分電盤気密カバーは必要?効果と選び方をプロが解説

こんにちは。横浜市を拠点に活動しております、横浜電気工事レスキューの主任電気工事士「天谷(あまたに)富士夫」です。
ご自宅の分電盤が設置されている廊下や洗面所などで、なんだかスースーと隙間風を感じたり、特に冬場、その周辺だけがひんやりとした冷気に包まれているように感じたりしたことはありませんか?
「もしかして、この小さな隙間から虫が入ってくるんじゃないか…」「壁の中の見えないところで結露して、カビや腐食の原因になっていないかな?」といった、漠然とした不安をお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんね。実はそれ、気のせいではない可能性が高いんです。
そんなお悩みを解決するアイテムとして、今回ご紹介するのが「分電盤用気密カバー」です。
この記事では、そもそもその必要性はあるのか、後付けでDIYは可能なのか、ご家庭で多く使われているパナソニック製品などへの適合性、あるいは100円ショップのグッズでの代用は果たして安全なのか、そして法律との関係まで、皆さんが抱えるさまざまな疑問を取り上げます。
それぞれの疑問に、日頃から電気設備に触れているプロの視点から、分かりやすく、そして詳しくお答えしていきます。
この記事を最後までお読みいただければ、以下の点について深くご理解いただけるはずです。
記事のポイント
- なぜ分電盤に気密カバーが必要なのか、その本当の理由
- ご自宅の分電盤にぴったり合う気密カバーの正しい選び方と注意点
- 安全に配慮した気密カバーの取り付け方とDIYを成功させるコツ
- 専門業者に依頼する場合とDIYのメリット・デメリットを徹底比較
- 1. 分電盤の気密カバーが必要な理由と製品選び
- 1.1. そもそも気密カバーの必要性とは?
- 1.1.1. なぜ分電盤が気密性の弱点になるのか
- 1.1.2. 気密カバーがもたらす3つの重要な効果
- 1.2. パナソニックやナショナル製品の適合確認
- 1.2.1. 型番の確認が成功への第一歩
- 1.2.2. 型番確認時の重要な注意点
- 1.3. カバーのサイズ選定と最適な材質
- 1.3.1. 計測すべき重要な3つのポイント
- 1.3.2. 材質選びで重視すべきは「安全性」
- 1.4. 100均グッズをDIYで代用するアイデア
- 1.4.1. 安易なDIY代用が招く深刻なリスク
- 1.5. 隙間風・結露・害虫侵入への効果
- 1.6. 法律で定められた端子カバーの義務とは
- 1.6.1. 「気密カバー」と「端子カバー」の決定的な違い
- 2. 分電盤の気密カバー、正しい取り付け実践ガイド
- 2.1. 資格なしでOK?安全なカバーの外し方
- 2.1.1. 安全確保の手順
- 2.2. 後付けできる製品の取り付け方法を解説
- 2.2.1. 安全確保の手順
- 2.3. パテやテープを使った隙間埋めDIY
- 2.3.1. 気密テープ
- 2.3.2. エアコン配管用パテ
- 2.3.3. コーキング材
- 2.4. 業者依頼とDIYのメリット・デメリット
- 2.4.1. DIYで取り付ける場合
- 2.4.2. 専門業者に依頼する場合
- 2.5. 換気計画の不備が原因の場合も
- 2.5.1. 24時間換気システムと「負圧」の関係
- 2.6. 最適な分電盤の気密カバーを見つけよう
分電盤の気密カバーが必要な理由と製品選び

「たかが分電盤の小さな隙間くらい、気にしなくても大丈夫でしょう?」なんて思っていませんか?
実は、この見過ごされがちな小さな隙間が、住まいの快適性や省エネ性能、さらには建物の寿命にまで大きく影響を及ぼしていることがあるんです。
まずは、なぜ今、分電盤の気密カバーが重要視されているのか、その根本的な理由から丁寧に見ていきましょう。
そして、数ある製品の中からご自宅の分電盤にぴったりのものを見つけるための、具体的な選定ポイントも詳しく解説しますね。
そもそも気密カバーの必要性とは?

