床暖房とエアコンではどちらが安い?光熱費とコストを比較

こんにちは。横浜電気工事レスキューの主任電気工事士「天谷富士夫」です。
「床暖房とエアコン、どっちが安いの?」これは冬が近づくと本当によく考えるテーマですよね。横浜も冬はしっかり冷え込みますからね、暖房選びは大切です。
初期費用はエアコンが安い気がするけど、ランニングコストはどうなのか。1ヶ月の光熱費を比べたら、結局どっちがお得なんだろう、と。
床暖房は電気代が高いイメージもあるし、温水式ならガス代も気になります。マンションや戸建て、6畳や8畳といった部屋の広さでも変わってきそうですし、「つけっぱなし」運転の方が安いなんて話も聞きます。
いっそ併用するのが賢いのか、それとも床暖房はいらないのか…。
私自身、仕事柄エアコンや住宅の電気設備に触れる機会が多いので、この問題はとても興味があります。
専門家というよりは、一人の「気になる生活者」の視点で、皆さんの疑問がスッキリするよう、コストや快適性の違いを分かりやすく整理していきますね。
記事のポイント
- 床暖房とエアコンの初期費用とランニングコストの違い
- 電気式と温水式(ガス・ヒートポンプ式)の特徴
- 「つけっぱなし」運転が本当にお得になる条件
- ご家庭の状況に合わせた暖房器具の選び方
- 1. 床暖房とエアコンではどちらが安い?コスト比較
- 1.1. 月々の光熱費はいくら?
- 1.1.1. 種類と光熱費
- 1.1.2. 電気式床暖房
- 1.1.3. 温水式床暖房
- 1.1.3.1. ヒートポンプ式(電気)
- 1.1.3.2. ガス式(ガス)
- 1.1.3.3. 灯油式(灯油)
- 1.1.4. 光熱費の傾向(目安)
- 1.2. メーカー別にみる温水式床暖房(ガス式・ヒートポンプ式)
- 1.2.1. ガス温水式床暖房
- 1.2.2. 温水式(ヒートポンプ式)床暖房
- 1.2.3. 熱源機の選び方
- 1.3. 1ヶ月のランニングコスト(目安)
- 1.4. 初期費用とトータルコスト(6畳・8畳目安)
- 1.4.1. 初期費用(目安)
- 1.4.1.1. エアコン (6畳~8畳用)
- 1.4.1.2. 床暖房 (電気式・後付け)
- 1.4.1.3. 床暖房 (温水式・後付け)
- 1.4.1.4. 初期費用で比べたら、エアコンの圧勝です。
- 1.4.1.5. エアコンの工事費用について
- 1.4.2. トータルコストで考える
- 1.5. ガス代と電気代(やばい?)の差
- 1.5.1. プロパンガス(LPガス)は特に注意!
- 1.5.2. 電気代の節約も大切です
- 2. 床暖房とエアコンではどちらが安い?快適性と選び方
- 2.1. 24時間つけっぱなしがお得?
- 2.2. 結局どっちが暖かいのか
- 2.2.1. エアコンの暖かさ:「対流式」
- 2.2.2. 床暖房の暖かさ:「輻射熱 + 伝導熱」
- 2.2.2.1. 快適性と健康面
- 2.2.2.2. 低温やけどに注意
- 2.3. エアコンとの併用はあり?
- 2.4. 暖房費が一番安いのはどの方法
- 2.5. 「床暖房はいらない?」の判断基準
- 2.5.1. 床暖房がいらない(エアコンで十分)かもしれないケース
- 2.5.2. 【床暖房がおすすめなケース】
- 2.6. 結論:床暖房とエアコンではどちらが安いか
- 2.6.1. 最終的なご判断の前に
床暖房とエアコンではどちらが安い?コスト比較
まず皆さんが一番知りたい「安さ」について。これは「初期費用(導入コスト)」と「ランニングコスト(月々の光熱費)」の2つに分けて考える必要がありますね。
どちらも一長一短があるので、ご自身のライフスタイルに合うかがポイントかなと思います。
月々の光熱費はいくら?
