レンジフードの常時換気はいらない?法律と対策を解説

- 1. レンジフードの常時換気はいらない?その疑問を徹底解説
- 1.1. そもそも24時間換気・常時換気とは
- 1.2. 本当に必要なのか?法律上の義務
- 1.3. 稼働を止めると違法になる?
- 1.4. キッチン換気扇つけっぱなしは無駄?
- 1.4.1. 局所換気(調理時の換気)
- 1.4.2. 計画換気(24時間換気)
- 1.5. 気になる月々の電気代はいくら?
- 1.6. 寒い・結露・臭い・うるさい問題
- 1.6.1. 寒い
- 1.6.2. 結露・臭い
- 1.6.3. うるさい
- 2. 「レンジフードの常時換気はいらない」と感じる問題への対策
- 2.1. 不快感をなくすための具体的な対策
- 2.1.1. 寒さへの対策
- 2.1.2. 騒音への対策
- 2.2. 「故障?」異音がしたら確認すること
- 2.3. パナソニック・リクシルの静音モデル
- 2.3.1. DCモーターによる静音化
- 2.3.2. お手入れのしやすさ
- 2.4. 常時換気の正しい消し方・止め方
- 2.5. 停止する際の注意点とデメリット
- 2.6. 結論:レンジフードの常時換気はいらないのか?
「レンジフードの常時換気、ずっと作動しているけど本当に必要なの?」「キッチン換気扇つけっぱなしだと、冬は寒いし、うるさいし、何より電気代がもったいない…」
このように感じ、レンジフードの常時換気はいらないのではないかと考えていませんか。
確かに、24時間換気をしていると、特に寒い時期の冷気や結露、運転音が気になりますし、臭いの対策になるとはいえ、電気代も気になるところです。
しかし、常時換気とはそもそもどのような機能で、本当に必要か、その正しい消し方や止め方を知らないまま停止してしまうと、後から失敗や後悔につながるかもしれません。
この記事では、常時換気が違法になるケースはあるのか、故障のリスク、そして注意点やデメリットについて、パナソニックやリクシルといった主要メーカーの情報を交えながら詳しく解説します。
あなたの疑問や不安を解消するための具体的な対策を一緒に見ていきましょう。
この記事で分かること
記事のポイント
- 常時換気が法律で義務付けられている本当の理由(運転までは強制されていない)
- 電気代や騒音など気になる問題への具体的な対策
- 常時換気を止める際の正しい手順と注意点
- 主要メーカー製品の静音性や便利な機能
レンジフードの常時換気はいらない?その疑問を徹底解説
- そもそも24時間換気・常時換気とは
- 本当に必要なのか?法律上の義務
- 稼働を止めると違法になる?
- キッチン換気扇つけっぱなしは無駄?
- 気になる月々の電気代はいくら?
- 寒い、結露、臭い、うるさい問題
そもそも24時間換気・常時換気とは
レンジフードに付いている「常時換気」や「24時間換気」のボタンを見て、これは一体何のための機能なのだろうと疑問に思った方もいるかもしれません。
これは、調理中に使う「強」や「弱」の換気とは目的が全く異なるものです。
常時換気とは、住宅全体の空気をゆっくりと、しかし絶え間なく入れ替え続けるためのシステムを指します。
具体的には、2003年7月1日施行の改正建築基準法によって、「同日以降に建築確認を受けた住宅」は24時間換気設備の設置が義務付けられました(増改築部分は条件付きで適用)。
この背景には、住宅の高気密・高断熱化が進んだことで、建材や家具から発生する化学物質が室内に留まりやすくなり、「シックハウス症候群」が社会問題化したことがあります。
この法律では、「1時間あたりに室内の空気の半分(0.5回)以上を入れ替えること」が基準とされています。つまり、約2時間で家全体の空気が全て新鮮な外気と入れ替わるように設計されているのです。
レンジフードが計画換気の一部として働くのは、設計時に「レンジフードを排気ファンとして登録した住宅」に限ります。スイッチ付近に「24時間連続換気してください」といったラベルがあるかで判別可能です。

