ガス給湯器の電源が入らない?原因と対処法を完全解説

突然、ガス給湯器の電源が入らない状況になり、お湯が使えず大変お困りではないでしょうか。
特に寒い冬に電源が落ちる、リモコンの電源入らない、お湯を使っている途中で電源が勝手に切れるなど、その症状は実にさまざまです。
その原因は、ブレーカーが落ちた、あるいは漏電といったご自身で比較的簡単に確認・対処できるものから、給湯器本体の電子基板の故障といった深刻なものまで多岐にわたります。
「リモコンはつかないがお湯は出る」といった一見矛盾した症状に悩まれる方もいるかもしれません。
この記事では、ガス給湯器の電源が入らないという緊急事態に対し、ご自身で落ち着いて確認できる原因の特定方法から、安全にリセットするにはどうすればよいかまでを、手順を追って網羅的に解説します。
さらに、賃貸のアパートやマンションにお住まいの場合の正しい対処法。
見逃してはいけない給湯器が壊れるサインは何か、そして最終的に専門業者へ修理を依頼する際のポイントまで、ノーリツ、リンナイ、パロマといった国内主要メーカーの情報も交えながら、あなたの不安を一日でも早く解決へ導くための一助となることを目指します。
この記事でわかること
記事のポイント
- ガス給湯器の電源が入らない時に自分で確認できること
- 症状別に考えられる原因とその対処法
- 賃貸物件で故障した場合の正しい対応手順
- 修理と交換の判断基準と業者選びのポイント
- 1. ガス給湯器の電源が入らない?まず試す5つの対処法
- 1.1. 根本的な原因とは
- 1.1.1. 主な原因の具体例
- 1.1.1.1. 原因切り分けのポイント
- 1.2. まずはリモコンの状態を確認しよう
- 1.2.1. リモコン確認の3つの詳細ポイント
- 1.2.1.1. ⒈節電モードになっていないか?
- 1.2.1.2. ⒉ロック機能が作動していないか?
- 1.2.1.3. ⒊家族が電源を切っていないか?
- 1.3. リモコンの電源入らない時のチェック点
- 1.3.1. 電池式リモコンの場合
- 1.3.2. 配線式リモコンの場合
- 1.3.2.1. 電源プラグの設置場所
- 1.3.2.2. プラグの抜き差しに関する重要注意点
- 1.4. ブレーカーや漏電の確認も忘れずに
- 1.4.1. 確認すべきブレーカーの種類と役割
- 1.4.1.1. ブレーカーが繰り返し落ちる場合は絶対に使用を中止してください!
- 1.5. 給湯器を安全にリセットするには
- 1.5.1. 安全なリセット手順
- 1.5.1.1. ⒈給湯器本体の電源プラグをコンセントから抜く
- 1.5.1.2. ⒉そのまま10秒~1分程度待つ
- 1.5.1.3. ⒊再度、電源プラグをコンセントにしっかりと奥まで差し込む
- 1.5.1.4. ⒋室内リモコンの電源を入れ、正常に表示・動作するか確認する
- 1.5.1.5. リセットで時計や設定が初期化されることも
- 1.5.1.6. 【重要】リセットは応急処置です
- 2. ガス給湯器の電源が入らない故障と修理依頼の判断
- 2.1. リモコンはつかないけどお湯は出る症状
- 2.1.1. 考えられる原因の切り分け
- 2.1.1.1. 一部のリモコンだけが動かない場合
- 2.1.1.2. すべてのリモコンが動かない場合
- 2.2. 電源が勝手に切れるのは故障のサイン
- 2.2.1. 主な原因として考えられること
- 2.2.1.1. 電子基板(電装基板)の劣化・故障
- 2.2.1.2. 不安定な電圧供給
- 2.2.1.3. 安全装置のセンサー異常と誤作動
- 2.2.1.4. 放置は大変危険です!必ず早めの点検を
- 2.3. 冬に電源が落ちる原因と凍結対策
- 2.3.1. もし凍結してしまった場合の対処法
- 2.3.1.1. 安全な解凍方法は「ひたすら待つ」のが基本です
- 2.3.1.2. 【厳禁】絶対に熱湯をかけないでください!
