トイレの漏電ランプが消えない原因と対処法|プロが解説

トイレの漏電ランプが消えない原因と対処法|プロが解説

トイレの漏電ランプが消えない状況に、不安や戸惑いを感じていませんか。保護プラグが点灯したままでは、ウォシュレットやシャワートイレが使えず不便ですし、何が原因なのか、このまま放置して重大な事故につながらないかと心配になるのは当然です。

「もしかしたらブレーカーが落ちるのではないか?」「簡単なリセット方法は?」あるいは、「漏電遮断器とは一体何なのか?」といった疑問が次々と浮かんでくるかもしれません。

TOTO、LIXIL(INAX)、パナソニック といった主要メーカーの製品でこの問題に直面した際、自分で安全にテストできることはあるのか、それともすぐに業者を手配すべきか判断に迷うこともあるでしょう。

また、修理や交換にかかる費用、信頼できる業者の選び方、そして賃貸マンションに住んでいる場合の特別な注意点など、考えるべきことは多岐にわたります。

この記事では、そうした皆様のあらゆる疑問や不安を解消するため、根本的な原因から具体的な解決策まで、網羅的に解説していきます。

記事のポイント

  • 漏電ランプが点灯する主な原因
  • ご自身で安全に試せる初期対応とリセット方法
  • 専門業者に依頼すべき状況の見極め方
  • 修理や交換にかかる費用相場と賃貸物件での注意点

    トイレの漏電ランプが消えない原因と対処法

    • 考えられる主な原因
    • 保護プラグが点灯したらまず確認すること
    • ブレーカーが落ちる場合のチェック項目
    • 自分でできる簡単なリセット方法は?
    • ウォシュレットやシャワートイレの漏電テスト

      考えられる主な原因

      トイレの漏電ランプが点灯する最も一般的な原因は、温水洗浄便座の本体内部にある電子部品の故障や、湿気・水分の侵入によるものです。

      温水洗浄便座は、トイレという常に湿度が高く水気に触れる可能性がある場所で使用される電化製品です。そのため、長年の使用による経年劣化は避けられません。

      具体的には、内部の電子基板が故障したり、ヒーターやモーターといった部品へ繋がる配線が劣化・断線したりすることが考えられます。

      また、掃除の際に便座に直接水をかけたり、不適切な洗剤を使用したりすることで、内部に水分が浸透し、電気回路がショートすることも原因の一つです。

      さらに、便座本体や給水ホースの接続部から微量の水漏れが発生し、その水が内部の電気部品に影響を及ぼしている可能性も否定できません。

      これらのことから、漏電ランプの点灯は単なる表示エラーではなく、製品内部で何らかの物理的な問題が発生していることを示す重要な安全信号であると認識することが大切です。

      考えられる主な原因
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      保護プラグが点灯したらまず確認すること

      電源プラグに付いている漏電保護プラグのランプが赤く点灯している場合、それは製品が漏電を検知し、安全のために本体への電力供給を自動的に遮断した状態を示しています。

      このランプが点灯したら、慌てずにまずは電源プラグそのものと、コンセント周りの状態を確認してください。

      最初にチェックすべきは、コンセント周りにホコリが溜まっていないか、また水気がないかという点です。

      ホコリが湿気を吸うと、プラグの刃の間で電気が流れて発火する「トラッキング現象」を引き起こす可能性があり、大変危険です。もしホコリや汚れがあれば、必ず乾いた布で清掃しましょう。

      次に、電源プラグがコンセントにしっかりと奥まで差し込まれているかを確認します。

      差し込みが甘いと接触不良を起こし、正常に動作しないことがあります。一度プラグを抜き、再度しっかりと差し込んでみることも有効な場合があります。

      ただし、これらの確認作業は、必ず乾いた手で行うことを徹底してください。

      保護プラグが点灯したらまず確認すること
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      ブレーカーが落ちる場合のチェック項目

      温水洗浄便座のプラグをコンセントに差した瞬間に、ご家庭の分電盤にある漏電ブレーカーが落ちる(切れる)場合は、便座本体が漏電している可能性が非常に高いと言えます。

      このような状況では、まず問題の切り分けを行うことが有効です。一度、温水洗浄便座の電源プラグをコンセントから抜いてください。

      その状態で、分電盤のブレーカーを「入」に戻します。もし、便座のプラグを抜いた状態であればブレーカーが落ちないのであれば、原因はほぼ温水洗浄便座本体にあると特定できます。

      一方で、便座のプラグを抜いてもブレーカーが落ちる、あるいは他の家電製品を使用した際に落ちる場合は、トイレの電気回路や家屋全体の配線に問題がある可能性が考えられます。

      その際は、ご自身で対処しようとせず、速やかに電気工事業者などの専門家へ相談することが必要です。

      ブレーカーが落ちる場合のチェック項目
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      自分でできる簡単なリセット方法は?

