耐震ブレーカーとは?地震火災を防ぐ仕組みをプロが解説

こんにちは。横浜電気工事レスキューの主任電気工事士「天谷(あまたに)富士夫」です。
大きな地震のニュースが流れるたびに、「自分の家は大丈夫だろうか…」と、ご自宅の防災対策について改めて考えさせられますよね。家具の固定や備蓄品の確認はしていても、意外と見落としがちなのが電気火災への備えです。
特に最近、テレビやインターネットで「耐震ブレーカー(感震ブレーカー)」という言葉を耳にする機会が増え、「一体どんなものなの?」「本当に必要なの?」「設置は義務化されているの?」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
後付けで設置できるのか、費用はどれくらいかかるのか、アパートやマンションといった賃貸住宅でも付けられるのか、東京都などで実施されている補助金は使えるのか、そして種類ごとのメリット・デメリットや作動後の復旧方法まで、気になる点はたくさんあるかと思います。
実際に、私たちの日々の電気工事の現場でも、お客様からこうしたご質問をいただくことが本当に増えました。
この記事では、そんなあなたのあらゆる疑問や漠然とした不安を解消するために、私たち電気工事のプロフェッショナルの視点から、耐震ブレーカーの基本中の基本から、ご家庭に最適な製品の選び方、賢い設置方法まで、どこよりも分かりやすく、そして詳しくご説明していきますね。
記事のポイント
- 地震時に電気を遮断する必要性と具体的な仕組みや役割の解説
- 住環境に合わせた最適な種類とそれぞれのメリットやデメリット
- 東京都を中心とした補助金の種類や申請方法と利用時の注意点
- 作動時の正しい復旧手順や日頃の注意点など設置後の安心サポート
- 1. そもそも耐震ブレーカーとは?基本を解説
- 1.1. 地震でブレーカーを落とす理由とは
- 1.1.1. 通電火災が発生する具体的なメカニズム
- 1.2. どんな装置?揺れを感知し自動で遮断
- 1.2.1. おもり式
- 1.2.2. バネ式
- 1.2.3. センサー内蔵式
- 1.3. 設置は義務化?通電火災に必要か解説
- 1.3.1. 特に耐震ブレーカーの設置が推奨されるケース
- 1.4. 東京都で使える補助金制度について
- 1.5. アパートや賃貸住宅での設置方法
- 2. 住まい別でわかる最適な耐震ブレーカーとは
- 2.1. 種類ごとのメリット・デメリットを比較
- 2.1.1. 分電盤タイプ(内蔵型・後付け型)
- 2.1.2. コンセントタイプ
- 2.1.3. 簡易タイプ
- 2.2. 補助金はいくら?申請方法と注意点
- 2.2.1. 補助金申請の一般的な流れ
- 2.3. マンションの共用部への対策は必要?
- 2.4. 設置後の注意点と復旧させる手順
- 2.4.1. 設置後の注意点
- 2.4.2. 在宅医療機器への影響
- 2.4.3. 安全第一!ブレーカーの復旧手順
- 2.5. まとめ:あなたのお宅に合う耐震ブレーカーとは
そもそも耐震ブレーカーとは?基本を解説
まずは「耐震ブレーカー(感震ブレーカーとも呼ばれますね)」が一体どのような装置で、なぜ今これほどまでにその必要性が叫ばれているのか、という最も重要な基本の部分からじっくりお話ししていきましょう。
この知識があるだけで、地震後の行動や備えに対する意識が大きく変わるはずですよ。
地震でブレーカーを落とす理由とは

大きな地震が発生した直後、私たちが最も警戒しなければならない災害の一つが「通電火災」です。言葉は聞いたことがあっても、その本当の恐ろしさを具体的にイメージできる方は少ないかもしれません。
通電火災とは、地震の激しい揺れによって一時的に停電が発生し、その後電力が復旧した(電気が再び通った)タイミングで発生する火災のことを指します。
地震発生から数時間後、あるいは数日後に、住民が避難して誰もいなくなった街で突然火の手が上がる、という非常に厄介な特徴を持っています。
通電火災が発生する具体的なメカニズム

- 地震発生
激しい揺れで棚や大型家具が転倒し、電気ストーブや観賞魚用のヒーターなどが、カーテンや布団、雑誌といった燃えやすいものと接触します。同時に、家具の下敷きになった電気コードが損傷したり、壁内の配線がダメージを受けたりします。 - 停電発生