ここ十数年で、日本の住宅事情は大きく変わりました。そのキーワードが「高気密・高断熱」ですね。
これは、家の壁や窓の隙間をできる限りなくし(高気密)、壁の中に高性能な断熱材をしっかり入れる(高断熱)ことで、家全体を魔法瓶のような状態にする考え方です。
このおかげで、少ないエネルギーで夏は涼しく、冬は暖かく過ごせるようになり、省エネで快適な暮らしが実現できるようになったわけです。
しかし、そんな高性能な住宅にも、思わぬ「穴」、つまり気密性を損なう弱点が存在することがあります。その代表格の一つが、実はこの「分電盤」周りなんです。
なぜ分電盤が気密性の弱点になるのか
考えてみてください。分電盤は、家の外から引き込まれた電気を各部屋に分配する重要な設備です。
そのため、壁の中にたくさんの電気配線を通す必要があり、設置の際には壁に比較的大きな開口部、つまり穴を開けることになります。
そして、その開口部に分電盤本体をはめ込むのですが、どうしても本体と壁の石膏ボード、そして壁の内部(通気層や配線スペースなど)との間には、ミリ単位の細かな隙間が生まれてしまうんですね。
これが「気密層の欠損」と呼ばれる状態で、高気密住宅の性能を低下させる要因の一つになり得ます。この隙間が、以下のような様々な問題を引き起こす入口になってしまいます。
気密カバーがもたらす3つの重要な効果

隙間風の防止と省エネ性能の向上
壁の中を通り抜けてくる冷気や暖気の流入を抑えます。これにより、意図しない熱の出入り(熱損失)を減らせる場合があり、冷暖房効率の改善が期待できます。
住まいの条件によっては、結果として電気代の節約に繋がることもあります。
壁内結露の抑制と建物の長寿命化
特に冬場、室内の暖かく湿った空気がこの隙間から壁の内部に侵入し、外気に近い冷たい部分に触れると「壁内結露」が発生しやすくなります。
この結露は、断熱材を濡らしてカビを発生させたり、建物の柱や土台といった構造材を腐食させたりする深刻な原因にもなり得ます。
気密カバーは空気の流れを止めることで、このリスクを大幅に低減させる効果が期待できます。
害虫・ホコリ・臭いの侵入防止
ゴキブリの幼虫やアリといった小さな虫、あるいは壁の中の細かなホコリや、場合によっては外部の臭いなどは、ほんのわずかな隙間からでも室内に侵入してきます。
分電盤周りの隙間を物理的に塞ぐことで、衛生的でクリーンな室内環境を保つ手助けになります。
このように、分電盤の気密カバーは、単なる隙間埋めではありません。
住宅本来の性能を最大限に引き出し、快適で健康的、そして経済的な暮らしを長期的に維持するために、非常に重要な役割を担っている、というわけですね。
(参考:住宅の省エネルギー 設計と施工 2023|国土交通省)
パナソニックやナショナル製品の適合確認
さて、ご自宅の分電盤の扉を開けて、メーカー名を確認してみてください。多くの場合、「Panasonic(パナソニック)」あるいは、その前身である「National(ナショナル)」のロゴが見つかるのではないでしょうか。
国内シェアが非常に高いため、これらの製品が設置されているご家庭はとても多いかなと思います。
気密カバーを選ぶ上で、何よりも先にやるべき最も大切なことは、ご自宅に設置されている分電盤に適合する(取り付けられる)製品を正確に選ぶことです。
型番の確認が成功への第一歩

まずは、分電盤の扉をゆっくりと開けてみてください。カバーの内側や、ブレーカーが並んでいるあたりに、型番が記載されたシールが貼られているはずです。
「BQR85102」や「BHM85101」といった、アルファベットと数字が組み合わさった文字列ですね。
この型番こそが、あなたの家の分電盤の「名前」です。スマートフォンで写真を撮るか、メモに書き留めておきましょう。
この型番さえ分かれば、メーカーのウェブサイトや電設資材のオンラインストアなどで、対応部材(シリーズ別の化粧カバー・枠・パッキン類や、気密性を高めるための関連部材など)を探す手がかりになります。
例えばパナソニックの「スッキリパネル」や「コンパクト21」などはシリーズ展開があり、型番から適合部材を確認して選定するのが確実です。
