5〜7.0万円前後、実売は3〜5万円台が目安です。取付工賃を含めると総額で4〜6万円前後になるケースが一般的です（機種・地域で変動）。

【限定的】コードレス（無線）リモコン

一部の給湯専用機（お湯はり機能などがないシンプルな給湯器）などで利用できる、電池で動作するリモコンです。受信機を給湯器本体に設置し、リモコン本体は両面テープなどで好きな壁に貼り付けるだけで設置が完了します。

• メリット：設置が非常に簡単で、工事費用を劇的に抑えられます。壁に穴を開ける必要もありません。
• 注意点：対応している給湯器の機種がかなり限られています。また、機能も給湯温度の設定など、ごく基本的なものに限定される場合がほとんどです。

特に、スマートフォンアプリの活用は、単に目の前の不便を解消するだけでなく、私たちの暮らしそのものを、より豊かでスマートなものへと進化させる大きな可能性を秘めています。

「アレクサ、お風呂を入れて」とスマートスピーカーに話しかけるだけで自動的にお湯はりが始まるなど、まるでSF映画のような未来の生活を、今すぐにでも体験できるのです。

物理的な移設工事の見積もりが予想以上に高額になった場合や、賃貸物件などで壁の工事が現実的でない場合には、これらの最新技術を積極的に検討する価値は非常に高いと言えるでしょう。

後悔しない！給湯器用リモコンの設置位置を変えたい時の注意点

• ユニットバス（TOTOサザナ）での事例
• キッチン・リビング設置のポイント
• インターホンとの位置関係とノイズ
• 賃貸物件の注意点と退去時の対応

ユニットバス（TOTOサザナ）での事例

TOTOの「サザナ」に代表される、清掃性やデザイン性に優れた現代のシステムバス（ユニットバス）は、多くのご家庭で採用されています。

しかし、リフォームや新築の際に、その美しい空間に設置されるリモコンの位置を「おまかせ」にしてしまうと、後から「こんなはずではなかった…」と、日々の入浴時に小さな後悔を重ねるケースが後を絶ちません。

ユニットバスのリモコン位置は、メーカーが推奨する標準位置に決して固執せず、ご自身の入浴スタイルや家族の習慣に合わせて、積極的に「指定」すべきです。

「おまかせ」で起こる典型的な失敗例と、その対策

ユニットバスのリモコン設置で最もよくある失敗は、特に施主から指定がなかったために、施工業者がメーカーの施工説明書通りに、標準位置（洗い場の鏡の横や、シャワーフックの近くなど）に設置してしまうことです。

この位置は、体を洗う際には便利である一方で、以下のような具体的な不満を感じる方が少なくありません。

• 「湯船でゆったりくつろぎながら追い焚きボタンを押したいのに、毎回体を大きく前に乗り出して、濡れた手で操作しなければならず、リラックスできない」
• 「朝、顔を洗うためにお湯を使いたいだけなのに、わざわざ浴室の濡れている可能性のある床に足を踏み入れないと電源を入れられず、靴下が濡れて不快」

このような日々の小さなストレスを回避するためには、ユニットバスの仕様を決定する打ち合わせの段階で、リモコンの具体的な設置位置をセンチメートル単位で明確に指定します。

そして、その内容を必ず図面に赤字で書き込んでもらうことが、最も確実かつ重要な対策です。

【要確認】他の設備との「干渉」を必ずチェック！

リモコンの理想的な位置を決める際には、現在、そして将来的に設置する可能性のある他の設備との物理的な干渉を必ず考慮に入れましょう。

浴室テレビ

「浴槽に浸かって正面の壁でゆっくりテレビを見たい」と考えていたのに、その特等席にリモコンが取り付けられてしまった、という失敗談は非常によく聞かれます。

後付け手すり

現在は不要でも、将来的に介護などで手すりを設置する可能性がある壁面は、リモコンの設置場所としては避けておくと、後々のリフォームが非常にスムーズになります。

風呂フタの収納場所

意外と見落としがちなのが、風呂フタを壁に立てかける、あるいはフックで吊るす位置です。フタとリモコンが干渉して使いにくくならないか、事前に確認が必要です。

TOTOサザナのような最新・人気のユニットバスを選ぶ際は、その美しい「ほっカラリ床」や節水シャワーの機能性だけでなく、毎日何度も操作するリモコンの最適なポジションまで徹底的にこだわること。

それが、心から満足できる理想のバスルームを実現するための最後の、そして最も重要な秘訣なのです。

キッチン・リビング設置のポイント

前述の通り、キッチンやリビングは、その利便性の高さからリモコンの設置場所として非常に人気があります。

しかし、家族が集い、多くの時間を過ごすこれらの空間だからこそ、安易に場所を決めると、後から「便利だと思ったのに、かえってストレス…」という思わぬデメリットに直面することがあります。

ここでは、それぞれの場所で長期的に快適であり続けるための、プロが実践する設置ポイントを詳しく解説します。

キッチン設置のポイント：【衛生・安全・効率】の三立

キッチンにリモコンを設置する場合の成功の鍵は、「操作のしやすさ」と「水・油・熱からの保護」、そして「調理動線の確保」という、一見相反する要素を高いレベルで両立させることです。