いきなり結論から言うと、「ご家庭の使い方や家の性能によります」というのが正直なところです。ただ、それじゃ分からないですよね(笑)。一般的な傾向として、こんな特徴があります。
エアコンは、立ち上がりが速いのが強み。スイッチを入れてすぐに温風が出てきます。
ですから、短時間だけ使いたい、とか、帰宅してすぐ暖まりたい、という場合には効率が良く、光熱費も抑えやすいです。最近の機種は本当に省エネ性能がすごいですからね。
一方、床暖房は、床全体が暖まるまでに少し時間がかかります(タイプによりますが30分~1時間くらい)。その代わり、一度暖まると熱をキープするのが得意。じんわりとした暖かさが続きます。
リビングなどで長時間過ごすご家庭なら、床暖房の方が結果的に光熱費が安くなる可能性がありますね。特に、住宅の断熱性能(高気密・高断熱か)によって、この効率は大きく変わってきます。
種類と光熱費
床暖房と一口に言っても、熱源によって光熱費の傾向がガラッと変わります。
電気式床暖房
床下に電熱線ヒーターを敷くタイプです。仕組みがシンプルで導入しやすいのがメリットです。
しかし、電気で直接熱を作るため、ランニングコスト(電気代)はこれから紹介する温水式に比べて高めになる傾向があります。
温水式床暖房
床下にパイプを敷いて、温水を循環させるタイプ。この「温水」をどうやって作るかがキモです。
ヒートポンプ式(電気)
エコキュートなどと同じ技術(ヒートポンプ)で、空気の熱を集めて効率よくお湯を作ります。
電気を使いますが、電熱線で直接熱を作る電気式より格段に効率が良いので、ランニングコストはかなり抑えられることが多いです。オール電化のご家庭ではこれが主流ですね。
ガス式(ガス)
ガス給湯器(TES熱源機など)でお湯を作ります。立ち上がりがパワフルで、素早く暖めたい場合に適しています。もちろん、燃料はガスなのでガス代がかかります。
灯油式(灯油)
灯油ボイラーでお湯を作ります。ランニングコストは灯油価格に左右されますが、寒冷地などで根強く支持されていますね。ただ、タンクの設置や給油の手間があります。
光熱費の傾向(目安)
光長時間使う場合、光熱費が安くなる順番(コストが低い順)の傾向は、
温水式(ヒートポンプ) < エアコン ≒ 温水式(ガス) < 電気式
の順番になることが多いようです。
この「≒」(ニアリーイコール)という記号は、ほぼ等しいという意味で使いました。
というのも、エアコンとガス温水式は、どちらが安くなるか本当にご家庭の条件次第で、逆転することも珍しくないんです。
なので「大体同じくらい」と見ておくのが分かりやすいかな、と思いまして。
もちろん、これは本当に使い方や家の断熱性、契約している電気・ガスプランによります。
メーカー別にみる温水式床暖房(ガス式・ヒートポンプ式)
床暖房は、パナソニックさん、リンナイさん、ノーリツさん、あるいは東京ガスさんの「TES(テス)」など、色々なメーカーさんが出していますね。現場でもよく見かけます。
ガス温水式床暖房
リンナイさんやノーリツさん、大阪ガスさん、東京ガスさんといったガス機器メーカーさんが強い分野です。
東京ガスさんの「TES(テス)」は、もともと「TOKYO GAS ECO SYSTEM」の略称として知られています。
現在は1台の熱源機で給湯・床暖房・浴室暖房乾燥などをまとめてまかなうガス温水システム全体を指す名称として定着していますね。(参考:東京ガス温水システムTESの交換 |東京ガス)
ガス給湯器とセットで導入することが多く、パワフルで立ち上がりが早いのが魅力です。キッチンのガスコンロや給湯もガス、というご家庭には馴染みやすいかもしれません。
温水式(ヒートポンプ式)床暖房
パナソニックさんや三菱電機さん、ダイキンさんなど、エアコンやエコキュートを手掛けるメーカーさんが得意としています。
エコキュートと同じ「ヒートポンプ技術」を使うので、非常に効率よくお湯を作れます。
メーカーさんによっては、専用のリモコンで温度管理が細かくできたり、スマホと連携できたりと、機能も進化しています。オール電化のご家庭では、こちらが主流になりますね。
メーカーさんによって細かい機能や得意分野が違いますが、大きな違いはやはり「熱源」です。ご家庭のエネルギー事情(オール電化か、ガス併用か)に合わせて選ぶのが基本になるかなと思います。
熱源機の選び方
温水式床暖房を選ぶということは、「熱源機(お湯を作る機械)」を選ぶことにもなります。
ガス給湯器にするか、電気のヒートポンプ(エコキュートなど)にするかは、床暖房だけでなく、お風呂やキッチンの給湯も関わってくる大きな選択です。

1ヶ月のランニングコスト(目安)