本当に必要なのか?法律上の義務
「でも、うちの家は新しいし、有害な建材も使っていないはず。それでも本当に必要なのか?」という疑問が湧くのも自然なことです。
この問いに対する答えは、「現代の住宅においては、法的な義務であり、健康を維持するために必要不可決」となります。
なぜなら、近年の住宅は省エネ性能を高めるために非常に気密性が高く作られており、窓を閉め切っていると空気の自然な入れ替えがほとんど行われないからです。
空気が滞留すると、建材から揮発する化学物質だけでなく、人の呼吸による二酸化炭素、生活の中で発生するホコリや湿気なども室内に蓄積されていきます。
これらは目に見えませんが、集中力の低下やアレルギー、カビの発生といった様々な健康被害の原因となり得ます。
したがって、24時間換気システムは、これらの見えない汚染物質を常に排出し、室内の空気を清浄に保つための、いわば「家の呼吸装置」のようなものです。
これは選択肢ではなく、高気密住宅で安全かつ快適に暮らすための基本的な設備と考えるのが適切です。

稼働を止めると違法になる?
常時換気の重要性は分かったけれど、もし止めてしまったら法律違反で罰せられるのか、と心配になるかもしれません。
この点については、直接的に居住者が罰則を受けるような法律はありません。建築基準法における24時間換気システムの設置義務は、主に建物を建てる側の事業者に課せられたものです。
しかし、だからといって止めても良いということにはなりません。この換気システムは、その住宅が安全基準を満たし、居住者の健康を守ることを前提に設計されています。
意図的に稼働を停止するということは、設計者が想定した住宅の安全性能を自ら損なわせる行為に他なりません。
つまり、法的な罰則はなくとも、換気を止めることで生じる結露やカビによる住宅の劣化、そして家族の健康へのリスクは、全て自己責任で負うことになります。
言ってしまえば、「違法」というよりは、住宅の性能を維持し、健康に暮らすための「ルール」を破る行為と捉えるべきでしょう。

キッチン換気扇つけっぱなしは無駄?
「キッチン換気扇をつけっぱなしにするのは、どう考えても無駄だ」と感じる方は多いでしょう。この感覚は、調理中に使う「強」運転のパワフルなイメージから来ているのかもしれません。
しかし、ここで明確に区別すべきなのは、「局所換気」と「計画換気」という2つの役割です。
局所換気(調理時の換気)
調理中に「強」や「中」で運転するのは「局所換気」です。これは、調理時に集中的に発生する油煙や水蒸気、ニオイを、発生源でパワフルに捕らえて屋外へ排出する目的があります。
計画換気(24時間換気)
一方、「常時」モードで静かに運転しているのは「計画換気」です。これは、家全体の空気質を維持するために、低レベルで発生し続ける化学物質や生活臭、湿気をゆっくりと継続的に排出する役割を担っています。
このように、2つの機能は目的も風量も全く異なります。常時換気は、家全体の空気を清浄に保つためのベースラインとなる静かな仕事をしているのであり、決して無駄な運転ではないのです。

気になる月々の電気代はいくら?
常時換気を「もったいない」と感じる最大の理由は、やはり電気代でしょう。「24時間365日つけっぱなし」と聞くと、かなりの費用がかかるイメージを持つかもしれません。
しかし、実際の電気代は驚くほどわずかです。常時換気モードは、極めて少ない電力で稼働するように設計されています。最新のDCモーターを搭載した機種の場合、その消費電力はわずか3~5W程度です。
具体的な電気代を以下の表で見てみましょう。
項目 | 消費電力の目安 (W) | 1ヶ月 (30日間) の電気代 (円) |
---|---|---|
レンジフード (常時換気) | 4W ~ 5W | 約90円 ~ 約112円(31円/kWhで試算) |
浴室換気扇 (24時間換気) | 2W ~ 3W | 約45円 ~ 約67円 |
トイレ換気扇 (常時弱運転) | 1W ~ 2W | 約22円 ~ 約45円 |
(電気料金単価を31円/kWhとして計算) |
この表が示すように、レンジフードの常時換気にかかる電気代は、1ヶ月あたり多くても100円前後です。家全体の24時間換気システムを合計しても、月に数百円程度に収まります。
このわずかなコストを節約するために、後述する深刻な健康リスクや住宅劣化のリスクを負うことが、果たして賢明な判断と言えるでしょうか。