      漏電ランプが点灯した場合に試せる最も簡単な初期対応が、漏電保護プラグのリセットです。

      ただし、これはあくまで一時的な不具合かどうかを確認するための診断テストであり、根本的な解決策ではないことを理解しておく必要があります。

      安全なリセット手順

      1. まず、温水洗浄便座の電源プラグをコンセントから抜きます。
      2. 内部のコンデンサなどに蓄えられた電気を放電させるため、10秒から15秒ほど待ちます。
      3. 再度、電源プラグをコンセントにしっかりと差し込みます。
      4. プラグ本体にある「リセット」または「入」と書かれたボタンを、一度だけ「カチッ」と音がするまで押します。

      この操作で漏電ランプが消え、電源ランプが正常に点灯すれば、落雷などによる一時的な電力サージで安全装置が作動しただけの可能性があります。

      しかし、リセットしてもすぐにランプが再点灯する場合や、点滅する場合は、内部に恒久的な故障がある証拠です。

      何度もリセットを繰り返すことは、安全装置を無効化しようとする危険な行為であり、火災や感電のリスクを高めるため絶対にやめてください。一度のリセットで復旧しない場合は、直ちに専門家へ相談しましょう。

      自分でできる簡単なリセット方法は?
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      ウォシュレットやシャワートイレの漏電テスト

      多くの温水洗浄便座の電源プラグには、漏電保護機能が正常に作動するかを確認するための「テストボタン」が備わっています。

      この機能は、万が一の事態に備えて、安全装置が正しく働くかを定期的に点検するためにあります。

      月に一度程度の頻度で、このテストを行うことが推奨されています。

      Information

      TOTO/Panasonic 「月1回」を推奨

      漏電テストの実施方法

      1. 電源プラグがコンセントに差さっていることを確認します。
      2. プラグ本体にある「テスト」または「切」と書かれたボタンを押します。
      3. 正常であれば、カチッという音と共に電源が切れ、漏電ランプが点灯します。これが、漏電を検知して遮断する動作を擬似的に行った状態です。
      4. その後、「リセット」または「入」ボタンを押して、漏電ランプが消え、電源が復旧することを確認します。

      このテストを行っても漏電ランプが点灯しない、あるいはリセットしても復旧しない場合は、漏電保護プラグ自体が故障している可能性があります。

      この安全機能が働かない状態で使用を続けることは非常に危険なため、速やかに使用を中止し、点検・修理を依頼してください。

      ウォシュレットやシャワートイレの漏電テスト
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      トイレの漏電ランプが消えない時の専門的解決策

      • 漏電遮断器とは?その仕組みと役割
      • TOTOやINAX、パナソニックなどメーカー別の注意点
      • 賃貸マンションでの正しい対応手順
      • 放置は危険!火災など重大な事故の恐れ
      • 修理か交換かの判断と費用の目安
      • 信頼できる業者の選び方
      • まとめ:トイレの漏電ランプが消えない時の全知識

      漏電遮断器とは?その仕組みと役割

      漏電遮断器は、電気が本来の回路から漏れ出している状態(漏電)を検知した際に、自動的に電気を遮断して火災や感電事故を防ぐための重要な安全装置です。温水洗浄便座の場合、この機能は主に二箇所に備わっています。

      一つは、前述の通り、製品の電源プラグに内蔵されている「漏電保護プラグ」です。これは、その製品自体で発生した漏電を検知し、局所的に電源を遮断する役割を持ちます。

      もう一つは、ご家庭の分電盤に設置されている「漏電ブレーカー」です。

      これは、家全体の電気回路を監視しており、温水洗浄便座に限らず、家の中のどこかで漏電が発生した場合に作動し、家全体または特定の回路の電気を遮断します。

      つまり、この二重の安全装置によって、私たちは守られているのです。

      漏電ランプの点灯は、このうちの少なくとも一つ、製品側の安全装置が「危険を検知して正しく作動した」という証拠であり、決して無視してはならない警告と言えます。

      漏電遮断器とは?その仕組みと役割
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      TOTOやINAX、パナソニックなどメーカー別の注意点

