オール電化住宅で60Aのブレーカーが落ちる?原因と解決策を解説

オール電化住宅で60Aのブレーカーが落ちる?原因と解決策を解説
目次

オール電化の住宅で60Aの契約をしているのに、頻繁にブレーカーが落ちるという問題にお悩みではありませんか?。

特に、そんなに使っていないのに、あるいはいつもと同じように電気を使っているだけなのに突然電気が使えなくなると、本当に困りますよね。

この問題の背景には、単純な電気の使いすぎだけでなく、ご家庭の電力需要が契約アンペア数に対して足りるか足りないかという根本的な不一致や、見過ごされがちな漏電といった原因が隠れていることもあります。

この記事では、オール電化60Aでブレーカーが落ちるさまざまな原因を深掘りし、許容電流の考え方から、「エアコン」「電気温水器」「IHクッキングヒーター」さらには、「電気自動車の充電」といった高消費電力の家電が与える影響まで詳しく解説します。

また、ご家庭の状況に応じて60Aという契約がどれくらいの世帯に適しているのか、契約アンペアの変更を検討すべきか、そして60Aから100Aへ変更した場合の基本料金や電気代の違いについても明らかにします。

さらに、実際にブレーカーが落ちた際の正しい復旧方法から、契約変更時の注意点まで、あなたの疑問を解消するための情報を網羅的にお届けします。

記事のポイント

  • オール電化60Aでブレーカーが落ちる複数の原因
  • 現在の契約アンペア数が自宅に適しているかの判断基準
  • 契約アンペアを変更する具体的な手順と料金
  • 快適なオール電化生活を送るための実践的な節電術

オール電化住宅の60Aでブレーカー落ちる主な原因とは

  • ブレーカーが落ちる根本的な原因
  • そんなに使ってないのにいつもと同じなのに落ちる理由
  • エアコンやIH、電気自動車の充電は要注意
  • 許容電流を超えた電力使用
  • 危険なサインでもある漏電の可能性

ブレーカーが落ちる根本的な原因

オール電化住宅でブレーカーが落ちる根本的な原因は、大きく分けて2つ考えられます。

一つ目は「電力の使いすぎ(過負荷)」であり、これが最も一般的な理由です。そして二つ目は、「漏電やショートといった電気回路のトラブル」です。

まず、電力の使いすぎについてですが、これは家庭内で同時に使用している電化製品の消費電力の合計が、電力会社との契約アンペア数(この場合は60A)を超えてしまった場合に発生します。

オール電化住宅は、給湯や調理も電気でまかなうため、ガス併用住宅に比べて電力消費が大きい傾向にあります。特に、複数の高消費電力機器が同時に稼働する時間帯は、契約アンペアの上限に達しやすくなります。

一方、電気回路のトラブルも無視できない原因です。漏電とは、電気が本来の通り道から漏れ出している状態で、感電や火災につながる非常に危険な状態を指します。

漏電ブレーカーは、この異常を検知して電気を遮断するために設置されています。また、ショート(短絡)は、電線の被覆が傷つくなどして内部の銅線同士が接触し、瞬間的に大電流が流れる現象です。

こちらは安全ブレーカーが作動して回路を保護します。

このように、ブレーカーが落ちると一括りに言っても、その背景には契約容量の問題から、安全に関わる深刻なトラブルまで、異なる性質の原因が存在するのです。

どちらの原因でブレーカーが落ちたのかを正しく見極めることが、適切な対処への第一歩となります。

ブレーカーが落ちる根本的な原因
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そんなに使ってないのにいつもと同じなのに落ちる理由

