アース線をつける場所がない賃貸!その対処法と安全な使い方

- 1. アース線つける場所がない賃貸の基礎知識とリスク
- 1.1. マンションやアパートで端子がない主な理由
- 1.2. 取り付けは法律上の義務?
- 1.3. アース線なしで家電は使えますか?
- 1.4. つけない場合のリスクと注意点について
- 1.5. 電子レンジや冷蔵庫は本当に大丈夫?
- 1.6. 「つけない」と知恵袋で見る情報の真偽
- 2. アース線つける場所がない賃貸での具体的解決策
- 2.1. まずはコンセントのアース端子を確認
- 2.2. 正しい付け方や延長・増設の対処法
- 2.2.1. 正しい付け方
- 2.2.2. 延長・増設する方法
- 2.3. 工事を業者に依頼する場合の費用とは
- 2.4. 工事不要の代用となる対処法はあるか
- 2.5. アース線つける場所がない賃貸の安全対策まとめ
「アース線をつける場所がない賃貸に引っ越してしまった…」とお困りではありませんか。
新しく購入した家電を使おうとした際に、マンションやアパートのコンセントにアース端子が見当たらず、途方に暮れる方は少なくありません。
特に電子レンジや冷蔵庫といった日常的に使う家電について、アース線をつけなくても大丈夫なのか、そもそも家電は使えますか、といった基本的な疑問や不安がつきまといます。
インターネットの知恵袋などを見ると「つけない」という意見もありますが、感電などのリスクや注意点を考えると、そのまま使用するのは怖いと感じるのが正直なところでしょう。
アース線の接続は法的な義務なのか、もし業者に頼むなら費用はどれくらいかかるのか、また、工事が難しい場合の代用となる対処法はあるのか、知りたいことは山積みです。
この記事では、アース線の正しい付け方から、既存の端子を活用した延長や増設の方法、そして最終的な安全対策まで、あなたの疑問を一つひとつ解消していきます。
この記事を読むことで、以下の点が明確になります。
記事のポイント
- アース線がない理由と、接続しない場合の具体的なリスク
- 自分でできるアース線の延長や増設といった対処法
- 専門業者に工事を依頼する際の流れと費用の目安
- 工事が難しい場合に役立つ代用品や補助的な安全対策
アース線つける場所がない賃貸の基礎知識とリスク
- マンションやアパートで端子がない主な理由
- 取り付けは法律上の義務?
- アース線なしで家電は使えますか?
- つけない場合のリスクと注意点について
- 電子レンジや冷蔵庫は本当に大丈夫?
- 「つけない」と知恵袋で見る情報の真偽
マンションやアパートで端子がない主な理由
賃貸のマンションやアパートでアース端子が見つからない最大の理由は、その建物の築年数にあります。
現在の住宅では当たり前のように見かけるアース端子ですが、過去の建築基準では設置が義務付けられていなかった時代がありました。
特に築20年以上が経過している物件では、電気設備の基準が現在と異なるため、アース端子が全く設置されていないか、あるいは洗濯機置き場や冷蔵庫用のコンセントなど、限られた場所にしか存在しないケースが多く見受けられます。
これは、建設当時は現代ほど多種多様な家電製品の使用が想定されていなかったためです。
つまり、物件の欠陥というよりも、時代の変化によって生じた設備と現代のライフスタイルの間のギャップが原因と考えられます。
このため、入居してから初めてアース端子がないことに気づき、困ってしまうという状況が生まれるのです。

取り付けは法律上の義務?
アース線の取り付けが法律で厳密に義務化され、違反すると罰則があるというわけではありません。
経済産業省が公開する「電気設備に関する技術基準の解釈(PDF)」や、それに準拠した「内線規程」では、感電や火災のリスクが高い特定の機器について、接地(アース)を行うことが技術的に強く推奨されています。
特に、洗濯機や電子レンジ、エアコン、温水洗浄便座といった水気や湿気の多い場所で使用する家電や、高電圧を使用する機器は、漏電した際のリスクが格段に高まります。
これらの家電については、アース接続が安全に使用するための前提条件と考えるべきです。
したがって、法的な強制力はなくとも、安全基準という観点から見れば、対象となる家電のアース接続は「事実上の義務」に近いものと理解するのが適切です。

アース線なしで家電は使えますか?
アース線をコンセントに接続しなくても、家電製品自体は問題なく動作します。電源プラグを差し込めば電気が供給され、普段通りに使用することが可能です。
このため、「動くから大丈夫だろう」と考えて、アース線を接続しないまま使用している方も少なくありません。
しかしこれは、安全性が確保されていない状態で家電を使用しているに過ぎず、感電や漏電事故のリスクが高まるため、推奨される使用法ではありません。
アース線の役割は、家電が正常に動くことではなく、万が一の異常が発生した際に、人体への被害を防ぐことにあります。
言ってしまえば、アース線は自動車のシートベルトやエアバッグのような安全装置です。それらがなくても車は走りますが、事故が起きた際の被害を最小限に抑えるためには不可欠な存在です。
家電も同様で、アース線なしでの使用は、安全装置を外したまま運転するようなものと考えることができます。