      基本的な漏電時の対応はどのメーカーでも共通していますが、ランプの表示パターンや製品の仕様には若干の違いがあります。

      TOTOやLIXIL(INAX)の一部のモデルでは、漏電とは別に、長期間の使用(約10年)をお知らせするための「点検ランプ」が点灯または点滅することがあります。

      これは故障ではなく、安全のためにメーカーによる点検を推奨するサインです。漏電ランプと見間違えないよう、取扱説明書でランプの位置や意味を確認することが大切です。

      パナソニックの製品では、赤い「漏電テストランプ」の点灯・点滅は、他のエラー表示とは一線を画す、最も危険度が高いサインと位置づけられています。

      見つけ次第、即座に使用を中止し、プラグを抜くことが求められます。

      また、各メーカーとも、製品の製造終了後、修理に必要な補修用性能部品の保有期間を約7年~10年と定めています。

      そのため、長年使用した製品の場合は、修理を依頼しても部品がなく対応できないケースがあることも念頭に置いておく必要があります。

      Information

      補修用性能部品の最低保有期間はメーカーにより TOTO 6年/Panasonic 6年/LIXIL(シートタイプ 12年・一体型/タンクレス 15年)と幅があります。一律ではないため購入時に必ず確認しましょう。

      TOTOやINAX、パナソニックなどメーカー別の注意点
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      賃貸マンションでの正しい対応手順

      賃貸マンションやアパートで温水洗浄便座の漏電ランプが点灯した場合、ご自身の判断で勝手に修理業者を手配するのは避けるべきです。

      対応を誤ると、本来大家さん(貸主)が負担すべき修理費用を自己負担しなければならなくなる可能性があります。

      賃貸物件での行動原則

      1. 管理会社または大家さんへ連絡
        まずは、漏電ランプが点灯している状況を、物件の管理会社または大家さんに速やかに報告します。これは入居者の義務でもあります。
      2. 指示を待つ
        連絡後、修理業者の手配など、その後の対応は貸主側の指示に従います。貸主が指定する業者を手配するのが一般的です。

      費用負担については、温水洗浄便座が入居時からの「設備」として設置されていたものであれば、経年劣化による故障の修理・交換費用は原則として貸主の負担となります。

      しかし、ご自身で後から設置したものや、誤った使用方法で故障させた場合は、借主の負担となるため注意が必要です。いずれにしても、まずは報告・相談することがトラブル回避の鍵となります。

      賃貸マンションでの正しい対応手順
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      放置は危険!火災など重大な事故の恐れ

      漏電ランプの点灯を「ただ動かないだけ」と軽視し、放置することは極めて危険です。独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)の報告によれば、温水洗浄便座が原因となる火災事故は実際に発生しています。

      漏電しているということは、製品内部で電気がショートしている、あるいはショートしかけている状態です。

      この状態で無理に使用を続けようとすると、内部の部品が異常発熱し、プラスチック製の筐体が溶け、最悪の場合は発煙・発火に至る恐れがあります。

      特に、製造から10年以上経過した製品は、内部部品の劣化が進行しているため、事故のリスクが著しく高まります。

      洗浄ノズルが出たまま戻らない、異音がするといった機械的な不具合を放置した結果、電気系統に過負荷がかかり火災に至った事例も報告されています。

      漏電ランプは、そうした重大な事故を未然に防ぐための最後の警告です。この警告を真摯に受け止め、直ちに使用を中止し、安全を最優先に行動することが何よりも大切です。

      放置は危険!火災など重大な事故の恐れ
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      修理か交換かの判断と費用の目安

      漏電ランプが点灯し、内部の故障が確定した場合、「修理する」か「新品に交換する」かを選択することになります。この判断は、主に使用年数と修理費用のバランスで考えるのが合理的です。

