壁にLANケーブルを挿す場所がない家の解決策【工事不要】

- 1. LANケーブルを挿す場所がない家の原因と確認点
- 1.1. 壁にLANポートがないと繋がらない?
- 1.1.1. 差し込み口の種類と見分け方
- 1.1.2. ポートがない場合の主な原因
- 1.2. 賃貸や一戸建てなど住居による違い
- 1.2.1. 賃貸(マンション・アパート)の場合
- 1.2.2. 一戸建て(持ち家)の場合
- 1.2.3. 原状回復の義務に注意
- 1.3. 建物の配線方式を確認しよう
- 1.3.1. 集合住宅の主な3つの配線方式
- 1.3.2. 配線方式の確認方法
- 1.4. LANケーブルとWi-Fiはどっちが速い?
- 1.4.1. 有線接続とWi-Fiの比較
- 1.5. 1階から2階に有線を引く方法
- 1.5.1. 主な階またぎの有線接続方法
- 1.5.2. どの方法がおすすめ?
- 1.5.3. PLCアダプターの注意点
- 2. LANケーブルを挿す場所がない家の具体的な解決策
- 2.1. DIYでできる有線LANの配線
- 2.1.1. 配線をスッキリ見せる便利グッズ
- 2.1.2. 賃貸物件でのDIY注意点
- 2.2. LANポートを後付けする簡単な方法
- 2.2.1. ① PLC(電力線通信)アダプター
- 2.2.2. ② 有線LANポート付きWi-Fi中継機
- 2.2.3. ③ メッシュWi-Fiシステム
- 2.3. 各部屋に有線LANを整備するには
- 2.3.1. スイッチングハブの選び方
- 2.3.2. ① ポート数
- 2.3.3. ② 通信速度(対応規格)
- 2.4. 差し込み口の新設や増設は可能か
- 2.4.1. どのような工事が行われるのか?
- 2.4.2. ① 隠蔽(いんぺい)配線
- 2.4.3. ② 露出配線
- 2.4.4. 賃貸物件では原則NG
- 2.5. 専門業者への工事依頼と費用相場
- 2.5.1. LAN工事の費用相場
- 2.5.2. 優良な業者を選ぶためのポイント
- 2.6. LANケーブルを挿す場所がない家の注意点
壁にLAN ケーブルを挿す場所がない家にお住まいで、オンラインゲームやリモートワークのために安定したネット環境を求めているのに、「壁にLANポートがないから有線接続できない…」と悩んでいませんか。
賃貸のマンションやアパート、あるいは一戸建てでも、建物の構造や配線方式によっては、初めからLANコンセントが設置されていないことがあります。
各部屋に有線接続をしたい、特に1階から2階に有線LANを引きたいけれど、どうすれば良いか分からない方も多いでしょう。
一般的にLAN ケーブル接続はwifiより速いと言われますが、そのために差し込み口の新設や増設が必要なのでしょうか。
後付けはできるのか、DIYは可能なのか、それとも専門業者に工事を頼むべきか、その費用や注意点も気になりますよね。
この記事では、そんなお悩みを持つあなたのために、原因の特定から具体的な解決策までを網羅的に解説します。
記事のポイント
- 自宅にLANポートがない原因がわかる
- 工事不要で有線接続を実現する方法
- DIYや業者依頼の費用と注意点
- 住居タイプ別の最適な解決策
LANケーブルを挿す場所がない家の原因と確認点
- 壁にLANポートがないと繋がらない?
- 賃貸や一戸建てなど住居による違い
- 建物の配線方式を確認しよう
- LANケーブルとwifiはどっちが速い?
- 1階から2階に有線を引く方法
壁にLANポートがないと繋がらない?
結論から言うと、壁にLANポートがなくても有線でインターネットに接続する方法はあります。LANポートが見当たらないからといって、すぐに諦める必要はありません。
その理由は、ご自宅のインターネット設備がLANポート(LANコンセント)以外の形式になっている可能性があるからです。
壁の差し込み口には、見た目が似ているものがいくつか存在します。まずは、ご自宅の差し込み口がどれに当たるのかを正しく見極めることが重要です。
差し込み口の種類と見分け方
壁にある差し込み口は、主に以下の3種類に分けられます。それぞれの特徴を理解し、ご自宅の状況を確認してみましょう。
差し込み口の種類 | 見分け方(表記) | 特徴 |
---|---|---|
LANコンセント | 「LAN」 | LANケーブルを直接挿せるポートです。内部に8本の金属ピンが見えます。 |
モジュラージャック | 「TEL」 | 電話線用のポートで、LANポートより一回り小さいです。VDSL方式のマンションなどで利用されます。 |
光コンセント | 「光」「光SC」 | 光ファイバーケーブルを接続するための専用ポートです。光配線方式の住宅で設置されます。 |
ポートがない場合の主な原因
壁に上記のいずれのポートも見当たらない場合、その原因は建物の設備状況に起因することが多いです。
特に集合住宅では、「インターネット対応」と案内されていても、実際には共用部までしか回線が引き込まれておらず、各部屋への配線は個別に契約・工事が必要なケースが少なくありません。
また、築年数の古い建物では、インターネット設備自体が導入されていない可能性も考えられます。
このように、まずはご自宅の壁をよく観察し、どのような差し込み口があるか、あるいは何もないのかを正確に把握することが、解決への第一歩となります。