- 2.3.2. 誰でもできる効果的な凍結の予防策
- 2.3.2.1. 水を少量だけ流し続ける
- 2.3.2.2. 追い焚き機能付きふろがまの場合
- 2.4. 見逃せない給湯器が壊れるサインは
- 2.4.1. 注意すべき5つの代表的な故障サイン
- 2.4.1.1. ⒈お湯の温度が安定しない(温度ムラ)
- 2.4.1.2. ⒉給湯器から普段と違う「異音」がする
- 2.4.1.3. ⒊給湯器本体や配管から「水漏れ」している
- 2.4.1.4. ⒋排気口の周りが黒くなっている・すすが出ている
- 2.4.1.5. ⒌お風呂のお湯はりや追い焚きに以前より時間がかかる
- 2.5. 賃貸アパート・マンションでの対応
- 2.5.1. 最初に連絡すべきは「大家さん」か「管理会社」
- 2.5.2. 自己判断で修理・交換する具体的なリスク
- 2.5.3. 管理会社・大家さんへ連絡する際に伝えるべき情報
- 2.6. 業者による修理とノーリツ・リンナイ・パロマ
- 2.6.1.1. 業者選びのポイント
- 2.6.1. 主要メーカーへの直接相談
- 2.7. ガス給湯器の電源が入らない時の総括
ガス給湯器の電源が入らない?まず試す5つの対処法
- 根本的な原因とは
- まずはリモコンの状態を確認しよう
- リモコン電源入らない時のチェック点
- ブレーカーや漏電の確認も忘れずに
- 給湯器を安全にリセットするには
根本的な原因とは
ガス給湯器の電源が入らなくなるという問題は、私たちの快適な日常生活を瞬時に脅かします。
このトラブルの根本的な原因を突き詰めていくと、その発生源は大きく分けて「給湯器外部の供給系統の問題」と「給湯器本体の内部的な故障」の2つに集約されます。
給湯器は非常に精密な機械であり、正常に動作するためには「電気」「ガス」「水」という3つのライフラインがすべて完璧に供給されている必要があります。
まず結論から申し上げますと、専門業者に連絡する前に、ご自身の手で確認できる点が数多く存在します。
多くの場合、「故障だ!」と慌ててしまいがちですが、実際にはコンセントが抜けていただけ、ガスメーターの安全装置が作動していただけ、といった単純な見落としであることも少なくありません。
そのため、どれか一つでも供給が滞ると、給湯器は機器の保護や利用者の安全確保のために、自動的に動作を停止するよう設計されています。
「まさかこんなことが原因だったとは…」というケースは、プロの現場でもよくある話なんですよ。まずは落ち着いて、基本的な部分から確認していきましょう。
主な原因の具体例
具体的には、以下のような多岐にわたるケースが考えられます。
これらの原因を一つひとつ丁寧に確認していくことで、問題の切り分け、つまり原因が給湯器の外部にあるのか、それとも内部にあるのかを特定することが可能になります。
次の項目から、ご自身でできる具体的な確認手順を、より一層詳しく見ていきましょう。
原因切り分けのポイント
- 電気系統の問題
- 給湯器本体の電源プラグが抜けている、または緩んでいる。ご家庭の分電盤にあるブレーカーが落ちている。近隣での落雷の影響で、給湯器の安全装置が作動している。
- ガス系統の問題
- 給湯器に繋がるガスの元栓が何かの拍子に閉まっている。長時間のガス使用や地震などで、ガスメーターの安全装置(マイコンメーター)が作動し、ガス供給を自動的に遮断している。
- 水道系統の問題
- 水道の元栓(止水栓)が閉まっている。冬場に給湯器周りの配管が凍結し、水の流れが物理的に止まっている。地域全体での断水や、マンションでの貯水槽清掃などが行われている。
- 給湯器本体の問題
- リモコン自体の故障や、リモコンと本体をつなぐ配線の不具合。給湯器の頭脳である電子基板の故障。各種センサーの異常や、経年劣化による部品の破損など。

まずはリモコンの状態を確認しよう
給湯器の異常に私たちが最初に気づくのは、ほとんどの場合、キッチンや浴室に設置されたリモコンの表示です。
「電源ボタンを押しても反応がない」「画面が真っ暗なままだ」と感じたら、まずはリモコン本体の設定や状態を詳細に確認することが、迅速な問題解決への第一歩となります。
給湯器本体の複雑な故障を疑う前に、意外と見落としがちなリモコンの基本的な機能や状態を、もう一度じっくりと確認してみましょう。これだけで問題が解決することも少なくありません。
リモコン確認の3つの詳細ポイント
⒈節電モードになっていないか?
最近の多機能な給湯器のリモコンは、エネルギー消費を抑えるため、一定時間操作がないと自動的に画面のバックライトを消灯し、表示をオフにする「節電モード」や「エコモード」が標準搭載されています。
これは故障ではなく、省エネのための正常な動作です。いずれかのボタンを一度押してみる、または蛇口をひねってお湯を出してみることで、スリープ状態から復帰し、画面が表示されるか試してみてください。
⒉ロック機能が作動していないか?