シンクやコンロの「真横」は絶対に避ける

これは鉄則です。水はねや油飛びが直接かかる場所は、ボタンの隙間に汚れが詰まって反応が悪くなったり、内部基板が腐食したりと、故障の最大原因となります。

コンロの熱による変形のリスクもあります。必ず、少し離れた壁面を選びましょう。

メインの調理動線を邪魔しない死角を探す

冷蔵庫から食材を出し、シンクで洗い、調理台で切って、コンロで加熱する――この一連の流れを邪魔しない位置が理想です。

例えば、カップボードの端や、パントリーの入り口横など、頻繁に人が通らない、かつ作業中にサッと手が届く壁面が狙い目です。

リビング設置のポイント：【景観との調和】と【生活音】への配慮

リビングへの設置は、ソファでくつろぎながらお風呂の準備ができるなど、スマートな暮らしを想起させ、一見すると非常に便利です。

しかし、リビングは「くつろぎの空間」であるという本質を忘れてはいけません。

見た目をスッキリさせようと、壁に掘り込みを作って（ニッチ）、そこにインターホンやスイッチ類とリモコンをまとめて収納したら、逆に操作がしにくくなった…なんて声も意外と聞きます。隠しすぎも考えものですね。

インテリアとの徹底した調和

リモコンは機能部品ですが、リビングに設置するからには「インテリアの一部」です。

その無機質なデザインが、こだわりの壁紙や内装の中で悪目立ちしないよう、照明スイッチやインターホンと高さを揃えて並べるなど、配置の工夫が求められます。

リモコン自体のデザインも、リンナイのスタイリッシュなモデルを選ぶなど、空間のテイストに合わせることが重要です。

「お風呂が沸きました」の音問題

家族がテレビを見ていたり、静かに読書をしていたりする時間に、お風呂の準備完了を知らせる音声やメロディがリビングの大音量で鳴り響く…。これが毎日続くと、人によってはかなりのストレスになります。

設置前に、音声ガイドの音量調節や、メロディのON/OFFが可能かどうかを必ず確認しておきましょう。

このように、キッチンやリビングへのリモコン設置は、単に「そこにあれば便利そう」という漠然としたイメージだけで決めるものではありません。

そこで実際に生活するシーンを、良い面も悪い面も含めて具体的にシミュレーションし、長期的に見て本当にストレスなく、かつスマートに使いこなせる場所かどうかを冷静に判断することが、成功への唯一の道と言えるでしょう。

インターホンとの位置関係とノイズ

新築やリフォームの際、住宅の設計において、壁面をスッキリと見せる美観上の理由から、給湯器リモコンとインターホン（テレビドアホン）をすぐ隣に並べて設置するレイアウトは、非常によく見られます。

しかし、この一見すると合理的で美しい配置が、実は「ノイズ」や「ハウリング」、「稀には誤作動」といった、住み始めてから気づく厄介なトラブルを引き起こす大きな原因となり得ることを、ご存知でしょうか。

給湯器のリモコンとインターホンは、各メーカーが公式に推奨する離隔距離を必ず守り、可能な限り離して設置することが、トラブルを未然に防ぐための鉄則です。

なぜなら、これらの機器は両方とも内部にスピーカーやマイク、そして電波を発する電子回路を持っており、物理的に近すぎると互いに悪影響を及ぼし合う「電波干渉」を起こす可能性が否定できないからです。

実際に報告されている具体的なトラブル事例

インターホンと給湯器リモコンが近すぎることによって、以下のようなストレスフルな問題が実際に報告されています。

不快なハウリング現象

インターホンで来客と通話している最中に、そのスピーカーから出た音を、すぐ隣にある給湯器リモコンのマイク（浴室との通話用）が拾ってしまいます。

その音がまたインターホンのスピーカーから出て…という音のループが発生します。これにより、「キーン」という非常に不快なハウリング音が発生し、まともな会話が困難になることがあります。

音声のノイズや混線

お風呂に入っている家族からの呼び出し機能を使っている際に、インターホンの通話音声に「ザー」というノイズが乗ったり、逆にインターホンで話している声が、お風呂場にいる家族に聞こえてしまったりします。

プライバシーにも関わる混線が起こるケースです。

画面の乱れや最悪の場合の誤作動

これは稀なケースですが、特に古いタイプの機器同士の場合など、強い電波干渉によってインターホンのモニター画面にちらつきやノイズが入ったりします。

また、リモコンが操作を受け付けなくなったり、意図しない動作を起こしたりする可能性もゼロではありません。

【証拠】メーカーの施工説明書で「離隔距離」を確認しよう

これは単なる憶測ではありません。

例えば、パナソニックのテレビドアホンの施工説明書には、「安全にお使いいただくために」という項目の中で、「給湯器のリモコンなどとは 20cm以上離してください」といった趣旨の注意書きが明確に記載されています。

その中で、「給湯器リモコン、エアコン、テレビ、ラジオなど、ノイズを発生する機器から、できるだけ離して設置してください」といった趣旨の注意書きが明確に記載されています。

