エコキュートで残湯量の減りが早い原因と対策【完全ガイド】

エコキュートで残湯量の減りが早い原因と対策【完全ガイド】

「最近、エコキュートの残湯量の減りが早い気がする…」と感じていませんか。特に冬になると急にお湯の減りが早い、あるいは使ってないのにお湯が減る現象に戸惑う方も少なくありません。

リモコンの表示が減らないし増えない、使用湯量がおかしいといった状況は、すぐ減るのはなぜなのかと不安になりますよね。

もしかしたらタンクの不具合やシャワーの使い方、あるいは故障や水漏れが原因かもしれません。

この記事では、ダイキン、パナソニック、三菱、コロナ、日立といった主要メーカーに共通する原因の確認方法から、専門の業者に相談すべきケースまで、あなたの疑問を解決します。

記事のポイント

  • お湯の減りが早い場合に考えられる主な原因
  • 故障が不要なケースと必要なケースの見分け方
  • 自分でできる簡単な確認方法と具体的な対処法
  • 信頼できる業者選びのポイントと相談のタイミング
目次

エコキュートで残湯量の減りが早い主な原因

  • お湯がすぐ減るのはなぜ?仕組みから解説
  • 特に冬に減りが早いと感じる理由
  • 使ってないのにお湯が減る自動機能の罠
  • タンクの学習機能で使用湯量がおかしいことも
  • お湯の減りが早いのは追い焚きが原因かも

お湯がすぐ減るのはなぜ?仕組みから解説

エコキュートのお湯がすぐ減ると感じる場合、まずはその基本的な仕組みを理解することが大切です。

多くの方が以前使用していたガス給湯器は、水道水が給湯器を通過する瞬間に加熱する「瞬間式」です。そのため、ガスと水が供給される限りお湯切れの心配はありませんでした。

しかし、エコキュートは「貯湯式」という全く異なる仕組みを採用しています。

これは、電気代が安い深夜電力を使ってあらかじめ大量のお湯を沸かし、魔法瓶のように断熱性の高い貯湯タンクに溜めておく方式です。

実際にシャワーやキッチンで使う際には、このタンク内の高温のお湯(約65℃~90℃)と、ご家庭の水道から供給される冷たい水を混合栓で混ぜ合わせます。

そして、リモコンで設定した快適な温度(例:42℃)に調整してから給湯します。

つまり、リモコンに表示される「残湯量」は、蛇口から出てくる42℃のお湯がタンクにあとどれくらい残っているか、という量ではありません。あくまでタンク内に残っている高温のお湯の量を示しています。

このタンク内のお湯をすべて使い切ってしまうと、当然ながら新たにお湯を作ることができなくなり、「湯切れ」という状態になります。これが、エコキュートのお湯がなくなる最も基本的な理由なのです。

ポイント:タンク容量と使用可能湯量の目安

前述の通り、エコキュートは貯湯式でタンク内に高温(約65℃~90℃)のお湯を貯めており、これを給水される水道水と混合して、設定した温度(例:42℃)に調整して使用します。

このため、実際に使用できるお湯の量はタンク容量よりも多くなります。使用可能湯量は、主に「タンクの沸き上げ温度」「水道水の温度」「給湯設定温度」によって決まります。

【使用可能湯量の目安計算】 (タンク湯温 - 給水温度)÷(給湯設定温度 - 給水温度) × タンク容量

例えば、370Lタンクで、タンク湯温が80℃、給水温度が冬場の7℃、給湯設定温度を42℃にした場合、 (80℃ - 7℃) ÷ (42℃ - 7℃) × 370L ≒ 772Lとなり、タンク容量の約2.1倍のお湯が使える計算です。

しかし、夏場(給水温度20℃)であれば約1,009L使えるのに対し、寒冷地(給水温度3℃)では約731Lになるなど、給水温度が低い冬は使えるお湯が大きく減ることを理解しておきましょう。

お湯がすぐ減るのはなぜ?仕組みから解説
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特に冬に減りが早いと感じる理由

「夏場は問題なかったのに、冬になると急にお湯の減りが早くなる」という経験はありませんか。

これはエコキュートを利用する多くのご家庭で聞かれる声であり、故障を疑う前に知っておきたい季節的な要因が大きく関係しています。冬特有の現象は、主に以下の3つの要因が複合的に絡み合うことで発生します。

