エコキュートの給湯温度60度は電気代が高い?節約のコツ解説

「エコキュートの給湯温度を60度に設定すると電気代は高くなる?」この疑問は、エコキュートをお使いの多くの方が一度は抱くものでしょう。
省エネ性能に優れたエコキュートですが、日々の温度設定が月々の電気代にどう影響するのか、一体何度に設定したらいいのか、そして最終的に何度が節約になるのか、気になる点は多いですよね。
実は、エコキュートの温度設定は、電気代を賢く節約する上で非常に重要なポイントです。
一般的に「温度を下げればエネルギー消費も減る」と考えがちですが、エコキュートの仕組みはそれほど単純ではありません。
特に、なぜ60度以上がおすすめされるのか、また一見節約になりそうな45度や50度設定との違いが何なのか、その理由を深く知ることが大切です。
そうすることで、ご家庭のエネルギー効率を最大化し、無駄な出費を抑えることが可能になります。
この記事では、ダイキン、コロナ、パナソニック、三菱といった主要給湯器メーカーごとの特徴や独自機能にも触れつつ、ランニングコストが高いとされるガス給湯器(プロパンガス)や灯油給湯器との比較も交えていきます。
その上で、専門家の視点から最適な温度設定や具体的な注意点まで、徹底的に詳しく解説します。
ぜひ、ご家庭の光熱費見直しの参考にしてください。
記事のポイント
- 60度設定が電気代節約につながる理由
- 季節やメーカー別のおすすめ温度設定
- 他の給湯器(ガス・灯油)とのコスト比較
- すぐに実践できる具体的な節約術と注意点
- 1. エコキュートの給湯温度60度設定と電気代の基本
- 1.1. 何度に設定したらいい?
- 1.1.1. ポイント:季節ごとの推奨温度とその理由
- 1.2. なぜ60度以上の高温設定が推奨?
- 1.2.1. 衛生面のメリット
- 1.2.2. 効率面のメリット
- 1.2.3. 快適性の向上
- 1.2.4. 豆知識:給湯温度と沸き上げ温度の根本的な違い
- 1.3. 45度や50度設定のメリット・デメリット
- 1.3.1. 50度設定の場合
- 1.3.2. 45度設定の場合
- 1.3.3. 注意:45度以下の低温設定が招くリスク
- 1.3.3.1. 光熱費の増加という本末転倒な結果
- 1.3.3.2. 健康リスク
- 1.3.3.3. 給湯関連設備の故障リスク
- 1.4. 何度が節約になるのか
- 1.4.1. 節約の本当のポイントは「日中の沸き増し」をゼロにすること
- 1.5. 温度設定で電気代を節約するコツ
- 1.5.1. 1. 深夜電力の活用とピークカット設定の徹底
- 1.5.2. 2. ライフスタイルに合わせた沸き上げモードの戦略的選択
- 1.5.3. 3. 長期不在時の「沸き上げ休止」設定は必須
- 2. エコキュートの給湯温度を60度にした際の電気代を他と比較
- 2.1. 主要な給湯器メーカーごとの特徴
- 2.2. ダイキン・コロナ・パナソニック・三菱のおすすめ
- 2.2.1. 【メーカー別】こんな方におすすめ!
- 2.2.1.1. パナソニック:省エネと快適性のトータルバランスを重視する方へ
- 2.2.1.2. ダイキン:パワフルな水圧と入浴剤へのこだわりがある方へ
- 2.2.1.3. コロナ:堅実な省エネ性能と長期的な信頼性を求める方へ
- 2.2.1.4. 三菱:多機能性や清潔さなど付加価値を追求する方へ
- 2.3. ガス給湯器(プロパンガス)と灯油給湯器を比較
- 2.4. 変更前に知っておくべき注意点
- 2.4.1. 高温設定を安全に運用するための主な注意点
- 2.4.1.1. やけどのリスク管理の徹底
- 2.4.1.2. 湯切れの可能性への理解と対策
- 2.4.1.3. 設置スペースと運転音の確認
- 2.5. エコキュートの給湯温度60度設定と電気代の総まとめ
エコキュートの給湯温度60度設定と電気代の基本
- 何度に設定したらいい?
