IHクッキングヒーターとプロパンガス料金比較!光熱費が安いのはどっち?

キッチンの熱源を選ぶ際、「IHクッキングヒーターとプロパンガスの料金比較で、結局どちらがお得なの?」と悩んでいませんか。
特にプロパンガス(LPガス)エリアにお住まいの場合、毎月の光熱費は大きな関心事ですよね。
一人暮らしや二人暮らし、あるいは4人家族といった世帯構成によっても最適な選択は変わりますし、賃貸物件では設置の制約も気になります。
この記事では、都市ガスとIHではどっちが安いのかという基本的な比較から、プロパンガスなのにIHを選ぶメリット、キッチンだけIHを導入した場合のガス代、さらにはオール電化やガスとの併用まで、あらゆる角度から料金がどっちが得で安いかを徹底解説します。
記事のポイント
- IH・プロパンガス・都市ガスの料金体系と光熱費の違い
- 世帯人数や住宅タイプ(賃貸・持ち家)別の最適な選択肢
- オール電化やガス併用のメリット・デメリット
- 初期費用と長期的なランニングコストのバランス
- 1. 基本から解説!IHクッキングヒーターとプロパンガス料金比較
- 1.1. 結局、料金はどっちが得で安い?
- 1.1.1. 光熱費の安さの序列とその理由
- 1.2. 都市ガスとIHはどっちが安いか解説
- 1.2.1. 見過ごせない「熱効率」の差
- 1.3. プロパンガスとIHコンロを徹底比較
- 1.3.1. 初期費用とランニングコスト、そして使い勝手の総合比較
- 1.4. 毎月の光熱費はどれくらい違う?
- 1.4.1. プロパンガス料金の仕組み
- 1.4.2. 月々の調理コスト比較シミュレーション
- 1.4.3. シミュレーションからわかること
- 1.4.3.1. 注意点
- 1.5. 一人暮らし・二人暮らし・4人家族の料金
- 1.5.1. 一人暮らしの場合:基本料金の重みが際立つ
- 1.5.2. 二人暮らし・4人家族の場合:ランニングコストの差が家計を直撃
- 1.5.3. 世帯人数別の選択ポイント
- 2. 状況別で見るIHクッキングヒーターとプロパンガスの料金比較
- 2.1. プロパンガスなのにIHを選ぶ理由とは
- 2.1.1. ⒈ 火を使わない「安全性」とクリーンな室内環境
- 2.1.2. 2. 日々の家事負担を軽減する「清掃性」
- 2.1.3. 3. 家計に直結する「ランニングコスト」の削減
- 2.2. キッチンだけIHにした場合のガス代
- 2.2.1. 【重要】基本料金は契約を続ける限りなくならない!
- 2.3. IHとガスの併用は現実的か?
- 2.3.1. IHとガスの併用:メリットとデメリットの考察
- 2.3.1.1. メリット
- 2.3.1.2. デメリット
- 2.4. 賃貸物件でのコンロ選びの注意点
- 2.4.1. 【最重要】ビルトインIHへの交換は原則として不可
- 2.4.1.1. 賃貸で実現可能な最も現実的な選択肢
- 2.4.2. 賃貸で実現可能な唯一の選択肢
- 2.5. オール電化の料金メリットとは
- 2.5.1. 最大のメリット:ガス基本料金という「固定費」からの解放
- 2.6. まとめ:IHクッキングヒーターとプロパンガスの料金を比較
基本から解説!IHクッキングヒーターとプロパンガス料金比較
- 結局、料金はどっちが得で安い?
- 都市ガスとIHはどっちが安いか解説
- プロパンガスとIHコンロを徹底比較
- 毎月の光熱費はどれくらい違う?
- 一人暮らし・二人暮らし・4人家族の料金
結局、料金はどっちが得で安い?