地震の影響で送電がストップし、地域一帯が停電します。この時点では、電気製品のスイッチが入ったままでも、電気が流れていないので火災は起きません。 - 住民の避難
住民は身の安全を確保するため、あるいは避難指示に従って家を離れます。停電しているため、電気製品のスイッチを切ったり、コンセントを抜いたりすることまで頭が回らないケースがほとんどです。 - 電力復旧
電力会社による復旧作業が進み、停電が解消されます。 - 発火
避難して無人になった家で、スイッチが入ったままになっていた電気ストーブが、接触していたカーテンを熱し始めます。あるいは、損傷した電気コードに再び電流が流れることでショートし、激しい火花を散らして周りのホコリや可燃物に着火します。これが通電火災です。
(参考:感震ブレーカー|総務省消防庁)
過去の大規模地震では、地震による火災の原因として電気が大きな割合を占めたことが報告されています。
例えば内閣府の公表資料では、東日本大震災における本震による火災のうち、原因が特定されたものの過半数が電気関係の出火だった旨が示されています。
また、阪神・淡路大震災では、原因が特定された火災146件のうち、電気による発熱体を原因とするものが85件(約58%)と最も多かったとする調査報告があります。(出典:内閣府「大規模地震時の電気火災の発生抑制に関する検討会」)
こうした悲劇を防ぐため、「大きな揺れを感知したら、住民が避難する前に、家全体の電気を強制的にシャットアウトする」という発想から生まれたのが、耐震ブレーカーなんです。
つまり、通電火災の根本原因である「電力の復旧」を安全が確認されるまで遮断する、非常に重要な役割を担っているんですね。
どんな装置?揺れを感知し自動で遮断

では、耐震ブレーカーは具体的にどのような仕組みで揺れを感知し、電気を遮断するのでしょうか。
簡単に言えば、「高精度の地震センサー」と「ブレーカーのスイッチ」が連動した装置、とイメージしていただくと分かりやすいかもしれません。
製品によって揺れを感知するメカニズムや取り付け方は異なり、代表例として「おもり(おもり玉)を使う機械式」「バネ機構を使う機械式」「センサー(電池式・電子式)で検知するタイプ」などがあります。
どれを選ぶかは、分電盤に取り付けるのか、コンセントで部分的に止めるのか、といった“遮断範囲”と合わせて検討するのが大切です。
おもり式
最もシンプルで分かりやすい仕組みです。本体内部に設置された「おもり」が、設定された震度以上の揺れを感知すると、重力に従って落下します。
その落下の力を利用して、てこの原理で物理的にブレーカーのスイッチを引き下げて電気を遮断します。非常に原始的ですが、電気を使わないため、停電時でも確実に作動するというメリットがあります。
バネ式
こちらも機械的な仕組みです。強力なバネが常にブレーカーのスイッチを落とそうとする力をかけており、普段は留め金で固定されています。
地震の揺れを感知すると、その留め金が外れ、バネの力で瞬時にスイッチを切るというものです。
センサー内蔵式
分電盤タイプに多く見られるタイプで、加速度センサーなどの電子式センサーが揺れを検知し、設定値を超えると主幹ブレーカーを遮断します。
なお、遮断のタイミングは製品仕様によって異なり、夜間の避難時に照明を確保する目的で「一定時間の猶予(例:1分・3分)」を設けられる機種もあれば、「即時遮断」に切り替えられる機種もあります。
実際に感震機能付きモデルへ交換した事例として、こちらの『相模原市古淵で実施した安全の為の電気工事!古い分電盤を感震機能付きモデルへ交換しました』の記事でも工事の様子をご紹介しています。
作動の設定は製品により異なりますが、感震ブレーカーは「震度5強程度」を作動の目安とする考え方が示されています。これは、揺れにより屋内の家具等が散乱するおそれが高い状況で、電気火災の危険性が高まることを踏まえた目安です。
この揺れを感知すると、ご家庭の分電盤にある一番大きな「主幹ブレーカー」を自動的に落とし、家全体の電気供給を根本からストップさせることで、避難後の通電火災リスクを限りなくゼロに近づけてくれるのです。
設置は義務化?通電火災に必要か解説
「これほど重要な設備なら、火災報知器のように設置が義務化されているのでは?」というご質問を本当によくいただきます。結論から申し上げますと、現時点(2026年1月現在)において、一般の住宅に対して一律に“法律で設置が義務”とされている制度ではありません。