小さなお子様が誤って高温設定にしたり、お湯はりを始めたりすることを防ぐために、「チャイルドロック機能」や「ボタンロック機能」が搭載されている機種が増えています。
リモコンの画面に鍵のマークやそれに類する表示が出ていないかを確認してください。
もしロックがかかっている場合は、機種によって解除方法が異なりますので、お手元の取扱説明書で「ロック解除」の項目を確認し、指定されたボタンを数秒間長押しするなどして解除してください。
⒊家族が電源を切っていないか?
これは非常に基本的なことですが、見落としやすいポイントです。ご家族の誰かが、最後にお風呂を使った後や就寝前などに、節電のつもりで電源をオフにしているケースも考えられます。
まずは冷静に「運転」スイッチを一度、確実に押してみましょう。
これらの機能は、給湯器をより安全に、そして経済的に使用するためにメーカーが工夫を凝らして設計したものです。
しかし、その便利な機能の動作が、予期せぬ電源トラブルと酷似しているため、ユーザーを混乱させてしまうことがあります。
まずは慌てずに、リモコンが正常な状態であるか、設定に問題がないかを多角的に確認することが何よりも重要です。

リモコンの電源入らない時のチェック点
前述した基本的な確認作業を行っても、リモコンの電源が全く入らない、あるいは画面に何も表示されない場合、次のステップとしてリモコンへの電力供給そのものに問題がある可能性を探る必要があります。
ご家庭の給湯器リモコンには、大きく分けて「電池式」と「配線式」の2種類が存在し、それぞれチェックすべきポイントが根本的に異なります。
電池式リモコンの場合
一部の給湯器、特に賃貸物件に設置されている比較的シンプルな給湯専用タイプなどでは、リモコンが乾電池で動作していることがあります。この場合、最も可能性が高い原因は単純な電池切れです。
リモコン本体を壁の設置台から静かに取り外すか、側面や下部にある電池カバーを開けてみてください。多くは単3形または単4形の乾電池が使われています。
このとき、中途半端に残量がある電池ではなく、必ず新品のアルカリ乾電池に交換することをお勧めします。電圧が不安定だと、正常に作動しないことがあるためです。
もちろん、電池の向き(プラス・マイナス)を間違えないように細心の注意を払いましょう。
配線式リモコンの場合
現在、市場で主流となっているのは、給湯器本体から直接電源ケーブルで接続され、電力を供給される配線式のリモコンです。
このタイプのリモコン電源が入らない場合は、大元の給湯器本体への電力供給が断たれている可能性を疑う必要があります。真っ先に確認すべきは、給湯器本体の電源プラグです。
電源プラグの設置場所
- 戸建ての場合
- 給湯器は通常、屋外の壁面に設置されています。その本体のすぐ近くにある、雨風を防ぐためのカバーが付いた防水コンセントに電源プラグが差し込まれています。配管カバーなどで見えにくくなっている場合もあります。
- マンション・アパートの場合
- 玄関ドアの横にあるパイプスペースやメーターボックスの扉を開けてみてください。その限られたスペースの中に、ガス管や水道管と一緒に給湯器が設置されており、その中に電源プラグがあることが多いです。
掃除の際に誤って抜いてしまった、強風でプラグが緩んでしまった、などの可能性も考えられます。プラグがコンセントの奥までしっかりと、確実に差し込まれているかを確認してください。
プラグの抜き差しに関する重要注意点
電源プラグやコンセント周りが雨などで濡れている場合は、感電の危険性が非常に高いため、絶対に触らないでください。タオルで拭くなどの行為も危険です。(参考:Vol.616 コンセントやプラグでの感電に注意! | 消費者庁)
また、給湯器本体から水が漏れているのを発見した場合は、プラグの抜き差しを行うと内部でショートし、機器の故障をさらに悪化させるだけでなく、火災の原因にもなり得ます。
これらの危険な兆候を発見した場合は、ご自身での対処をただちに中止し、速やかに専門業者に連絡してください。

ブレーカーや漏電の確認も忘れずに
リモコンや給湯器本体の電源プラグに問題が見当たらない場合、次に視点を移すべきは、ご家庭全体の電力供給を管理している分電盤(ブレーカー)です。
給湯器もまた、多くの電気部品で構成された家電製品の一つであるため、何らかの理由で電力供給が遮断されていれば、当然ながら電源は入りません。
分電盤は、一般的に玄関の靴箱の上や、洗面所、廊下の壁などに設置されています。カバーを開けて、内部のスイッチの状態を確認しましょう。
確認すべきブレーカーの種類と役割
分電盤の中には、役割の異なる複数のブレーカーが設置されています。どれが落ちているかによって、原因を推測することができます。
ブレーカーの種類 | 役割と確認するポイント |
---|---|
アンペアブレーカー(契約ブレーカー) | 電力会社との契約アンペアを管理する一番大きなブレーカーです。これが落ちていると家全体の電気が使えなくなります。電子レンジとドライヤーを同時に使った、など電力の使いすぎが主な原因です。 |
安全ブレーカー(配線用遮断器) | 各部屋やコンセント回路ごとに分かれている小さなブレーカー群です。「給湯器」と明記されている場合もありますが、多くは「洗面所」や「台所」など場所で記載されています。給湯器が接続されていると思われる回路のブレーカーが落ちていないか確認しましょう。 |
漏電ブレーカー(漏電遮断器) | 回路のどこかで漏電(電気が本来のルートから漏れ出すこと)を検知した際に、感電事故を防ぐために作動する非常に重要な安全装置です。これが落ちている場合、給湯器本体や配線で漏電している可能性があり、最も危険な状態を示しています。 |
(参考:漏電ブレーカーは落ちる?知っておくと安心な5つの知識 |電気のトラブルなら東京電力パワーグリッド)
いずれかのブレーカースイッチが「切(OFF)」側に倒れていたら、一度「入(ON)」側に戻して復旧を試みてください。
ただし、もしブレーカーを上げても「バチン」という音と共にすぐにまた落ちてしまう場合は、単なる電力の使いすぎではなく、深刻な問題が発生しているサインです。
ブレーカーが繰り返し落ちる場合は絶対に使用を中止してください!
