エアコンのコンセントを200Vに変更する工事費用を徹底解説

エアコンのコンセントを200Vに変更する工事費用を徹底解説
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「大きめのエアコンを設置したいけれど、自宅のコンセントが100Vで対応していない…」「エアコンのコンセントを200Vに変更したいけど、工事の費用はどれくらいかかるの?」「100Vから200Vへの変更って、具体的にどんな工事が必要で、相場はどの程度なのだろうか…」といった疑問をお持ちではないでしょうか。

エアコンのパワーアップや新規導入に伴い、200Vコンセントの必要性を感じる方は少なくありません。

しかし、エアコンのコンセントを200Vへ変更するとなると、事前に知っておきたいことは実に山積みです。例えば、以下のような項目について、あらかじめ確認しておく必要があります。

  • 200Vへ変更する際の工事費用はいくらか
  • 引き込み工事が必要になるのはどんなケースか
  • 東京電力や関西電力など電力会社との手続き
  • DIYで作業ができるのか、その可否
  • 賃貸マンションや2階への設置といった状況による違い
  • コンセントの増設・移設・撤去に関わる費用
  • 専用コンセントを設置する重要性
  • そして、気になる電気代への影響

また、工事をどこに頼むべきか、業者選びに失敗して後悔したくないという思いも強いことでしょう。

この記事では、そうしたエアコンのコンセントを200Vにするための工事費用に関するあらゆる疑問や不安を解消できるよう、網羅的に情報をまとめました。

この記事を読むことで、あなたは以下の点について理解を深めることができます。

記事のポイント

  • エアコンのコンセントを100Vから200Vへ変更する際の具体的な工事内容と費用相場
  • 自宅の状況に応じた適切な200V化工事の種類と、その際の注意点
  • 信頼できる業者の選び方と、工事を依頼する際の流れ
  • 賃貸物件や特殊な条件下での200Vコンセント設置に関するポイント

エアコンのコンセントを200Vに変更する工事費用の基本知識

このセクションでは、エアコンのコンセントを200Vに変更する際に知っておくべき基本的な費用や工事の概要について解説します。

具体的には以下の内容に触れていきます。

  • 変更費用は?
  • 費用相場を解説
  • エアコン専用コンセントの重要性
  • 増設工事の内容と費用
  • DIYは危険

変更費用は?

エアコンのコンセントを100Vから200Vに変更する際に「いくらかかりますか?」というご質問は非常に多く寄せられます。この変更にかかる費用は、ご自宅の電気設備の状況によって大きく変動するのが実情です。

最も簡単なケースでは、分電盤内の電圧切り替えとコンセント交換だけで済むため、数千円から1万円程度で対応可能な場合があります。これは、既に単相3線式という配線方式でご自宅に電気が供給されており、エアコン専用の回路も200Vに対応できる状態であることが前提となります。

しかしながら、多くの場合、もう少し複雑な作業が必要になることが考えられます。例えば、分電盤に200V対応のブレーカーがない場合は、ブレーカーの交換が必要となり、これには部品代と作業費が加算されます。

さらに、エアコンを設置したい場所に専用の配線がない場合は、分電盤から新たに配線を引き直す工事が発生し、この場合は1万円台後半から数万円の費用が見込まれます。

したがって、100Vから200Vへの変更費用を一概に述べることは難しく、まずは専門業者に現地調査を依頼し、正確な見積もりを取得することが大切です。

その際には、ご自宅の分電盤の状況や配線の状態などを確認してもらうことになります。

Information

ブレーカーが100V専用の場合でも、標準的な住宅であれば8,000〜15,000円ほどで済むことが大半です。20,000円を超えるのは、配線延長や分電盤の改修を伴うケースに限られる点も覚えておきましょう。