1. 給水温度の低下

冬場にお湯の消費が早まる最大の理由は、水道管から給水される水の温度が大幅に下がることです。

前述の通り、エコキュートはタンクの熱湯と水道水を混ぜて設定温度のお湯を作ります。この混合比率は、水道水の温度に大きく左右されます。例えば、42℃のお湯を作る場合を考えてみましょう。

  • 夏(水温20℃)の場合:比較的少ない量の熱湯 + 20℃の水道水 → 42℃のお湯
  • 冬(水温5℃)の場合:より多くの量の熱湯 + 5℃の水道水 → 42℃のお湯

このように、冬は水道水そのものが非常に冷たいため、同じ42℃のお湯を作るためにより多くの熱湯を消費する必要があります。

結果として、タンクのお湯は夏場と同じ感覚で使っていても、はるかに早く減っていくことになります。

さらに、外気温の低下によりタンクの熱損失が増え、ヒートポンプの集熱効率も低下するため、より一層減りが早いと感じやすくなります。

2. タンクの放熱ロス

エコキュートの貯湯タンクは、真空断熱材などの高性能な断熱材で覆われており、熱が逃げにくい構造になっています。

しかし、どれだけ高性能な魔法瓶でも時間が経つと少しずつ中身が冷めてしまうのと同じで、完全に熱を保ち続けることはできません。

特に外気温が氷点下近くまで下がるような冬場は、タンク内の熱が外の冷たい空気へ逃げていく「放熱ロス」が夏場に比べて格段に大きくなります。

これにより、深夜に満タンに沸かしたお湯の温度が、夕方になる頃には想定以上に下がってしまい、結果的に使えるお湯の総量が減ってしまうのです。

3. ヒートポンプの効率低下

エコキュートの心臓部である「ヒートポンプ」は、エアコンの室外機と似たような装置で、空気中の熱を集めてその熱でお湯を沸かします。

この仕組みは非常に効率的ですが、外気温が低い冬は空気中から取り込める熱エネルギーそのものが少なくなってしまいます。

そのため、お湯を沸かす効率が低下し、同じ量のお湯を沸かすのにより多くのエネルギーと時間が必要になる場合があります。

特に寒冷地では、この効率低下が顕著になるため、専用の「寒冷地仕様」のエコキュートが推奨されるのです。

注意点

冬場のお湯の減りが早い現象は、多くの場合、これらの物理的な理由によるもので故障ではありません。

しかし、前年と比べて明らかに減りが異常だと感じる場合や、春になっても改善しない場合は、他の原因も考えられるため、次の項目以降も注意深く確認してみてください。

特に冬に減りが早いと感じる理由
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使ってないのにお湯が減る自動機能の罠

「お風呂や洗い物をしていない日中の時間帯に、気づいたらお湯の目盛りが減っている」という不思議な現象に遭遇した場合、エコキュートに搭載されている便利な自動機能が原因かもしれません。

これらの機能は私たちの生活を快適にするために役立ちますが、その裏では知らず知らずのうちにタンクのお湯を消費しています。

自動配管洗浄

最近の多くのエコキュートには、浴槽のお湯を抜いた後に、配管内に残った汚れや湯垢を自動で洗い流す「自動配管洗浄」機能が標準装備されています。

これは配管を常に清潔に保ち、次にお湯はりをする際にきれいなお湯で入浴できるための優れた機能です。

しかし、この洗浄には新しいお湯、つまりタンク内のお湯が使われます。

メーカーや機種にもよりますが、1回の洗浄で約10リットルものお湯を消費すると言われており、毎日お湯を抜くご家庭では、これが使っていない時間帯にお湯が減る一因となります。

Information

自動保温/追いだきは、浴槽水を循環してタンクの高温水の"熱"を熱交換で供給する仕組みのため、残湯メモリがじわじわ減るのは正常な挙動です。来客時以外は保温オフや入浴直前の手動追いだきに切り替えると消費を抑えられます。

自動保温(オートフルオート機能)