特に漏電ブレーカーが何度も作動する場合は、給湯器の故障による漏電や、内部でのショートが強く疑われます。
この状態で無理に電気を流し続けることは、火災や感電といった、生命に関わる重大な事故につながる危険性が極めて高い行為です。
絶対にブレーカーのオン・オフを繰り返さず、直ちに対象の安全ブレーカーをオフの状態にし、専門業者による点検・修理を依頼してください。
一時的に多くの電化製品を同時に使ったことで安全ブレーカーが落ちた、というだけであれば大きな問題はありませんが、原因が特定できない場合や漏電が疑われる場合は、決して自己判断で済ませないでください。
安全を最優先に行動することが重要です。

給湯器を安全にリセットするには
近所への落雷による一時的な電圧異常(サージ電流)や、何らかの軽微なシステムエラーによって、給湯器の内部コンピューター(電子基板)がフリーズしてしまい、電源ボタンを押しても反応しなくなることがあります。
このようなソフトウェア的な問題の場合、給湯器本体の電源を完全に一度落として再起動(リセット)することで、正常な状態に復帰する可能性があります。
これは、パソコンやスマートフォンの動作がおかしくなった時に、一度再起動してメモリをクリアするのと同じような応急処置と考えると分かりやすいでしょう。
安全なリセット手順
リセットは誰でも簡単に行えますが、正しい手順で行うことが重要です。
以下の4ステップでリセットを実行します。
安全なリセット手順
⒈給湯器本体の電源プラグをコンセントから抜く
重要なのは、室内のリモコンの電源スイッチを切るだけでは不十分だということです。
リモコンオフはスリープ状態に近いものであり、本体の基板には電気が流れたままです。必ず大元の電源プラグを抜いてください。
⒉そのまま10秒~1分程度待つ
プラグを抜いてすぐに差し込むのではなく、少し時間を置くことがポイントです。
これにより、機器内部のコンデンサなどに溜まっていた待機電力が完全に放電され、内部メモリがクリアな状態になります。
⒊再度、電源プラグをコンセントにしっかりと奥まで差し込む
プラグが緩んでいると接触不良の原因になりますので、確実に接続してください。
⒋室内リモコンの電源を入れ、正常に表示・動作するか確認する
電源が入れば、時刻表示などが点滅していることがありますので、取扱説明書を見ながら再設定してください。
このリセット操作で無事に復旧した場合、問題は一時的なエラーであった可能性が高いです。
しかし、もしこのリセットを試しても症状が改善しない、または復旧後すぐに再発する際は、給湯器内部の部品、特に電子基板に物理的な問題が発生していると考えられます。
リセットで時計や設定が初期化されることも
前述の通り、リセットを行うと、リモコンの時刻設定が「--:--」のように初期化されることがほとんどです。復旧後は、まず現在時刻を正しく設定し直してください。
一部の機種では、時計が設定されていないと、お湯はりの予約機能やその他のタイマー機能が正常に動作しない場合がありますのでご注意ください。
【重要】リセットは応急処置です
このリセット操作は、あくまで一時的なシステムエラーに対応するための応急処置です。
もし、リセットを試しても症状が改善しない、または復旧後すぐに再発する場合は、給湯器内部の電子基板などに物理的な故障が発生している可能性が非常に高いです。
頻繁なリセットで様子を見るのは危険です。根本的な原因が解決されないまま使い続けると、最終的に完全な故障につながる恐れがあります。
トラブルが頻発するようであれば、それは給湯器からのSOSサインと捉え、早めに専門家による点検を依頼しましょう。

ガス給湯器の電源が入らない故障と修理依頼の判断
- リモコンつかないお湯は出る症状
- 電源が勝手に切れるのは故障のサイン
- 冬に電源が落ちる原因と凍結対策
- 見逃せない給湯器が壊れるサインは
- 賃貸アパート・マンションでの対応
- 業者修理とノーリツ・リンナイ・パロマ
- ガス給湯器の電源が入らない時の総括
リモコンはつかないけどお湯は出る症状