純正品は、当然ながらサイズもネジ穴の位置もぴったりで、取り付け作業が非常にスムーズに進むことが多いので、迷ったら純正品を選ぶのが最も確実でおすすめですね。
型番確認時の重要な注意点
もし、ホコリなどで型番シールが読みにくくなっている場合も、無理に拭き取ろうとせず、見える範囲で確認するに留めましょう。
どうしても型番が見つからない、あるいは製品が古すぎて情報が見当たらない、という場合は、無理に探さず、私たちのような専門業者にご相談いただくのが最も安全で確実です。
もし純正品が見つからない、または廃盤になっている場合でも、諦める必要はありません。様々なメーカーから汎用品の気密カバーも市販されています。
その場合は、次の項目でご説明する「サイズの計測」が非常に重要になってきます。
カバーのサイズ選定と最適な材質
純正品ではなく汎用品のカバーを選ぶ際や、ご自身で何かを加工してDIYを検討する際に、絶対不可欠な作業が「正確なサイズ計測」です。
ここを疎かにすると、せっかく購入したカバーが無駄になってしまうこともありますので、慎重に行いましょう。
計測すべき重要な3つのポイント
メジャーを用意して、以下の3点を正確に測ってください。
分電盤本体の「タテ(高さ)」と「ヨコ(幅)」
分電盤のプラスチック本体部分の外寸を測ります。壁に埋め込まれているタイプ(半埋込型)の場合は、壁から露出している部分の寸法を基準にします。
分電盤の「フカサ(奥行き)」
壁面から分電盤の本体表面までが、どれくらい出っ張っているか(あるいは壁面より奥まっているか)を確認します。汎用カバーには、この奥行きに対応できる調整幅が設けられていることが多いです。
配線引き出し部分の位置と大きさ
分電盤の上部や下部から、壁の中へと繋がる太い配線(PF管やVVFケーブルの束)が出ている箇所があります。その位置、本数、そして配線が通っている開口部の大きさを確認しておきましょう。
カバーがこの配線に干渉しないか、配線を通すための切り欠き加工が十分な大きさかなどを判断する重要な材料になります。
これらの寸法をメモしておき、購入を検討している汎用カバーの仕様書(対応サイズ)と照らし合わせ、ご自宅の分電盤がその範囲内に収まっているかを必ず確認してください。
材質選びで重視すべきは「安全性」
市販されている専用の気密カバーは、そのほとんどが難燃性(または自己消火性)のABS樹脂などで作られています。これは非常に重要なポイントです。
分電盤は、多数の電気回路が集まる場所であり、通常の使用でもブレーカーなどが微量の熱を持つことがあります。
万が一、配線の接続不良や過負荷などで異常な熱が発生した場合でも、周辺の部材が燃えにくい材質であることは、火災を防ぐための絶対条件と言えます。
私たち現場のプロから見ても、樹脂製のカバーは軽量で加工がしやすく、電気を通さない絶縁性が高いという点でも、分電盤周りに使用する素材として非常に安心感があります。
100均グッズをDIYで代用するアイデア
「専用品は数千円もして高いし、100円ショップのアイテムをうまく組み合わせれば何とかならないかな?」…そう考える方もいらっしゃるかもしれませんね。
確かに、プラスチック製の書類ケースを加工したり、発泡スチロールの板や隙間テープを駆使したりして、見た目上は隙間を塞ぐことも不可能ではないかもしれません。
ですが、電気工事士という安全を第一に考える立場から言わせていただくと、分電盤周りのDIY、特に100均グッズなど、電気用途を想定していない材料での代用は、危険性が高いため全くおすすめできません。
安易なDIY代用が招く深刻なリスク

火災のリスク
前述の通り、分電盤は熱を持つ可能性がある設備です。100円ショップで手に入るプラスチック製品や発泡スチロール、両面テープなどは、そのほとんどが難燃性ではありません。
ブレーカーが発する熱でゆっくりと変形・劣化したり、最悪の場合、何らかの電気的トラブルによる熱が引火点となり、発火の原因になったりする危険性が否定できません。
漏電・感電のリスク
不慣れな加工でカッターの刃が滑り、内部の配線の被覆を傷つけてしまったら…?