- なぜ60度以上の高温設定が推奨?
- 45度や50度設定のメリット・デメリット
- 何度が節約になるのか
- 温度設定で電気代を節約するコツ
何度に設定したらいい?
給湯器は50~60℃が基本。使うときは蛇口で40℃前後に落として使います。この運用は水栓メーカーの推奨に沿ったもので、高温で貯湯→蛇口側(サーモ混合水栓)で安全温度に調整するのが標準です。
この範囲内で季節に応じて微調整することが、快適性と省エネ性を両立させる鍵となります。(参考:アライズWEB取扱説明書 |お問い合わせの前にーよくあるご質問ー|水栓の吐水温度が不安定|LIXIL) (lixil.co.jp)
具体的には、水道水の温度が低く配管も冷えやすい冬場は60度、逆に水道水の温度が高く熱が逃げにくい夏場は50度を目安にすると良いでしょう。
「60度のお湯が出てきたら熱すぎて危ないのでは?」と心配されるかもしれませんが、全く問題ありません。
リモコンで設定するこの温度は、あくまでエコキュート本体から送り出されるお湯の元々の温度です。
実際にシャワーや蛇口から出る際には、エコキュート内部の「混合弁(ミキシングバルブ)」や、浴室・キッチンにある「サーモスタット混合水栓」によって、自動的に水道水と混ぜられて適温に調整されます。
そのため、設定温度のままのお湯が出てくることはありません。
ポイント:季節ごとの推奨温度とその理由
- 春・秋(50度~55度)
- 気候が安定している中間期。外気温に応じて少し高めに設定すると快適です。
- 夏(50度)
- 水道水の温度自体が高いため、沸き上げに必要なエネルギーが少なくて済みます。50度でも十分快適な温度を保てます。
- 冬(60度)
- 水道水の温度が1桁台まで下がるため、より多くの熱量が必要です。配管が冷えているため、高めに設定しないとお湯がぬるく感じられます。
このように、季節ごとの水温や気温の変化を考慮して設定を最適化することで、エコキュートの性能を最大限に引き出し、無駄なエネルギー消費を効果的に抑えることが可能です。
多くの方が「温度を1度でも低くすれば電気代が安くなるはず」と考えがちですが、エコキュートの場合はその常識が通用しないことが多いんです。
むしろ、良かれと思って設定した低い温度が、結果的に電気代や水道代を高くしてしまうという逆転現象が起こり得るのが、このシステムの面白いところであり、注意点でもあります。

なぜ60度以上の高温設定が推奨?
給湯温度を50度~60度と比較的高めに設定することが推奨されるのには、「衛生面」「効率面」「快適性」という、相互に関連し合う3つの明確な理由が存在します。
一見するとエネルギーの無駄遣いに思えるこの設定が、実はエコキュートの仕組み全体を最適化し、結果的に多大なメリットをもたらすのです。
衛生面のメリット
ご家庭のお風呂で最も気をつけたい衛生問題の一つが、レジオネラ菌の繁殖です。
この菌は自然界の土壌や水中に広く生息しており、特に20度~45度のぬるま湯環境で最も活発に繁殖するという厄介な性質を持っています。
もし給湯温度を45度以下に設定してしまうと、お湯が使われていない間にエコキュートから蛇口までの配管内が、まさに菌の温床となってしまう可能性があります。
しかし、給湯温度を50度以上に保つことで菌の増殖活動を抑制できます。さらに、60度のお湯に5分間触れるとレジオネラ菌は死滅するとされており、殺菌効果も期待できます。(参考:レジオネラ症|厚生労働省)
これにより、毎日安心して清潔なお湯を利用できる環境が整うのです。
効率面のメリット
「シャワーをひねってから、お湯が出てくるまで待つ時間」を思い出してみてください。この間に流れている水は「捨て水」と呼ばれ、水道代とエネルギーの無駄そのものです。
給湯温度を高めに設定すると、配管が素早く温まり「お湯が出るまでに流す水(捨て水)」を減らすことができます。これにより水道代と電気代の両方を節約できます。