「キッチンのリモコンは真っ暗でつかないのに、お風呂のリモコンは正常に動いてお湯はりもできる」「浴室と台所、両方のリモコンが全く反応しないのに、蛇口をひねると設定温度のお湯だけはきちんと出る」といった、一見すると矛盾しているかのような症状が発生することがあります。
これは、故障箇所を特定する上で非常に重要な診断の手がかりとなります。
このような状況は、給湯器本体の心臓部である燃焼機能や給湯機能は正常に作動している一方で、利用者とのインターフェースであるリモコンシステムの一部に限定的な不具合が起きている可能性が非常に高いことを示唆しています。
考えられる原因の切り分け
一部のリモコンだけが動かない場合
例えば、浴室のリモコンだけが動かないのであれば、そのリモコン本体の故障が最も疑わしいです。
浴室は常に高温多湿な環境にさらされるため、他の場所に設置されたリモコンよりも経年劣化が進みやすく、内部の電子基板が腐食したり、ボタンの接触が悪くなったりすることがあります。
すべてのリモコンが動かない場合
お湯は出るのにすべてのリモコンが機能しない場合、給湯器本体と各リモコンをつなぐ「リモコン配線」の根本的な不具合、または本体側のリモコン接続端子の故障などが考えられます。
壁の中を通っている配線が、リフォーム工事の際に傷ついてしまったり、小動物にかじられたりして断線するケースも稀にあります。
お湯が出るからといってこの状態を放置すると、お湯の温度設定が一切変更できない、自動お湯はりが設定量で止まらない、追い焚きができないといった様々な不便が生じます。
さらに、本来であればリモコンに表示されるはずのエラーコードが確認できないため、給湯器本体が抱える他の重大な異常を見逃してしまう危険性もはらんでいます。
この症状は、給湯器本体ではなく、リモコンやその周辺機器の修理・交換が必要になるケースがほとんどです。
専門業者に連絡する際は、「リモコンはつきませんが、お湯は出ます」と具体的に伝えることで、よりスムーズな対応が期待できますよ。

電源が勝手に切れるのは故障のサイン
お湯を快適に使用している最中や、お風呂の自動お湯はり・追い焚きを行っている最中に、何の前触れもなく突然リモコンの表示が消え、給湯器の電源が勝手に切れてしまうという厄介なトラブルがあります。
これは、利用者にとって非常に不便であるだけでなく、給湯器の内部で深刻な不具合が発生していることを示唆する重要な警告サインである可能性が高いです。
特に、この症状が一度だけでなく、断続的に、あるいは頻繁に起こる場合は、決して軽視できません。
一時的な電圧変動など、外部要因による軽微なエラーであれば、一度リセットすることで回復することもありますが、根本的な原因が内部にある場合、症状は確実に再発し、悪化していきます。
主な原因として考えられること
電子基板(電装基板)の劣化・故障
給湯器の全ての動作を制御する「頭脳」にあたる電子基板が、長年の使用による経年劣化や、内部に侵入した湿気・ホコリなどによって不安定になっている可能性があります。
人間で言えば、重要な神経系に異常をきたし、正常な命令が出せなくなっているような状態です。これが最も多い原因の一つです。
不安定な電圧供給
ご家庭の電力供給が何らかの理由で不安定になっている場合、給湯器が必要とする安定した電力を得られずに、安全のためにシステムをシャットダウンすることがあります。
ただ、この場合は給湯器だけでなく、照明がちらついたり、他の家電製品にも同様の不具合が出たりすることが多いです。
安全装置のセンサー異常と誤作動
給湯器内部には、過熱や不完全燃焼、風圧などを検知する多数の安全センサーが搭載されています。
これらのセンサー自体が故障し、実際には異常がないにもかかわらず「危険」と誤って判断し、安全のためにシステムを緊急停止させている可能性も考えられます。
放置は大変危険です!必ず早めの点検を
運転中に勝手に電源が切れる現象は、電装基板劣化・電源電圧不安定・センサー異常などが疑われます。
もし症状が再発するようであれば、以下の点も確認してみてください。
- リモコンにエラーコード(3桁の数字など)が表示されていないか?
- ガスメーターが点滅してガスが遮断されていないか?