それは漏電や、最悪の場合、感電といった重大な人身事故に直結する恐れがあります。また、金属を含む材料を不用意に使ってしまうことも大変危険です。
本来の効果が得られない可能性
見よう見まねで作ったカバーでは、プロが設計した製品のように確実な気密性を確保することは困難です。
結局、隙間が残ってしまい、期待していた隙間風や結露の防止効果がほとんど得られない、というケースも少なくありません。
わずかな材料費を節約するために、ご家族の安全や家全体の資産価値を危険にさらすのは、あまりにもリスクが高い選択だと私は思います。
分電盤は、ご家庭の電気系統を守る「心臓部」です。その周辺の安全対策は、ぜひ、安全性が十分に検証・確認された専用品をお使いいただきたいなと切に願います。
電気の過負荷や不適切な使用が招く発熱・焼損のリスクについては、以下の『電気の過負荷が招く発熱・焼損のリスク(たこ足配線の焼損事例)』の記事で、実際の事例を交えて解説しています。
隙間風・結露・害虫侵入への効果
これまで理論的なお話をしてきましたが、実際に気密カバーを取り付けたお客様からは、その効果を実感するお声を本当にたくさんいただきます。
例えば、「今まで冬になると廊下にある分電盤のあたりから冷気が降りてきて、ヒヤッとしていたのが全くなくなった」「分電盤のすぐ下で、夏場に小さな虫の死骸をよく見かけていたのに、設置後はパッタリ見なくなった」といった具体的な変化ですね。
特に、外気との温度差が激しくなりがちな北側の壁や、湿気がこもりやすい洗面所・脱衣所などに設置されている分電盤には、絶大な効果を発揮することが多いです。
取り付け後の冬を初めて越したお客様から、「こんなに違うものだとは思わなかった」と驚きのご連絡をいただくことも珍しくありません。
中でも、先ほど少し触れた「結露」への効果は非常に大きいです。目に見える窓の結露と違い、壁の中で発生する「壁内結露」は、気づかないうちに静かに建物を蝕んでいきます。
壁の中にあるグラスウールなどの断熱材を湿らせて断熱性能を著しく低下させ、カビの温床となり、アレルギーの原因物質を室内に放出する可能性もあります。
さらに水分は、家の構造を支える大切な柱や土台といった木材を腐らせ、シロアリを呼び寄せる原因にもなりかねません。
気密カバーで空気の通り道をシャットアウトすることは、単に快適性を高めるだけでなく、見えない部分で家の健康を守り、結果的に住まいを長持ちさせるための大切なメンテナンスでもあるんです。
法律で定められた端子カバーの義務とは
ここで一つ、お客様からご質問をいただく際に、よく混同されがちな重要なポイントについてお話ししておきたいと思います。
それは、「気密カバー」と「端子カバー」は、名前は似ていますが、目的も法的根拠も全くの別物だということです。
「気密カバー」と「端子カバー」の決定的な違い
端子カバー(充電部保護カバー)
これは、分電盤の内部にある、電気が常に流れている金属部分(端子やネジの頭)に、人の指などが誤って触れてしまうことを防ぐための「感電防止用」の保護カバーです。
分電盤の化粧扉を開けたときに見える、ブレーカーのスイッチ部分だけが露出している透明またはグレーのプラスチック板がこれにあたります。
端子などの充電部は、人が容易に触れない構造とすることが求められます(充電部の露出は、やむを得ない場合に限り、危険防止の措置が必要)。そのため、分電盤では端子カバー等による充電部保護が前提となります。
気密カバー
今回のテーマである、分電盤本体と壁の間に生じる隙間を塞ぎ、住宅の「気密性」を高めるためのカバーです。