一方で、民間規格である「内線規程」では、自治体が指定する「地震時等の電気火災の発生・延焼等の危険解消に取り組むべき地域」や、防火地域・準防火地域の住宅などについて“勧告”、それ以外の地域について“推奨”として、設置を位置づけています。
しかし、これは「必要ない」という意味では全くありません。国や多くの地方自治体は、大規模地震時における火災被害を軽減するための極めて有効な手段として、耐震ブレーカーの設置を「強く推奨」しています。
特に、地震火災のリスクが高いとされる以下のような地域や住宅では、その重要性がより一層高まります。
特に耐震ブレーカーの設置が推奨されるケース

- 木造住宅密集地域(木密地域)にお住まいの方
古い木造家屋が密集し、道幅も狭い地域では、一軒の火災が瞬く間に燃え広がり、大規模な延焼火災に発展する危険性が非常に高いです。自分の家だけでなく、地域全体を守るという意味でも設置が望まれます。 - ご高齢者や体の不自由な方がお住まいのご家庭
万が一の際に、迅速な初期消火や避難が難しい場合、火災の発生そのものを防ぐ対策が何よりも重要になります。 - 不在がちなご家庭
日中、家を空けることが多い共働きのご家庭や、旅行などで長期間留守にする機会が多い場合、不在時に発生する通電火災への備えは必須と言えるでしょう。
「義務じゃないから、まだいいか」と先延ばしにするのではなく、「自分と大切な家族の命、そしてかけがえのない財産を、予測不能な災害から守るための、最も効果的な投資の一つ」として、その必要性を真剣に考えていただくのが良いかなと、私たちプロは考えています。
東京都で使える補助金制度について
耐震ブレーカーの重要性は分かっていても、やはり気になるのが設置費用ですよね。初期費用の負担を軽減するため、自治体によっては補助金・助成制度や、簡易タイプの配布・あっせん等を行っている場合があります。
東京都でも通電火災対策の一環として、感震ブレーカーの設置を後押しする事業(例:新築住宅に分電盤タイプの感震ブレーカーを設置する住宅事業者への購入費補助など)が案内されています。
(参考:住宅事業者への感震ブレーカー購入費補助金|東京都防災ホームページ)
補助の内容は自治体によって様々ですが、例えば以下のような例があります。
- 設置費用の一部または全額を補助
分電盤タイプなど、電気工事士による設置が必要な場合に、その費用の2分の1から3分の2、あるいは全額(上限額あり)を補助してくれる制度です。 - 簡易タイプの無償配布・あっせん
工事不要で設置できる簡易タイプの器具を、対象となる地域の住民に無償で配布したり、安価であっせん(紹介・販売)したりする事業です。
補助金制度を利用する際の重要注意点

補助金制度は非常にありがたいものですが、利用にあたってはいくつか注意が必要です。
まず、対象となる耐震ブレーカーの種類(特定の性能基準を満たしたものに限るなど)、補助を受けられる金額、申請者の条件(その自治体の住民であること、税金を滞納していないこと等)は、自治体ごとに細かく定められています。
また、年度ごとに予算が決められているため、申請期間内であっても予算がなくなり次第、受付が終了してしまうことがほとんどです。
検討されている方は、まずお住まいの自治体の公式ホームページで最新の情報を確認するか、防災担当の窓口に直接問い合わせてみることを強くお勧めします。
こうした制度を上手に活用することで、費用負担を大幅に抑えながら、ご家庭の安全性を格段に高めることができます。ぜひ一度、ご自身の自治体の制度をチェックしてみてくださいね。
アパートや賃貸住宅での設置方法

「うちは賃貸だから、勝手に工事はできないし…」と、設置を諦めてしまっている方も少なくないかもしれません。ですが、賃貸住宅にお住まいの場合でも、対策する方法はちゃんとありますのでご安心ください。
まず大前提として、分電盤そのものを交換したり、配線を変更したりといった電気工事が必要な「分電盤タイプ」を設置する場合は、必ず事前に大家さんや物件の管理会社の許可を得る必要があります。
これは絶対のルールです。無断で工事を行ってしまうと、退去時に原状回復を求められたり、思わぬトラブルに発展したりする可能性があります。
ただ、大家さんや管理会社の立場から見ても、入居者が費用を負担してくれて、しかも自分たちが所有する物件の火災リスクが低減するというのは、大きなメリットになり得ます。