100Vから200Vへ変更の費用は?
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費用相場を解説

エアコンの200V化工事の費用相場は、前述の通り、ご自宅の電気設備の状況によって大きく異なります。ここでは、代表的な工事のケース別に費用相場の目安を解説します。

電圧切り替え・コンセント交換のみの場合

ご自宅が単相3線式で、かつエアコン専用回路のブレーカーが100V/200V兼用タイプ(2P2E型)であれば、この最も簡易的な工事で済みます。

主な作業は、分電盤内のブレーカーの電圧設定変更と、既存の100V用コンセントを200V用に交換する作業です。

この場合の費用相場は、おおよそ2,000円~8,000円程度です。コンセント部品代や作業員の出張費などによって多少変動します

ブレーカー交換が必要な場合

単相3線式でエアコン専用回路はあるものの、ブレーカーが100V専用タイプ(2P1E型)の場合、200V対応のブレーカー(2P2E型)に交換する必要があります。

この作業が加わると、費用相場は8,000円~20,000円程度になることが一般的です。ブレーカー本体の価格も費用に含まれます。

エアコン専用200V回路増設工事

ご自宅が単相3線式であっても、エアコン設置場所に専用回路がない場合や、既存回路が使用できない場合には、新たに200Vの専用回路を増設する工事が必要です。

分電盤に空きがあれば新しいブレーカーを設置し、そこからエアコン設置場所まで専用の配線を行い、200V用コンセントを新設します。

この場合の費用相場は、配線の距離や壁内隠蔽配線か露出配線かなどによって変わりますが、一般的に15,000円~30,000円程度が目安となります。

単相2線式から単相3線式への改修工事

ご自宅の電気引き込み方式が古い単相2線式の場合、200Vを使用するためには、電力会社への申請を伴う大規模な改修工事が必要です。

これには、屋外の引き込み線の変更、電力メーターの交換、幹線ケーブルの張り替え、分電盤の交換などが含まれます。

このケースの費用相場は最も高額で、10万円~20万円以上かかることも珍しくありません。正確な費用は必ず専門業者による詳細な見積もりが必要です。

Information

最近の実例では、幹線張り替え・分電盤交換を含め20〜30万円前後で見積もられることが多く、現場条件によっては30万円超となる場合もあります。

工事の種類主な条件費用相場の目安(税込)
電圧切り替え・コンセント交換のみ単相3線式、専用回路あり、100V/200V兼用ブレーカーあり2,000円~8,000円程度
上記に加え、ブレーカー交換が必要な場合単相3線式、専用回路あり、100V専用ブレーカー8,000円~20,000円程度
エアコン専用200V回路増設単相3線式、専用回路なし、分電盤に空きあり15,000円~30,000円程度
単相2線式から単相3線式への改修(幹線・分電盤交換含む)単相2線式100,000円~200,000円以上

これらの費用はあくまで目安であり、実際の工事費用は業者や現場の状況によって異なります。複数の業者から見積もりを取り、内容を比較検討することをお勧めします。

200V化工事の費用相場を解説
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エアコン専用コンセントの重要性

エアコンを安全かつ効率的に使用するためには、専用コンセントの設置が非常に大切です。なぜなら、エアコンは他の家電製品と比較して消費電力が格段に大きく、特に起動時には大きな電流が流れるからです。

もし、エアコンを他の家電製品と同じ回路のコンセント(いわゆるタコ足配線など)で使用してしまうと、いくつかの問題が生じる可能性があります。

第一に、回路全体の許容電流を超えてしまい、ブレーカーが頻繁に落ちる原因となります。これでは、快適にエアコンを使用することができません。

第二に、より深刻な問題として、配線やコンセント部分が過熱し、発火する危険性があります。

延長コードの使用も同様に危険で、エアコンのような大電力機器には絶対に使用すべきではありません。実際に、誤ったコンセントの使用による火災事故も報告されています。

民間規格である日本電気協会の「内線規程」においても、エアコンのような大型の電気機械器具には専用の分岐回路(専用コンセント)を設けることが推奨されています。

専用コンセントを設けることで、他の家電製品の影響を受けることなく安定した電力をエアコンに供給でき、機器本来の性能を最大限に引き出すことにも繋がります。

200Vエアコンを導入する際には、電圧の変更だけでなく、この専用コンセントが確保されているか、あるいは新たに設置する必要があるかを確認することが、安全確保と快適な使用のための第一歩と言えるでしょう。