例えば40度設定では適温になるまでに時間がかかりますが、60度設定にするとお湯が早く届き、待ち時間を短縮できます。
1回あたりは数十秒の差でも、家族全員が毎日使うことを考えれば、1ヶ月、1年単位で大きなコスト削減効果が生まれるのです。
快適性の向上
現在の多くの家庭で標準的に使用されているサーモスタット混合水栓は、温度で伸び縮みする部品(ワックス)が働いて、お湯と水の量を自動で調節し、設定した温度を保ちます。
この混合水栓は、十分に高い温度(50度~60度)のお湯が供給されることで、最も安定して性能を発揮できるように設計されています。
給湯温度を60度に設定すると、快適な40度前後のお湯にするためにより多くの水道水と混合する必要があり、その分の水道水の圧力がシャワーの勢いに加わります。
これにより、特に高層階などで水圧に不満があったご家庭でも、パワフルで快適なシャワーを体感できるという大きなメリットが生まれます。
また、お湯と水の混合バランスが良くなることで、急に熱くなったり冷たくなったりする温度のムラも起きにくくなります。
豆知識:給湯温度と沸き上げ温度の根本的な違い
ここで改めて重要な点をおさらいします。私たちがリモコンで設定する「給湯温度(50度~60度)」と、エコキュートがタンク内でお湯を沸かす際の「沸き上げ温度(65度~90度)」は全くの別物です。
エコキュートの基本動作は、電気代が格安の深夜時間帯に、タンク内の水を非常に高温な状態で沸き上げて貯蔵し、日中はその熱いお湯に水道水を混ぜて、私たちが設定した給湯温度に下げて供給するというものです。
この仕組みを理解することが、節約の第一歩です。

45度や50度設定のメリット・デメリット
給湯温度を60度より低い45度や50度に設定した場合、どのような影響があるのでしょうか。
それぞれのメリットとデメリットを正しく理解し、ご家庭の状況に合わせて最適な判断をすることが重要です。特に、節約のつもりで行う45度設定には大きな落とし穴があります。
50度設定の場合
50度設定は、特に夏場や春・秋など、外気温や水道水の温度が高い季節において、最もバランスの取れた非常に有効な選択肢と言えます。
冬場に比べて配管からの熱の逃げ(放熱ロス)が少ないため、60度に設定しなくても十分快適な温度を保つことができます。
メリットとしては、沸き上げ時に使われるエネルギーをわずかに抑えられるため、理論上の電気代は60度設定より安くなります。
それでいて、衛生面のリスク(レジオネラ菌の繁殖温度帯以上)や、サーモスタット混合水栓の安定動作も維持できるという、良いとこ取りの設定です。特に夏場の節約には高い効果が期待できます。
一方でデメリットは、冬場や寒冷地でこの設定にすると、いざ使おうとした時にお湯がぬるく感じられてしまう可能性がある点です。
結果的にシャワー時間が長くなったり、設定温度を上げたりして、かえってエネルギー消費量が増えてしまうことも考えられます。
45度設定の場合
単純な計算上は最も電気代が安くなりそうに見える45度設定ですが、実際には多くのデメリットを抱えており、基本的にこの温度設定は推奨されません。
これは節約における典型的な「安物買いの銭失い」になりかねない選択です。
注意:45度以下の低温設定が招くリスク
光熱費の増加という本末転倒な結果
前述の通り、捨て水が大幅に増え、ぬるさからシャワー時間が長くなる傾向があるため、節約した電気代以上に水道代が上昇し、トータルの光熱費が高くなる可能性が非常に高いです。
健康リスク
レジオネラ菌が最も繁殖しやすい危険な温度帯であり、特に抵抗力の弱い小さなお子様やご高齢の方がいるご家庭では、健康を害するリスクをわざわざ作り出すことになり、衛生的観点から絶対に避けるべきです。
給湯関連設備の故障リスク