耐震ブレーカーの必要性や、通電火災の恐ろしさを丁寧に説明し、「物件の資産価値を守ることにも繋がります」といった視点で相談すれば、意外とすんなり許可をもらえるケースも多いんです。
そして、もし工事の許可が得られなかったとしても、まだ諦める必要はありません。工事が一切不要で、ご自身で簡単に設置できる「コンセントタイプ」や「簡易タイプ」といった後付けのタイプも存在します。
それぞれの特徴やメリット・デメリットについては、後述の「種類ごとのメリット・デメリットを比較」セクションで詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
まずは大家さんや管理会社に相談してみること。それが、賃貸住宅における防災対策の第一歩と言えるでしょう。
住まい別でわかる最適な耐震ブレーカーとは
さて、ここまでで耐震ブレーカーの基本的な役割や必要性については、ご理解いただけたかなと思います。ひとくちに耐震ブレーカーと言っても、実はいくつかの種類があり、それぞれに特徴があります。
ここからは、より実践的な内容として、それぞれのタイプの具体的なメリット・デメリットを比較し、あなたのお住まいやライフスタイルに本当に合った製品はどれなのかを一緒に見つけていきましょう。
種類ごとのメリット・デメリットを比較

耐震ブレーカーは、その設置方法や機能から、大きく「分電盤タイプ」「コンセントタイプ」「簡易タイプ」の3つに分類することができます。
それぞれの長所と短所を正しく理解し、ご自身の住環境や予算、そして「どこまでの安全性を求めるか」という点と照らし合わせて、最適なものを選ぶことが重要です。
分電盤タイプ(内蔵型・後付け型)
ご家庭の電気の大元である分電盤に、感震機能を直接組み込む、最も確実性の高い本格的なタイプです。地震の揺れを感知すると、家全体の電気を根本から遮断するため、通電火災のリスクを最も効果的に低減できます。
このタイプには、さらに2つの種類があります。
- 内蔵型
感震ユニットが分電盤本体に初めから組み込まれているタイプです。見た目がスッキリしており、新築時や、分電盤が古くなって交換するタイミングで選ぶのが最もスマートで効率的です。 - 後付け型
既存の分電盤はそのままに、感震遮断機能を持つ専用ユニットを隣に追加で設置するタイプです。「まだ分電盤は新しいけれど、感震機能だけ追加したい」という場合に適しています。
メリット
- 家全体の電気を遮断するため、安全性が最も高い。
- 一度設置すれば、その後のメンテナンスは基本的に不要。
- 誤作動が少なく、信頼性に優れる。
- 自治体の補助金制度の対象になりやすい。
デメリット
- 設置には「電気工事士」の資格を持つプロによる工事が必須。
- 他のタイプに比べて費用が比較的高額(工事費込みで数万円〜十数万円)になる。
- 賃貸住宅での設置は大家さんの許可が必要。
費用面がネックに感じる方もいらっしゃるかもしれません。分電盤の取り替え費用の相場や安く抑えるコツについては、以下の『分電盤取り替え費用はいくら?相場や寿命と安く抑えるコツを解説』の記事で詳しく解説しています。
こんな方におすすめ
持ち家にお住まいで、防災対策として根本的かつ最も確実な方法を選びたい方。また、分電盤の交換を検討されている方には、この機会に感震機能付きのモデルを選ぶことを強くおすすめします。
実際に古い分電盤を交換した事例として、『築15年の住宅で分電盤交換工事〜アンペアブレーカー故障による全体停電からの復旧事例と安全対策〜』の記事もご紹介しています。現場での対応の様子がイメージしやすくなるかと思いますので、あわせてご覧ください。
コンセントタイプ

感震センサーを内蔵したテーブルタップのような形状で、壁のコンセントに差し込んで使用する、設置が非常に簡単なタイプです。地震の揺れを感知すると、そのコンセントに接続されている家電製品への電力供給だけをピンポイントで遮断します。
メリット
- 電気工事が一切不要で、購入後すぐに誰でも設置できる。
- 費用が比較的安価(数千円〜1万円程度)。
- 賃貸住宅でも気兼ねなく導入できる。
- 火災リスクの高い特定の家電(電気ストーブなど)を狙って対策できる。
デメリット
- 遮断できるのはそのコンセントの先だけなので、家全体の通電火災対策にはならない。