もし専用コンセントがない場合は、必ず電気工事を依頼して設置するようにしてください。

Information

200Vエアコン用コンセントは JIS C 8303「2極接地極付 20 A 250 V エルバー形」が一般的です。プラグ形状が100V用と異なるため、誤接続の心配がありません。

エアコン専用コンセントの重要性
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増設工事の内容と費用

エアコンを新たに設置したい場所や、既存のコンセントがエアコン用ではない場合、専用のコンセントを増設する工事が必要になります。このコンセント増設工事は、基本的に分電盤からエアコン設置場所まで新しい専用配線を引く作業が伴います。

工事の主な流れとしては、まず分電盤にエアコン専用のブレーカーを取り付けます。分電盤に空きスペースがない場合は、分電盤自体の交換や補助的な盤の増設が必要になることもあります。

次に、そのブレーカーからエアコンを設置する壁まで電線を配線します。配線方法には、壁の内部を通す「隠蔽配線」と、壁の表面に配線モールなどを使って固定する「露出配線」があります。

隠蔽配線の方が仕上がりはすっきりしますが、壁の構造や材質によっては施工が難しかったり、追加費用が発生したりすることがあります。露出配線は比較的安価で施工も容易ですが、配線が見える形になります。

配線が完了したら、エアコン設置場所にコンセントを取り付けて接続します。コンセントの種類も、100V用と200V用では形状が異なるため、使用するエアコンに合ったものを選定します。

コンセント増設工事の費用は、配線の距離、配線方法(隠蔽か露出か)、壁の材質(穴あけの難易度)、分電盤の状況などによって変動します。

一般的には、15,000円から30,000円程度が目安とされていますが、これはあくまで標準的なケースです。例えば、分電盤からエアコン設置場所までの距離が非常に長い場合や、コンクリート壁への穴あけが必要な場合などは、追加費用が発生する可能性が高くなります。

Information

コンクリート壁への穴あけや、配線距離が20 mを超える場合、1 mあたり1,000円程度の延長加算がかかるのが一般的です。

工事を依頼する際には、事前に業者に現地調査をしてもらい、正確な見積もりを取ることが不可欠です。見積もり時には、配線ルートや工事内容についてもしっかりと説明を受け、納得した上で契約するようにしましょう。

コンセント増設工事の内容と費用
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DIYは危険

エアコンの200Vコンセント工事をご自身で行おうと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、これは非常に危険であり、絶対にお勧めできません。

電気工事、特にコンセントの設置や電圧の変更、配線工事などは、法律により「電気工事士」の国家資格を持つ人でなければ行ってはならないと定められています。

無資格者がDIYで電気工事を行うことには、主に二つの大きなリスクが伴います。

第一に、感電の危険性です。電気工事は高電圧を扱うため、誤った手順や知識不足は深刻な感電事故につながる可能性があります。最悪の場合、命に関わる事態も考えられます。

第二に、火災の危険性です。不適切な配線や接続は、漏電やショートを引き起こし、火災の原因となることがあります。見た目には問題なく工事が完了したように見えても、内部で接触不良などが起きていると、後々大きな事故につながる恐れがあるのです。

また、法律違反であるという点も忘れてはなりません。無資格での電気工事は電気工事士法に違反し、罰則の対象となる可能性があります。さらに、DIYで施工した箇所が原因で火災などの損害が発生した場合、火災保険が適用されないケースも考えられます。

200Vコンセント工事は、専門的な知識と技術、そして資格が必要な作業です。費用を抑えたいという気持ちは理解できますが、安全性と確実性を最優先し、必ず信頼できる資格を持った電気工事業者に依頼するようにしてください。

専門業者であれば、適切な方法で安全に工事を行い、万が一の際にも保証が期待できます。

Information

無資格で工事を行うと、電気工事士法第14条で「3 か月以下の懲役または3万円以下の罰金」が科される恐れがあります。

200Vコンセント工事のDIYは危険
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状況別エアコンコンセント200V化工事の費用と注意点

このセクションでは、ご自宅の状況や設置場所に応じたエアコンの200Vコンセント工事の費用と、その際の注意点について詳しく解説します。具体的には以下の内容に触れていきます。

  • 引き込み工事とは?東京電力・関西電力
  • 工事はどこに頼む?
  • 賃貸マンションでの注意点
  • 既存コンセントの撤去と費用
  • 導入後の電気代は?
  • エアコン コンセント 200V 工事 費用の総括

引き込み工事とは?東京電力や関西電力に連絡が必要?