サーモスタット混合水栓がお湯と水のわずかな温度差を検知しようと過剰に動作するため、内部機構に大きな負荷がかかります。
これにより、温度が不安定になるだけでなく、最悪の場合は水栓自体の故障につながり、高額な修理費用や交換費用が発生することがあります。各水栓メーカーも50度以上の給湯温度を推奨しています。(参考:調整・交換方法)
このように、目先のわずかな節約効果を期待して給湯温度を下げすぎると、快適性や安全性を著しく損なうだけでなく、経済的にも大きな損失を被る逆効果になる可能性が高いと断言できます。

何度が節約になるのか
エコキュートの電気代を最も効率的に節約できる給湯温度は、「ご家庭のライフスタイルや季節の変化に合わせて、日中の高価な沸き増し(湯切れ)を起こさずに済む、最低限の適切な温度」ということになります。
そして、ほとんどのご家庭において、その最適解が「夏場は50度、冬場は60度」という設定に落ち着くのです。
節約したいという気持ちから、やみくもに温度を40度や45度に下げるのは、エコキュートのシステム特性を無視した非効率な運用方法であり、明確な間違いであるとさえ言えます。
節約の本当のポイントは「日中の沸き増し」をゼロにすること
エコキュートにおける電気代節約の本質は、給湯温度の数字を1度や2度変えることではありません。最も重要なのは、「いかにして電気代が高い日中の沸き増しをゼロにするか」という一点に尽きます。
そのための大原則は、「電気代が安い深夜電力だけで1日に使うお湯をすべて効率良く沸かしきり、それを無駄なく大切に使う」ことです。
捨て水を増やし、シャワー時間を延長させ、結果としてタンクのお湯の消費を早めてしまう低温設定は、この大原則に真っ向から反するため、節約にはつながらないのです。
もしご自身の家庭で「最近お湯がぬるく感じる」「シャワーの勢いが弱くなった気がする」といった不満がある場合は、それは機器の故障ではなく、単に給湯温度の設定が低すぎることが原因かもしれません。
一度、リモコンの設定を50度~60度の範囲に見直してみることをおすすめします。

温度設定で電気代を節約するコツ
最適な給湯温度に設定することに加えて、エコキュートに搭載されている便利な機能を賢く活用することで、さらに電気代を効率的に節約することが可能です。
ここでは、今日からでもすぐに実践できる、効果の高い3つのコツを詳しく紹介します。
1. 深夜電力の活用とピークカット設定の徹底
エコキュートの最大の節約術は、言うまでもなく電気料金が格安に設定されている深夜時間帯(電力会社のプランにより異なりますが、一般的には23時~翌7時など)に、その日使うお湯をまとめて沸かすことです。
多くのエコキュートには、タンクのお湯が少なくなると日中でも自動で沸き増しする親切な機能が備わっていますが、れは電気代が割高な昼間の電力を使うため、家計にとっては非常に手痛い出費となります。
例えば、東京電力の『スマートライフプラン』では夜間の約1.3倍ですが、ご契約の料金プランや電力会社によっては、日中の電気代が夜間の2倍〜3倍以上に達することもあります。(参考:スマートライフ(オール電化))
この無駄な出費を防ぐため、メーカーにより名称は異なりますが、「ピークカット」「昼間沸き上げ停止」「沸き上げ休止」などの日中沸き増し抑止機能が用意されています。機種の取扱説明書に沿って設定してください。(参考:おまかせ運転で省エネ|特長一覧|エコキュート|給湯・暖房|Panasonic)
これにより、万が一お湯が少なく なっても、日中の自動沸き上げを強制的に停止させ、意図しない電気代の上昇を確実に防ぐことができます。
2. ライフスタイルに合わせた沸き上げモードの戦略的選択
各メーカーは、過去のお湯の使用量を自動でAIが学習し、毎日最適な湯量を計算して沸かす「おまかせモード」を標準機能として搭載しています。