調理にかかる毎月の光熱費を考えるとき、多くの方が最も知りたい結論からお伝えします。
ランニングコストが最も安価なのは「都市ガス」、次に「IHクッキングヒーター」が続き、そして最も高価になる傾向があるのが「プロパンガス」です。この序列は、ほとんどの条件下で揺らぐことはありません。
この明確な価格差が生まれる背景には、各エネルギーの供給インフラと料金体系の違いが深く関わっています。都市ガスは、地下に張り巡らされたガス導管網を通じて各家庭へ直接供給されます。
この大規模なインフラにより、一度に大量のガスを効率的に供給できるため、配送にかかる人件費や車両コストがほとんどかからず、結果として単価を安く抑えることが可能です。
一方で、プロパンガスは液化したガスを専用のボンベに詰め、配送業者が各家庭を訪問して設置・交換するという供給形態です。
この「戸別配送」には、トラックの燃料費、ドライバーの人件費、ボンベの管理費といった多くのコストが発生し、それらがすべてガス料金に上乗せされるため、都市ガスに比べてどうしても割高になってしまいます。
IHクッキングヒーターを動かす電気は、これらとはまた異なる料金体系です。エネルギー単価自体は都市ガスより高いものの、プロパンガスよりは安く収まることが大半です。
特に、電力自由化以降に登場した多様な料金プランがIHの経済性を高める鍵となります。
例えば、夜間の電気料金が割安になるプランを契約し、タイマー機能を活用して煮込み料理の仕込みを夜間に済ませるなど、ライフスタイルを少し工夫するだけで、光熱費をさらに効率的に抑えることが可能です。
光熱費の安さの序列とその理由
1位:都市ガス
地下導管による大規模供給でコストが低く、インフラが整っているエリアでは経済的に最も有利です。
2位:IHクッキングヒーター
プロパンガスより単価が安く、特に時間帯別料金プランとの組み合わせで節約効果が高まります。
3位:プロパンガス
戸別配送のコストが料金に転嫁されるため、他のエネルギー源に比べて割高になる傾向が顕著です。
以上のことから、もしお住まいの地域で都市ガスが利用できないのであれば、月々の支払いを抑えるという観点では、IHクッキングヒーターが最も現実的で経済的な選択肢として浮かび上がってきます。

都市ガスとIHはどっちが安いか解説
都市ガスが利用可能な恵まれた環境にお住まいの方にとって、「伝統的なガスコンロか、近代的なIHか」という選択は、キッチンの使い勝手と家計に直結する重要な決断です。
日々のランニングコストという観点からシビアに判断すると、ほとんどのケースで都市ガスの方がIHクッキングヒーターよりも光熱費を安く抑えることができます。
この差を客観的に理解するために、両者のエネルギーコストを同じ単位、すなわち「1kWh(キロワットアワー)あたりの熱量」に換算して比較してみましょう。
これにより、どちらがより効率的に熱エネルギーを生み出せるかが一目瞭然となります。
エネルギー源 | 単価目安(税込) | 根拠・詳細 |
---|---|---|
都市ガス | 約15~25円/kWh相当 | 東京ガスの一般料金(2025年9月時点)を基に、13A=約45MJ/㎥≒12.5kWh/㎥で換算。使用量帯や原料費調整額により変動。 |
電気(家庭用) | 約31~42円/kWh | 大手電力会社の標準的なプラン(2025年9月時点)の電力量料金単価。燃料費調整額や再エネ賦課金により変動。 |
補足:時間帯別料金 | 夜間単価はより安価 | 例:各電力会社の夜間・深夜電力プラン。夜間単価でIHの実質コストを圧縮可能。 |
上記の表が示す通り、エネルギー単価そのものには明確な差があり、同じ熱量を生み出すために必要なコストは都市ガスの方が圧倒的に低いことがわかります。
このため、毎日の調理で発生する光熱費は、ガスコンロを使用する方が安く済むという結論になります。
しかし、この比較はあくまでスタートラインに過ぎません。実際の光熱費には「熱効率」というもう一つの重要な要素が絡んできます。
見過ごせない「熱効率」の差
IHクッキングヒーターは、電磁誘導の原理で鍋自体を直接発熱させるため、エネルギーの伝達ロスが非常に少なく、熱効率は約80%にも達します。投入した電力のほとんどが無駄なく調理に使われるのです。
一方、ガスコンロは炎で鍋を温めるため、多くの熱が鍋の周囲の空気に逃げてしまい、熱効率は約35%~55%程度に留まります。
この熱効率の差により、例えばやかんでお湯を沸かすといった単純な作業では、IHの方がガスコンロよりも早く沸騰します。