では、実際に1ヶ月どれくらいかかるのか、目安を見てみましょう。
ここでは、「10畳程度のリビングで、1日8時間運転」し、電気代は「目安単価31円/kWh前後」、ガス代も「一般的な都市ガス単価」を前提とした、おおよそのシミュレーション例です。
条件(外気温、設定温度、住宅の断熱性、契約プラン)で大きく変わるので、本当に「参考程度」に見てくださいね。
こうした光熱費の計算は、メーカーさんや電力・ガス会社さんがシミュレーションを出していますが、その多くは「電気料金目安単価」を元に計算されています。
例えば、「公益社団法人 全国家庭電気製品 公正取引協議会」が定める目安単価(2025年11月現在で31円/kWh(税込)など)が使われることが多いですね。(参考:全国家庭電気製品 公正取引協議会(電気料金Q&A))
| 暖房器具 | 1ヶ月のランニングコスト目安 | 熱源 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| エアコン (最新省エネタイプ) | 約4,000円 ~ 6,500円 | 電気 | 立ち上がりが速い。条件が揃えば高効率。 |
| 床暖房 (電気式) | 約7,500円 ~ 9,500円 | 電気 | 電熱線で発熱。長時間広い面積で使うと割高になりやすい。 |
| 床暖房 (温水式・ヒートポンプ) | 約3,500円 ~ 5,000円 | 電気 | ヒートポンプで高効率に温水を作る方式。長時間運転と相性が良い。 |
| 床暖房 (温水式・ガス) | 約4,500円 ~ 7,000円 | ガス (都市ガス)+電気 | 立ち上がりが早くパワフル。ガス料金に左右される。LPガスはこれより高くなる場合が多い。 |
こうしてみると、温水式のヒートポンプ式が一番安くなる可能性がありそうですね。次いでエアコン。電気式はやはり高めになる傾向が見えます。
ただし、しつこいようですがこれは「1日8時間」という長時間使った場合です。
床暖房は暖まるまでにエネルギーを使うので、もし「1日2~3時間」しか使わないなら、立ち上がりの遅い床暖房は効率が悪く、エアコンの方が断然安くなると思います。
ご自身のライフスタイルを振り返ることが大事ですね。

初期費用とトータルコスト(6畳・8畳目安)
次に、導入時の「初期費用」を見てみましょう。特に6畳や8畳の寝室や子供部屋に「後から追加する」場合、この差は非常に大きいですよ。
初期費用(目安)
エアコン (6畳~8畳用)
本体価格 + 標準工事費で、約7万円 ~ 15万円 程度。
エアコン専用コンセントや200V化が必要なケース、追加費用の目安については、こちらの解説も参考にしてください。
床暖房 (電気式・後付け)
床材+工事費で、約30万円 ~ 50万円 程度。
床暖房 (温水式・後付け)
熱源機 + 床材 + 工事費で、約60万円 ~ 100万円以上 かかることも。
初期費用で比べたら、エアコンの圧勝です。
床暖房は、床を張り替えたりする大掛かりな工事が必要になるため、どうしても高額になります。新築時ならまだしも、リフォームで導入するとなると、かなりの出費を覚悟しないといけませんね。
エアコンの工事費用について
エアコンの初期費用も、設置場所や状況によって変わってきます。
標準工事費で収まるのか、コンセント増設や電圧切替、配管カバー(化粧カバー)などの追加工事が必要なのか、事前に知っておくと安心ですよね。私たち横浜電気工事レスキューでも、エアコン工事を承っています。
トータルコストで考える
仮に、ランニングコストが床暖房の方が月1,000円安かったとしても、初期費用で50万円の差があったら、その元を取るのに単純計算で500ヶ月…約40年以上かかってしまいます(笑)。
もちろん、これは極端な例ですが、トータルコスト(初期費用+将来の光熱費+メンテナンス費)で考えると、エアコンの方が安く済むケースは多いと思います。
ただし、電気代やガス代が将来どうなるかは誰にも分かりませんから、難しいところですね。
ガス代と電気代(やばい?)の差
「床暖房は電気代がやばい」という話を聞いたことがあるかもしれませんが、それはおそらく「電気式床暖房」のことかなと思います。
先ほどのシミュレーションでも、電気式はランニングコストが高めでした。特に古いタイプのものだと、消費電力が大きく、冬場の請求書を見てびっくり…なんてこともあり得ます。
一方、温水式(ガス)はガス代がかかります。電気代は(ポンプなどを動かす分はかかりますが)メインではありません。ただ、ガス代が上がれば当然コストも上がります。
プロパンガス(LPガス)は特に注意!