これらの情報は、専門家が原因を診断する上で非常に重要な手がかりとなります。
この状態を放置して使い続けると、ある日突然、完全にお湯が使えなくなる可能性が非常に高いです。症状が軽いうちに、致命的な故障に至る前に、早めに専門業者に相談し、点検を受けることを強く推奨します。

冬に電源が落ちる原因と凍結対策
特に気温が氷点下まで下がる寒い冬の朝、目覚めて顔を洗おうとしたら「給湯器の電源が入らない」「蛇口をひねってもお湯どころか水さえチョロチョロとしか出ない」というトラブルが全国で多発します。
この季節特有の現象は、給湯器本体や、それに接続されている水道配管が凍結していることが原因である可能性が極めて高いです。
給湯器は、内部にある水量センサーが水の流れを検知して初めて点火する仕組みになっています。
これは、水が流れていない状態で点火してしまう「空焚き」を防ぎ、機器の焼損や火災を防ぐための重要な安全機能です。
そのため、配管内の水が凍って氷の塊となり、水の流れが物理的に完全に止まってしまうと、この安全装置が働き、リモコンの電源が入っていても運転が停止してしまうのです。
もし凍結してしまった場合の対処法
安全な解凍方法は「ひたすら待つ」のが基本です
最も安全で、配管にダメージを与えない確実な方法は、日中の気温が上昇して、凍結した部分が自然に解凍されるのを待つことです。お湯が使えず不便ですが、これが最善策です。
どうしても急いでいる場合は、凍結している可能性が高い配管部分(通常、給湯器の下に接続されている保温材の巻かれていない金属製の管)にタオルを巻きます。
そして、その上から人肌程度のぬるま湯(30~40℃)を、ゆっくりと、辛抱強くかけ続けてください。水の流れる音が聞こえ始めたら解凍されたサインです。
【厳禁】絶対に熱湯をかけないでください!
早く溶かしたい一心で、凍結した配管にやかんで沸かしたような熱湯をかけるのは絶対にやめてください。
金属製の配管が急激な温度変化に耐えられず、収縮・膨張によって亀裂が入ったり、破裂したりする恐れがあります。
そうなると、大規模な水漏れを引き起こし、解凍どころか高額な配管修理費用が発生する最悪の事態になりかねません。
誰でもできる効果的な凍結の予防策
凍結は、少しの工夫で未然に防ぐことが可能です。天気予報で夜間の気温が氷点下になると予想される日には、以下の対策をぜひ実践してください。
水を少量だけ流し続ける
就寝前に、お湯側の蛇口を少しだけ開け、一筋の糸ほどの太さ(毎分400cc、コップ1杯分程度)で水をチョロチョロと流し続けることで、配管内の水が常に動いている状態になり、凍結を効果的に防ぐことができます。
追い焚き機能付きふろがまの場合
浴槽のお湯を、湯はり口(循環アダプター)の中心から5cm以上上の位置まで張ったままにしておくことをお勧めします。
多くの給湯器には、外気温が下がると自動でポンプを動かして浴槽のお湯を循環させ、配管の凍結を防ぐ「自動凍結予防運転機能」が搭載されています。
これらの簡単な対策で、冬場の急な給湯トラブルを未然に防ぎ、快適な朝を迎えることができます。

見逃せない給湯器が壊れるサインは
電源が入らないという致命的なトラブルに至る前に、給湯器は多くの場合、様々な形で「体調不良」のサインを発しています。
これらの前兆、いわば"声なきSOS"に早く気づくことができれば、ある日突然お湯が全く使えなくなるという最悪の事態を回避し、心と予算の準備期間を持って、計画的に修理や交換の検討を進めることができます。
一般的なガス給湯器の寿命は、設置から約10年と言われています。(参考:給湯器の寿命は何年? 修理や交換が必要なサインも解説! | 東京ガス ウチコト)
使用年数が8年を超えてきたら、特に注意が必要です。以下のような症状が一つでも見られたら、それは給湯器の寿命が近づいている重要なサインかもしれません。
人間と同じで、給湯器も「なんだか最近、調子が悪いな…」と私たちにサインを送ってくれているんです。その小さな変化を見逃さないようにしましょう!