フルオートタイプのエコキュートに搭載されている「自動保温」機能も、タンクのお湯を消費する大きな要因です。

この機能は、浴槽のお湯が設定温度より下がると、自動で追い焚きを開始し、快適な温度を保ってくれます。

しかし、この「追い焚き」は、浴槽のぬるくなったお湯を配管でタンクユニット側へ送り、貯湯タンクの熱を使って温め直す仕組みです。

直接お湯を足すのではなく、「熱だけ」を浴槽のお湯に移しているため、保温時間が長くなるほどタンクに貯めたお湯全体の温度が下がり、リモコンの残湯量メモリが減っていきます。

ご家族の入浴時間が2~3時間以上空いてしまうなど、長時間「自動保温」をオンにしているご家庭は特に注意が必要です。

全員の入浴が終わったらこまめに保温機能をオフにする、あるいは入浴前に手動で追い焚きをする、といった工夫で無駄な消費を抑えられます。

使ってないのにお湯が減る自動機能の罠
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タンクの学習機能で使用湯量がおかしいことも

最近のエコキュートは非常に賢く、リモコンの設定を「おまかせ」や「省エネ」モードにしておくと、各家庭の過去1~2週間のお湯の使用パターンを自動で学習します。

その、学習した使用パターンに基づいて、無駄なく効率的にお湯を沸かす機能が搭載されています。これにより、毎日のお湯の使用量に合わせた最適な量の沸き上げを自動で行い、電気代の節約に貢献してくれます。

通常は非常に便利なこの機能ですが、時としてお湯の減りが早い原因になることがあります。

エコキュートは過去の使用実績から未来の必要湯量を予測するため、生活パターンが急に変わるとその予測が外れてしまうのです。例えば、以下のようなケースです。

  • 旅行や帰省で数日間家を空けた(お湯の使用量がゼロの日が続いた)
  • 家族(子供など)が独立・帰省し、お湯を使う人数が変わった
  • 急な来客があり、普段より格段に多くお湯を使用した

このような場合、エコキュートは「この家庭ではあまりお湯は必要ない」あるいは「もっとたくさんのお湯が必要だ」と一時的に"勘違い"をしてしまい、翌日以降の沸き上げ量を自動的に少なく(または多く)調整します。

その結果、普段通りの生活に戻った際に湯量が足りず、「使用湯量がおかしい」「すぐに湯切れする」と感じることがあります。

豆知識:湯量設定の上手な使い方

もし生活パターンの変化で湯量が不足した場合は、慌てずに手動で「沸き増し」を行うか、リモコンの湯量設定を一時的に「多め」や「満タン」に変更することで対応できます。

数日間通常通り使用すれば、エコキュートは新しい使用量を再学習し、再びご家庭に合った適切な沸き上げ量に自動で戻ります。

来客が予定されている場合は、前日から設定を「多め」にしておくと安心です。

Information

パナソニックのAIエコナビは「ひとセンサー」+「湯温学習制御」で入浴有無や浴槽の冷め方を学習し、保温・沸き増しの頻度を最適化します。長期外出後や来客増などでパターンが変わった直後は、一時的に「多め/満タン/沸き増し」へ切り替えるとリセットを早められます。

(参考:AIエコナビ|特長一覧|エコキュート|給湯・暖房|Panasonic

タンクの学習機能で使用湯量がおかしいことも
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お湯の減りが早いのは追い焚きが原因かも

ご家族の入浴時間が空いてしまい、お風呂のお湯がぬるくなってしまった時に便利な「追い焚き」機能。

スイッチ一つで浴槽のお湯を温め直せるため、多くの方が日常的に利用しているかと思います。しかし、この追い焚きも、エコキュートのお湯の減りを加速させる大きな要因の一つです。