ご家庭のガスが都市ガスではなく、プロパンガス(LPガス)の場合、これは本当に要注意です。
一般的にプロパンガスは、料金が自由化されており、都市ガスに比べて1.5倍~2倍近く高いケースも珍しくありません。
その場合、ガス温水式床暖房のランニングコストは、シミュレーションよりずっと高くなる可能性があるので、十分な確認が必要です。
最近は電気代もガス代も、原料価格の変動を調整する「燃料費調整額」や、電気代には「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」などが上乗せされています。
基本料金や使用量料金だけでは判断できず、状況が複雑になっていますよね。ですから、「電気だから高い」「ガスだから安い」と一概に言えなくなってきているのも事実です。
電気代の節約も大切です
どちらの暖房を選ぶにしても、日々の電気代を節約する工夫は大切ですよね。
暖房を使う時期は、アンペア契約を見直す良い機会かもしれません。「ブレーカーがよく落ちる」なんて場合は、アンペアが足りていない可能性もあります。
ご家庭に合ったアンペア数の考え方は、こちらの記事で詳しく解説しています。
分電盤の空きや専用回路の有無によっては、事前の電気工事が必要になる場合があります。詳しくは、分電盤まわりの注意点を解説したこちらの記事もご覧ください。

床暖房とエアコンではどちらが安い?快適性と選び方
コストの比較はなんとなく見えてきたかなと思います。
でも、暖房器具は安さだけで選ぶと後悔することも…。次は、実際の「使い心地」や「快適性」の面から比べてみましょう。これも大事なポイントですよ。毎日使うものですからね。
24時間つけっぱなしがお得?
これは、よく聞かれる質問ですね。「床暖房はつけっぱなしの方がお得」という話。結論から言うと、「お得になる場合がある」です。
特に温水式床暖房で、なおかつ「高気密・高断熱」の住宅(最近の魔法瓶のような家、ですね)にお住まいの場合です。
床暖房は、電源を入れてから部屋全体が暖まるまでの「立ち上がり」に一番エネルギーを使います。一度暖まってしまえば、あとはその温度をキープするだけなので、少ないエネルギーで済むんです。
ですから、日中お仕事などで家を空ける時間が短い(3~4時間)なら、電源オフで床を冷やしてしまうより、設定温度を下げて「つけっぱなし」の方が、光熱費が安くなる可能性があります。
逆に、断熱性の低い家(古い木造住宅など)でつけっぱなしにすると、熱がどんどん窓や壁から逃げてしまって、ただ光熱費がかさむだけ…ということもあり得るので、ご注意ください。
エアコンの「つけっぱなし」についても、よく聞かれますね。 最近の省エネ機種は本当に性能が良くて、人感センサーや学習機能で、無駄な運転を上手に抑えられるようになっています。
一般的には、「30分程度の短い外出なら、つけっぱなしの方が有利」なことが多く、「おおよそ30分~1時間以上部屋を空けるなら、一度オフにした方が有利」とされるケースが多いようです。
結局は、お使いのエアコンの性能と、お住まいの断熱性能を踏まえて判断するのが現実的かなと思いますね。

結局どっちが暖かいのか
これは「暖かさの質」が全く違います。どちらが良いかは、好みが分かれるかもしれません。
エアコンの暖かさ:「対流式」
エアコンは、「対流式」といって、温風で空気を暖めます。暖かい空気は軽いので、どうしても天井付近にたまりがち。
結果、「頭はボーッとするのに、足元はスースー寒い」という「頭熱足寒(ずねつそっかん)」の状態になりやすいのが弱点です。
これを解消するために、サーキュレーターやシーリングファンで空気をかき混ぜる工夫が必要ですね。
床暖房の暖かさ:「輻射熱 + 伝導熱」
床暖房は、「輻射熱(ふくしゃねつ)」と「伝導熱」で暖めます。まず、足の裏から直接床の暖かさが伝わります(これが伝導熱)。
