エコキュートのアパートは電気代が高い?費用と故障の悩みを解決

- 1. エコキュートが導入されたアパートのメリットと注意点
- 1.1. 賃貸がエコキュートかどうかの確認方法と使い方
- 1.1.1. 確認方法
- 1.1.2. 基本的な使い方
- 1.2. オール電化での電気代は?費用と節約のコツ
- 1.2.1. 電気代の目安
- 1.2.2. 節約のコツ
- 1.3. 水圧が弱い?騒音はうるさい?気になる問題点
- 1.3.1. シャワーの水圧について
- 1.3.2. ヒートポンプの騒音について
- 1.4. お湯が出ない・ぬるい原因とブレーカーが落ちる対処法
- 1.4.1. お湯が出ない・ぬるい場合
- 1.4.2. ブレーカーが落ちる場合
- 1.5. 故障かな?寿命・耐用年数と修理・修繕の判断
- 1.5.1. 寿命・耐用年数の目安
- 1.5.2. 故障のサインと修理・修繕の判断
- 2. エコキュートのアパート、交換と設置の完全ガイド
- 2.1. アパート用のサイズ・寸法と主な設置場所
- 2.1.1. アパート向けのサイズ・寸法
- 2.1.2. 主な設置場所
- 2.2. ガス給湯器・電気温水器からの交換と後付け・増設
- 2.2.1. 交換や後付けは大家・管理会社の許可が必須
- 2.2.2. 大家さん側の視点での交換・増設
- 2.3. 故障時の交換で使える補助金・助成金はある?
- 2.3.1. 国の補助金制度「給湯省エネ事業」
- 2.3.2. 申請方法と注意点
- 2.4. 電気温水器との違いと信頼できる業者の選び方
- 2.4.1. エコキュートと電気温水器の根本的な違い
- 2.4.2. 信頼できる業者の選び方
- 2.5. まとめ:後悔しないエコキュート付きアパートの選び方
エコキュートが設置されたアパートへの入居を検討している、あるいはすでにお住まいの方の中には、様々な疑問や不安をお持ちではないでしょうか。
日々の使い方から、気になる電気代、そして電気温水器との違いに至るまで、知りたいことは多岐にわたります。
オール電化の物件では中心的な役割を担いますが、シャワーの水圧が弱い、夜間の騒音がうるさいといった声や、お湯が出ない、ぬるい、急にブレーカーが落ちるといったトラブルも耳にします。
また、故障した際の修理や修繕、交換にかかる費用、寿命や耐用年数はどのくらいなのか、など心配は尽きません。
賃貸物件で後付けや増設はできるのか、アパート用のサイズや寸法、ベランダなど屋外や屋内への設置場所の問題、さらには信頼できる業者の選び方、ガス給湯器や電気温水器からの交換、活用できる補助金や助成金の有無など、その悩みは複雑です。
この記事では、賃貸アパートでエコキュートかどうかを見分ける基本的なポイントから、こうした具体的な問題まで、あらゆる角度から徹底的に解説していきます。
記事のポイント
- アパートでのエコキュートの基本的な仕組みとメリット・デメリット
- 電気代や費用、節約するための具体的な使い方
- 水圧や騒音、湯切れなど、よくあるトラブルの原因と対策
- 故障時の対応や交換、後付けに関する重要な知識
エコキュートが導入されたアパートのメリットと注意点
- 賃貸がエコキュートかどうかの確認方法と使い方
- オール電化での電気代は?費用と節約のコツ
- 水圧が弱い?騒音はうるさい?気になる問題点
- お湯が出ない・ぬるい原因とブレーカーが落ちる対処法
- 故障かな?寿命・耐用年数と修理・修繕の判断
賃貸がエコキュートかどうかの確認方法と使い方
アパートへの入居を検討する際、その物件の給湯設備がエコキュートかどうかを正確に把握しておくことは、後の生活を快適に送るための第一歩となります。
確認方法
最も確実な方法は、不動産会社に直接確認することです。物件情報に「オール電化」と記載があっても、給湯器がエコキュートではなく電気温水器の場合もあるため、必ず「給湯器の種類はエコキュートですか?」と具体的に質問しましょう。
内見時には、ご自身の目で確認することもできます。