基本的にはこのモードに設定しておけば、大きな無駄なく運用できますが、日々の生活パターンに合わせて一手間加えることで、さらなる節約が可能です。
- 湯量が少ないと分かっている日
- 家族が出かけている日など、明らかにお湯の使用量が少ない日は「おまかせ節約」や「少なめ」設定に変更しましょう。これにより、必要最小限の沸き上げに抑え、電気代をカットできます。
- 来客などで多く使うと分かっている日
- 逆に、お客様が泊まりに来るなど、お湯を大量に使うことが事前に分かっている場合は、前日の夜に「多め」設定に変更しておきましょう。
- これにより、割高な日中の沸き増しを避けつつ、湯切れの心配なく快適にお湯を使えます。
3. 長期不在時の「沸き上げ休止」設定は必須
旅行や帰省などで2日以上家を空ける場合は、出発前に必ず「沸き上げ休止設定」を行う習慣をつけましょう。
この設定を忘れると、誰もいない家で、誰も使わないお湯を律儀に毎日沸かし続けることになり、これ以上ないほどの電気の無駄遣いとなります。
最近の機種では、帰宅日に合わせて沸き上げを再開する便利な予約機能も付いているので、帰ってきてすぐにお風呂に入れるよう設定しておくと非常に便利です。

エコキュートの給湯温度を60度にした際の電気代を他と比較
- 主要な給湯器メーカーごとの特徴
- ダイキン・コロナ・パナソニック・三菱のおすすめ
- ガス給湯器(プロパンガス)と灯油給湯器を比較
- 変更前に知っておくべき注意点
- エコキュートの給湯温度60度設定と電気代の総まとめ
主要な給湯器メーカーごとの特徴
エコキュートの基本的な節約機能は各社共通ですが、そのアプローチや付加機能にはメーカーごとに特色があります。
ここでは、国内の主要4大メーカーが提供する省エネに関する代表的な機能や考え方を紹介します。ご自宅でお使いの給湯器のポテンシャルを最大限に引き出すためのヒントとしてご活用ください。
メーカー | 代表的な省エネモード | 特徴・独自機能 |
---|---|---|
パナソニック | おまかせ節約 / エコナビ | 過去7日間の使用湯量をベースに、沸き上げ温度(約65~90度)と湯量を自動で最適化。さらに「エコナビ」機能は、浴室への人の出入りをセンサーで検知し、誰もいない時の自動保温を停止するなど、きめ細かな省エネ運転を行います。 |
ダイキン | おまかせモード / ターボ沸き上げ | 日々の使用状況に応じて最適な温度と湯量に自動調整し、エネルギー効率を最大化します。急にお湯が必要になった際には、通常より早く沸き上げる「ターボ沸き上げ」機能も便利です。 |
コロナ | おまかせ省エネ / 使いきりモード | 使用状況を学習し、自動で最適な設定に調整するのはもちろん、お湯を使い切りたい時に手動で沸き増しを停止できる「使いきりモード」など、ユーザーが積極的に省エネに参加できる機能が充実しています。 |
三菱 | おまかせ / 節電モード | 過去2週間分という長期間の使用量を緻密に学習する高度なAIを搭載。さらに節電レベルを「おまかせ」と「節電」の2段階で任意に選べるモードも備えています。「見える化」機能で節約効果を確認できるのも特徴です。 |
これらの機能は、いずれもご家庭ごとのお湯の使い方という「過去のデータ」をAIが記憶・分析し、「未来の無駄な沸き上げ」を自動で防いでくれる非常に賢いシステムです。
したがって、多くの場合、最も簡単で効果的な節約方法は、ご自身のメーカーの「おまかせ」系のモードに設定し、あとはエコキュートに運用を任せてしまうことです。

ダイキン・コロナ・パナソニック・三菱のおすすめ
「どのメーカーのエコキュートを選べば良いのか」という問いに対する答えは、ご家庭が何を最も重視するかによって大きく異なります。
ここでは、各メーカーが持つ独自の強みから、どのようなライフスタイルの方におすすめできるかを具体的に解説します。
【メーカー別】こんな方におすすめ!