賃貸や一戸建てなど住居による違い
LANケーブルを挿す場所がないという問題は、お住まいの住居タイプによって原因や対処法が大きく異なります。賃貸物件と持ち家の一戸建てでは、取れる選択肢に差があることを理解しておく必要があります。
賃貸(マンション・アパート)の場合
賃貸物件では、大家さんや管理会社の許可なく壁に穴を開けるなどの工事は原則としてできません。そのため、解決策は「工事不要」の方法が中心となります。
賃貸の集合住宅では、インターネットの接続方式が建物全体で決められていることがほとんどです。
物件情報に「インターネット完備」とあれば、すでに対応する差し込み口があり、プロバイダ契約も不要な場合が多いです。
一方、「インターネット対応」の場合は、建物共用部まで回線が来ており、部屋への引き込みやプロバイダ契約は入居者が個別に行う必要があります。このタイプの場合、部屋に差し込み口がないケースが多く見られます。
一戸建て(持ち家)の場合
持ち家の一戸建てであれば、ご自身の判断で比較的大規模な工事も可能です。
壁の中にLANケーブルを通す「隠蔽配線」や、各部屋にLANコンセントを新設するなど、恒久的で快適なネットワーク環境を構築しやすいのが特徴です。
もちろん、賃貸物件と同様に工事不要の手軽な方法を選ぶこともできます。
原状回復の義務に注意
賃貸物件で万が一、特別な許可を得て工事を行った場合でも、退去時には「原状回復」が求められます。
これは、設置した設備を撤去し、壁などを入居前の状態に戻す義務のことで、追加の費用が発生する可能性があるため注意が必要です。
このように、ご自身の住居が賃貸なのか一戸建てなのかによって、選べる解決策の範囲が変わってきます。まずはその点を踏まえた上で、最適な方法を検討していきましょう。

建物の配線方式を確認しよう
ご自宅にLANケーブルの差し込み口がない原因を理解するためには、建物に導入されているインターネットの「配線方式」を知ることが非常に重要です。
特にマンションやアパートなどの集合住宅では、主に3つの方式が存在し、それぞれで速度や接続方法が異なります。
配線方式が分かれば、なぜLANコンセントがないのか、そしてどのような機器を使えば有線接続できるのかが見えてきます。
集合住宅の主な3つの配線方式
建物の共用スペースから各部屋まで、どのようなケーブルで配線されているかによって方式が分かれます。
配線方式 | 部屋の差し込み口 | 特徴 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|---|
光配線方式 | 光コンセント | 共用部から各部屋まで光ファイバーで接続。 | 通信速度が最も速く、安定している。 | 導入物件がまだ限られる。 |
LAN配線方式 | LANコンセント | 共用部から各部屋までLANケーブルで接続。 | 比較的高速で、直接LANケーブルを挿せる。 | 建物内の利用者数で速度が低下しやすい。 |
VDSL方式 | モジュラージャック(電話線) | 共用部から各部屋まで既存の電話回線で接続。 | 築年数の古い物件でも導入されていることが多い。 | 通信速度が他の方式より遅い(最大100Mbps程度)。 |
配線方式の確認方法
ご自身の住居の配線方式が分からない場合、最も確実な方法は、大家さんや建物の管理会社に直接問い合わせることです。
また、不動産の契約書や物件の資料に記載されている場合もあります。この情報を把握することで、後述する解決策の中から、ご自身の環境に最適なものを選ぶことができます。
もしご自宅の差し込み口がモジュラージャックや光コンセントだった場合、それぞれに対応した機器(VDSLモデムやONU)を介することで、LANケーブルでの有線接続が可能になります。