      一般的に、温水洗浄便座の設計上の寿命(耐用年数)は7年~10年とされています。

      もしお使いの製品がこの年数を超えている場合、たとえ一箇所を修理しても、すぐに別の部品が劣化して故障する「いたちごっこ」に陥る可能性があります。

      一方で、新品の温水洗浄便座は、基本的な機能を持つモデルであれば1万円台後半から購入可能です。

      高額な修理費用を払うのであれば、省エネ性能や衛生機能が向上した最新モデルに交換した方が、長期的に見て経済的かつ快適になるケースも少なくありません。

      故障内容修理費用の目安(出張費・技術料込み)判断のポイント
      制御基板の交換20,000円 ~ 40,000円修理費用が高額。使用年数が7年以上なら交換が推奨される。
      ノズルユニットの交換17,000円 ~ 60,000円機種により費用が大きく変動。新品価格と比較検討が必要。
      ヒーター・温度センサー19,000円 ~ 45,000円使用年数が浅ければ修理も選択肢だが、高年式なら交換が有利。
      本体からの水漏れ3,500円 ~ 21,000円軽微なパッキン交換なら安価だが、内部部品が原因なら高額に。

      使用年数が7年以上、または修理費用が新品購入価格の50%を超える場合は、新品への交換を強く推奨します。

      修理か交換かの判断と費用の目安
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      信頼できる業者の選び方

      修理や交換を依頼する際、信頼できる業者を選ぶことは、適正な価格で確実な作業を行ってもらうために不可欠です。

      まず、メーカーのサービスセンターは、純正部品による修理や製品知識の豊富さから最も信頼性が高い選択肢です。保証期間内であれば、迷わずメーカーに連絡しましょう。

      保証期間が過ぎている場合は、お住まいの地域の「水道局指定工事店」も有力な選択肢です。

      これらは自治体から認定を受けた事業者であり、一定の技術水準と信頼性が担保されています。ウェブサイトなどで「水道局指定工事店(指定番号:第〇〇号)」といった表記があるか確認すると良いでしょう。

      また、お住まいのエリアで迅速な対応を期待するなら、地域に根差した電気工事の専門業者に相談するのも一つの有効な方法です。

      例えば、横浜市やその周辺地域でお困りでしたら、私たち「横浜電気工事レスキュー」でも、漏電原因の詳細な調査から最新の温水洗浄便座への交換まで、国家資格を持つ経験豊富なスタッフが迅速に対応いたします。

      地域密着だからこそ可能な、お客様一人ひとりの状況に合わせた柔軟なご提案が強みです。

      業者を選ぶ際は、必ず作業前に料金の内訳が明記された詳細な見積もりを提示してもらい、内容について丁寧に説明を求めることが大切です。

      電話口で料金を尋ねても「見てみないとわからない」の一点張りで料金体系を説明しようとしない業者や、「今すぐやらないと危険だ」と過度に不安を煽る業者は避けるのが賢明です。

      複数の業者から見積もりを取る「相見積もり」も、不当な高額請求を避けるために有効な手段となります。

      信頼できる業者の選び方
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      まとめ:トイレ漏電ランプが消えない時の全知識

      この記事では、トイレの漏電ランプが消えない問題について、その原因から安全な対処法、修理・交換の判断基準までを解説しました。最後に、重要なポイントをまとめます。

      • 漏電ランプの点灯は重大な故障や危険を示す安全信号
      • 原因の多くは経年劣化による内部部品の故障や水分の侵入
      • 最初に確認するのはコンセント周りのホコリや水気
      • プラグを抜き差しするリセットは一度きりの診断テストと心得る
      • リセットを繰り返す行為は火災や感電のリスクを高め危険
      • プラグを差してブレーカーが落ちるなら本体の漏電が濃厚
      • 月に一度は電源プラグのテストボタンで安全機能を確認する
      • 放置は火災などの重大事故につながる可能性があるため厳禁
      • 使用年数が7年以上なら新品への交換を検討するのが合理的
      • 修理費用が新品価格の半分を超える場合も交換が推奨される
      • 賃貸物件ではまず管理会社や大家さんへ報告・相談する
      • 勝手な業者手配は費用トラブルの原因になるため避ける
      • 修理依頼先はメーカーや水道局指定工事店が信頼できる
      • 作業前には必ず詳細な見積もりを提示してもらう
      • 相見積もりを取ることで不当な高額請求を回避できる