結果的にその調理にかかる光熱費の差は単価ほどの開きにはならない、あるいは逆転することさえあります。
とはいえ、炒め物や煮物など、日々の様々な調理を総合的に考えると、やはりエネルギー単価の安さが勝り、都市ガスの方が経済的に有利な場面が多いでしょう。
光熱費の節約を最優先事項とするならば、都市ガスが利用できる環境ではガスコンロを選ぶのが最も合理的な判断と言えます。
調理方式 | 熱効率の目安 | 備考 |
---|---|---|
IHクッキングヒーター | 概ね 70~80%台(~85%程度の記載もあり) | 鍋自体を発熱させるためロスが少ない |
ガスコンロ | 約 35~55% | 炎の熱が周囲へ逃げやすい |

プロパンガスとIHコンロを徹底比較
お住まいの地域がプロパンガス供給エリアである場合、IHクッキングヒーターとの比較検討は、家計に直接的な影響を与える極めて重要なテーマです。
先に結論を述べると、毎月のランニングコストにおいては、IHクッキングヒーターの方がプロパンガスコンロよりも大幅に安くなる可能性が非常に高いと断言できます。
LPガス(プロパン)は、販売店が価格を自由に設定できる「自由料金制」で、基本料金と従量料金から成ります。そのため地域や販売店によって価格差が大きいのが特徴です。
国の調査(石油情報センター)によると、2025年時点の全国平均価格は10㎥あたり約7,000円〜9,000円台で推移しており、都市ガスに比べて割高な実態が分かります。(参考:石油情報センター)
この高価なプロパンガスが、月々の光熱費を押し上げる大きな要因となっているのです。
これに対し、IHクッキングヒーターは、適切な電気料金プランを選ぶことでコストを能動的に管理・削減しやすいという大きなメリットを持っています。
初期費用とランニングコスト、そして使い勝手の総合比較
最適な選択をするためには、導入時に一度だけかかる「初期費用」と、毎月継続的に発生する「ランニングコスト」、そして日々の「使い勝手」を総合的に比較検討することが不可欠です。
比較項目 | プロパンガスコンロ | IHクッキングヒーター |
---|---|---|
初期費用(本体+工事費) | 比較的安価(4万円~30万円) 既存のガス設備を利用できるため工事費は安め。 | 比較的高価(12万円~30万円) ガスからの交換時には200Vの専用電気工事が必須となり、追加費用が発生。 |
ランニングコスト(月額) | 非常に高い 高単価な従量料金に加え、基本料金もかかる。 | プロパンガスより大幅に安い 夜間割引プランなどを活用すれば、さらに節約が可能。 |
メリット | ・災害(停電)時にも使用可能 ・土鍋や中華鍋など調理器具を選ばない ・炎を見ながら直感的に火力調整が可能 | ・火を使わないため火災リスクが低い ・天板がフラットで掃除が圧倒的に楽 ・キッチンの室温が上がりにくく夏場も快適 |
デメリット | ・火災やガス漏れ、不完全燃焼のリスク ・五徳など部品が多く、手入れが煩雑 ・夏場の調理時はキッチンが暑くなる | ・停電時には完全に利用不能 ・IH対応の調理器具に限定される ・初期投資が高額になりがち |
上記の表が示すように、初期投資の額面だけを見るとガスコンロの方が手軽に導入できるように見えます。
しかし、数年単位の長期的な視点で見ると、毎月のランニングコストの差が積み重なり、総支出額はIHの方が安くなる「コストの逆転現象」が起こります。
特に、プロパンガスは販売店によって料金設定が大きく異なるため、知らず知らずのうちに地域平均よりも高い料金を支払い続けているケースも少なくありません。
「うちのプロパンガス料金、もしかして高いかも?」と感じたら、専門の料金比較サイトなどで一度、お住まいの地域の適正価格を調べてみることを強くお勧めします。
ガス会社を切り替えるだけで、コンロを買い替えることなく、毎月の支出を大幅に削減できる可能性があります。
横浜・川崎・東京都南部エリアで業者をお探しの方へ
比較表の通り、ガスコンロからIHクッキングヒーターへ交換する場合、安全に大容量の電力を使用するための200V専用電気工事が不可欠です。この工事は法律で定められた有資格者が行う必要があります。
私たち「横浜電気工事レスキュー」は、東京電力の指定工事店(【工事店登録番号】701-1730)として、IHクッキングヒーターの設置からオール電化工事まで豊富な実績がございます。
ご家庭に最適な機種のご提案から、安全で確実な工事、費用のお見積りまで、まずはお気軽にご相談ください。

毎月の光熱費はどれくらい違う?