「特に電気を使いすぎたつもりはない」「いつもと同じように生活していただけなのに」と感じているにもかかわらずブレーカーが落ちる場合、いくつかの要因が考えられます。

一見すると不可解なこの現象は、多くの場合、自覚していない「隠れた電力消費」や「環境の変化」が引き金となっています。

隠れた電力消費の正体

一つ目の理由として、スタンバイ電力(待機電力)や、特定の条件下で稼働する機器の存在が挙げられます。

例えば、大型のテレビやオーディオ機器は、電源がオフの状態でも意外と電力を消費していることがあります。

また、エコキュートや電気温水器は、お湯の残量が少なくなると、日中の電気料金が高い時間帯でも自動で「沸き増し」運転を開始することがあります。

この沸き増し運転が、電子レンジやエアコンの使用と重なった瞬間に、合計の消費電力が契約アンペアを超えてしまうケースは少なくありません。

季節や天候による影響

二つ目の理由として、季節的な要因が挙げられます。特に冬場は、エアコン(暖房)の消費電力が夏場の冷房時よりも大きくなる傾向があります。

エアコンは、室温と設定温度の差が大きいほど、また外気温が低いほど、フルパワーで稼働するため多くの電力を必要とします。

いつもと同じ設定温度でエアコンをつけているつもりでも、外気温がぐっと下がった日には、消費電力が跳ね上がり、他の家電との同時使用でブレーカーが落ちやすくなるのです。

これらのことから、体感的には「いつもと同じ」でも、目に見えない部分で電力消費の状況は常に変動しています。

ブレーカーが落ちた際に、どの家電が稼働していたか、そしてその時の季節や時間帯を思い返すことで、予期せぬ電力消費のパターンが見えてくることがあります。

エアコンやIH、電気自動車の充電は要注意

オール電化住宅で快適な生活を送る上で、特に注意が必要なのが、大きな電力を消費する特定の家電製品です。

「エアコン」「電気温水器(エコキュート)」「IHクッキングヒーター」、そして近年普及が進む「電気自動車の充電器」は、その代表格と言えます。

これらの機器は、単体でも家庭の電力消費を大きく押し上げる力を持っており、同時に使用することで60Aの契約容量を簡単に超えてしまう可能性があります。

各家電がどれくらいの電力を消費するのか、アンペア(A)の目安を把握しておくことが大切です。

家電製品消費電力の目安(アンペア数)備考
IHクッキングヒーター20A~30A家庭用据置型IHの上限は 定格5.8 kW(200 V×29A)程度。専用回路は30Aで設計されており、50Aを超えることは通常ありません
エコキュート(沸き増し時)15A~20A主に深夜に稼働しますが、日中の沸き増し運転時に注意が必要です
エアコン(暖房・起動時)15A~20A起動時に最も電力を消費します
電気自動車(普通充電器)15A~30A充電器の出力(3kW~6kW)によります※急速充電器(6kW以上、CHAdeMOなど)は家庭には通常設置されません。
ドラム式洗濯乾燥機(乾燥時)13A~15Aヒーターを使う乾燥機能は消費電力が大きいです
電子レンジ・オーブンレンジ15A短時間ですが非常に大きな電力を消費します
ヘアドライヤー12A~15A

この表からも分かるように、例えば冬の夕方に帰宅し、エアコンの暖房をつけ(約20A)、IHクッキングヒーターで調理を始め(約30A)、同時にお風呂のお湯が足りずエコキュートが沸き増しを始めた(約15A)とします。

この時点で合計は65Aとなり、60Aの契約容量を超過してブレーカーが作動します。

このように、個々の家電の消費電力を理解し、特に消費電力の大きい機器を同時に使わないように時間帯をずらすなどの工夫が、ブレーカー落ちを防ぐための鍵となります。

そんなに使ってないのにいつもと同じなのに落ちる理由
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許容電流を超えた電力使用

ブレーカーが落ちる直接的な引き金は、家庭内の電気回路に「許容電流」を超える電流が流れることです。許容電流とは、その電線やブレーカーが安全に流すことができる電気の最大量のことを指します。

この仕組みを理解することが、なぜブレーカーが落ちるのかを納得する上で助けになります。

家庭の分電盤には、いくつかの種類のブレーカーがありますが、電力の使いすぎに関連するのは主に「アンペアブレーカー」と「安全ブレーカー」の2種類です。

アンペアブレーカーと家全体の許容電流

アンペアブレーカー(サービスブレーカーとも呼ばれます)は、家全体で使用する電力の総量を監視しています。電力会社との契約が60Aであれば、このブレーカーの許容電流が60Aに設定されているということです。