つけない場合のリスクと注意点について
アース線を接続しないで使用する最大のリスクは、漏電した際の感電事故です。家電製品が内部で故障したり、経年劣化したりすると、本来流れるべき回路から電気が漏れ出す「漏電」が発生することがあります。
漏電した電気は、家電の金属製の筐体(外側のケース)などに帯電します。この状態で人が触れると、感電を引き起こします。
また、漏電は火災の原因にもなります。漏れた電気がホコリなどに引火する「トラッキング現象」を引き起こしたり、建物の他の部分に流れて配線を過熱させたりする恐れがあるからです。
さらに、アース線は漏電電流や誘導ノイズなどの電気的な干渉を地面に逃がす役割も担っており、結果的に他の機器へのノイズ干渉(EMI)を軽減することがあります。
接続しないと、家電から発生するノイズが他の電子機器に干渉し、テレビの映りが悪くなったり、オーディオ機器に雑音が入ったりする原因となることもあります。
これらのリスクを理解し、特に注意して家電を取り扱う必要があります。

電子レンジや冷蔵庫は本当に大丈夫?
電子レンジや冷蔵庫は、家庭内で特にアース接続が推奨される家電の代表格です。これらの家電をアース線なしで使用することは、他の家電に比べてリスクが高いと考えられます。
電子レンジは、内部で高電圧を発生させて食品を加熱する仕組みのため、万が一の漏電時に流れる電気が大きくなる可能性があります。
また、庫内の清掃時に水分が内部に入り込むなど、湿気との関連も否定できません。
一方、冷蔵庫は24時間365日稼働し続けるため、部品の経年劣化が進みやすい家電です。また、コンプレッサーの冷却などで結露が発生しやすく、常に湿気と隣り合わせの状態にあります。
水と電気の相性が悪いことは言うまでもなく、漏電のリスクが潜んでいると考えるべきです。
これらのことから、電子レンジや冷蔵庫をアース線なしで使用することは、安全性の観点から「大丈夫」とは言えません。どうしても接続できない環境であっても、そのリスクを十分に認識しておくことが大切です。

「つけない」と知恵袋で見る情報の真偽
インターネットのQ&Aサイトなどを見ると、「アース線はつけなくても問題なかった」といった個人の体験談が見つかることがあります。
しかし、これらの情報はあくまで「結果的に事故が起きなかった」という一個人のケースに過ぎず、安全性を保証するものではないと理解する必要があります。
多くの場合、「つけない」という選択は、付ける場所がない、または付け方が分からないといった状況から、やむを得ず行われているのが実情です。
前述の通り、アース線は万が一の際に機能する安全装置であり、普段は何も仕事をしていないように見えます。このため、長年つけなくても問題が起きなかったという経験則が生まれやすいのです。
しかし、家電の故障や劣化は予測できません。たまたま運が良かっただけで、明日には漏電事故が起きる可能性もゼロではありません。
安全に関わる問題について、不確かな個人の体験談を鵜呑みにするのは非常に危険です。専門機関やメーカーがアース接続を推奨しているのには、過去の多くの事故事例に基づいた明確な理由があるからです。

アース線つける場所がない賃貸での具体的解決策
- まずはコンセントのアース端子を確認
- 正しい付け方や延長・増設の対処法
- 工事を業者に依頼する場合の費用とは
- 工事不要の代用となる対処法はあるか
まずはコンセントのアース端子を確認
対処法を考える前に、まずは本当にアース端子がないのかを家全体で再確認してみましょう。
アース端子は、多くの場合、電源プラグを差し込むコンセントの下部に設置されています。「アース」と書かれた小さなカバーを開けると、ネジ式またはワンタッチ式の接続口が現れます。
一般的に、キッチンや脱衣所、エアコン専用コンセントなど、水回りや高電力の家電を使用する場所に設置されていることが多いです。
電子レンジを置きたい場所の近くになくても、少し離れた冷蔵庫用のコンセントや、洗濯機置き場のコンセントに空きがあるかもしれません。
家の中のどこか一箇所でもアース端子があれば、後述する「延長」という対処法が選択肢に入ります。思い込みで「ない」と判断せず、まずは全てのコンセントを丁寧にチェックすることが、解決への第一歩となります。