LANケーブルとWi-Fiはどっちが速い?
結論として、一般的にはLANケーブルによる有線接続の方がWi-Fi(無線接続)よりも通信が高速で安定しています。そのため、速度や安定性が求められる作業を行う場合は、有線接続が強く推奨されます。
なぜなら、有線接続は物理的なケーブルで直接データをやり取りするため、Wi-Fiのように電波の干渉や障害物の影響を受けにくいからです。
Wi-Fiは非常に便利ですが、電子レンジや他のWi-Fi電波、壁や家具といった物理的な障害によって、通信が不安定になったり速度が低下したりすることがあります。
特にオンラインゲームや高画質な動画配信、大容量ファイルの送受信、重要なWeb会議など、わずかな通信の遅延や切断が致命的になるような場面では、有線接続の安定性が大きなメリットになります。
有線接続とWi-Fiの比較
それぞれのメリット・デメリットを比較してみましょう。
接続方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
LANケーブル(有線) | ・通信速度が速い ・接続が非常に安定している ・セキュリティが高い | ・ケーブルが邪魔になる ・接続できる場所が限られる |
Wi-Fi(無線) | ・ケーブルが不要で見た目がすっきり ・様々な場所で接続できる ・複数デバイスを簡単に接続可能 | ・通信が不安定になることがある ・有線より速度が遅くなる傾向 ・電波干渉や障害物の影響を受ける |
このように、利便性のWi-Fi、安定性の有線LANと、それぞれに長所があります。
ご自身のインターネット利用状況を考え、「ここぞ」という場面で確実に接続したいデバイスのために、有線接続環境を整える価値は十分にあると言えるでしょう。

1階から2階に有線を引く方法
一戸建て住宅でLANポートがない場合、特に難しいのが「1階に設置したルーターから2階の部屋へ、どのようにして有線LANを届けるか」という問題です。
壁の中にケーブルを通す工事はハードルが高いと感じる方も多いでしょう。しかし、工事不要で実現できる方法がいくつか存在します。
ここでは、1階と2階をまたいで有線接続を可能にする代表的な3つの方法をご紹介します。
主な階またぎの有線接続方法
方法 | 概要 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
① 長いLANケーブル | 10mや20mといった長いケーブルを、壁や天井を這わせて配線する。 | ・最も安価で確実 ・通信速度の劣化がほぼない | ・配線が大変 ・見た目が悪くなりやすい |
② PLCアダプター | 家庭内の電気配線(コンセント)を利用してデータ通信を行う機器。 | ・新たな配線が不要 ・コンセントに挿すだけで手軽 | ・通信が不安定になりやすい ・家電製品のノイズに弱い ・分電盤(ブレーカー)が違うと使えない |
③ メッシュWi-Fi | 複数台の機器で網目状のWi-Fiエリアを構築。子機(サテライト)のLANポートを利用する。 | ・家中どこでも安定したWi-Fi環境 ・子機のLANポートで有線接続も可能 | ・導入コストが比較的高価 |
どの方法がおすすめ?
最も手軽で確実なのは「長いLANケーブル」です。見た目の問題をクリアできるなら、コストパフォーマンスは最高です。
一方、どうしても配線が難しい場合は「メッシュWi-Fi」が強力な選択肢となります。家中どこでも快適な無線環境を整えつつ、目的の部屋では有線接続もできるため、一石二鳥の解決策と言えます。
PLCアダプターの注意点
PLCアダプターは手軽さが魅力ですが、電力線の状態や同じ電気回路上にある家電製品からのノイズに大きく影響されます。
特に、エアコン、ドライヤー、掃除機、電子レンジなどが動作すると、通信が不安定になったり速度が大幅に低下したりすることがあります。
また、PLCの通信は基本的に同じ分電盤(ブレーカー)の中でのみ可能です。1階と2階で分電盤が分かれている住宅では、階をまたいで通信することは原理的にできません。
導入前にご自宅の分電盤の構成を確認する必要があるため、他の方法に比べて環境を選ぶ、やや注意が必要な選択肢と言えます。