家中の様々な場所で使われている電化製品の消費電流の合計が、この60Aという上限値を超えた瞬間に、ブレーカーは家全体への電力供給を遮断します。

これは、電線や電気設備全体を過熱から守り、火災を防ぐための重要な安全機能です。

安全ブレーカーと各回路の許容電流

一方、安全ブレーカー(配線用遮断器)は、キッチン、リビング、エアコン専用回路といった、家の中の個別の回路を保護しています。これらの各回路には、通常15Aまたは20Aという許容電流が設定されています。

たとえ家全体の電力使用量が60A未満であっても、一つのコンセントや延長コードに接続された機器の合計電流が、その回路の許容電流(例えば20A)を超えると、その回路の安全ブレーカーだけが落ちます。

したがって、「ブレーカーが落ちる」という現象は、家全体の電力バランスが崩れた時(アンペアブレーカー作動)と、特定の場所で局所的に電力が集中した時(安全ブレーカー作動)の二つのパターンがあることを理解しておくことが肝要です。

許容電流を超えた電力使用
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危険なサインでもある漏電の可能性

電力の使いすぎとは全く異なり、即座に専門家による対応が必要となるのが「漏電」が原因でブレーカーが落ちるケースです。

漏電は、電気が本来の回路を外れて建物の金属部分や地面に漏れ流れる現象で、感電や電気火災を引き起こす直接的な原因となるため、極めて危険なサインと捉えるべきです。

この漏電を検知するのが、分電盤に設置されている「漏電ブレーカー(漏電遮断器)」です。漏電ブレーカーは非常に感度が高く、ごくわずかな電流の漏れを検知しただけでも瞬時に作動し、家全体の電気を遮断します。

もし、分電盤を確認した際に、中央付近にある「テスト」ボタンが付いた漏電ブレーカーが落ちている場合は、電力の使いすぎではなく漏電の可能性が非常に高いと考えられます。

漏電が発生する主な原因には、以下のようなものが挙げられます。

家電製品の故障や劣化
長年使用している冷蔵庫や洗濯機など、水回りで使う家電の内部で絶縁が劣化し、漏電することがあります。
電源コードの損傷
家具の下敷きになったり、ペットがかじったりして電源コードの被覆が破れ、中の電線が露出すると漏電の原因となります。
雨漏りや湿気
屋外のコンセントや照明器具、あるいは壁の中の配線に雨水が浸入すると、そこから漏電が発生します。雨の日や湿度の高い日に限ってブレーカーが落ちる場合は、この可能性を疑う必要があります。
トラッキング現象
コンセントとプラグの間に溜まったホコリが湿気を吸い、電気の通り道となって発火に至る現象も漏電の一種です。

漏電が疑われる場合は、感電のリスクがあるため、ご自身で安易に復旧を試みるのは大変危険です。速やかに電気工事店などの専門家に連絡し、点検と修理を依頼することが最も安全で確実な対処法です。

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危険なサインでもある漏電の可能性
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オール電化住宅の60Aでブレーカー落ちる問題への対処法

  • まずは落ち着いてブレーカーを復旧
  • 60Aで足りるか足りないかの判断基準
  • 60Aはどれくらいの世帯に適している?
  • 契約アンペアの変更という選択肢
  • 60Aと100Aの基本料金や電気代
  • 契約変更前に知っておきたい注意点
  • オール電化60Aでブレーカー落ちる問題の総括

まずは落ち着いてブレーカーを復旧

突然ブレーカーが落ちて家中が停電すると、慌ててしまいがちですが、まずは落ち着いて行動することが大切です。

正しい手順で復旧作業を行えば、安全に電気を復旧させ、原因を特定する手がかりを得ることも可能です。

復旧作業の基本手順

  1. 使用中の家電の電源を切る
    ブレーカーが落ちた原因は電力の使いすぎであることが多いため、まずは使用していた消費電力の大きい家電(エアコン、電子レンジ、ドライヤーなど)のプラグをコンセントから抜くか、電源をオフにします。
  2. 分電盤を確認する
    分電盤のフタを開け、どのブレーカーのスイッチが「切(OFF)」の位置に下がっているかを確認します。スイッチは「アンペアブレーカー」「漏電ブレーカー」「安全ブレーカー」の3種類に分かれています。
  3. スイッチを「入」にする
    下がっているブレーカーのスイッチを「入(ON)」の位置に上げます。これで電気が復旧すれば、一時的な電力の使いすぎが原因だったと考えられます。