ご自宅で200Vのエアコンを使用するためには、大前提として「単相3線式」という方式で電気が供給されている必要があります。

もし、ご自宅の電気引き込み方式が古い「単相2線式」の場合、そのままでは200Vの電気製品は使用できません。この単相2線式から単相3線式へ変更するために行われるのが「引き込み工事」と呼ばれるものです。

引き込み工事は、単に屋内の配線を変更するだけでは済みません。

電力会社の電柱からご自宅の建物へ電気を引き込む電線(引込線)自体を2芯のものから3芯のものに交換し、合わせて電力メーターも200V対応のもの(単相3線式用)に取り替える必要があります。

さらに、建物内部でも、引き込み点から分電盤までの主要な配線(幹線)を太いものに張り替え、分電盤自体も単相3線式対応のものに交換する大掛かりな工事となるのが一般的です。

この引き込み工事は、個人の電気工事業者だけでなく、東京電力パワーグリッド(関東エリア)や関西電力送配電(関西エリア)といった地域の電力会社の協力が不可欠です。

具体的には、工事を依頼した電気工事業者が電力会社へ設備変更の申請を行い、電力会社が引込線や電力メーターの交換作業を実施します。屋内側の幹線張替えや分電盤交換は電気工事業者が行います。

費用については、工事の規模が大きいため、10万円から20万円以上かかることも珍しくありません。工事期間も、電力会社への申請手続きや作業日程の調整などを含めると、数週間から1ヶ月程度要する場合もあります。

ご自宅が単相2線式かどうかは、分電盤のメインブレーカーに接続されている電線の本数(2本なら単相2線式、3本なら単相3線式の可能性が高い)などで確認できますが、正確な判断は専門業者に依頼するのが賢明です。

Information

戸建て住宅の引き込み線変更は、配線距離や電柱位置で30〜60万円に及ぶこともあります。必ず複数社で見積もり比較を行いましょう。

引き込み工事とは?東京電力・関西電力
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工事はどこに頼む?

エアコンの200Vコンセント工事を検討する際、どこに依頼すれば良いのかは重要なポイントです。適切な業者を選ぶことで、安全で確実な工事が期待でき、費用面でも納得のいく結果が得られやすくなります。

主な依頼先としては、以下のような選択肢が考えられます。

1. 電気工事業者・電気工事店

最も専門性が高いのは、地域で活動している電気工事業者や電気工事店です。電気工事士の資格を持つ技術者が直接対応してくれるため、専門的な知識と経験に基づいた適切なアドバイスや施工が期待できます。インターネットで検索したり、知人からの紹介などで見つけることができます。複数の業者から見積もりを取り、対応の丁寧さや実績、保証内容などを比較検討することが大切です。

2. 家電量販店

エアコン本体を家電量販店で購入する場合、同時に設置工事も依頼できます。量販店が提携している電気工事業者が実際の作業を行いますが、窓口が一括なので手続きが比較的簡単な点がメリットです。

ただし、工事費用が若干割高になる傾向があることや、下請け業者によって技術力にばらつきが出る可能性も考慮に入れる必要があります。

3. ハウスメーカー・リフォーム会社

新築やリフォームの際にエアコン設置を計画している場合は、ハウスメーカーやリフォーム会社にまとめて依頼することも可能です。

全体の設計や他の工事との連携がスムーズに進むメリットがありますが、こちらも下請けの電気工事業者が作業を行うため、中間マージンが発生し費用が高くなることがあります。

4. エアコン取り付け専門業者

エアコンの取り付けを専門に行っている業者も存在します。これらの業者は電気工事の資格も有している場合が多く、比較的リーズナブルな価格で対応してくれることがあります。