追い焚きの仕組みは、前述の「自動保温」と基本的に同じです。

浴槽の冷めてしまったお湯をふろ配管を通してエコキュート本体に送り、貯湯タンクに貯められている高温のお湯の熱を利用して熱交換器で温め直し、再び浴槽に戻します。

この追いだきは浴槽水を循環しタンク側の熱交換器で加熱するため、タンク全体の平均温度を下げやすいのが欠点です。その結果、リモコンの残湯量表示が目に見えて減ります。

特に、かなり冷め切った状態(例えば残り湯)から追い焚きをすると、温めるのに非常に多くの熱量を必要とするため、残湯量は一気に減少してしまいます。

一方、高温さし湯(高温足し湯)はタンクの高温水を直接補給する方式で、短時間で温度回復でき、条件次第では総消費エネルギーが少なくなるケースがあります。

使い分けの指標として「冷め幅が2~3℃程度:追いだき/5℃以上:高温さし湯」を推奨します。

機能追い焚き高温足し湯
仕組み浴槽のお湯を循環させタンクの熱で温めるタンクの熱いお湯を直接浴槽に足す
メリット浴槽の水位が変わらない・水道代がかからないすぐに温まり、タンクの熱消費が比較的少ない
デメリット温まるのに時間がかかり、タンクの熱を多く消費する浴槽の水位が上がり、お湯が増える・水道代がかかる
おすすめ少しぬるいお湯を温める時(温度低下が2~3℃程度)お湯がかなり冷めてしまった時(温度低下が5℃以上)

お湯が頻繁に足りなくなるご家庭では、追い焚きの使用を控え、より効率的な「高温足し湯」を活用することをおすすめします。

「高温足し湯」はタンクのお湯を直接足すため湯量は減りますが、熱交換のロスがない分、結果的にタンク全体のエネルギー消費は少なく済む場合が多いです。

お湯の減りが早いのは追い焚きが原因かも

エコキュートで残湯量の減りが早い時の対処法

  • リモコンの表示が減らない・増えない時は注意
  • シャワーの使い方を見直すだけでも効果あり
  • 故障や水漏れのセルフチェック確認方法
  • ダイキンやパナソニックなどメーカー別の特徴
  • 業者に依頼する前に確認すべきポイント

リモコンの表示が減らない・増えない時は注意

エコキュートのお湯の減りが早いと感じる時、同時に確認したいのが台所や浴室にあるリモコンの表示です。

正常であれば、お湯を使えば残湯量メモリはリアルタイムで減り、深夜の沸き上げ時間になれば増えていきます。しかし、この表示に明らかな異常が見られる場合は、機器の不具合を示唆している可能性があります。

特に注意したいのが、「お湯を大量に使っているのに表示が全く減らない」、または「朝になっても沸き上げが完了せず、表示が増えない」といったケースです。

このような症状は、タンク内の水位や水温を検知するセンサーの故障、リモコンとの通信異常、あるいは動作を制御する電子基盤の問題が発生しているサインかもしれません。

また、エラーコードが表示されていないかも重要なチェックポイントです。

多くのエコキュートは、内部で異常を検知すると、リモコン画面にアルファベットと数字を組み合わせたエラーコードを表示してユーザーにお知らせします。

もし見慣れない表示が出ている場合は、慌てずにまずは取扱説明書を確認するか、メーカーのサポートサイトでご自身の機種のエラーコード一覧を調べてみましょう。

エラーコードは、故障の原因を特定する上で非常に重要な手がかりとなります。

エラーコードが表示されたら

エラーコードは、エコキュートからの重要なメッセージです。

内容によっては、ユーザー自身がエコキュートの漏電遮断器を一度オフにし、数分待ってから再度オンにする「電源リセット」で復旧する場合もあります。

しかし、専門家による点検が必要な重大な故障を示していることも多いため、自己判断で放置するのは危険です。取扱説明書の手順に従い、改善しない場合は速やかにメーカーや設置業者に連絡しましょう。

リモコンの表示が減らない・増えない時は注意
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シャワーの使い方を見直すだけでも効果あり