ベランダや玄関脇のパイプスペースなどに、エアコンの室外機に似た「ヒートポンプユニット」と、背の高い貯湯タンクの「貯湯ユニット」の2つが設置されていれば、エコキュートである可能性が非常に高いです。
貯湯ユニットに貼られた銘板(シール)を見れば、メーカー名や型番、製造年などを確認できます。また、室内のキッチンや浴室にある給湯リモコンのデザインや機能から判別することも可能です。
契約前には、賃貸借契約書や重要事項説明書の「設備」の欄に「自然冷媒ヒートポンプ給湯機」や「エコキュート」と明記されているかを確認することが大切です。これにより、故障時の責任の所在が明確になります。
基本的な使い方
エコキュートの最大の特長は、電気料金が割安な深夜時間帯(一般的に23時~翌7時頃)にお湯を沸かし、タンクに貯めておく仕組みにあります。このメリットを最大限に活かすためには、日中の電力消費を抑える使い方が鍵となります。
多くのエコキュートには、お湯の使用量を学習して自動で沸き上げ量を調整する「おまかせモード」が搭載されています。基本的にはこのモードに設定しておけば、無駄なくお湯を沸かしてくれます。
来客などで普段より多くお湯を使う予定がある場合は、事前にリモコンで「多めに沸かす」設定に変更しておくと、日中の湯切れを防ぐことができます。
オール電化での電気代は?費用と節約のコツ
オール電化のアパートでエコキュートを使用する場合、光熱費は電気代に一本化されるため、その金額は家計に直結する重要な関心事です。
電気代の目安
エコキュートの電気代は、お住まいの地域、契約している電力会社の料金プラン、季節、そしてお湯の使用量によって大きく変動します。
一般的な目安として、一人暮らしや二人暮らしの場合、月々の電気代は夏季で1,500円~2,000円程度、お湯の使用量が増える冬季で2,000円~5,000円程度となることが多いようです。
なお、深夜時間帯(例:1:00〜6:00)単価は27〜30円/kWh程度が多く、夜間に貯湯した場合の年間電気代は20,000〜60,000円程度と見込まれます。
プランや地域によって単価・時間帯が異なるため、ご自身の契約内容を要確認です。
これは、従来のガス給湯器と比較して、ランニングコストを大幅に抑えられる可能性があることを示しています。特に、単価の高いプロパンガス(LPガス)を使用している地域のアパートと比較した場合、その差はより顕著になります。
給湯器の種類 | 初期費用(目安) | 年間ランニングコスト(目安) |
---|---|---|
エコキュート | 30万円~60万円 | 約2万円~5万円 |
ガス給湯器(都市ガス) | 10万円~40万円 | 約6万円~8万円 |
ガス給湯器(プロパンガス) | 10万円~40万円 | 約10万円~12万円 |
※上記は一般的な使用状況における目安であり、実際の費用は製品や契約プラン、使用状況によって異なります。賃貸の場合、初期費用は大家負担となります。
節約のコツ
エコキュートで電気代を節約するためには、いくつかのポイントがあります。
第一に、電気料金が安い深夜時間帯に集中的にお湯を沸かすという基本原則を守ることです。日中にお湯を使いすぎて頻繁に「沸き増し」を行うと、割高な電気料金が適用されてしまうため注意が必要です。
第二に、季節に応じて沸き上げモードを適切に使い分けることです。
お湯の使用量が少ない夏場は「省エネモード」に、多くなる冬場は湯切れしないよう「おまかせモード」や少し多めの設定にするなど、こまめな調整が節約に繋がります。
第三に、お風呂の使い方を工夫することです。お湯がぬるくなった際に「追い焚き」を繰り返すと、タンクのお湯を多く消費します。
代わりに、高温のお湯を少量足す「高温足し湯」機能を使う方が、効率的にお湯の温度を上げることができます。
また、契約アンペア数を見直すことで基本料金を抑えつつ、沸き増し時の同時使用によるブレーカー落ちも防げます。
電力会社に相談して「夜間大容量プラン」を検討するとさらに節約効果が高まります。