ただし、業者によって技術力や保証内容に差があるため、実績や口コミなどをよく確認することが求められます。

どこに頼むにしても、必ず事前に複数の業者から見積もりを取り、工事内容、費用、保証、アフターサービスなどを総合的に比較することが重要です。

また、電気工事士の資格の有無や、万が一の事故に備えた損害賠償保険への加入状況なども確認しておくと、より安心して任せることができるでしょう。

エアコン200V工事はどこに頼む?
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賃貸マンションでの注意点

賃貸マンションやアパートにお住まいの場合、エアコンの200Vコンセント工事を行うには、持ち家とは異なる特別な注意が必要です。勝手に工事を進めてしまうと、後で大きなトラブルに発展する可能性があるため、慎重な対応が求められます。

最も重要なのは、工事を行う前に必ず大家さんまたは物件の管理会社に相談し、書面などで明確な許可を得ることです。エアコンのコンセント工事は、壁に穴を開けたり、既存の電気設備に変更を加えたりする可能性があるため、建物の所有者や管理者の承諾なしには行えません。

無許可で工事を行った場合、賃貸借契約違反とみなされ、退去時に高額な原状回復費用を請求されたり、損害賠償問題に発展したりするリスクがあります。

許可を得る際には、以下の点を確認し、取り決めておくことが大切です。

工事内容の具体的な説明
どのような工事が必要なのか(電圧変更のみか、配線工事や分電盤工事も伴うのかなど)を、工事業者からの見積もりや説明に基づいて具体的に伝えます。
費用負担の明確化
工事にかかる費用を誰が負担するのか(入居者負担か、大家さん負担か)を事前に協議します。一般的には入居者負担となるケースが多いですが、交渉の余地がある場合もあります。
原状回復義務の範囲と方法
退去時に、設置した200Vコンセントや配線をどのように処理する必要があるのか(元の状態に戻す必要があるのか、そのままで良いのか)を、書面などで確認しておきます。原状回復が必要な場合の費用負担についても明確にしておきましょう。

もし、大家さんや管理会社から工事の許可が得られない場合は、200Vエアコンの設置は諦めざるを得ないこともあります。

その場合の代替案としては、工事不要な窓用エアコンやポータブルクーラーの利用が考えられますが、これらも設置の可否や注意点について管理規約などを確認した方が良いでしょう。

いずれにしても、賃貸物件での設備変更は、自己判断せず、必ず事前に貸主側の意向を確認することがトラブル回避の鍵となります。

賃貸マンションでの200V工事注意点
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既存コンセントの撤去と費用

エアコンの200V化工事を行う際、状況によっては既存の100Vコンセントを撤去する必要が出てくることがあります。例えば、同じ位置に新しい200Vコンセントを設置する場合や、配線経路の変更に伴い旧コンセントが不要になる場合などです。

既存コンセントの撤去作業自体は、それほど複雑なものではありません。基本的には、まず安全のために該当する回路のブレーカーを落とし、コンセントカバーと本体を取り外します。

その後、接続されている電線を外し、電線の先端を絶縁処理して壁内に収めるか、あるいは配線自体を分電盤まで撤去します。壁に残った開口部は、通常、メクラプレートと呼ばれる目隠し用のカバーで塞ぎます。

撤去にかかる費用は、単独で依頼するか、他の電気工事と同時に行うかによって変わってきます。

コンセントの撤去のみを単独で業者に依頼する場合、作業費と出張費などで数千円から1万円程度の費用がかかることが考えられます。これは、小規模な作業であっても、業者が現地に赴くためのコストが発生するためです。

一方で、200Vへの電圧変更や専用回路増設工事など、他の電気工事と同時にコンセント撤去を行う場合は、全体の工事費用に含まれたり、比較的安価な追加料金で対応してもらえたりすることが多いです。

そのため、必要な工事はまとめて依頼する方が、トータルコストを抑えられる可能性があります。

ただし、古い建物などで配線が劣化している場合や、撤去作業が困難な特殊な状況では、追加の費用が発生することもあり得ます。

また、撤去した配線を分電盤まで完全に撤去するか、壁内で絶縁処理するだけかによっても、作業内容と費用が若干異なる場合があります。

いずれにしても、コンセントの撤去が必要になる場合は、事前に工事業者に見積もりを依頼し、作業内容と費用について確認しておくことが大切です。安全な作業のためにも、撤去工事も必ず専門の電気工事業者に依頼しましょう。

既存コンセントの撤去と費用
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導入後の電気代は?