エコキュートの湯切れトラブルで、実は最も多い原因の一つが、シャワーでの想定以上のお湯の使用です。

ご自身では「少ししか使っていない」と思っていても、実際にはかなりの量のお湯を消費しているケースが少なくありません。

特にご家族が多いご家庭や、冬場で体を温めるために長時間シャワーを浴びる習慣があると、貯湯タンクのお湯はあっという間に消費されてしまいます。

一般的なシャワーでは、1分間におよそ10~12リットルのお湯が流れると言われています。これは2Lのペットボトル5~6本分に相当します。

仮にご家族4人全員が、体を洗っている時間も含めて1人あたり10分間シャワーを出しっぱなしにしたとすると、

12リットル/分 × 10分/人 × 4人 = 480リットル

となり、これだけで約480リットルものお湯を使う計算になります。これは、一般的な370Lタンクのエコキュートが1日に供給できるお湯の大部分を占めてしまう量です。

お湯の減りが早いと感じたら、まずはご家庭のシャワーの使い方を見直してみましょう。

節水シャワーヘッドへの交換

最も手軽で効果的な対策の一つが、節水タイプのシャワーヘッドへの交換です。

最近の製品は非常に高性能で、手元で簡単にお湯を止められる止水ボタン付きのものや、水に空気を含ませることで浴び心地を変えずに使用湯量を30%~50%カットできる製品も多く市販されています。

初期費用は数千円かかりますが、日々の水道光熱費の節約にも繋がるため、長期的に見れば非常にお得な投資と言えます。

体を洗っている間やシャンプー中はシャワーをこまめに止める、給湯温度を必要以上に高く設定しない(40℃~42℃が一般的)、といった小さな心がけも大切です。

ご家族全員で「エコキュートのお湯は無限ではない」という意識を共有するだけで、急な湯切れのリスクを大きく減らすことができますよ。

シャワーの使い方を見直すだけでも効果あり
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故障や水漏れのセルフチェック確認方法

これまで紹介した「使い方」や「季節的要因」に心当たりがなく、それでもお湯の減りが異常に早い場合は、エコキュート本体や関連配管の故障、特に水漏れ(漏水)の可能性を疑う必要があります。

水漏れは湯切れの直接的な原因になるだけでなく、無駄な水道料金の発生や、エコキュート内部の電子部品の腐食、さらには建物の土台への湿気によるダメージにも繋がるため、早期発見が非常に重要です。

専門業者を呼ぶ前に、まずはご自身で簡単にできるセルフチェックを行ってみましょう。

1. 貯湯タンク・ヒートポンプ周りの目視確認

まず、エコキュートの貯湯タンクやヒートポンプ(室外機)が設置されている場所の地面をよく観察してください。

コンクリートが常に濡れている、土に水たまりができているといった場合、どこかから水が漏れている可能性があります。

特に、タンク下部から出ている配管の接続部分(保温材が巻かれている箇所)から水が滴り落ちていないか、念入りに確認しましょう。

正常な排水との見分け方

エコキュートは、故障していなくても水が出ることがあります。一つは、深夜にお湯を沸き上げる際にタンク内の水が膨張し、圧力を逃がすために安全弁から排出される「膨張水」。

もう一つは、ヒートポンプが稼働する際に空気中の水分が結露して排出される「結露水」です。

これらは正常な動作ですが、お湯を沸かしていない昼間の時間帯にも常にポタポタと水が出続けている場合は、水漏れの可能性が高いと判断できます。

2. 水道メーターによる最終確認

目視で異常が見つからない場合でも、ごく微量な水漏れが発生している可能性があります。最も確実な水漏れの確認方法が、水道メーターのチェックです。

水道メーターのチェック方法

ステップ1
家中の蛇口をすべて固く閉め、食洗機や洗濯機、トイレなどが水を使用していない状態にします。

ステップ2
屋外の地面にある水道メーターの蓋を開け、中にある「パイロット」と呼ばれる銀色の円盤(または三角形のコマ)を確認します。

ステップ3
このパイロットが少しでも回転(点滅)している場合、宅内側で漏水の疑いがあります。

ステップ4
次に、エコキュートの貯湯タンク下部にある「給水配管専用止水栓」のバルブを時計回りに回して閉めます。

ステップ5
再度水道メーターのパイロットを確認します。もしパイロットの回転が止まっていれば、水漏れの原因はエコキュート本体または関連配管であるとほぼ断定できます。

(参考:漏水は早期発見・早期修繕を!|水漏れしている|東京都水道局

このチェックで水漏れが疑われる場合は、被害が拡大する前に、速やかに専門の業者に連絡して点検を依頼してください。

故障や水漏れのセルフチェック確認方法
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ダイキンやパナソニックなどメーカー別の特徴