それでは、IHクッキングヒーターとプロパンガスでは、実際のところ毎月の光熱費にどれほどの差が生まれるのでしょうか。具体的な金額をシミュレーションしながら、その違いをより深く掘り下げていきましょう。
まず、公的データに基づくと、標準的な4人家族が1日に朝・昼・晩の3食をIHクッキングヒーターで調理した場合、1ヶ月あたりの電気代の目安は約1,170円と算出されています。(※一般社団法人 日本電機工業会調べ)
これはあくまで平均的な使用状況に基づく目安ですが、一つの基準として非常に参考になります。
一方で、プロパンガスの場合は、料金体系の仕組みを理解することが重要です。プロパンガス料金は、毎月固定で請求される「基本料金」と、ガスの使用量に応じて加算される「従量料金」という二階建ての構造になっています。
プロパンガス料金の仕組み
IHとプロパンガスでは、毎月の光熱費にどのくらいの差が出るのでしょうか。具体的なシミュレーションでその違いを明確にしてみましょう。
まず、公的な調査によると、標準的な4人家族がIHクッキングヒーターを使用した場合、1ヶ月の調理にかかる電気代の目安は約1,170円とされています。(参考:一般社団法人 日本電機工業会調べ)
次に、同じ条件でプロパンガスを使用した場合の料金を、一般的な料金体系(基本料金2,000円、従量単価600円/㎥)と仮定して計算します。このシミュレーション結果を比較してみましょう。
月々の調理コスト比較シミュレーション
項目 | プロパンガスコンロ(シミュレーション) | IHクッキングヒーター(4人家族の月額目安) |
基本料金(ガス契約の固定費) | 2,000円 | 0円(電気の基本料金に含まれる) |
従量料金(使用量に応じた変動費) | 3,000円(使用量5㎥ × 単価600円) | 約1,170円 |
合計(調理のみ) | 5,000円 | 約1,170円 |
シミュレーションからわかること
この比較表からわかる通り、シミュレーション条件下では、調理だけで月々5,000円のガス代がかかる計算になります。
これは、IHクッキングヒーターの目安である約1,170円と比較して、約4.3倍もの差が生まれることを意味します。
最も重要なポイントは、この計算が「調理のみ」に限定されている点です。
実際のご家庭のガス請求額には、これに加えて使用量の多い「給湯(お風呂やシャワー)」の料金が上乗せされるため、最終的な請求額はさらに大きくなります。
注意点
このシミュレーションは、プロパンガスがいかに高コストであるかを明確に示しています。毎月かかり続ける「基本料金」の存在が、使用量が少なくても料金が下がりにくい構造を生み出しているのです。

一人暮らし・二人暮らし・4人家族の料金
調理に要するエネルギーコストは、当然ながら世帯の人数やライフスタイルに大きく左右されます。
一人暮らし、二人暮らし、そして4人家族、それぞれの生活スタイルを想定し、どちらの熱源がより経済的かを深く考察してみましょう。
まず大前提として、基本的な料金の序列(都市ガス < IH < プロパンガス)は、どの世帯構成であっても覆ることはありません。
しかし、その差額が家計に与えるインパクトの大きさや、選択の決め手となるポイントは、人数によって異なってきます。
一人暮らしの場合:基本料金の重みが際立つ
一人暮らしの方は、外食が多かったり、調理も簡単なもので済ませたりと、自炊の頻度が低いケースが少なくありません。