パナソニック:省エネと快適性のトータルバランスを重視する方へ
省エネ性能の高さはもちろん、「エコナビ」による賢い自動節約や、酸素を含んだお湯で体を温める「酸素入浴」など、快適性を高める機能も充実しています。
特定の機能に突出するよりも、総合的な満足度を求めるご家庭におすすめです。
ダイキン:パワフルな水圧と入浴剤へのこだわりがある方へ
業界トップクラスの水圧を誇る「パワフル高圧給湯」は、2階や3階でのシャワーでも勢いが落ちにくく、お湯はりもスピーディー。
また、にごり湯タイプの入浴剤にも公式に対応している数少ないメーカーであり、バスタイムの楽しみを広げたい方に最適です。
コロナ:堅実な省エネ性能と長期的な信頼性を求める方へ
世界で初めてエコキュートを開発したパイオニアとしての実績と信頼性は大きな魅力です。
ES制御などの高度な省エネ技術に加え、汚れに強く耐久性の高いステンレス配管を採用するなど、長く安心して使い続けたいという堅実なニーズに応えます。
三菱:多機能性や清潔さなど付加価値を追求する方へ
例えば、微細な泡(マイクロバブル)で温浴効果とリラックス効果を高める「ホットあわー」や、深紫外線を照射して配管内の菌の増殖を抑える「キラリユキープ」などがあります。
これらは他社にはないユニークで先進的な付加価値機能であり、その種類も豊富です。お風呂の時間をより豊かで清潔なものにしたい方に強くおすすめです。
単純な価格比較だけでなく、ご自身のライフスタイルや「お風呂で何をしたいか」を具体的にイメージしながら選ぶと、きっと満足度の高い、最適な一台が見つかるはずです。

ガス給湯器(プロパンガス)と灯油給湯器を比較
エコキュートの導入を検討する際には、既存の給湯器との比較が重要になります。
特に、ランニングコストが高いとされるガス給湯器(プロパンガス)や、燃料価格の変動が気になる灯油給湯器と比べて、経済的に本当にメリットがあるのかは最大の関心事です。
ここでは、それぞれの給湯器の特性を多角的に比較します。
項目 | エコキュート | ガス給湯器(プロパン) | 灯油給湯器 |
---|---|---|---|
初期費用 | 高い(40~70万円) | 安い(15~30万円) | 比較的安い(20~40万円) |
ランニングコスト | 非常に安い | 非常に高い | 比較的安い(灯油価格に依存) |
静音性 | やや注意(ヒートポンプの低周波音) | 比較的静か | 運転音が大きい傾向 |
環境性能 | ◎(CO2排出量が少ない) | △(燃焼ガスを排出) | △(燃焼ガスを排出) |
設置スペース | 必要(貯湯タンク+室外機) | 省スペース(壁掛けが主) | 必要(本体+灯油タンク) |
湯切れリスク | あり(沸かし置きのため) | なし(瞬間式のため) | なし(瞬間式のため) |
災害時の利点 | 断水時にタンクの水を生活用水に使える(飲用不可の場合も。要確認) | 停電時は使用不可 | 停電時は使用不可 |
この比較表から明らかなように、エコキュートの最大の強みは、高い初期費用を補って余りある、圧倒的に低いランニングコストです。
特に、月々のガス代に悩まされているプロパンガスを使用しているご家庭では、エコキュートに交換することで、光熱費が劇的に下がるケースが少なくありません。
例えば、月々5,000円のコスト削減が実現できれば、40万円の初期費用差も約6年半で回収できる計算になります。
また、オール電化住宅や、近年普及が進む太陽光発電システムとの相性も抜群です。
日中に発電した電気でお湯を沸かす設定にすれば、電気の自給自足に近づき、さらなる光熱費削減も夢ではありません。
10年以上の長期的な視点で見れば、最も経済的かつ環境に優しい選択肢となる可能性が非常に高い給湯器と言えるでしょう。
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特にプロパンガスをご利用のご家庭では、エコキュートへの交換による光熱費の削減効果を大きく実感されるケースが多数ございます。