エコキュートのお湯の減りが早いという現象は、これまで解説してきた基本的な原因はどのメーカーでも共通しています。

しかし、メーカーや機種によって搭載されている独自の機能や省エネ制御の方法に違いがあり、それが間接的に影響することもあります。ここでは主要メーカーの代表的な特徴をいくつか紹介します。

ダイキン

「お湯のダイキン」として知られ、パワフルな給湯能力に定評があります。「パワフル高圧給湯」機能は、3階でのシャワーでも快適な水圧を実現し、人気を集めています。

また、マイクロバブル入浴やUV除菌ユニットなど、快適性と清潔性を高めるオプションが豊富です。

エラーコードは「U」や「H」、「C」などで始まり、公式サイトで詳細な対処法が公開されているため、ユーザー自身で一次対応がしやすい点も特徴です。

(参考:パワフル高圧給湯|給湯器からエコキュートへの買い替え・交換はダイキンへ!

パナソニック

業界トップクラスの省エネ性能を誇り、その中核を担うのが「AIエコナビ」機能です。

浴室への人の出入りを検知する「ひとセンサー」や、お湯の冷め方を浴槽ごとに学習する機能で、保温や沸き増しを最適なタイミングで自動的に行います。

この高度な自動制御は非常に効率的ですが、来客などで普段と違う使い方をした直後は、湯量が少なく感じられる可能性があります。

最新機種ではGPS連携による「おひかえ運転」など、よりきめ細やかな湯量コントロールが可能です。

(参考:AIエコナビ|特長一覧|エコキュート|給湯・暖房|Panasonic

三菱

清潔機能へのこだわりが強く、浴槽のお湯を抜くたびにマイクロバブルで配管を自動洗浄する「バブルおそうじ」や、深紫外線を照射して菌の増殖を抑える「キラリユープラス」など、独自の機能が特徴です。

微細な泡で体を包み込む人気の「ホットあわー」機能も三菱ならではですが、これらの快適機能はタンクのお湯の熱やエネルギーを使用するため、多用すると湯量が減る原因になります。

(参考:バブルおそうじ | 機能情報 | 三菱 エコキュート | 三菱電機

コロナ

世界で初めてエコキュートを開発したパイオニアであり、長年の実績に裏打ちされた耐久性や基本性能の高さに信頼があります。

特に、省エネ性能と給湯能力のバランスに優れた製品が多いです。学習機能も細かく設定できる機種が多く、ご家庭の生活スタイルに合わせた運転モードを選択できます。

逆に言えば、設定が最適でないと湯量に過不足が生じることもあり、一度リモコンの設定を見直してみる価値があります。

(参考:エコキュート|株式会社コロナ

日立

独自の「ナイアガラタフネス」技術が最大の特徴です。

これは、飲用可能な水道水をタンク内で瞬間的に加熱して給湯する方式で、タンクのお湯と混ざらないため衛生的であり、高い水圧を維持できるメリットがあります。

この独自の給湯方式も、使い方によってはタンク湯量の減り方に影響を与える可能性があるため、取扱説明書で仕組みを理解しておくことが重要です。

(参考:浴室と台所など同時にパワフル給湯で快適に[水道直圧給湯]:エコキュート:日立の家電品

ポイント

お使いの機種のメーカーと型番を確認し、一度公式サイトや取扱説明書で独自の機能や推奨される設定を詳しく確認してみることをおすすめします。

思わぬ設定の変更が、お湯の減りが早いという悩みを解決する鍵になるかもしれません。

ダイキンやパナソニックなどメーカー別の特徴
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業者に依頼する前に確認すべきポイント

セルフチェックを行っても原因が特定できない、あるいは水漏れや頻繁なエラー表示など、明らかに故障が疑われる場合は、専門の業者に点検や修理を依頼することになります。

しかし、慌てて電話をする前に、いくつかご自身で確認しておくべきポイントがあります。これらを準備しておくことで、業者とのやり取りがスムーズになり、迅速な解決につながります。