漏電が疑われる場合の復旧手順

もし漏電ブレーカーが落ちていた場合は、より慎重な対応が必要です。

  1. 全ての安全ブレーカーを「切」にする
    まず、個別の回路に対応する全ての安全ブレーカーのスイッチを下げます。
  2. 漏電ブレーカーを「入」にする
    次に、漏電ブレーカーのスイッチを上げます。
  3. 安全ブレーカーを一つずつ「入」にする
    安全ブレーカーのスイッチを、一つずつ間隔をあけて上げていきます。
  4. 原因回路の特定
    ある安全ブレーカーを上げた瞬間に再び漏電ブレーカーが落ちた場合、その安全ブレーカーが担当する回路で漏電が発生していると特定できます。

漏電が特定された回路の安全ブレーカーは「切」のままにし、他の回路の電気は応急的に復旧できます。しかし、前述の通り、漏電は危険な状態ですので、特定後は速やかに専門家へ連絡してください。

何度もブレーカーが落ちるからといって、スイッチを無理やり押さえつけたり、頻繁に入り切りを繰り返したりする行為は、機器の故障や火災の原因となるため絶対に避けるべきです。

まずは落ち着いてブレーカーを復旧
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60Aで足りるか足りないかの判断基準

ご家庭のオール電化契約が60Aで「足りるか足りないか」を判断するには、現在のライフスタイルと電力使用のピークを客観的に見直すことが必要です。

頻繁にブレーカーが落ちる場合は容量が不足しているサインですが、そうでなくても潜在的に不足している可能性があります。

判断の基準となるポイントは以下の通りです。

同時に使用する家電の数と種類

最も重要な判断基準は、一日のうちで最も電気を多く使う時間帯(ピーク時)に、どのような家電を同時に使っているかです。

例えば、「冬の朝、家族が起きだす時間帯に、エアコン暖房、エコキュートの沸き上げ、IHでの朝食準備、電子レンジ、電気ケトルが重なっていないか」を考えてみましょう。

これらの消費電力を合計し、頻繁に60A(6,000W)に近づくようであれば、容量が足りない可能性が高いと言えます。

家族構成の変化

家を建てた当初は夫婦二人暮らしだったが、その後子どもが生まれて成長した場合、生活時間帯が変わり、使用する家電の数も増えます。

特に、子どもが各自の部屋でエアコンやパソコンを使うようになると、全体の電力消費量は大きく増加します。

家族の人数が増えたり、ライフステージが変化したりしたタイミングは、契約アンペア数を見直す良い機会です。

新しい大型家電の導入

近年では、ドラム式洗濯乾燥機や食器洗い乾燥機、電気自動車(EV)の充電器など、便利な一方で消費電力の大きい家電が増えています。

これらの機器を新たに導入した後にブレーカーが落ちるようになったのであれば、それが容量不足の直接的な原因であると考えられます。

これらの基準に照らし合わせ、もしご家庭の電力需要が60Aでは厳しいと感じる場合、家電の使い方を工夫するか、後述する契約アンペアの変更を検討する必要があるでしょう。

60Aで足りるか足りないかの判断基準
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60Aはどれくらいの世帯に適している?

オール電化住宅における60Aという契約容量は、一つの標準的な選択肢ですが、全ての世帯にとって最適というわけではありません。一般的に、60Aの契約が適しているのは、以下のような世帯と考えられます。