これは、製造メーカー側も干渉のリスクを公式に認め、注意喚起している動かぬ証拠です。

これらの深刻な理由から、利便性やデザインの都合でどうしても近くに設置せざるを得ない場合は、事前に施工業者にそのリスクを伝えましょう。

その上で、「壁の内部で配線ルートを完全に分ける」「両者の間に柱や間柱といった壁の下地材が来るように配置を工夫する」など、可能な限りのノイズ対策を講じてもらうことが絶対に必要です。

見た目の美しさだけを優先して安易に並べてしまうと、後からでは解決が非常に困難な、日々のストレスに長く悩まされることになるかもしれません。

（参考：VL-SWH705 取扱説明書）

賃貸物件の注意点と退去時の対応

賃貸マンションやアパートにお住まいの方が、給湯器リモコンの位置を変更したいと考える場合、持ち家とは全く異なる、契約に基づいた特別なルールと手順に従う必要があります。

このプロセスを無視してしまうと、後々深刻なトラブルに発展する可能性があるため、細心の注意が求められます。

最も重要な大原則は、どのような小規模な工事であっても、実行する前に必ず大家さんや物件の管理会社の許可を書面で得ることです。

「少し移動させるだけだから大丈夫だろう」といった自己判断で無断で壁に穴を開けるなどの変更を加えることは、賃貸借契約における「善管注意義務違反」にあたります。

これにより、契約違反として、退去時に高額な原状回復費用を請求されたり、最悪の場合は信頼関係の破綻と見なされたりする重大なリスクがあります。

円満な許可を得るための交渉術と事前確認事項

まずは丁寧に「給湯器リモコンが不便で生活に支障があるため、費用自己負担で専門業者に移設をお願いしたいのですが、ご許可頂けないでしょうか」と相談することが第一歩です。

その際、以下の点を併せて伝えると、相手方の理解や納得を得やすくなる可能性があります。

• 工事は、資格を持った信頼できる専門業者が行い、安全性を確保すること。
• 退去時には、責任を持って元の状態に戻す（原状回復する）ことを明確に約束すること。
• （これは交渉術の一つですが）変更後の位置の方が、次の入居者にとっても利便性が向上し、物件の資産価値を高める可能性があるというメリットを客観的に伝えること。

無事に許可が得られた場合でも、安心して工事を進めるために、以下の点を必ず事前に確認しておくことが重要です。

【最重要】退去時の「原状回復」の具体的な範囲を書面で確認しよう

「原状回復」とは、簡単に言えば「借りたときの状態に戻す」義務のことですが、その解釈は大家さんによって様々です。

リモコン移設の場合、具体的にどこまでの修復を求められるのかを、曖昧な口約束ではなく、メールや合意書といった書面の形で残しておくことが、退去時のトラブルを未然に防ぐ最大の防御策となります。

元の穴の具体的な処理方法

安価なプラスチック製プレートで穴を塞ぐだけで良いのか、それともパテで穴を埋めて平らに研磨し、周囲と全く同じ品番の壁紙を寸分違わず貼り直すような、完璧な修復まで必要なのか。

この差は、修繕費用に数万円の違いを生む可能性があります。

費用負担の明確化

原状回復にかかる費用は、全額を借主（あなた）が負担するのか。この点を明確にしておきましょう。

無断工事は「百害あって一利なし」

たとえ画鋲ほどの小さな穴であったとしても、無断での工事は、貸主と借主の間の最も大切な信頼関係を根底から覆す行為です。

発覚した場合、原状回復費用に加え、違約金を請求される可能性もあります。目先の費用や手間を惜しんでルールを破ることは、絶対に避けてください。

賃貸物件においては、まず大家さんや管理会社との良好なコミュニケーションを第一に考え、契約書のルールを遵守した上で、誠実に交渉し、お互いが納得できる形で快適な住環境づくりを目指しましょう。

それが、賢明な大人の対応と言えます。

給湯器用リモコンの位置変えたい希望を叶える方法

• 給湯器リモコンの位置変更は専門業者への依頼が基本
• 費用の相場は約15,000円から40,000円程度
• 費用は配線距離や壁の材質（石膏ボードかコンクリートか）で変動する
• DIYは防水処理の失敗などリスクが高いため推奨されない
• 依頼先はガス会社、給湯器専門業者、リフォーム会社の3択
• 業者選びでは詳細な見積もりと実績、保証内容の確認が重要
• おすすめの設置場所は生活動線を具体的にシミュレーションして決める
• キッチンの最適位置は水や油が直接かからないシンクとコンロの間
• 浴室は浴槽と洗い場の両方から届く鏡の横などが理想
• 洗面所への設置は浴室に入らず操作でき近年人気が高い
• 設置の高さは床から110cm～120cmが目安だが家族構成で調整する
• リンナイはデザイン性、ノーリツはシンプルさが特徴
• 壁工事が困難な場合は無線リモコンやスマホアプリが有効な選択肢
• インターホンとの隣接設置はノイズの原因になるため20cm以上離す
• 賃貸物件での工事は必ず大家や管理会社の許可を取り、原状回復の範囲を確認する