そのため、月々の調理に使うエネルギー量は限られ、光熱費の差額そのものは大きくならないかもしれません。しかし、ここで重くのしかかってくるのが、プロパンガスの「基本料金」です。
たとえ月に数回しか料理をしなくても、毎月2,000円前後の固定費がかかるため、使用量に対する料金の割高感が非常に強くなります。
もしプロパンガス供給の賃貸物件にお住まいなら、備え付けのコンロは使わずに、電源工事不要の「卓上IHクッキングヒーター」で調理するのも一つの手です。
ガス契約は給湯(お風呂やシャワー)のためだけに維持するという、割り切った節約術も有効になります。
二人暮らし・4人家族の場合:ランニングコストの差が家計を直撃
二人暮らしや4人家族になると、調理の頻度も量も格段に増え、ランニングコストの差が毎月の家計に直接的な影響を及ぼすようになります。
特に、毎日複数回の調理を行う子育て世帯などでは、その差は顕著です。プロパンガスエリアにお住まいの場合、コンロをガスからIHに切り替えるという選択は、単なる利便性の向上に留まりません。
毎月の光熱費を数千円単位で削減できる可能性を秘めた、極めて効果的な家計防衛策となり得ます。
世帯人数別の選択ポイント
- 一人暮らし
- 自炊が少ない場合でも、プロパンガスの基本料金が大きな負担になりやすい。コスト意識が高いなら卓上IHの活用を検討。
- 二人暮らし
- 調理の機会が増え、エネルギー単価の差が実感として現れ始める。IHへの切り替えによる節約効果が見えやすくなる。
- 4人家族
- 調理量が多いため、ランニングコストの安いIHの経済的メリットが最大化される。プロパンガスを使い続けることは、家計にとって大きなハンデとなる可能性がある。
このように、家族構成を問わずプロパンガスのコストは高めですが、特に家族が多く、日々の自炊が欠かせないご家庭ほど、IHクッキングヒーターへ切り替えることによる経済的な恩恵は大きくなると結論付けられます。

状況別で見るIHクッキングヒーターとプロパンガスの料金比較
- プロパンガスなのにIHを選ぶ理由とは
- キッチンだけIHにした場合のガス代
- IHとガスの併用は現実的か?
- 賃貸物件でのコンロ選びの注意点
- オール電化の料金メリットとは
- まとめ:最適なIHクッキングヒーターとプロパンガス料金比較
プロパンガスなのにIHを選ぶ理由とは
「給湯設備はプロパンガスのままで、コンロだけをIHにするなんて、中途半端で意味がないのでは?」と感じる方も少なくないでしょう。
しかし、この選択には、日々の暮らしの質を向上させる明確なメリットがいくつも存在します。
プロパンガスという高コストなエネルギー環境下であえてIHクッキングヒーターを選ぶ主な理由は、「安全性」「清掃性」そして見過ごせない「経済性」という、日々の暮らしの質を高める3つの明確なメリットがあるからです。
⒈ 火を使わない「安全性」とクリーンな室内環境
IHクッキングヒーターを選ぶ最大の動機は、火を一切使わないことによる安全性の高さです。
特に、小さなお子様やご高齢の家族、あるいはペットと暮らすご家庭にとって、調理中のリスクは常に悩みの種です。
調理着の袖口への燃え移り、コンロ周りに置いたキッチンペーパーへの引火、そして最も怖い火の消し忘れといった重大な事故のリスクを、IHは根本から解消してくれます。