そして、床から放出される遠赤外線が、壁や天井、そして人体に直接熱を伝える(これが輻射熱)んですね。よく「日向ぼっこが暖かいのと同じ原理」と説明されますが、まさにそんな感じです。
足元からじんわりと暖かく、顔はのぼせない。「頭寒足熱(ずかんそくねつ)」という、人間にとって一番快適な暖かさを実現してくれます。
快適性と健康面
- 快適性
床暖房の方が「質が高い」と感じる方が多いです。 - 乾燥
エアコンは温風で空気が乾燥しやすいですが、床暖房は風が出ないので乾燥しにくいです。お肌や喉に優しいですね。 - ホコリ
エアコンは風で床のホコリを舞い上げがちですが、床暖房はその心配がありません。
小さなお子様がハイハイしたり、ペットが床で寝そべったりするご家庭、あるいはアレルギーが気になる方にも、床暖房は優しい暖房と言えますね。
低温やけどに注意
快適な床暖房ですが、一点だけ注意が必要です。それは「低温やけど」です。
特に設定温度を高くしすぎた場合や、同じ場所に長時間ふれていると、40~50度くらいの「熱すぎない」と感じる温度でも、じっくりと火傷してしまう(低温やけど)恐れがあります。
床暖房の上で直接長時間寝てしまったり、熱がこもりやすい断熱性の高い布団や分厚いマットを敷きっぱなしにしたりするのは、危ないので避けましょう。
メーカーが示している安全な使い方や温度設定を守るのが、何より大切です。

エアコンとの併用はあり?
大いに「あり」です!というか、むしろ併用が最強かもしれません。
私も現場でお客様に聞かれたら、こう答えることが多いです。お互いの弱点を補い合えるんです。
- 床暖房の弱点:「暖まるまで時間がかかる」
- エアコンの弱点:「足元が寒い」「乾燥する」
ですから、例えば帰宅時や起床時、部屋が冷え切っている時は、まずエアコンと床暖房の両方をオン! エアコンの温風で部屋の空気を素早く暖めつつ、床暖房が立ち上がるのを待ちます。
そして、床暖房が効いてきて足元から暖かさを感じ始めたら(30分~1時間後くらい)、エアコンの設定温度を下げるか、オフにする。これが一番賢く、快適な使い方かなと思います。
タイマー機能を使って、起床の1時間前に床暖房がオンになるようにしておけば、寒い朝に布団から出るのも苦じゃなくなるかもしれませんね。
暖房費が一番安いのはどの方法
「結局、暖房費が一番安いのは何?」と聞かれると、これはもう「使い方と場所によります」としか…(笑)。
もし、「光熱費をとにかく安く」という一点突破なら、部屋全体を暖めるのではなく、「こたつ」や「電気毛布」で「自分だけ」を暖めるのが一番安いです。
こたつの消費電力は「弱」で100W程度、電気毛布なら50W程度ですが、エアコンの暖房は(安定時でも)数百W、立ち上がりは1000W以上使いますから、比較になりませんよね。
ただ、それだと部屋の中を移動するたびに寒いですし、家族全員がこたつに集まるわけにもいきませんよね。
「部屋全体を快適に暖める」という前提なら、
- 初期費用もトータルコストも安く済ませたいなら:エアコン
- 初期費用はかかっても、月々のランニングコストと快適性を重視するなら:温水式床暖房(ヒートポンプ)
というのが、一つの答えになるかなと思います。そして、どちらを選ぶにしても、「窓の断熱」は忘れないでください。家の中で一番熱が逃げるのは窓です。
どんなに高性能な暖房を使っても、窓がアルミサッシの一枚ガラスでは、熱がダダ洩れになってしまいます。
内窓(二重窓)を設置したり、断熱性の高いカーテンに変えたりするだけでも、暖房効率は驚くほど変わりますよ。

「床暖房はいらない?」の判断基準
「床暖房、憧れるけど、本当にうちに必要なのかな?いらないかも?」と迷う方もいらっしゃると思います。高価な設備ですから、当然ですよね。
床暖房がいらない(エアコンで十分)かもしれないケース
- 高気密・高断熱の住宅にお住まい
最近の家は性能が良いので、エアコンの暖気でも床までしっかり届き、底冷えしにくいことが多いです。床暖房はオーバースペック(過剰設備)になるかも。 - マンション(特に中住戸)にお住まい