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変更前に知っておくべき注意点
エコキュートの給湯温度をメリットの多い60度に設定する際、そのメリットを最大限に活かし、安全かつ快適に運用するために、事前に理解しておくべきいくつかの重要な注意点が存在します。
以下の点を必ずご家庭内で共有し、適切な運用を心がけてください。
高温設定を安全に運用するための主な注意点
やけどのリスク管理の徹底
60度のお湯は、成人でも数秒触れるだけで重いやけどを負う可能性がある非常に危険な温度です。
特に、熱さへの反応が遅れがちな小さなお子様やご高齢の方がいるご家庭では、浴室やキッチンでのお湯の利用方法について、家族全員でルールを共有し、徹底する必要があります。
具体的には、「必ずサーモスタット混合水栓で適切な温度に調整してから使う」「蛇口は必ず水側から開ける習慣をつける」などを実践してください。お湯だけが出る単水栓での使用は絶対に避けるべきです。
湯切れの可能性への理解と対策
高温で給湯するということは、タンクに貯蔵されている貴重な高温のお湯をより多く消費することを意味します。
ご家族の人数が多い、あるいは一人一人が長時間のシャワーを浴びる習慣がある場合、冬場などにお湯の使用が重なると、想定よりも早くお湯を使い切り、「湯切れ」を起こす可能性があります。
湯切れを起こすと、非常に割高な日中電力で沸き増しをするか、お湯が沸くまで待つしかありません。
このような事態を避けるためにも、ライフスタイルに合わせて、沸き上げ湯量を「おまかせ」から「多め」に設定変更するなどの対策が有効です。
設置スペースと運転音の確認
これは温度設定とは直接関係ありませんが、エコキュート導入前の重要な注意点です。
エコキュートは、お湯を貯める大きな貯湯タンクと、お湯を沸かすヒートポンプユニットの2つを設置するスペースが必要です。
また、ヒートポンプユニットはエアコンの室外機と同様に、運転中にファンが回り、特に深夜には「ブーン」という低周波音が発生します。
この音が隣家の寝室近くなどに響かないよう、設置場所は業者と入念に相談することが、後のご近所トラブルを避ける上で非常に重要です。
特にやけどのリスク管理は、本当に重要です。
エコキュートの温度設定はあくまでも「給湯器側の内部設定」であり、私たちが「実際に肌で触れるお湯の温度」は、蛇口側で安全に調整するという意識を、ご家庭の共通認識として持つことが大切ですね。

エコキュートの給湯温度60度設定と電気代の総まとめ
この記事では、エコキュートの給湯温度設定、特に60度設定が電気代や快適性に与える影響について、その仕組みから具体的な節約術、他製品との比較まで、網羅的に解説しました。
最後に、賢くエコキュートを使いこなすための重要なポイントをリスト形式で最終確認しましょう。
- エコキュートの給湯温度は年間を通して50度から60度が最適
- 冬場は水道水温が低く熱も逃げやすいため60度設定がおすすめ
- 夏場は外気温が高く水道水温も高いため50度設定で十分快適
- 45度以下の低温設定はレジオネラ菌など雑菌繁殖の温床となるリスクがある
- 低温設定は捨て水が増えシャワー時間も長くなりかえって光熱費が高くなることも
- 50度以上の高温設定はサーモスタット混合水栓の性能を最大限に引き出す
- 節約の最大の鍵は電気代が圧倒的に安い深夜電力のフル活用にある
- 日中の自動沸き増しはピークカット機能で強制的に停止させることが鉄則
- AIが湯量を自動調整するおまかせモードを基本の運転設定とする
- 2日以上の長期不在時は必ず沸き上げ休止設定を忘れずに行う
- メーカーごとにエコナビやパワフル高圧など独自の付加価値機能が搭載されている
- プロパンガスからの交換は高い初期費用を補うほどのランニングコスト削減効果が期待できる
- 60度の高温設定時は特にお子様や高齢者のやけどのリスクに十分注意が必要
- タンクのお湯を使い切る湯切れを防ぐためお湯の使いすぎには日頃から意識する