さらに、ガス漏れや不完全燃焼による一酸化炭素中毒といった、目に見えない危険からも家族を守ることができるため、毎日安心してキッチンに立つことが可能になります。
2. 日々の家事負担を軽減する「清掃性」
毎日の調理で地味ながらも大きなストレスとなるのが、コンロ周りの掃除です。
ガスコンロは五徳(ごとく)やバーナーキャップ、汁受け皿など、凹凸が多く複雑な形状のパーツで構成されており、油汚れや吹きこぼれがこびりつくと掃除は一苦労です。
一方、IHクッキングヒーターの天板は継ぎ目のないフラットなガラストップ。調理後に飛び散った油汚れやソースも、布巾でサッと一拭きするだけで簡単に綺麗になります。
この手入れの圧倒的な手軽さは、日々の家事にかかる手間と時間を大幅に削減し、精神的なゆとりを生み出します。
3. 家計に直結する「ランニングコスト」の削減
前述の通り、プロパンガスの従量料金は非常に高価です。家庭で消費されるガスエネルギー全体のうち、調理が占める割合は決して無視できません。
コンロをIHに切り替えることで、この高価なプロパンガスの使用量を、調理に使う分だけでも確実に削減し、毎月の光熱費を着実に抑えるという直接的な経済効果が期待できます。
「高額なプロパンガス料金には長年悩んでいるけれど、給湯器の交換はまだ先だし、大掛かりな工事は…」とためらっているご家庭は多いはずです。
そんな場合、まずはコンロからIHに変えてみるというのは、比較的手軽に始められて、かつ効果を実感しやすい、非常に現実的で賢い節約策になるんです。

キッチンだけIHにした場合のガス代
キッチンの調理をガスコンロからIHに替え、給湯はプロパンガスを使い続ける「熱源ハイブリッド」な使い方をした場合、月々のガス代請求はどのように変わるのでしょうか。
この点を正確に理解しておくことは、後悔のない選択をする上で非常に重要です。
この運用形態では、ガス代の請求内訳は「基本料金」と「給湯(およびその他ガス機器)で使用した分の従量料金」のみに変化します。
当然ながら、これまで調理に使っていた分のガス消費量がゼロになるため、ガスの総使用量(㎥)は減少し、それに伴って請求額のうち従量料金部分も確実に安くなります。
しかし、ここで多くの方が見落としがちな、そして最も注意しなければならないのが、「基本料金」という固定費の存在です。これはガス供給契約の根幹に関わる部分です。
【重要】基本料金は契約を続ける限りなくならない!
ガス会社との供給契約を継続している限り、たとえその月のガスの使用量が完全にゼロであったとしても、毎月1,500円~2,500円程度の基本料金は必ず請求され続けます。
これは、ガスボンベやメーター、供給網といったインフラを維持・管理するための費用であり、契約者である以上支払う義務があります。
キッチンをIHに切り替えても、給湯でガスを使い続ける限り、この固定費からは逃れることはできません。
したがって、「キッチンだけIH」という選択をした場合、ガス代が劇的に安くなる、あるいはゼロになるわけではないという点を冷静に受け止める必要があります。
それでも、高価なプロパンガスを調理で使わなくなることによる従量料金の削減効果は確実にあるため、トータルの光熱費(電気代+ガス代)で考えれば、多くの場合で以前よりも支出を抑えることが可能です。
これは、オール電化への完全移行は難しいが、少しでも光熱費を削減したいというご家庭にとって、現実的かつ効果的な次善策と言えるでしょう。

IHとガスの併用は現実的か?