寒い・結露・臭い・うるさい問題
理論上の必要性やコストは理解できても、実際に生活する上で感じる不快感は切実な問題です。
寒い
特に冬場、給気口から冷たい空気が流れ込んでくるため、寒さを感じるのは当然のことです。
これは、室内の空気を排出した分、同じ量の外気をどこかから取り込まなければならない換気の基本原理によるものです。特に、外気を直接取り込む「第三種換気」方式の住宅で感じやすいデメリットと言えます。
結露・臭い
一方で、結露や室内にこもる生活臭は、むしろ換気が不足しているサインと考えられます。人の呼吸や調理、入浴などで発生する水蒸気やニオイの元が、屋外に排出されずに室内に留まることで、これらの問題が引き起こされます。
常時換気を止めてしまうと、この状況はさらに悪化する可能性があります。
うるさい
常時換気モードは本来静かに運転するものですが、「ゴー」「ブーン」といった音が気になる場合、その多くはメンテナンス不足が原因です。
ファンに油汚れやホコリが不均一に付着すると、回転のバランスが崩れて騒音が発生します。また、設置から10年以上経過している場合は、モーター自体の経年劣化も考えられます。

「レンジフードの常時換気はいらない」と感じる問題への対策
- 不快感をなくすための具体的な対策
- 故障?異音がしたら確認すること
- パナソニック・リクシルの静音モデル
- 常時換気の正しい消し方・止め方
- 停止する際の注意点とデメリット
- 結論:レンジフードの常時換気はいらないのか
不快感をなくすための具体的な対策
常時換気によって生じる冬の寒さや運転音といった不快感は、換気を止めるのではなく、賢く対策することで緩和できます。
寒さへの対策
冬場の冷気対策としては、まず給気口の工夫が挙げられます。多くの給気口には風向きを変えるルーバーが付いているため、冷気が直接体に当たらないよう、天井や壁に向けて調整するだけでも体感温度は変わります。
また、給気口用の断熱フィルターを取り付けるのも有効な手段です。より根本的な解決策としては、「熱交換型換気システム(第一種換気)」があります。
これは、排出する室内の暖かい空気の熱を利用して、取り込む冷たい外気を温めてから室内に供給する仕組みです。換気による熱の損失を大幅に抑えられるため、快適性と省エネ性を両立できます。
新築やリフォームの際には検討する価値が高い設備です。
騒音への対策
前述の通り、騒音の主な原因はファンの汚れです。定期的な清掃が最も効果的な対策となります。
月に一度はフィルターの状態を確認し、半年に一度はファン本体の掃除を心がけると、静かな状態を保ちやすくなります。詳しい掃除方法は後述しますが、これを実践するだけで多くの騒音問題は解決するはずです。

「故障?」異音がしたら確認すること
いつもと違う音が聞こえてきたら、それは故障のサインかもしれません。異音の種類によって原因はある程度推測できます。
- 「ゴー」「ボー」という低い唸り音
これはファンにホコリや油汚れが溜まっているサインです。まずは徹底的な清掃を試してください。 - 「キュルキュル」「キーキー」という擦れる音
モーターの軸部分の潤滑油が不足している可能性があります。清掃しても音が消えない場合は、専門業者に点検を依頼するのが安全です。 - 「カラカラ」「カタカタ」という何かが当たる音
内部で部品が外れていたり、異物が混入していたりする危険な状態が考えられます。ただちに使用を中止し、速やかに専門業者に連絡してください。
自分で対処できるのは清掃までと心得え、少しでも不安を感じたら無理せずプロに相談することが大切です。