水圧が弱い?騒音はうるさい?気になる問題点
エコキュート付きのアパートに住む上で、事前に知っておくべきデメリットや注意点も存在します。特に「水圧」と「騒音」は、入居後に後悔する原因となりやすいポイントです。
シャワーの水圧について
エコキュートを使用していて「シャワーの水圧が弱い」と感じることがあります。これは、水道水を一度タンクに貯め、そこから減圧してお湯を供給する「貯湯式」の仕組みに起因します。
水道管から直接お湯を出すガス給湯器(直圧式)に比べると、構造上どうしても水圧が低くなる傾向があるのです。特に、アパートの高層階では、この影響をより感じやすいかもしれません。
この問題への対策としては、まず市販の「低水圧用シャワーヘッド」に交換する方法が挙げられます。水の出口の穴を工夫することで、少ない水量でも水の勢いを高めることができます。
また、エコキュートの給湯温度を少し高めに設定し、蛇口側で混ぜる水の量を増やすことでも、体感的な水圧を多少改善できる場合があります。ただし、火傷には十分な注意が必要です。
ヒートポンプの騒音について
エコキュートは、お湯を沸かす際にヒートポンプユニットが稼働し、「ブーン」という低い運転音が発生します。音の大きさ自体は図書館の中と同程度(40dB前後)とされていますが、問題は主に電気料金の安い夜間に稼働する点です。
周囲が静かな深夜や早朝には、この音が予想以上に響くことがあります。
特に、ヒートポンプユニットの設置場所が隣家の寝室の窓に近い場合や、壁に囲まれて音が反響しやすい場所に設置されている場合は、騒音トラブルに発展する可能性も否定できません。
対策としては、まず内見時にヒートポンプユニットの設置場所を必ず確認することが大切です。自室の寝室との位置関係はもちろん、隣接する住戸への影響も考慮されているかを見ておきましょう。
近年のモデルには低騒音設計のものも増えていますが、音の感じ方には個人差があるため、気になる方は不動産会社を通じて過去に騒音に関する問題がなかったかを確認するのも一つの方法です。
お湯が出ない・ぬるい原因とブレーカーが落ちる対処法
エコキュートのある生活で直面しがちなトラブルとして、「お湯が出ない・ぬるい」状態や、「ブレーカーが落ちる」現象があります。これらの原因と対処法を知っておくことで、いざという時に落ち着いて対応できます。
お湯が出ない・ぬるい場合
この問題の最も一般的な原因は「湯切れ」です。エコキュートは、タンクに貯めたお湯を使い切ってしまうと、次の沸き上げが完了するまでお湯が出なくなります。
来客があって普段より多くの人がシャワーを使ったり、お湯の使いすぎたりした場合に発生しやすくなります。
湯切れを防ぐためには、日頃から家族のお湯の使用量を把握し、必要に応じて沸き上げ量を多めに設定しておくことが有効です。もし日中にお湯が足りなくなりそうになった場合は、リモコンの「沸き増し」ボタンで追加のお湯を沸かすことができます。
ただし、前述の通り、昼間の沸き増しは電気代が割高になるため、常用は避けるべきです。
また、冬場に配管が冷えていることで、お湯が蛇口に届くまでにぬるくなってしまうケースもあります。これは故障ではありませんが、最初のうちは少しお湯を出しっぱなしにして配管が温まるのを待つ必要があります。
ブレーカーが落ちる場合
エコキュートを使用している際に頻繁にブレーカーが落ちる場合、いくつかの原因が考えられます。
一つは、電力会社との契約アンペア数が、家庭全体の電力使用量に対して不足している可能性です。エコキュート自体は主に夜間に稼働しますが、他の家電(エアコン、電子レンジ、ドライヤーなど)を同時に多く使用する時間帯に、容量オーバーでブレーカーが作動することがあります。
この場合は、電力会社に連絡し、契約アンペア数の変更を相談する必要があります。
もう一つは、エコキュート本体の漏電や故障の可能性です。特定の操作をした時に必ずブレーカーが落ちる、エラーコードが表示されるといった場合は、機器の不具合が疑われます。