上下左右を他の部屋に囲まれているため、戸建てに比べて熱が逃げにくく、エアコンだけで十分暖かいケースが多いです。 - 暖房を使う時間が短い
日中は仕事で誰もいない、夜寝る時だけ暖めたい、というライフスタイルなら、立ち上がりの早いエアコンが便利です。 - 初期費用をとにかく抑えたい
エアコンの方が圧倒的に安いです。 - 足元の冷えをそれほど感じない方
床暖房の最大のメリットを感じにくいかもしれません。
【床暖房がおすすめなケース】
- 足元の冷えが深刻な方(冷え性)
足元から直接暖まる快適さは、エアコンの温風ではなかなか得られません。 - 戸建ての1階リビング
特に古いお住まいの場合、床下からの底冷え対策として非常に有効です。 - 小さなお子様やペットがいる
床でハイハイしたり、寝転んだりすることが多いご家庭では、床全体が暖かいと安心です。風が出ないのも良いですね。 - エアコンの風や乾燥が苦手
ホコリが舞うのが嫌な方、喉や肌が乾燥しやすい方には、床暖房の輻射熱は最適です。 - 新築や大規模リフォームの予定がある
導入するなら、このタイミングがベストです。後付けより費用も抑えられますからね。
ご自身のライフスタイルや、何を重視するか(コストか、快適性か)で判断が変わってきそうですね。
結論:床暖房とエアコンではどちらが安いか
さて、色々と比較してきましたが、結局「床暖房とエアコン、どちらが安いか」という問いに対する私の答えは、こうなります。
- 初期費用が安いのは、圧倒的に「エアコン」
- ランニングコスト(月々の光熱費)が安くなる可能性があるのは、「温水式床暖房(ヒートポンプ)」の「長時間利用」
- 快適性(足元の暖かさ・乾燥しにくさ)で選ぶなら「床暖房」
- 利便性(冷房も含む)と導入の手軽さで選ぶなら「エアコン」
トータルコスト(初期費用+10年、20年のランニングコスト)で考えると、エアコンの方が安く済むケースが多い、というのが私の印象です。
床暖房は、初期費用の高さを、あの何物にも代えがたい「快適性への投資」として割り切れるかどうか、がポイントになりそうですね。
また、寿命についても考える必要があります。エアコンはだいたい10年~15年で買い替え(機器交換)ですよね。
床暖房も、熱源機(ガス給湯器やヒートポンプ)は同じく10年~15年で交換が必要になる消耗品です。
ただ、床下に敷いた温水配管や電気ヒーターパネル自体は、適切な施工や使い方をしていれば、30年前後と長持ちが期待できると言われています。
一方で、お湯を作る「熱源機」や操作する「リモコン」は、エアコンと同じで大体10年~15年くらいで交換時期が来ることが多いんです。
ですから、この熱源機などの交換費用も含めた「トータルコスト(ライフサイクルコスト)」で考えることが大切ですね。
最終的なご判断の前に
この記事でご紹介した数値は、すべて一般的な「目安」です。
本当に、しつこいようですが(笑)、実際にかかる費用は、お住まいの地域、住宅の構造(断熱性)、ご契約の電力・ガス会社、そして何よりご家族のライフスタイルによって全く異なります。
導入を検討される際は、必ず複数の専門業者(ハウスメーカー、リフォーム会社、我々のような電気工事店やガス会社など)に見積もりを依頼し、ご自身の状況に最適な提案を受けてくださいね。
その上で、ご家庭にとって一番ハッピーな選択をしていただければと思います。
横浜・川崎・東京都で業者をお探しの方へ
私たち横浜電気工事レスキューは、東京電力の指定工事店(工事店登録番号 701-1730)として、エアコンの設置・交換はもちろん、電気式床暖房の設置工事や、温水式床暖房(ヒートポンプ式など)の工事も承っています。
「うちの場合は、どの暖房が一番いいんだろう?」「そもそも電気の容量は足りるのかな?」といった、暖房選びやそれに伴う電気のご相談があれば、お気軽にご相談ください。