正しい付け方や延長・増設の対処法
家の中にアース端子が一つでも見つかった場合、そこを活用するのが最も現実的で安全な対処法です。家電の設置場所までアース線が届かない場合は、延長や増設を検討します。
正しい付け方
アース端子には主に「ネジ式」と「ワンタッチ式」があります。
- ネジ式
- ドライバーでネジを少し緩め、アース線の先端(Y字端子になっているものが望ましい)を挟み込み、再度ネジを締めて固定します。
- ワンタッチ式
- カバーを開けた穴に、アース線の先端を奥までしっかりと差し込むだけで接続できます。
いずれの場合も、確実に接続されていることを確認することが大切です。
延長・増設する方法
家電に付属のアース線が短い場合は、市販の長いアース線に交換したり、既存の線に継ぎ足したりして延長します。
- 付け替え
- 家電本体側のアース線をドライバーで外して長いアース線に付け替えることも可能ですが、機種によってはメーカー保証が無効になる場合があります。
- 取扱説明書を確認し、不安な場合は専門業者に相談することをおすすめします。
- 継ぎ足し
- 既存のアース線と新しいアース線を、専用の差し込みコネクタなどを使って接続します。この方法は工具不要で手軽に行えます。
延長したアース線を床に這わせる際は、足を引っ掛けたり断線させたりしないよう、ケーブルカバーなどで保護するとより安全です。また、一つのアース端子に複数のアース線を接続することも問題ありません。

工事を業者に依頼する場合の費用とは
家の中にアース端子が一つもない、あるいは設置したい場所にどうしても新設したいという場合は、専門の業者に電気工事を依頼することになります。
ただし、賃貸物件の場合は、必ず事前に大家さんや管理会社の許可を得る必要があります。無断での工事は契約違反となり、トラブルの原因となります。
工事費用は、現場の状況や工事内容によって大きく変動します。以下に、一般的な工事の種類と費用相場をまとめました。
工事の種類 | 内容 | 費用相場(目安) | 備考 |
---|---|---|---|
コンセント交換 | 既存のコンセントをアース端子付きのものに交換する | 5,000円~10,000円 | コンセント裏までアース線が来ている場合に限る |
アース線新設 | 分電盤などからアース線を壁内に新規で配線する | 10,000円~30,000円 | 作業が比較的大掛かりになる |
接地工事(D種) | 地面に金属の接地棒を埋設してアースを確保する。(ただし、建物の構造や周囲の地質状況によっては工事が難しい場合があり、事前の現地調査が必要です。) | 15,000円~ | 主に戸建て住宅で可能な方法 |
これらの費用はあくまで目安です。正確な金額を知るためには、複数の業者から見積もりを取ることをお勧めします。
大家さんとの交渉次第では、費用を負担してもらえる可能性もありますが、基本的には自己負担となるケースが多いようです。
電気工事士の資格が必要な専門作業ですので、決して自分で行わず、必ずプロに依頼してください。安全に関わる大切な工事だからこそ、信頼できる業者を選ぶことが重要です。
もし横浜市やその周辺エリアで業者をお探しでしたら、私たち「横浜電気工事レスキュー」もアース付きコンセントの設置や増設工事を承っております。
有資格者がお客様の状況をしっかり確認し、最適なプランをご提案しますので、お気軽にご相談ください。
▶︎実際の施工事例:「アース付きコンセント交換とアース工事の重要性やメリットを専門家が徹底解説〜相模原市の施工事例より〜」

工事不要の代用となる対処法はあるか
アース端子の新設工事が難しい場合でも、安全性を高めるための補助的な対処法が存在します。それが「プラグ型漏電遮断器」の利用です。
この製品は、コンセントと家電の電源プラグの間に接続して使用します。家電からの微量な漏電を検知すると、瞬時に電気を遮断して感電を防ぐ役割を果たします。
ホームセンターや家電量販店で数千円程度で購入でき、工事不要で手軽に導入できるのが最大のメリットです。
ただし、ここで注意すべきは、漏電遮断器はアース線の完全な代用にはならないという点です。
アース線は漏れた電気を直接地面に逃がすのに対し、漏電遮断器は人体に流れた電流や異常を検知して回路を遮断するものであり、役割が異なります。そのため、安全性という点ではアース接続の方が優れています。
あくまで補助的な安全対策と位置づけ、何もしないよりは格段に安全性が高まると理解しておきましょう。特に古い家電を使用している場合や、水回りでの使用時には、導入を検討する価値は十分にあります。

アース線つける場所がない賃貸の安全対策まとめ
この記事で解説した、賃貸物件でアース線を接続する場所がない場合の知識と対策について、重要なポイントを以下にまとめます。
- 賃貸でアース端子がない主な原因は建物の築年数にある
- アース接続は感電や火災のリスクを大幅に低減する
- 法律上の直接的な罰則はないが安全規格で強く推奨されている
- アース線がなくても家電は動作するが危険な状態である
- 特に電子レンジや冷蔵庫はアース接続の重要性が高い
- 個人の体験談よりもメーカーの推奨を優先することが大切
- まずは家中のコンセントにアース端子がないか再確認する
- 端子があればアース線を延長して接続するのが最も確実な方法
- アース線の延長や付け替えは自分で安全に行うことができる
- 一つのアース端子に複数の家電のアース線を接続しても問題ない
- アース端子の増設工事は必ず大家や管理会社の許可が必要
- 工事費用は内容によって異なり数千円から数万円が目安となる
- 電気工事は危険なため無資格での作業は絶対に行わない
- 工事が無理な場合はプラグ型漏電遮断器が補助的な安全対策になる
- 漏電遮断器はアースの完全な代用にはならないことを理解する