こちらは、住まいの快適性や省エネ性能を向上させる目的で設置するものであり、法律上の設置義務は現在のところありません。
つまり、皆さんがDIYで触れる可能性があるのは、あくまでも外側の「気密カバー」や、一番表面の「化粧カバー」までです。
その内側にある「端子カバー」を取り外したり、内部の配線をいじったりする作業は、感電の危険を伴うため、私たち国家資格を持った電気工事士でなければ絶対に行ってはいけません。
この区別は、安全のために必ず覚えておいてくださいね。
分電盤の気密カバー、正しい取り付け実践ガイド
さて、ここからは、いよいよ実践編です。
気密カバーの必要性をご理解いただいた上で、「よし、うちも付けてみよう!」と思われた方のために、ご自身で取り付ける場合の具体的な手順や安全上の注意点、そして私たちプロに任せる場合のメリットなどを詳しく見ていきましょう。
どんな作業でもそうですが、特に電気設備の周りでは、安全第一で作業を進めることが何よりも大切ですよ。
資格なしでOK?安全なカバーの外し方

まず、皆さんが一番気にされる点だと思いますが、外側の部材(化粧カバーの着脱や、壁と分電盤の隙間を塞ぐための外装部材の取り付けなど)のうち、配線の接続・取り外し等の「電気工事」に当たらない範囲であれば、資格を要しない作業として扱われることが多いです。
ですので、DIYで作業を行うこと自体は可能です。ただし、作業を始める前には、必ず、絶対に、以下の安全確保の手順を踏んでください。これは、プロである私たちも現場で必ず行う基本中の基本です。
安全確保の手順
主幹ブレーカーを「切」にする
分電盤の中で一番大きい、通常は漏電表示ボタンなどが付いている「主幹ブレーカー(漏電ブレーカー)」のレバーを下に下げて「切(OFF)」にします。
これにより、家中の電気がすべて止まり、停電状態になります。
分岐ブレーカーもすべて「切」にする
念のため、各部屋のコンセントや照明につながる個別の「分岐ブレーカー(安全ブレーカー)」もすべて「切(OFF)」にしておくと、万が一の誤操作などを防ぐことができ、より安全性が高まります。
化粧カバーのネジを外す
分電盤の上下や四隅に、化粧カバーを固定しているネジがあります。ご家庭にあるプラスドライバーで、これらのネジを慎重に回して外します。
ネジをなくさないように、小さな容器などに入れておくと良いですね。
化粧カバーを外すと、先ほど説明した「端子カバー」が見える状態になります。
繰り返しになりますが、ここから先、内部の端子カバーを外したり、内部の配線や金属部分に工具や指で触れたりすることは絶対にしないでください。
主幹ブレーカーを切っていても、分電盤の一次側(引込線・メーター側)や一次側に近い部分は通電している場合があり、感電・短絡の危険が伴います。
DIYで触れてよいのは、あくまでも外装部材までに留め、内部の端子や金属部には近づかないでください。
後付けできる製品の取り付け方法を解説

市販されている後付け用の気密カバーは、専門家でなくても比較的簡単な手順で取り付けられるように工夫されています。
製品に付属している取扱説明書をよく確認するのが一番ですが、ここでは一般的な流れをご紹介します。
安全確保の手順
【ステップ1】安全確保の徹底
上記で解説した手順で、必ずブレーカーをすべて「切」にし、通電していない安全な状態にします。
【ステップ2】化粧カバーの取り外し
ドライバーを使って、化粧カバーを固定しているネジを外し、カバー本体を壁から慎重に取り外します。
【ステップ3】気密カバーの設置
購入した気密カバーを、分電盤本体と壁の隙間に差し込むようにして設置します。