- 照明や、壁・天井裏の配線損傷による火災は防げない。
- あくまで部分的な対策、補助的な役割と考えるべき。
こんな方におすすめ
賃貸住宅にお住まいで工事が難しい方。まずは手軽に、費用を抑えて対策を始めたい方。
特に、電気ストーブやこたつ、観賞魚用の水槽ヒーター、ペット用の暖房器具など、特定の熱を発する器具からの出火が心配な箇所に設置するのに最適です。
簡易タイプ
既存の分電盤の主幹ブレーカーのスイッチ(レバー)に、おもりやバネを使った装置を後付けで取り付けるタイプです。これも工事不要な製品が多く、手軽に家全体の電気を遮断できるのが魅力です。
メリット
- 非常に安価(数千円程度)で、導入のハードルが最も低い。
- 工事不要な製品が多く、自分で取り付けられる。
- 家全体の電気を遮断できる。
デメリット
- 両面テープで固定する製品が多く、経年劣化で剥がれてしまう可能性がある。
- 製品によっては作動の信頼性が分電盤タイプに劣る場合がある。
- 定期的に正しく設置されているか、動作に問題がないかのチェックが必要。
こんな方におすすめ
とにかく費用を最優先で抑えたい方。分電盤タイプの工事をするまでの「つなぎ」として対策をしておきたい方。ただし、設置する際は取扱説明書をよく読み、定期的な点検を怠らないことが重要になります。
| 種類 | 遮断範囲 | 費用目安(製品+工事費) | 工事の要否 | おすすめの住まい | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 分電盤タイプ | 家全体 | 50,000円~150,000円 | 必要 | 持ち家(戸建て・分譲マンション) | 安全性が最も高く、確実。信頼性に優れる。 | 費用が高い。賃貸では設置ハードルが高い。 |
| コンセントタイプ | 接続した機器のみ | 5,000円~20,000円 | 不要 | 賃貸住宅、特定の機器対策 | 手軽で安価。工事不要で誰でも設置可能。 | あくまで部分的な対策。家全体は守れない。 |
| 簡易タイプ | 家全体 | 3,000円~10,000円 | ほとんど不要 | 賃貸住宅、費用を抑えたい方 | 非常に安価。手軽に家全体の電気を遮断できる。 | 信頼性は製品による。定期的な点検が必要。 |
補助金はいくら?申請方法と注意点
補助金制度を賢く利用すれば、高機能な分電盤タイプもぐっと導入しやすくなります。ここでは、申請の一般的な流れと、見落としがちな注意点について、もう少し詳しく解説しますね。
補助金申請の一般的な流れ
- 情報収集
まず、お住まいの自治体のホームページで「耐震ブレーカー 補助金」「感震ブレーカー 助成」といったキーワードで検索します。制度の有無、対象となる条件(対象者、対象機器、補助額)、申請期間などを正確に把握しましょう。 - 業者へ相談・見積取得
補助金制度の利用を検討していることを伝えた上で、私たちのような電気工事店に相談します。現地調査をしてもらい、補助金の対象となる製品での正式な見積書を作成してもらいます。 - 申請書類の準備・提出
自治体の指定する申請書に必要事項を記入し、見積書の写し、設置予定場所の写真、本人確認書類などを揃えて、防災担当課などの窓口に提出します。(郵送可の場合も多いです) - 交付決定通知の受領
提出した書類が審査され、問題がなければ自治体から「補助金交付決定通知書」といった書類が届きます。これが届くまでは、絶対に工事の契約や着工をしてはいけません。 - 工事の契約・実施
通知書が手元に届いたことを確認してから、正式に電気工事店と契約を結び、工事を実施してもらいます。 - 実績報告
工事が完了したら、領収書の写し、工事完了後の写真などを添付した「実績報告書」を自治体に提出します。 - 補助金の受領
実績報告書が受理されると、後日、申請時に指定したご自身の銀行口座に補助金が振り込まれます。
この中で最も重要なポイントは、なんと言っても4番と5番の順番です。ほとんど全ての自治体で「事業着手前(=工事の契約・開始前)の申請」が絶対条件となっています。
良かれと思って先に工事を済ませてしまい、後から「補助金が使えると知ったので申請したい」と思っても、残念ながら受理されません。この「申請が先、工事は後」という鉄則だけは、絶対に忘れないようにしてくださいね。
マンションの共用部への対策は必要?