「長年使い慣れたガスコンロの炎の魅力も捨てがたい。でも、IHの安全性や掃除の手軽さも気になる…」
そんなジレンマを抱える方にとって、既存のガスコンロと卓上型のIHクッキングヒーターを「併用する」という選択肢は、一見すると両方の良いとこ取りができる魅力的な解決策に思えるかもしれません。
具体的な使い方としては、炒め物や鍋を振るう料理は強力なガスコンロを使い、煮込み料理や湯沸かしといった単純な加熱は卓上IHに任せるなど、シーンに応じた使い分けができます。
この方法により、高価なプロパンガスの使用量を部分的にでも削減し、月々のガス代を少しでも節約する効果が期待できます。
しかし、この「併用」というスタイルが長期的に見て現実的かどうかは、メリットとデメリットを天秤にかけて慎重に判断する必要があります。
IHとガスの併用:メリットとデメリットの考察
メリット
- 導入の手軽さ
- 卓上IHは1万円前後から購入でき、大掛かりな工事不要で即日導入が可能です。
- 部分的なコスト削減
- プロパンガスの消費を一部電気に代替することで、ガス代を確実に減らせます。
- リスク分散
- 停電時にはガスコンロ、ガス供給が停止した際にはIH、というように、万が一の際のライフラインを二重に確保できます。
デメリット
- 作業スペースの圧迫
- ただでさえ限られているキッチンの調理スペースを卓上IHが占有するため、作業効率が低下する可能性があります。
- 根本的な節約にはならない
- プロパンガスの契約は続くため、基本料金という固定費はかかり続けます。節約効果は限定的です。
- 光熱費管理の複雑化
- 電気代とガス代、両方の料金体系を気にしながら使い分ける必要があり、かえってストレスになる可能性もあります。
卓上IHクッキングヒーターは、その手軽さから「IHの使い心地を試してみたい」という方には最適な入門機です。
しかし、この併用スタイルはあくまで補助的な使い方や、将来的なオール電化への完全移行を検討するための「お試し期間」と位置づけるのが現実的でしょう。
家計の光熱費を根本から見直し、長期的な視点で最大の経済性を追求するのであれば、最終的にはどちらか一方のエネルギー源に集約することが最も効果的な戦略となります。

賃貸物件でのコンロ選びの注意点
賃貸アパートやマンションにお住まいの場合、キッチンのコンロ選びは持ち家とは全く異なる特有の制約と注意点が伴います。
これらを理解せずに行動すると、思わぬトラブルや想定外の出費につながる可能性があるため、慎重な判断が求められます。
まず大前提として、プロパンガスを供給している賃貸物件では、入居者が支払うガス料金が一般的な市場価格よりも高く設定されているケースが非常に多いという現実を知っておく必要があります。
これは「無償貸与契約」など、大家さんとガス会社の間で特別な契約が結ばれていることが背景にあり、入居者が自由にガス会社を選ぶことはできません。
このため、高いと分かっていてもその料金を受け入れざるを得ない状況が生まれます。
このような高コスト環境でガス代を節約するために、調理をIHに切り替えることを検討するわけですが、ここにも賃貸ならではの高いハードルが存在します。
【最重要】ビルトインIHへの交換は原則として不可
システムキッチンに埋め込まれたガスコンロをIHに交換するには、200Vの専用電源回路を分電盤からキッチンまで引き込む電気工事が必須です。
壁内に配線を通すような工事は、建物の所有者である大家さんや管理会社の許可なく行うことはできません。また、建物の構造や賃貸借契約の規約上、許可が下りないケースがほとんどです。
賃貸で実現可能な最も現実的な選択肢
では、賃貸物件でIHを導入する方法は全くないのでしょうか。
いいえ、一つだけ現実的な方法があります。それは、特別な工事を必要とせず、家庭用の100Vコンセントに挿すだけで使える「卓上IHクッキングヒーター」を導入することです。
これであれば、大家さんの許可は不要で、退去する際にも簡単に原状回復(持ち運び)が可能です。
賃貸で実現可能な唯一の選択肢
では、賃貸物件でIHを導入する方法は全くないのでしょうか。いいえ、一つだけ現実的な方法があります。
それは、特別な工事を必要とせず、家庭用の100Vコンセントに挿すだけで使える「卓上IHクッキングヒーター」を導入することです。