1. 保証期間の確認

まず最も重要なのが、エコキュートの保証書を確認し、保証期間内であるかをチェックすることです。

メーカー保証は通常、製品の購入日から起算されます。期間は部品によって異なり、一般的には以下のようになっています。

  • 本体(リモコン、制御基盤など):1年~2年
  • 冷媒系統(ヒートポンプユニットの圧縮機など):3年
  • タンク本体(水漏れなど):5年

また、製品を購入した販売店や施工業者が提供する独自の「延長保証」(5年、8年、10年など)に加入している場合もあります。

延長保証は、多くの場合、製品の購入時や設置から数ヶ月以内など、申し込み期限が定められています。お手元の保証書や契約書を確認し、保証が適用されるかチェックしましょう。

2. エラーコードと症状の記録

リモコンにエラーコードが表示されている場合は、必ずその番号をメモしておくか、スマートフォンで写真を撮っておきましょう。

業者に連絡する際にこのコードを正確に伝えることで、訪問前に故障内容や必要な部品をある程度予測でき、修理が一度で完了する確率が高まります。

エラーが出ていない場合でも、「いつから」「どのような状況で」「どのくらいの頻度で」お湯の減りが早いと感じるのか、具体的な症状を整理して説明できるようにしておきましょう。

参考例

「1週間前から、家族の最後の人がお風呂に入ろうとすると湯切れするようになった。」

「特に何も使っていないはずの昼間に、残湯量メモリが2つも減っていた。」

「シャワーの水圧が以前より弱くなった気がする。」

情報が具体的であるほど、業者は的確に原因を特定しやすくなります。

また、信頼できる業者を選ぶことも非常に重要です。

1社だけでなく、複数の業者から見積もりを取る「相見積もり」を基本とし、料金の安さだけでなく、対応の丁寧さ、実績、アフターフォローの有無なども比較検討することをおすすめします。

地域の水道局指定業者なども、信頼できる選択肢の一つです。

横浜・川崎・東京都エリアで業者をお探しの方へ

もし、横浜市や川崎市、およびその周辺エリアで信頼できる業者をお探しでしたら、ぜひ私たち「横浜電気工事レスキュー」にご相談ください。

この記事を執筆している私、天谷 富士夫も所属しており、東京電力の指定工事店(登録番号:701-1730)として、確かな技術でエコキュートの点検、修理、交換工事を承っております。

水漏れの緊急対応から、ご家庭に最適な機種のご提案、光熱費のシミュレーションまで、お客様一人ひとりの状況に合わせた最適なご提案をいたします。

まずはお気軽にお見積もり、ご相談ください。

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3. 設置からの年数を確認する

エコキュートの設計上の標準使用期間は、一般的に10年とされています。

10年近く使用している場合、お湯の減りが早い原因が、内部部品の劣化やタンクの断熱性能の低下といった経年劣化によるものである可能性も考えられます。

特に、以前と比べて沸き上げに時間がかかるようになった、運転音が大きくなったなどの症状が併発している場合は、修理だけでなく、新しい機種への交換も視野に入れて業者に相談することをおすすめします。

業者に依頼する前に確認すべきポイント
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エコキュートで残湯量の減りが早い問題の総括

この記事では、エコキュートの残湯量の減りが早いと感じる様々な原因と、その対処法について詳しく解説しました。最後に、重要なポイントをリストで振り返ります。

  • エコキュートは貯めたお湯を水と混ぜて使う貯湯式
  • 冬は水道水の温度が低いため同じお湯を作るのにより多くの熱湯を消費する
  • 外気温が低いとタンクからの放熱でお湯が冷めやすくなる
  • 追い焚きや自動保温はタンクの熱を使ってお湯を温め直している
  • お風呂のお湯を抜いた後の自動配管洗浄でもタンクのお湯は消費される
  • 旅行などで一時的にお湯を使わないと学習機能が働き沸き上げ量が減ることがある
  • シャワーの長時間利用は想定以上にお湯を消費する大きな原因
  • 節水シャワーヘッドへの交換は湯切れ対策に効果的
  • お湯を使っていないのに減る場合は水漏れの可能性を疑う
  • 水道メーターのパイロットを確認すれば水漏れの有無がわかる
  • リモコンのエラーコードはエコキュートからの重要なサイン
  • メーカー独自の省エネ機能や快適機能が影響している場合もある
  • お湯が足りなくなりそうな時は早めに手動で沸き増しを行う
  • 使用年数が10年を超えている場合は本体の寿命も考えられる
  • 原因がわからない場合は無理せず専門の業者に点検を依頼する