分譲マンションにお住まいの方から、「自分の部屋(専有部分)への設置は分かったけど、マンション全体の共用部分はどうなっているの?」というご質問をいただくこともあります。
エレベーター、廊下や階段の照明、オートロック、給水ポンプなど、マンションの共用部分で使われる電気設備は、個人の所有物ではなく、マンションの区分所有者全員で構成される「管理組合」の管轄となります。
したがって、共用部分の主幹分電盤に耐震ブレーカーを設置するかどうかは、一個人の判断ではなく、管理組合の総会などで議論し、決議する必要がある事項になります。
もし、お住まいのマンションの共用部の対策が気になる場合は、まずは管理組合の理事会などに現状の防災設備について確認してみるのが良いでしょう。
その上で、耐震ブレーカーの必要性を提案資料などにまとめ、議題として挙げてもらうよう働きかけてみるのも一つの方法です。
最近は防災意識の高まりから、長期修繕計画の一環として耐震ブレーカーの導入を検討する管理組合も増えてきている印象ですね。
まずはご自身の専有部分の対策をしっかりと行い、その上で、より安全なマンションを目指して組合に働きかけていく、というステップが現実的かなと思います。
設置後の注意点と復旧させる手順
さて、無事に耐震ブレーカーを設置できたとします。これで地震火災への備えは万全!…と安心する前に、あともう少しだけ知っておいていただきたいことがあります。
それは、設置した後の日常的な注意点と、万が一、地震で作動した場合に、安全に電気を復旧させるための正しい手順です。
設置後の注意点
誤作動の可能性も知っておく
特に簡易タイプや、感度設定が高い製品の場合、地震以外の強い衝撃でも作動してしまう可能性がゼロではありません。
例えば、子供が室内でボール遊びをしていて壁に強くぶつけた、大きな家具を運んでいて壁にぶつかった、すぐ近くで大規模な解体工事が行われている、といったケースです。万が一誤作動しても慌てず、後述する手順で復旧させれば問題ありません。
夜間の停電に万全の備えを
もしも夜中に地震が起きて耐震ブレーカーが作動した場合、家の中は突然真っ暗になります。パニックにならず、安全に行動するためにも、すぐに手が届く場所(枕元、リビングのテーブルの上、玄関の靴箱の上など)に、電池式の懐中電灯やヘッドライトを常備しておくことが非常に重要です。
分電盤の近くにも一つ置いておくと、復旧作業の際にとても役立ちます。
在宅医療機器への影響
ご家庭で生命維持に直結するような医療機器(人工呼吸器など)を使用されている場合は、耐震ブレーカーの設置について、必ず事前に主治医や医療機器のメーカーに相談してください。
停電時に作動するバッテリーが備わっているか、外部バッテリーの必要性など、専門家のアドバイスが不可欠です。
安全第一!ブレーカーの復旧手順

地震の揺れが収まり、身の安全が確保できたら、次は電気の復旧です。
しかし、ここで焦ってすぐにブレーカーを上げてしまうのは大変危険です。二次災害を防ぐために、必ず以下の手順を一つずつ、慎重に確認しながら行ってください。
【最優先】ガスの臭いがしないか、五感で確認!
ブレーカーに触る前に、まず家の内外でガスの臭いがしないか、鼻でしっかり確認してください。もし少しでもガスの臭いがしたら、電気のスイッチ類には絶対に触ってはいけません。
静電気が着火の原因になる恐れがあります。すぐに窓を開けて換気し、ガス漏れが疑われる場合は、屋外のガスメーターの元栓を締め、契約しているガス会社に速やかに連絡してください。
電気製品の状態と配線を入念にチェック!