注意すべき5つの代表的な故障サイン
5つの故障サイン
⒈お湯の温度が安定しない(温度ムラ)
シャワーを浴びている最中に、設定した温度よりも急に熱いお湯や冷たい水が交互に出るような状態です。
これは、お湯の温度を調整している内部の温度センサーや、ガスと水の量を制御する部品の劣化・故障が考えられます。
⒉給湯器から普段と違う「異音」がする
お湯を使い始める点火時に「ボンッ」という小さな爆発音がしたり、運転中に「ピー」という笛のような高い音や、「ウーン」「ゴーッ」といったうなるような低い音が聞こえたりする場合があります。
その場合、内部のファンモーターやポンプのベアリングが摩耗している、あるいは点火系統に異常をきたしている可能性があります。
⒊給湯器本体や配管から「水漏れ」している
給湯器の下部や、接続されている配管の継ぎ目から、ポタポタと水が滴り落ちているのを発見した場合、内部の部品や気密性を保つためのゴムパッキンが経年劣化で硬化し、ひび割れている可能性が高いです。
放置すると漏水が拡大するだけでなく、漏れた水が電気部品にかかるとショートや不完全燃焼の原因にもなり大変危険です。
⒋排気口の周りが黒くなっている・すすが出ている
これは、ガスが正常に燃焼していない「不完全燃焼」を起こしている非常に危険なサインです。
一酸化炭素(CO)という有毒なガスが発生している恐れがあるため、発見次第、直ちに使用を中止し、窓を開けて十分に換気を行った上で、速やかにガス会社や専門業者に連絡してください。
⒌お風呂のお湯はりや追い焚きに以前より時間がかかる
「最近、お湯がたまるのが遅くなったな」「追い焚きしてもなかなか温まらないな」と感じる場合、給湯器内部の熱交換器に汚れが詰まるなどして、熱効率が著しく低下している証拠です。
無駄にガスを消費しているだけでなく、機器に大きな負担がかかっている状態です。
これらのサインが一つでも見られたら、たとえまだ辛うじてお湯が使えている状態であっても、決して放置せず、一度専門家によるプロの目で点検してもらうことを強くお勧めします。
早期発見・早期対応が、結果的に安全とコストの双方を守ることにつながります。

賃貸アパート・マンションでの対応
賃貸のアパートやマンションにお住まいの場合、ご自宅の給湯器に電源が入らないなどのトラブルが発生した際の対応方法は、持ち家の場合と根本的に異なります。
ここで最も重要な、そして絶対に守るべき鉄則は、「ご自身の判断で勝手に修理業者を手配しない」ということです。
最初に連絡すべきは「大家さん」か「管理会社」
賃貸物件に備え付けられている給湯器は、エアコンやコンロと同様に、部屋の「設備」の一部です。
つまり、その所有権は入居者であるあなたではなく、物件のオーナーである大家さん(貸主)にあります。
したがって、経年劣化による自然故障の場合、その修理費用や交換費用は、原則として大家さんが負担する義務があります(民法第606条 賃貸人の修繕義務)。
もし、このルールを知らずに、大家さんや管理会社に連絡・相談することなく、ご自身でインターネットなどで見つけた業者に修理を依頼してしまうと、後々深刻なトラブルに発展する可能性があります。
自己判断で修理・交換する具体的なリスク
- 高額な修理費用が全額自己負担になってしまう可能性がある。
- 入居者には「借りた部屋や設備を善良に管理する義務(善管注意義務)」があります。これを怠ったとみなされ、大家さんとの信頼関係が悪化する恐れがあります。
- 建物全体の保険や保証が適用されなくなるなど、他の入居者にも影響を及ぼすトラブルに発展するケースも考えられます。
このような無用なトラブルを避けるため、給湯器の不調に気づいたら、まずは慌てずに賃貸借契約書や入居時の案内に記載されている管理会社や大家さんの連絡先に電話をしましょう。
そして、以下の情報を落ち着いて、かつ正確に伝えることが、スムーズな解決への鍵となります。
管理会社・大家さんへ連絡する際に伝えるべき情報
- 物件名、部屋番号、契約者氏名を最初に伝える。
- いつから、どのような症状が発生しているかを具体的に説明する。(例:「昨日の夜9時頃から、キッチンと浴室の両方のリモコンの電源が全く入らない状態です」)
- リモコンにエラーコードが表示されていれば、その3桁の番号を正確に伝える。
- ご自身で試したことを正直に話す。(例:「分電盤のブレーカーが落ちていないかは確認しました。給湯器の電源プラグの抜き差しも一度試しましたが、状況は変わりません」)
連絡後は、管理会社や大家さんの指示に従ってください。
通常は、大家さんが懇意にしている、あるいは管理会社が提携している修理業者が手配され、業者から直接あなたに点検や修理の日程調整の連絡が入る、という流れになります。

業者による修理とノーリツ・リンナイ・パロマ
ご自身での様々な対処法を試しても状況が改善しない、あるいは水漏れや異音など、明らかに故障の可能性が高いと判断した場合は、いよいよ専門業者に修理を依頼する段階となります。