多くの製品は、壁と接する部分にスポンジ状の柔らかいパッキンが付いており、これが圧縮されることで隙間を密閉する仕組みになっています。
【ステップ4】配線部分の処理
分電盤の上部や下部から出ている配線(ケーブルの束)が通る部分を、気密カバーの切り欠きやスリットに合わせます。
製品によっては、ご自宅の配線の状況に合わせて、カッターナイフなどで簡単に切り込みを広げられるようになっているものもあります。
加工する際は、絶対に内部の電線を傷つけないよう、細心の注意を払ってください。
【ステップ5】隙間の最終確認
カバー全体が壁と分電盤本体にしっかりと密着しているか、不自然に大きな隙間が残っていないかを、目で見て、手で軽く触れて確認します。
【ステップ6】化粧カバーの復旧と作業完了
元通りに化粧カバーを取り付け、ネジでしっかりと固定します。
最後に、すべての分岐ブレーカーを「入(ON)」にし、続いて主幹ブレーカーを「入(ON)」に戻して、家中の電気がつくことを確認したら作業完了です。
焦らず、一つひとつの手順を丁寧に行うことが、DIY成功の一番のコツですね。
パテやテープを使った隙間埋めDIY

専用の気密カバーを取り付けた後、さらに気密性を高めて完璧を期すなら、補助的にテープやパテを使って細かい隙間を丁寧に埋めていくのがおすすめです。
特に、壁が少しデコボコしていたり、配線の取り出し部分が複雑な形をしていたりする場合に有効です。
気密テープ
住宅の気密性を高めるために専門家も使用する、非常に粘着力が強く、伸縮性のあるテープです。
気密カバーと壁の接地面や、カバーのパーツ同士の合わせ目などにぐるっと一周貼り付けることで、わずかな空気の漏れも防ぐことができます。ホームセンターなどで手に入ります。
エアコン配管用パテ
粘土のような素材で、時間が経ってもカチカチに固まらない「不乾性」のものが使いやすいです。
配線が壁から出てくる根元の隙間など、テープが貼りにくい複雑な形状の場所を埋めるのに非常に便利です。必要な分だけちぎって、指で押し込むようにして隙間を埋めていきます。
コーキング材
見た目をより綺麗に、スッキリと仕上げたい場合は、シリコンや変成シリコンのコーキング材を使うのも一つの手です。
ただし、一度施工するとやり直しが難しく、マスキングテープでの養生など、作業には少し慣れと技術が必要かもしれません。
これらの補助的な作業を行う際も、大原則は同じです。通電している可能性のある部分には、材料や工具、そしてご自身の身体が絶対に触れない、近づけないという基本を、くれぐれも忘れないでくださいね。
業者依頼とDIYのメリット・デメリット

「自分でもできそうだけど、やっぱり不安…」「プロに頼んだ方が確実かな?」と、ご自身で作業するか、私たちのような専門業者に任せるか、悩むところだと思います。
それぞれのメリットとデメリットを客観的に比較できるようにまとめてみましたので、ご自身の状況に合わせて判断するための参考にしてください。
DIYで取り付ける場合
メリット
- 費用を安く抑えられる(材料費のみで済む)
- 自分の好きなタイミング、ペースで作業できる
- 家の構造に関心を持つきっかけになる
デメリット
- 感電や火災などの安全上のリスクがゼロではない
- うまく取り付けられず、十分な効果が出ない可能性
- 適合製品の選定やサイズの計測を自分で行う手間
- ドライバーなどの工具を自分で用意する必要がある
専門業者に依頼する場合
メリット
- 何よりも安全かつ確実に取り付けてくれる安心感
- 専門知識に基づき、最適な製品を選定してくれる
- 仕上がりが綺麗で、気密性も最大限に確保できる