LANケーブルを挿す場所がない家の具体的な解決策
- DIYでできる有線LANの配線
- LANポートを後付けする簡単な方法
- 各部屋に有線LANを整備するには
- 差し込み口の新設や増設は可能か
- 専門業者への工事依頼と費用相場
- LANケーブルを挿す場所がない家の注意点
DIYでできる有線LANの配線
専門業者に頼まず、ご自身で有線LAN環境を構築する最も手軽で安価な方法は、長いLANケーブルを使って配線することです。少しの工夫で、見た目を損なわずにスッキリと配線することもできます。
この方法は、特にルーターと接続したい機器が固定の場所にある場合に非常に有効です。必要な道具も少なく、すぐに取り掛かることができます。
配線をスッキリ見せる便利グッズ
長いケーブルを床にそのまま這わせると、足を引っ掛けたり、見た目が悪くなったりします。
そこで、以下のような配線グッズを活用するのがおすすめです。これらはホームセンターや100円ショップでも手軽に入手できます。
- フラットLANケーブル
カーペットの下やドアのわずかな隙間に通しやすい、きしめんのように薄く平たいケーブルです。目立ちにくく、配線の自由度が高まります。 - ケーブルモール(配線カバー)
ケーブルを内部に収納できるカバーです。壁の隅や巾木に沿って貼り付けることで、ケーブルを隠して保護できます。白や木目調など、部屋のインテリアに合わせやすいデザインも豊富です。 - ケーブルクリップ・フック
ケーブルを壁やデスクの側面に固定するための小さな留め具です。両面テープで取り付けられるものが多く、手軽にケーブルを整理できます。
例えば、ルーターから目的の部屋まで、壁の隅をケーブルモールで配線し、最後の部分はフラットケーブルでカーペットの下を通す、といった組み合わせ技も有効です。
少し手間をかけるだけで、驚くほどきれいに仕上がりますよ。
賃貸物件でのDIY注意点
DIYで配線を行う際、特に賃貸物件では壁に穴を開けたり、強力な接着剤でモールを固定したりするのは避けましょう。
退去時の原状回復でトラブルになる可能性があります。取り外しが簡単な両面テープ式のものや、傷をつけにくい製品を選ぶことが重要です。
コストを抑えつつ、確実な有線接続を手に入れたい方は、ぜひDIYでの配線に挑戦してみてください。

LANポートを後付けする簡単な方法
壁にLANポートがなくても、大掛かりな工事をせずにLANポートの代わりとなる接続口を「後付け」する方法がいくつかあります。これらの方法は、ルーターから離れた部屋で有線接続したい場合に特に便利です。
ここでは、コンセントに挿すだけの機器や、Wi-Fi環境を拡張する機器を利用した簡単な解決策を紹介します。
① PLC(電力線通信)アダプター
前述の通り、PLCアダプターは家の電気コンセントをLAN回線として利用する技術です。
親機をルーター近くのコンセントに、子機を使いたい部屋のコンセントに挿すだけで、子機に搭載されたLANポートから有線接続が可能になります。
メリット:新たな配線が一切不要で、設置が非常に簡単。
デメリット:通信が不安定になりやすく、環境に大きく左右される。
② 有線LANポート付きWi-Fi中継機
Wi-Fiの電波を中継してエリアを広げる「Wi-Fi中継機」の中には、LANポートを搭載したモデルがあります。
これをルーターと目的の部屋の中間地点に設置すれば、Wi-Fiエリアを拡張しつつ、中継機のLANポートからPCやゲーム機に有線接続できます。
メリット:Wi-Fi環境も同時に改善できる。PLCよりは安定しやすい。
デメリット:有線接続時の最大速度は、親機と中継機との間のWi-Fi通信速度に依存します。設置場所が悪く、親機との電波が弱いと、有線で繋いでも速度は上がりません。
③ メッシュWi-Fiシステム
メッシュWi-Fiは、親機と子機(サテライト)が連携して家中に網目状の強力なWi-Fiネットワークを構築するシステムです。
ほとんどのサテライト機にはLANポートが搭載されており、使いたい部屋に設置したサテライトから安定した有線接続が可能です。
メリット:家全体の通信環境が劇的に改善される。PLCや中継機より高速で安定した有線接続が期待できる。
デメリット:導入コストが他の方法に比べて高価。
これらの方法は、いずれも壁工事をすることなく、機器を購入して設置するだけでLANポートの代わりを後付けできます。
ご自身の予算や、Wi-Fi環境全体の改善も同時に行いたいか、といったニーズに合わせて最適なものを選びましょう。