これであれば、大家さんの許可は不要で、退去する際にも簡単に原状回復(持ち運び)が可能です。
備え付けのガスコンロは一切使用せず、コンロを置くスペースに専用の台や板を渡して作業スペースを確保し、その上で卓上IHをメインの調理器具として活用するのです。
この方法であれば、高額なプロパンガス代(調理分)を効果的に節約することができます。
ただし、100V電源の卓上IHは、ビルトインタイプに比べて火力が若干弱いと感じる場合がある点は、あらかじめ理解しておく必要があります。

オール電化の料金メリットとは
IHクッキングヒーターへの切り替えを検討しているのであれば、その一歩先にある「オール電化」という選択肢まで視野に入れることで、家計の光熱費構造を根本から変革できる可能性があります。
オール電化とは、その名の通り、調理(IH)、給湯(エコキュート)、冷暖房(エアコン)など、家庭内で消費するすべてのエネルギーを電気でまかなうライフスタイルを指します。
特に高価なプロパンガスを利用しているご家庭がオール電化に切り替える最大の料金メリットは、ガス会社との契約そのものを完全に解約できる点に集約されます。
最大のメリット:ガス基本料金という「固定費」からの解放
オール電化を実現すると、これまで毎月当たり前のように支払い続けてきたプロパンガスの基本料金(地域や会社によりますが、約1,500円~2,500円)が完全にゼロになります。
これは、ガスの使用量が多い少ないに関わらず得られる、確実かつ永続的な固定費の削減です。
年間に換算すると18,000円~30,000円もの大きな節約となり、これはオール電化導入の初期費用を回収していく上で非常に大きな原動力となります。
さらに、オール電化住宅にすることで、電力会社が提供する専用の電気料金プランを活用できるのも非常に大きなメリットです。
これらのプランは、電力消費の少ない深夜時間帯(例:午後11時~翌朝7時)の電気料金単価が、日中の時間帯に比べて大幅に安く設定されています。
この仕組みを利用して、電気給湯器「エコキュート」が夜間の安い電力でお湯を沸かし、魔法瓶のように保温して日中に使うことで、給湯にかかるコストを劇的に下げることができるのです。
もちろん、この安い夜間電力は調理にも応用可能です。
翌日の食事の下ごしらえや作り置きを夜間に済ませたり、タイマー機能を使って煮込み料理を仕込んだりすることで、日中の割高な電気の使用を避け、家全体の光熱費をより一層効率的に削減できます。
導入にはエコキュートやIHクッキングヒーターなどの初期投資が必要ですが、特にプロパンガスからの切り替えは、その後のランニングコスト削減効果が大きいです。
そのため、長期的な視点で見れば極めて大きな経済的メリットを生み出す賢明な投資と言えるでしょう。

まとめ:IHクッキングヒーターとプロパンガスの料金を比較
この記事では、IHクッキングヒーターとプロパンガスの料金比較を軸に、コスト、安全性、使い勝手など、様々な角度から両者を徹底的に解説してきました。
最後に、あなたのライフスタイルや価値観に合った最適な選択をするための重要なポイントを、箇条書きで総まとめします。
- 光熱費の安さは一般的に「都市ガス > IH > プロパンガス」の順
- プロパンガスは単価が高く、使わなくても基本料金がかかる
- IHは夜間電力プランの活用でランニングコストを抑えられる
- 初期費用はガスコンロの方が安いが、長期的な総コストではIHが有利になる場合が多い
- プロパンガスエリアでは、調理をIHにするだけで大幅な節約が期待できる
- 安全性や清掃性を重視するならIHが圧倒的に有利
- 火力の調整しやすさや調理器具を選ばない点はガスコンロのメリット
- 賃貸物件では大規模な工事ができないため、卓上IHが現実的な選択肢
- オール電化にすればガスの基本料金がゼロになり、節約効果が最大化する
- 一人暮らしでもプロパンガスの基本料金は負担になるため注意が必要
- 4人家族など調理量が多い家庭ほどIHへの切り替えメリットは大きい
- 「キッチンだけIH」でも調理分のガス代は確実に削減できる
- ガスコンロの併用は補助的な節約手段と考えるのが良い
- 最終的な選択は、初期費用、ランニングコスト、安全性、使い勝手の何を優先するかで決まる