2人~3人暮らしの標準的な世帯

大人2人、または大人2人と子ども1人くらいの世帯であれば、多くの場合60Aで快適に生活することが可能です。

このくらいの人数であれば、高消費電力の家電が同時に稼働する機会をある程度コントロールしやすく、ピーク時の電力消費も60Aの範囲内に収めやすいからです。

日中は仕事や学校で不在がちで、電気の使用が朝晩に集中するような一般的なライフスタイルの家庭がこれに該当します。

Information

60Aの契約が適しているのは、2人~3人暮らしの標準的な世帯が目安とされますが、実際の適正容量はライフスタイルや家電の使い方によって異なります。

電化製品の数が標準的な世帯

極端に多くの電化製品を所有していなかったり、最新の高機能な大型家電を多数導入していなかったりする場合も、60Aで十分なことが多いです。

例えば、エアコンがリビングに1台、寝室に1台程度で、調理も過度にIHの火力を同時に使わないといった使い方であれば、容量不足に陥ることは少ないでしょう。

一方で、以下のような世帯では60Aでは不足する可能性が高まります。

4人以上の大家族
各自が異なる時間に電気を使用するため、同時使用の確率が高まります。
二世帯住宅
生活空間が分かれていても、電気の契約が一つであれば、合計の消費電力は大きくなります。
在宅ワークが中心の世帯
日中もエアコンやPC、照明などを継続的に使用するため、全体の消費電力が底上げされます。
電気自動車を所有している世帯
自宅での充電は、数時間にわたって大きな電力を消費し続けます。

このように、60Aが適しているかどうかは、単純な人数だけでなく、生活の仕方や所有する家電の種類に大きく左右されるため、ご自身の家庭状況と照らし合わせて判断することが大切です。

契約アンペアの変更という選択肢

家電製品の使い方を工夫してもブレーカーが頻繁に落ちる問題が解決しない場合、最も根本的な解決策となるのが「契約アンペアの変更」です。

現在の電力需要に対して契約容量が不足しているのですから、契約容量そのものを引き上げることで、電力供給に余裕を持たせることができます。

一般的に、60Aの次の契約は7kVA(キロボルトアンペア、70A相当)や8kVA(80A相当)、あるいは10kVA(100A相当)となります。

契約アンペアを上げることで、複数の高消費電力家電を同時に使用してもブレーカーが落ちる心配が大幅に減り、日々の生活における電気使用のストレスから解放されるという大きなメリットがあります。

契約変更の手順

契約アンペアの変更手続きは、契約している電力会社に電話またはウェブサイトから申し込むことで開始できます。手続きの流れは以下の通りです。

  1. 電力会社へ申し込み
    現在の契約内容と、希望する新しい契約容量を伝えます。
  2. 現地調査・工事
    60Aを超える契約への変更は、多くの場合、ご家庭の電気設備の確認や工事が必要になります。電力会社の委託を受けた電気工事店が訪問し、電柱から家へ引き込んでいる電線(幹線)や、分電盤が新しい容量に対応できるかを確認します。対応できない場合は、幹線の張替えや分電盤の交換といった工事が発生します。
  3. 契約完了
    工事が完了し、電力会社での手続きが終われば、新しい契約アンペアでの電力供給が開始されます。

ただし、契約アンペアの変更には、後述する基本料金の変動や、工事に伴う費用が発生する場合があるため、その点を十分に理解した上で検討を進める必要があります。

60Aはどれくらいの世帯に適している?
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60Aと100Aの基本料金や電気代

契約アンペア数を60Aから100A(10kVA)へ変更することを検討する際、最も気になるのが電気代への影響です。契約アンペアの変更は、月々の「基本料金」に直接影響を与えます。

基本料金は、電気の使用量に関わらず毎月固定でかかる料金です。一般的に、契約アンペア数が大きいほど基本料金も高くなります。

ただし、この料金体系は電力会社や契約プランによって大きく異なるため、注意が必要です。

電力会社による料金体系の違い

ここでは、代表的な電力会社の料金プランを例に、基本料金の違いを見てみましょう。

電力会社プラン名(オール電化向け)60A (6kVA) の基本料金(月額・税込)100A (10kVA) の基本料金(月額・税込)差額
東京電力スマートライフプランS/L1,870.50円3,117.50 円 ※7kVA以上の料金+572.00円
関西電力はぴeタイムR2,409.40円2,409.40円差額なし
中部電力スマートライフプラン1,838.44円1,838.44円差額なし
Information

※スマートライフプランはkVA単位で契約する容量契約であり、契約容量が7kVA以上になると単価が変動します。詳細は東京電力の公式サイトを参照してください。

※東京電力 「スマートライフプラン」は新規申込停止中。オール電化向けはスマートライフS/Lが継続受付

この表から分かるように、東京電力や中部電力では、契約容量を上げることで基本料金が明確に上昇します。

一方で、関西電力の「はぴeタイムR」のように、10kVAまでは基本料金が一律という特徴的なプランも存在します。お住まいの地域の電力会社がどのような料金体系を採用しているかを確認することは非常に大切です。