各部屋に有線LANを整備するには
1つのLANポートから複数の機器に有線接続したい場合や、各部屋に有線LAN環境を整えたい場合には、「スイッチングハブ」という機器が非常に役立ちます。
スイッチングハブは、例えるなら「LANポートの電源タップ」のようなものです。1本のLANケーブルを複数のポートに分岐させ、同時に多くのデバイスをインターネットに接続できるようにします。
例えば、リビングのLANコンセント(またはルーターの空きポート)から寝室まで1本のLANケーブルを引き、その先にスイッチングハブを設置します。
そうすれば、寝室でPC、ゲーム機、テレビなどを同時に有線接続できるようになります。
スイッチングハブの選び方
スイッチングハブを選ぶ際は、以下の2つのポイントを確認しましょう。
① ポート数
接続したい機器の数に合わせてポート数を選びます。一般家庭では5ポートや8ポートの製品が主流です。将来的に接続機器が増える可能性を考え、少し余裕を持ったポート数のモデルを選んでおくと安心です。
② 通信速度(対応規格)
現在主流の光回線の速度を活かすためには、「ギガビット(1000Mbps)」に対応したハブが必須です。製品仕様に「1000BASE-T」と記載されているものを選びましょう。
安価な製品には100Mbpsまでしか対応していないものもあるため、購入時には注意が必要です。
スイッチングハブは多くの家電量販店や通販サイトで、数千円程度から購入できます。
電源が必要なモデルと不要なモデル(バスパワー)がありますが、安定性を重視するなら電源アダプター付きのモデルがおすすめです。
この機器をうまく活用することで、少ないLANポートからでも効率的にネットワークを拡張し、各部屋に快適な有線環境を構築することが可能になります。

差し込み口の新設や増設は可能か
はい、専門の工事業者に依頼すれば、壁にLANケーブルの差し込み口(LANコンセント)を新設・増設することは可能です。これは、最も根本的で確実な解決策と言えます。
この方法は、特に持ち家にお住まいで、見た目をきれいに保ちつつ、恒久的に安定した有線LAN環境を各部屋に構築したい場合に最適です。
ケーブルが壁の中に収まるため、配線が露出せず、非常にスッキリとした仕上がりになります。
どのような工事が行われるのか?
工事の方法は、建物の構造によって主に2つに分かれます。
① 隠蔽(いんぺい)配線
LANケーブルを壁の中や天井裏、床下などを通して配線する方法です。仕上がりは非常に美しいですが、作業が複雑になるため費用は高くなる傾向があります。
新築時などに設置された「空配管(CD管)」という空のパイプが壁内にあれば、作業が容易になりコストを抑えられます。
② 露出配線
ケーブルを壁の表面に這わせ、ケーブルモールなどでカバーする方法です。壁への加工が最小限で済むため、隠蔽配線よりは安価に行えることが多いです。
DIYで行う配線と似ていますが、プロが施工するため仕上がりがきれいです。
賃貸物件では原則NG
前述の通り、この方法は壁への加工を伴うため、賃貸マンションやアパートでは大家さんや管理会社の許可なく行うことはできません。
無断で工事を行うと契約違反となり、高額な修繕費用を請求されるなどのトラブルに発展する可能性があるため、絶対に行わないでください。差し込み口の新設・増設は、基本的に持ち家向けの選択肢となります。
長期的な視点で最高のネットワーク環境を求めるのであれば、LANコンセントの増設工事は非常に価値のある投資と言えるでしょう。