このとき、「どこに頼めばいいのか?」という問題に直面します。
修理の依頼先には、主に「ご契約のガス会社」「給湯器メーカー」「地域の給湯器専門業者」という3つの選択肢があり、それぞれに異なるメリット・デメリットが存在します。
どこに依頼するかによって、対応のスピード、修理費用、そして何より安心感が大きく異なるため、ご自身の状況や何を最も重視するかによって、最適な依頼先を選ぶことが賢明です。
依頼先の種類 | メリット | デメリット |
---|---|---|
ガス会社 (東京ガス、大阪ガスなど) | ・日常的に利用しているインフラ企業であるため、絶大な安心感と信頼性がある。 ・ガス供給に関する専門知識が豊富で、ガス漏れなどの二次災害への対応も万全。 | ・修理費用が、他の選択肢に比べて比較的高めに設定されている傾向がある。 ・繁忙期には電話が繋がりにくかったり、訪問まで時間がかかったりすることがある。 |
給湯器メーカー (ノーリツ、リンナイ、パロマなど) | ・自社製品に関する専門知識、技術力、情報量が最も深い。 ・純正部品の在庫が豊富で、的確な診断と質の高い修理が期待できる。 | ・修理費用は基本的に定価ベースとなるため高額になりやすい。 ・当然ながら、他社メーカーの製品の修理は基本的に受け付けていない。 |
給湯器専門業者 (地域のガス水道設備店など) | ・価格競争力があり、費用を最も安く抑えられる可能性が高い。 ・地域密着型でフットワークが軽く、迅速な対応が期待できる業者が多い。 ・様々なメーカーの製品に対応可能な知識と技術を持っている。 | ・業者の数が非常に多く、技術力や信頼性に大きな差があるため、優良な業者を慎重に見極める必要がある。 |
一概にどこが一番良いとは言えません。何を優先するかで最適な選択は変わってきますね。
例えば、何よりも安心感を最優先するならガス会社やメーカー、費用や対応スピードを重視するなら、信頼できる地域の給湯器専門業者を探すのがおすすめです。
業者選びのポイント
専門業者に依頼する場合は、複数の業者から見積もりを取る「相見積もり」を強くお勧めします。料金体系や工事内容を比較検討することで、不当に高額な請求を避けることができます。
また、ガス機器の設置に必要な公的な資格(ガス可とう管接続工事監督者など)を保有しているかを事前にウェブサイトで確認したり、直接質問したりすることも、信頼できる業者を見極める上で非常に重要です。
横浜・川崎・東京都南部エリアで業者をお探しの方へ
もし横浜・川崎エリアにお住まいで、信頼できる業者をお探しでしたら、私たち「横浜電気工事レスキュー」にもお気軽にご相談ください。
東京電力の指定工事店(工事店登録番号:701-1730)として、ガス給湯器はもちろん、エコキュートや電気温水器の設置・交換工事まで、資格を持つプロが安全かつ迅速に対応いたします。
主要メーカーへの直接相談
お使いの給湯器がノーリツ、リンナイ、パロマといった国内の主要メーカーのものであれば、修理を依頼する前に、まずは各メーカーの公式ウェブサイトを訪れてみることをお勧めします。
ウェブサイトには、エラーコードごとの詳しい対処法が掲載されているほか、チャットボットやメールでの問い合わせフォーム、お客様サポートの電話番号などが用意されています。
簡単な操作ミスや設定の問題であれば、電話口のオペレーターの指示に従うだけで解決策が見つかることもありますので、試してみる価値は十分にあります。

ガス給湯器の電源が入らない時の総括
この記事では、ガス給湯器の電源が入らないという緊急のトラブルについて、その原因の特定方法から具体的な対処法、そして専門家への依頼に至るまでを、順を追って詳しく解説しました。
最後に、この問題に直面した際に取るべき行動と重要なポイントを、チェックリスト形式でまとめます。
- 電源が入らない原因は電気・ガス・水の供給か本体故障が考えられる
- 最初に確認すべきはリモコンの節電モードやロック機能
- リモコンが電池式の場合は電池切れを疑う
- 給湯器本体の電源プラグが抜けていないか確認する
- 分電盤のブレーカー、特に給湯器専用のものが落ちていないか見る
- 漏電ブレーカーが作動した場合は漏電の危険性が高い
- ブレーカーが繰り返し落ちる場合は絶対に使用を中止する
- 軽微なエラーは電源プラグの抜き差しによるリセットで直ることがある
- 冬場のトラブルは配管凍結の可能性を考慮する
- 凍結した場合、解凍に熱湯は絶対に使用しない
- 異音や水漏れなど、電源以外の故障サインにも注意を払う
- 賃貸物件の場合は、まず大家さんや管理会社に連絡する
- 修理依頼先にはガス会社、メーカー、専門業者の選択肢がある
- 費用やスピード、安心感など何を重視するかで依頼先を選ぶ
- 完全に故障する前に、定期的な点検や早めの対処を心がける