200Vエアコンを導入すると電気代が高くなるのではないかと心配される方がいらっしゃいますが、一概にそうとは言えません。

むしろ、使い方や状況によっては、100Vエアコンよりも効率が良く、結果的に電気代が抑えられる可能性もあります。

電気代を考える上で重要なのは、電圧(V)そのものではなく、実際に消費される電力量(kWh)です。200Vエアコンは100Vエアコンに比べて、同じ時間でより大きなパワーを出すことができます。

これは、電圧が高い分、少ない電流で同じ仕事ができるため、電線での電力損失が少なく、効率が良いとされる理由の一つです。

例えば、広い部屋を急速に冷やしたり暖めたりする場合、200Vエアコンは短時間で設定温度に到達できるため、フルパワーで稼働する時間が短くて済みます。

結果として、トータルの消費電力量が100Vエアコンよりも少なくなることがあります。

ただし、電気代に影響する要素は電圧だけではありません。以下の点も考慮する必要があります。

エアコン本体の省エネ性能(APF)
APF(通年エネルギー消費効率)は、1年間エアコンを使用した際の消費電力1kWhあたりの冷暖房能力を示した値で、この数値が高いほど省エネ性能が高いと言えます。
200Vエアコンでも100Vエアコンでも、APFの高い機種を選ぶことが電気代節約の基本です。
契約アンペア数と基本料金
200Vエアコンは大きな電力を必要とするため、電力会社との契約アンペア数が低い場合(例: 20Aや30A)、アンペア数を上げる必要があります。
契約アンペア数を上げると、月々の電気料金の基本料金が上昇する可能性があります。この基本料金の増加分もトータルコストとして考慮に入れるべきでしょう。
例として東京電力の従量電灯Bの場合、契約を30 A→40 Aに変更すると基本料金が935円25銭 → 1,247円00銭(+311円75銭/月)になります。
部屋の広さや断熱性
部屋の広さに対して能力が過大なエアコンを選んでしまうと、かえって電力の無駄遣いになることがあります。また、建物の断熱性が低いと、エアコンの効率も低下します。

総合的に見ると、適切な容量の200Vエアコンを高効率な機種で選び、建物の断熱性も考慮すれば、必ずしも電気代が高くなるとは限りません。

むしろ、パワフルな運転による快適性と、場合によっては電気代の抑制も期待できると言えるでしょう。導入前には、これらの要素を総合的に検討することが大切です。

200Vエアコン導入後の電気代は?
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エアコンコンセントの200V化工事費用の総括

ここまで、エアコンのコンセントを200Vに交換する際の工事費用や関連情報について詳しく見てきました。最後に、この記事の重要なポイントをまとめます。

  • 200V化工事の費用は自宅の電気設備状況で大きく変動する
  • 最も安価なのは電圧切り替えとコンセント交換のみのケース
  • 専用回路がない場合は増設工事が必要で費用が上がる
  • 単相2線式の場合は大規模な引き込み工事と高額な費用が発生する
  • 費用相場は数千円から20万円以上と幅広いため見積もりが不可欠
  • エアコンには安全と性能維持のため専用コンセントが強く推奨される
  • コンセント増設は分電盤からの配線工事が伴う
  • 200Vコンセント工事のDIYは法律違反であり大変危険
  • 引き込み工事には電力会社(東京電力・関西電力など)への申請と連携が必要
  • 工事の依頼先は電気工事業者、家電量販店などがある
  • 業者選びは資格、実績、見積もり、保証を比較検討することが大切
  • 賃貸物件での工事は必ず大家や管理会社の事前許可が必要
  • 既存コンセントの撤去費用は他工事と同時なら割安な場合がある
  • 200Vエアコンの電気代は機種や使い方次第で100Vより高くなるとは限らない
  • 信頼できる専門業者に相談し、安全で確実な工事を行うことが最も重要