専門業者への工事依頼と費用相場
LANコンセントの新設・増設工事を検討する場合、気になるのが専門業者への依頼方法とその費用です。費用は建物の構造や工事内容によって大きく変動するため、事前に相場感を把握しておくことが大切です。
工事は、地域の電気工事業者や通信工事専門の会社に依頼するのが一般的です。「LAN工事 〇〇(地域名)」などで検索すると、対応業者を見つけることができます。
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この記事を執筆している私たち横浜電気工事レスキューも、LAN配線工事を承っております。
豊富な施工実績を持つ専門スタッフが、お客様のご自宅の状況に合わせて最適な配線ルートをご提案します。
現地調査・お見積もりは無料ですので、「まずは費用だけ知りたい」「専門家の意見を聞いてみたい」という方も、ぜひお気軽にご相談ください。
実際の施工事例は以下をご覧ください。
LAN工事の費用相場
費用は工事内容や建物の構造によって大きく変動します。最もシンプルな工事と、複雑なケースの目安は以下の通りです。
状況 | 費用相場(1箇所あたり) | 備考 |
---|---|---|
空配管がある場合 | ¥20,000 ~ ¥60,000程度 | 既存の配管を利用するため作業が比較的容易。 |
空配管がない場合 | ¥60,000 ~ ¥150,000以上 | 壁に穴を開けたり、複雑なルートで配線したりする必要があるため高額に。 |
上記はあくまで目安です。「1階から2階への階またぎ」「壁の材質(コンクリートなど)」「配線距離」といった要因で追加料金が発生することが一般的です。
正確な費用は、必ず業者による現地調査の上で見積もりを取得してください。
優良な業者を選ぶためのポイント
安心して工事を任せられる業者を選ぶためには、以下の点を確認しましょう。
- 現地調査の実施
電話やメールだけでなく、必ず現地を見てから正確な見積もりを出す業者を選びましょう。 - 詳細な見積書
「工事一式」ではなく、作業費や部材費などの内訳が細かく記載されているか確認します。 - 相見積もりの取得
必ず2~3社から見積もりを取り、料金とサービス内容を比較検討することが、不当な高額請求を避けるために重要です。 - 実績と保証
住宅のLAN工事に関する施工実績が豊富か、工事後の保証制度があるかを確認すると、より安心です。
初期費用はかかりますが、プロによる工事は最も確実で満足度の高い結果をもたらします。持ち家で恒久的な環境を求める方は、ぜひ検討してみてください。

LANケーブルを挿す場所がない家の注意点
最後に、この記事の要点をまとめます。ご自宅にLANケーブルを挿す場所がなくてお困りの方は、以下のポイントを参考に、ご自身の状況に合った最適な解決策を見つけてください。
- 壁にLANポートがなくても有線接続を諦める必要はない
- まず壁の差し込み口がLAN・電話・光のどれかを確認する
- 賃貸と一戸建てでは取れる対策が大きく異なる
- 賃貸物件では壁の穴あけなど原状回復に関わる工事はNG
- マンションのネット環境は光・LAN・VDSLの3方式が主流
- 速度と安定性を最優先するなら有線LANがWi-Fiより有利
- 1階から2階への配線には長いケーブルやメッシュWi-Fiが有効
- PLCアダプターは手軽だが環境に左右され不安定な場合がある
- DIYならフラットケーブルやケーブルモールで見た目をきれいにできる
- スイッチングハブを使えば1つのポートを複数に分岐可能
- Wi-Fi中継機やメッシュWi-Fiの子機のLANポートも活用できる
- 持ち家なら専門業者によるLANコンセントの新設・増設が最も確実
- LAN工事の費用は空配管の有無で大きく変動する
- 業者選びは必ず複数社から相見積もりを取ることが重要
- ご自身の住居、予算、求める性能を総合的に考えて最適な方法を選ぶ