基本料金は上がりますが、100A契約にすることで得られる電力供給の安定性や生活の快適性を考慮し、ご家庭の経済状況と合わせて総合的に判断することが求められます。

【ご注意】電気料金は最新情報をご確認ください

記事で例示されている電力各社の基本料金比較は、契約容量によって料金体系が異なることを理解する上で非常に参考になります。

ただし、記載されている具体的な金額はあくまで特定の時点における参考値です。実際の電気料金は、毎月変動する「燃料費調整額」や、電力会社による料金プランの見直しによって変更される可能性があります。

そのため、契約アンペアの変更を具体的に検討される際には、記事の情報を基にしつつも、必ずご契約先の電力会社の公式サイトで最新の料金プランを確認し、料金シミュレーションを行うなど、ご自身の状況に合わせた正確な情報収集をお願いいたします。

60Aと100Aの基本料金や電気代
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契約変更前に知っておきたい注意点

契約アンペアの変更は、ブレーカーが落ちる問題を根本的に解決する有効な手段ですが、実行する前にいくつか知っておくべき注意点があります。

これらを事前に把握しておくことで、後々のトラブルや想定外の出費を防ぐことができます。

工事費用が発生する場合がある

前述の通り、60Aを超える契約へ変更する場合、多くは電気工事が必要となります。

特に、電柱から家までの引込線(幹線)が新しい容量に対応できない場合は、その張替え工事が必要になり、数万円から十数万円の費用がかかることもあります。

また、分電盤自体の交換が必要になるケースもあります。アンペア変更の申し込み時に、工事の要否と、もし必要な場合の費用の見積もりを必ず確認しましょう。

契約の変更は原則として年1回

力会社によっては、一度契約アンペアを変更すると再変更までに一定の期間(例:1年)を要する場合があります。事前に契約条件を各社公式サイトやサポート窓口で確認することが重要です。

一度変更すると、原則としてその後1年間は再変更できないというルールがあります。

例えば、「試しに100Aに上げてみたけど、やはり電気代が高いからすぐに60Aに戻したい」ということはできません。

そのため、契約変更は慎重に検討する必要があります。ご家庭の将来的な電力需要(家族構成の変化、大型家電の導入計画など)も見据えた上で、最適な契約アンペア数を決定することが肝要です。

集合住宅(マンション等)の場合

マンションやアパートなどの集合住宅にお住まいの場合、個人の判断だけで契約アンペアを変更することはできません。

建物全体の受電設備容量に上限があるため、管理組合や大家さんの許可が必須となります。変更を希望する場合は、まず管理会社やオーナーに相談してください。

これらの注意点を踏まえた上で、電力会社や電気工事店と十分に相談し、納得のいく形で契約変更を進めることが、失敗や後悔を避けるための鍵となります。

契約変更前に知っておきたい注意点
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オール電化住宅の60Aでブレーカー落ちる問題の総括

この記事では、オール電化住宅で60A契約のブレーカーが落ちる問題について、その原因から具体的な対処法までを解説しました。最後に、重要なポイントをまとめます。

  • オール電化60Aでブレーカーが落ちる主な原因は電力の使いすぎ
  • 漏電やショートといった電気設備のトラブルも原因になり得る
  • いつもと同じでも冬場はエアコンの電力消費が増えがち
  • エコキュートの日中の沸き増し運転が隠れた原因になることも
  • エアコン、IH、電気温水器、電気自動車の充電は特に高消費電力
  • 落ちたブレーカーの種類(アンペア、漏電、安全)で原因を切り分ける
  • まずは使用中の家電を減らして安全にブレーカーを復旧させる
  • 漏電が疑われる場合はすぐに専門家へ連絡する
  • 60Aは一般的に2~3人世帯に適した容量
  • 4人以上の家族や在宅ワーク中心なら容量不足の可能性
  • 根本解決には契約アンペアの変更が有効
  • 60Aから100Aへの変更で月々の基本料金は上がる場合が多い
  • 契約アンペア変更には幹線の張替えなど追加工事が必要なことがある
  • 工事費用や年間契約の縛りなど変更前の注意点を理解しておく
  • 家電の使用時間をずらす工夫だけでもブレーカー落ちは予防できる