- 分電盤の他の問題(老朽化など)もついでに相談できる
デメリット
- 費用がかかる(材料費+作業費)
- 業者との日程調整が必要になる
- どの業者に頼むか選ぶ手間がある
作業費の目安は、業者や作業内容によって様々ですが、気密カバーの取り付けだけであれば、出張費込みで数千円から1万円台前半といったところが一つの目安になるかなと思います。
もし、ご自宅の分電盤が設置から年数が経っていて、ブレーカーが頻繁に落ちる、異音・異臭がある、カバーの変色や割れがあるなどの兆候があれば、気密対策とあわせて点検・更新も検討しましょう。
なお、住宅用分電盤に使われる遮断器(ブレーカー)には「製造後13年」を更新推奨時期の目安として示す資料もあります。
(参考:「住宅用分電盤用遮断器の更新推奨時期に関する調査」報告書|JEMA(日本電機工業会))
分電盤やブレーカーの寿命や交換の目安については、以下の『漏電調査と分電盤交換で実現!築年数が経過した住宅の電気トラブルを解決』の施工記事もぜひ参考にしてください。
換気計画の不備が原因の場合も

これは少し専門的なお話になりますが、分電盤周りから感じる隙間風が、実は気密カバーの問題だけではなく、家全体の「換気計画」の不備によって引き起こされているケースも稀にあるんです。
24時間換気システムと「負圧」の関係
2003年(平成15年)7月1日施行のシックハウス対策により、住宅を含む建築物の居室には、原則として機械換気設備の設置が求められています(常時換気として運用されることが一般的です)。
このシステムは、給気口から外の新鮮な空気を取り入れ、トイレやお風呂の換気扇から室内の汚れた空気を計画的に排出することで、家中の空気をゆっくりと入れ替えています。
(参考:シックハウス対策について知っておこう(改正建築基準法)|国土交通省住宅局)
ところが、何らかの理由で「給気」よりも「排気」の力が強くなりすぎると、室内の気圧が外よりも低い「負圧」という状態になります。
掃除機がゴミを吸い込むのと同じ原理で、家は足りなくなった空気を補おうとして、想定外のあらゆる隙間から外気を猛烈に吸い込もうとします。
その結果、気密性の弱点である分電盤周りから、強い隙間風として感じられることがあるんです。
もし、気密カバーをしっかりと取り付けたにもかかわらず隙間風が全く改善されない、あるいは家のドアが開きにくい、換気扇を回すとヒューヒューと音がする、といった症状がある場合は、一度、住宅の換気システムが正しく機能しているか、給気口が塞がれていないかなどを点検してみるのも良いかもしれません。
最適な分電盤の気密カバーを見つけよう

分電盤の気密カバーは、ただの隙間埋めのアクセサリーではなく、現代の住宅の省エネ性能を高め、見えない結露から住まいを長持ちさせ、そして家族が健康で快適な暮らしを送るために非常に重要なアイテムだということが、お分かりいただけたかと思います。
横浜・川崎・東京都南部エリアで業者をお探しの方へ
DIYでの取り付けも、手順をしっかり守れば十分に可能ですが、分電盤はご家庭の電気のまさに心臓部です。
作業に少しでも不安を感じる方、どの製品を選べば良いか確信が持てないという方は、決して無理をせず、私たちのような電気工事のプロにご相談ください。
安全と確実性を手に入れるための、賢明な選択だと思います。
横浜電気工事レスキューでは、お客様のご自宅の分電盤の状況をしっかりと確認させていただいた上で、最適な製品のご提案から、綺麗で確実な取り付け工事まで、責任を持って対応させていただきます。
分電盤周りのことで何か気になることがありましたら、いつでもお気軽にご連絡くださいね。