このような状況では、感電の危険もあるため自分で対処しようとせず、速やかにアパートの管理会社や大家さんに連絡してください。
故障かな?寿命・耐用年数と修理・修繕の判断
長期間使用する設備であるエコキュートは、いずれ寿命を迎え、故障することもあります。賃貸アパートの場合、その際の対応や費用負担について正しく理解しておくことが大切です。
寿命・耐用年数の目安
エコキュートの一般的な寿命・耐用年数は、約10年~15年と言われています。ただし、これはあくまで目安であり、使用頻度や設置環境、メンテナンスの状況によって大きく変わります。
エコキュートは主に、お湯を沸かす「ヒートポンプユニット」と、お湯を貯める「貯湯ユニット」から構成されています。
可動部が多く負荷のかかりやすいヒートポンプユニットの方が比較的寿命が短く、約10年程度で不具合が出始めることが多いようです。
なお、メーカーの部品保有期間は一般的に7〜10年程度です。15年を超えると交換部品が入手困難となり、修理ではなく本体丸ごとの交換が必要になる場合があります。
故障のサインと修理・修繕の判断
使用開始から10年近く経過し、以下のような症状が頻繁に見られるようになったら、寿命が近づいているサインかもしれません。
- リモコンにエラーコードが頻繁に表示される
- お湯の温度が安定しない、または設定通りにならない
- 以前よりもお湯が沸くのに時間がかかる
- ヒートポンプユニットや貯湯タンクから水漏れしている
- 運転音が異常に大きくなる、または異音がする
賃貸アパートに設置されているエコキュートが故障した場合、その修理・修繕の費用は、経年劣化や通常使用によるものであれば、原則として大家さんまたは管理会社が負担します。
入居者の故意・過失(不適切な使い方や手入れの怠りなど)が原因で故障した場合は、入居者が費用を負担するよう求められる可能性があります。
故障が疑われる場合は、自己判断で業者に連絡せず、まずは管理会社や大家さんに状況を報告し、指示を仰ぐのが正しい手順です。
設置から10年以上経過していると、メーカーの部品保有期間が終了し、修理自体が不可能なケースもあります。その場合は、エコキュート全体の交換が必要となります。
エコキュートのアパート、交換と設置の完全ガイド
- アパート用のサイズ・寸法と主な設置場所
- ガス給湯器・電気温水器からの交換と後付け・増設
- 故障時の交換で使える補助金・助成金はある?
- 電気温水器との違いと信頼できる業者の選び方
- まとめ:後悔しないエコキュートアパートの選び方
アパート用のサイズ・寸法と主な設置場所
エコキュートは、ガス給湯器に比べて設置に必要なスペースが大きいという特徴があります。このため、アパートでは設置できる機種や場所が限られることが多く、物件選びや交換の際には重要なチェックポイントとなります。
アパート向けのサイズ・寸法
スペースの制約に対応するため、各メーカーはアパート向けの省スペース設計モデルを開発しています。
- コンパクトタイプ: 貯湯タンクの容量を180L~300L程度に抑え、本体全体のサイズを小型化したモデルです。単身者や二人暮らしの世帯、設置スペースが特に限られる物件に適しています。
- 薄型タイプ: 貯湯タンクの奥行きを45cm前後にスリム化したモデルで、ベランダの壁際や建物の狭い通路などにも設置しやすくなっています。
これらの省スペースモデルは、一般的な角型タイプ(幅・奥行きが60~70cm程度)に比べて設置の自由度が高まりますが、タンク容量の選択肢が限られる場合もあります。
入居する人数やお湯の使い方を考慮し、適切な容量の機種が設置されているかを確認することが大切です。
主な設置場所
アパートにおけるエコキュートの主な設置場所は、ベランダ、玄関脇のパイプスペース(PS)、または1階住戸の専用庭などです。それぞれの場所にはメリットと注意点があります。