次に、家の中を見て回り、電気製品に異常がないかを確認します。
- 転倒したり、落下したりしている家電はないか?
- 水槽が割れるなどして、水に濡れている家電はないか?
- 家具の下敷きになるなどして、電気コードが傷ついたり、断線したりしていないか?
もし異常が見つかった家電製品があれば、必ずプラグをコンセントから抜いてください。特に、電気ストーブやアイロン、こたつといった熱を発する器具が、燃えやすいものの近くで倒れていないかは念入りに確認しましょう。
安全が確認できたら、ブレーカーを「入」にする!
上記2点の安全確認が完了して、初めてブレーカーの復旧作業に移ります。
- まず、分電盤のカバーを開け、全ての安全ブレーカー(小さなスイッチ)を「切(OFF)」にします。
- 次に、主幹ブレーカー(一番大きなスイッチ)を「入(ON)」にします。
- 最後に、安全ブレーカーを一つずつ、ゆっくりと「入(ON)」にしていきます。
もし、特定の安全ブレーカーを入れた瞬間に再び主幹ブレーカーが落ちる場合は、そのブレーカーが担当している回路(部屋やコンセント)で、漏電やショートなどの異常が発生している可能性が高いです。
その場合は、異常のあった安全ブレーカーだけを「切」にしたまま、私たちのような電気工事店に調査を依頼してください。
また、漏電が疑われる場合の詳しい対処法については、以下の『漏電ブレーカーが落ちたらどうする?原因と正しい戻し方を解説』の記事もあわせてご覧ください。
もしブレーカーが上がらないトラブルでお困りの際は、『突然の停電!ブレーカーが上がらない原因は漏電かも?分電盤の交換で電気を取り戻す〜大和市の施工事例〜』の記事で、実際のトラブルシューティングや交換工事の様子を詳しく解説しています。
この「復旧させる前に、まず安全確認」という冷静な行動が、通電火災や感電といった二次災害を防ぐ上で、本当に、本当に重要なんです。ぜひ、ご家族全員でこの手順を共有しておいてくださいね。
まとめ:あなたのお宅に合う耐震ブレーカーとは

ここまで、耐震ブレーカーの基本的な役割から、様々な種類の特徴、補助金の活用法、そして設置後の注意点に至るまで、かなり詳しくお話ししてきました。
長くなってしまいましたが、それだけ皆さんの安全にとって重要な設備だということですね。
結局のところ、どのタイプがあなたにとって最適解なのかは、お住まいの状況や防災に対する考え方、そしてご予算によって変わってきます。
- 持ち家にお住まいで、費用をかけてでも根本からしっかりと対策したい方は、やはり最も確実で信頼性の高い「分電盤タイプ」が一番のおすすめになります。
- 賃貸住宅にお住まいの方や、まずはできることから手軽に始めたいという方は、火災リスクの高い家電を狙って設置できる「コンセントタイプ」や、家全体をカバーできる「簡易タイプ」から導入を検討するのが現実的で、かつ非常に有効な第一歩となるでしょう。
地震は、残念ながらいつ、どこで起こるか誰にも予測できません。「そのうちやろう」と思っているうちに、”その日”が来てしまう可能性も十分にあります。
この記事を読んでくださったこの機会に、ぜひご家庭の防災対策の重要な柱の一つとして、耐震ブレーカーの設置を具体的に考えてみてはいかがでしょうか。
横浜・川崎・東京都南部エリアで業者をお探しの方へ
「うちの場合は、どのタイプが一番合っているんだろう?」「補助金の申請方法が、ホームページを見てもよく分からなくて…」「まずは見積もりだけお願いしたいんだけど…」
など、もし何か迷うことや分からないことがあれば、どんな些細なことでも構いませんので、遠慮なく私たちのような電気のプロにご相談ください。
横浜電気工事レスキューでは、お客様一人ひとりのご家庭の状況やご要望に真摯に耳を傾け、最適なご提案をすることを何よりも大切にしています。
お見積もりやご相談はもちろん無料ですので、どうぞお気軽にお声がけください。