パナソニック・リクシルの静音モデル
もし設置から長年経過し、清掃しても音が改善しない場合は、レンジフード自体の交換を検討するのも一つの有効な解決策です。
近年のレンジフードは技術革新が著しく、特にパナソニックやリクシルといった主要メーカーの製品は、静音性やメンテナンス性が格段に向上しています。
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DCモーターによる静音化
最新モデルの多くは、従来のACモーターに代わって、省エネで静音性に優れた「DCモーター」を採用しています。
製品によっては、常時換気モードの運転音が20dB台(木の葉のふれあう音程度)と、ほとんど気にならないレベルにまで抑えられています。
お手入れのしやすさ
また、フィルターの自動洗浄機能を備えたモデルや、そもそもフィルター自体がない「フィルターレス構造」の製品も増えています。
これにより、これまで最も手間だったファンやフィルターの掃除が非常に簡単になり、換気性能と静音性を手軽に維持できるようになりました。

常時換気の正しい消し方・止め方
ここまで常時換気の必要性を解説してきましたが、それでも一時的に止めたい場合のために、その方法を解説します。ただし、これはあくまで知識として知っておくものであり、常用は推奨されません。
多くのレンジフードには、「常時」や「24h」と書かれたボタンがあります。
このボタンを長押しするなどの操作で、常時換気モードを停止できるのが一般的です。詳しい操作方法は機種によって異なるため、必ず取扱説明書を確認してください。
スイッチ操作で停止できない、あるいはスイッチが見当たらない場合は、キッチンの分電盤(ブレーカー)でレンジフードの回路をオフにすれば、電源を完全に切ることができます。
ただし、この方法は他の機器に影響を与える可能性もあるため、台風のような緊急時の一時的な対応に留めるべきです。

停止する際の注意点とデメリット
常時換気を自己判断で停止することは、いくつかの深刻なデメリットやリスクを伴います。安易に止めてしまう前に、以下の点を十分に理解しておく必要があります。
最大のデメリットは、シックハウス症候群への懸念と結露によるカビの発生です。また、慢性的な結露は、壁紙のシミや剥がれだけでなく、壁の内部にある断熱材や柱といった住宅の構造体を腐食させる原因にもなり得ます。
これは住宅の耐震性を著しく低下させ、将来的に大規模な修繕が必要になる可能性もはらんでいます。
これらのリスクは、月々数百円の電気代を節約するメリットとは到底釣り合いません。
要するに、常時換気を止めるという行為は、短期的なコスト削減のために、家族の健康と住宅という大きな資産を危険に晒すことに他ならないのです。

結論:レンジフードの常時換気はいらないのか?
この記事を通じて解説してきた内容をまとめます。「レンジフードの常時換気はいらない」という考えは、現代の住宅事情においては、多くのリスクを伴う誤解であると言えます。
- 常時換気は2003年の建築基準法改正で義務化された
- 高気密住宅でのシックハウス症候群を防ぐ目的がある
- 家全体の空気を2時間で入れ替える計画換気の一部である
- 調理時の局所換気とは役割が全く異なる
- 居住者が直接罰せられる法律はない
- 止めることは住宅の安全性能を損なう行為である
- 月々の電気代は100円前後と非常に安価
- 冬場の寒さは第三種換気方式のデメリットの一つ
- 運転音がうるさい主な原因はファンの汚れ
- 結露や臭いは換気不足のサインである
- 対策の基本は止めずに正しくメンテナンスすること
- 異音の種類で故障の原因がある程度わかる
- 最新機種はDCモーター採用で非常に静かである
- 換気を止めると結露やカビのリスクが激増する
- 健康被害や住宅の資産価値低下につながる