- ベランダ: 最も一般的な設置場所です。ただし、エコキュート本体がスペースを占有するため、洗濯物を干すスペースやガーデニングなどを楽しむ空間が狭くなるというデメリットがあります。内見時には、設置後の有効スペースが自身の許容範囲内かを確認しましょう。
- パイプスペース(PS): 玄関の横などにあるメーター類が収められたスペースに設置されるケースです。ベランダを広く使えるメリットがありますが、PS内に収まるコンパクトな機種に限られるため、タンク容量が小さめになる傾向があります。
- 屋外(1階専用庭など): 1階の住戸であれば、専用庭などの地上に設置されることもあります。この場合、ベランダのスペースを圧迫しない利点があります。
どの場所に設置されている場合でも、前述の通り、ヒートポンプユニットの運転音や排気が隣接住戸に影響を与えないよう配慮されているかを確認することが不可欠です。
ガス給湯器・電気温水器からの交換と後付け・増設
賃貸アパートに住んでいて、「光熱費を安くしたいからエコキュートに交換したい」と考える方もいるかもしれません。しかし、入居者が独断で設備の交換や後付け・増設を行うことはできません。
交換や後付けは大家・管理会社の許可が必須
給湯器は物件の重要な設備の一部です。そのため、既存のガス給湯器や電気温水器からエコキュートへの交換、あるいは新規での後付け・増設を希望する場合は、必ず物件の所有者である大家さん、または管理会社の許可を得る必要があります。
無断で工事を行った場合、賃貸借契約の違反となり、退去時に原状回復費用の請求や、深刻なトラブルに発展する可能性があります。
大家さん側の視点での交換・増設
大家さんが交換や増設を検討する場合、いくつかのハードルがあります。まず、エコキュートはガス給湯器に比べて初期費用が高額です。
また、設置スペースの確保、貯湯タンクの重量に耐えられる基礎工事、200Vの専用電源回路の設置など、戸建て住宅よりも工事の制約が多く、追加費用がかさむことも少なくありません。
一方で、エコキュートを導入することで「光熱費が安い」「環境にやさしい」といった付加価値が生まれ、物件の競争力が高まり、入居者満足度の向上や空室対策に繋がるというメリットも考えられます。
もし入居者としてエコキュートの導入を希望する場合は、これらの大家さん側のメリットも伝えながら、費用負担などについて管理会社を通して相談してみるという選択肢も考えられます。
ただし、実現のハードルは決して低くないと理解しておく必要があります。
故障時の交換で使える補助金・助成金はある?
エコキュートは高価な設備ですが、故障による交換や新規導入の際には、国や自治体が実施する補助金・助成金制度を活用できる場合があります。これにより、大家さんの費用負担を大幅に軽減できる可能性があります。
国の補助金制度「給湯省エネ事業」
現在、国は「給湯省エネ事業」として、エコキュートを含む高効率給湯器の導入を支援する大規模な補助金制度を実施しています。この制度は、省エネ性能の高い特定の機種を導入することを条件に、補助金が交付されるものです。
補助金額は、導入するエコキュートの性能によって変動します。基本額に加えて、省エネ性能がより高い機種や、インターネットに接続して太陽光発電の余剰電力を活用できるスマート機能を持つ機種などには、追加の補助額が加算される仕組みです。
2025年度の事業では、これらの要件を満たすことで最大13万円の補助が受けられる場合があります。
さらに、既存の電気温水器を撤去してエコキュートを設置する場合には、追加で加算措置が設けられており、これらを組み合わせることで、より手厚い補助を受けることが可能です。
申請方法と注意点
この補助金の申請手続きは、エコキュートを購入・設置する消費者(大家さんなど)が直接行うのではなく、事前に事業者として登録された施工業者や販売店が代行して行います。
したがって、補助金の利用を前提とする場合は、必ず登録事業者に工事を依頼することが必須条件となります。
また、この補助金は国の予算に基づいて実施されるため、申請額が予算の上限に達し次第、受付が終了してしまいます。
例年、人気が高く早期に終了する傾向があるため、交換を検討している場合は、早めに情報を収集し、信頼できる業者に相談することが大切です。
お住まいの市区町村によっては、国とは別に独自の補助金制度を設けている場合もあります。国の制度と併用できることもあるため、自治体のウェブサイトなどで確認してみることをお勧めします。
電気温水器との違いと信頼できる業者の選び方
「オール電化」の物件では、給湯器としてエコキュートの他に「電気温水器」が設置されていることもあります。両者は電気でお湯を沸かす点は同じですが、その仕組みとランニングコストには大きな違いがあります。
エコキュートと電気温水器の根本的な違い
最大の違いは、お湯を沸かす仕組みにあります。
- 電気温水器: タンク内蔵の電気ヒーターを使って、電気ポットのようにお水を直接加熱してお湯を作ります。仕組みはシンプルですが、消費した電力以上の熱エネルギーを生み出すことはできません。
- エコキュート: 「ヒートポンプ技術」を利用します。空気中の熱を少ない電気エネルギーで集めて、その熱でお湯を沸かします。投入した電気エネルギーの3倍以上の熱エネルギーを得られるとされ、非常に効率的です。
この仕組みの違いにより、ランニングコストに大きな差が生まれます。一般的に、エコキュートは電気温水器に比べて、お湯を沸かすのに必要な消費電力を約1/3程度に抑えることができると言われています。
したがって、同じ量のお湯を使っても、月々の電気代はエコキュートの方が大幅に安くなるのです。
信頼できる業者の選び方
賃貸アパートのエコキュートに不具合が発生した場合、入居者は管理会社や大家さんに連絡しますが、大家さんが修理や交換を依頼する際には、信頼できる業者を選ぶことが極めて重要です。
良い業者を見分けるポイントとしては、まずエコキュートの設置・修理に関する豊富な実績があるかどうかが挙げられます。
特にアパートのような集合住宅での工事経験が豊富であれば、搬入経路の確保や騒音対策など、特有の注意点にも精通していると考えられます。
また、見積もりの内容が明確であることも大切です。「工事費一式」といった大雑把なものではなく、どの作業にいくらかかるのかが詳細に記載されているかを確認しましょう。
複数の業者から相見積もりを取ることで、費用の相場感を把握し、不当に高額な請求を避けることができます。前述の補助金制度の申請を代行してくれるか、そしてその手続きに慣れているかも重要な判断基準です。
工事後の保証やアフターサービスが充実している業者であれば、万が一の再トラブルの際にも安心して任せることができるでしょう。
まとめ:後悔しないエコキュート付きアパートの選び方
この記事では、エコキュート付きアパートに関する様々な情報をご紹介しました。最後に、快適な暮らしを実現するための重要なポイントをまとめます。
- エコキュートは空気の熱を利用する省エネ性の高い給湯器
- オール電化ならガス基本料金が不要で光熱費を一本化できる
- 光熱費はガス給湯器、特にプロパンガスに比べて安くなる傾向がある
- 深夜電力で沸かすため日中にお湯を使いすぎると電気代が高くなる
- 賃貸物件がエコキュートかは内見と契約書で必ず確認する
- シャワーの水圧はガス給湯器より弱く感じることがある
- 低水圧用シャワーヘッドへの交換で水圧は改善できる場合がある
- 夜間のヒートポンプ運転音が近隣トラブルの原因になる可能性も
- 内見時にはヒートポンプの設置場所を必ずチェックする
- お湯の使いすぎによる「湯切れ」には十分注意が必要
- 来客時などはお湯を多めに沸かす設定に変更する
- エコキュートの寿命は一般的に10年から15年が目安
- 故障時の修理費用は経年劣化なら原則大家負担
- アパートには省スペース設計のコンパクトタイプや薄型が使われる
- ベランダ設置の場合、使えるスペースが狭くなることを理解しておく
- 国の補助金制度を使えば交換費用を大幅に抑えられる可能性がある
- 入居者が勝手に交換や後付けをすることはできない