コンセントの増やし方|DIYは可能?費用や工事の注意点を解説

- 1. 知っておきたいコンセントの増やし方の基本
- 1.1. 増設(DIY)は資格なしでもできますか?
- 1.2. 手軽なのは1口から2口への交換
- 1.3. 分岐や渡り配線による増設工事の方法
- 1.4. マンションや戸建てでの増設はどうすればいいですか?
- 1.4.1. マンションの場合
- 1.4.2. 戸建ての場合
- 2. 具体的なコンセントの増やし方と工事依頼
- 2.1. 工事はどこに頼む?ヤマダ電機でも可能?
- 2.2. 増設にかかる費用の目安
- 2.3. 壁の外と壁の中の配線による料金の違い
- 2.3.1. 隠蔽配線(壁の中)
- 2.3.2. 露出配線(壁の外)
- 2.4. エアコン等のための200V化
- 2.5. 増設工事は何日かかる?
- 2.6. 増設すると電気代はいくら増えるのか
- 2.7. 安全で最適なコンセントの増やし方まとめ
家電製品が増えるにつれて、「ここにコンセントがあれば便利なのに」と感じることはありませんか。
しかし、いざコンセントの増やし方を調べようとしても、「資格なしでもDIYでできるのか?」「工事には何日かかるのか」「そして費用は一体いくらなのか?」次々と疑問が湧いてきます。
特に、マンションや戸建てといった住宅の状況によって、どうすればいいのかと悩む方も多いはずです。
単純に1口コンセントを2口に交換する簡単な方法から、分岐や渡り配線といった専門的な工事、エアコン設置に伴う200V化まで、選択肢は多岐にわたります。
工事をどこに頼むか検討する際には、ヤマダ電機のような家電量販店の対応可否も気になりますし、壁の外と壁の中の配線方法の違いが工事費用にどう影響するのかも知りたいところです。
また、増設後に電気代はいくら増えるのかという心配もあるかもしれません。
この記事では、そのようなコンセント増設に関するあらゆる疑問に答え、失敗や後悔を避けるための知識を網羅的に解説していきます。
この記事を読むことで、以下の点について深く理解できます。
記事のポイント
- コンセント増失を自分で行うことの可否と法律上の注意点
- 状況に応じた3つの主なコンセント増設方法とその特徴
- 工事を依頼する際の業者選びのポイントと費用の内訳
- 住宅タイプや使用目的に合わせた最適な解決策の選び方
知っておきたいコンセントの増やし方の基本
- 増設(DIY)は資格なしでもできますか?
- 手軽なのは1口から2口への交換
- 分岐や渡り配線による増設工事の方法
- マンションや戸建てで増設はどうすればいいですか?
増設(DIY)は資格なしでもできますか?
結論から言うと、壁の内部にある電気配線を扱うコンセントの増設工事を、資格なしでDIYすることは法律で固く禁止されています。
その理由は、電気工事には感電や漏電、そして火災につながる重大な危険が伴うためです。
電気工事士法という法律により、住宅の屋内配線工事は「第二種電気工事士」以上の国家資格を持つ人でなければ行ってはならないと定められています。
知識がないまま作業を行うと、配線の接続不良から異常発熱が起きたり、ショートしてしまったりする可能性があります。
ただし、全ての作業に資格が必要なわけではありません。
例えば、既存のコンセントプレート(化粧カバー)をデザイン性の高いものに交換する作業は、電気配線に触れないため資格がなくても行うことが可能です。
以上の点を踏まえると、安全性を確保し、法律を遵守する観点から、コンセント本体の交換や新設といった配線作業が伴う工事は、必ず専門の資格を持つプロの業者に依頼することが不可欠です。

手軽なのは1口から2口への交換
コンセントの差し込み口が足りないと感じる場合、最も手軽に解決できる方法の一つが、既存のコンセントをより口数の多いものに交換することです。
例えば、壁に設置されている1口コンセントを、同じ場所で2口や3口のコンセントプレートに変更する工事がこれにあたります。
この方法の最大のメリットは、工事が比較的簡単で、短時間かつ低コストで済む点にあります。
壁の中に新たな配線を通す必要がなく、既存の配線を新しいコンセント器具に繋ぎかえるだけで作業が完了するため、30分から1時間程度の作業時間で終えることが可能です。
テレビ周りやデスク周りなど、複数の家電を使いたいけれど見栄えをスッキリさせたい場合に適していますが、一方で重要な注意点があります。
それは、差し込み口の数が増えても、その回路全体で使える電気の総量(アンペア数)は変わらないということです。
一つの回路で安全に使える電力は一般的に15A(1500W)までと決まっています。差し込み口が増えたからといって、消費電力の大きな家電を同時に使用すると、容量オーバーでブレーカーが落ちる原因となります。
したがって、この方法はあくまで物理的な差し込み口を増やすための手段であり、使える電気の量を増やしたい場合には適していないことを理解しておく必要があります。

分岐や渡り配線による増設工事の方法
現在コンセントがない場所に新しく設置したい場合、主な工事方法として「分岐配線」や「渡り配線」という手法が用いられます。
これは、最も近くにある既存のコンセントや照明器具の配線から、電気を分けて新しいコンセントまで電線を引く方法です。
この手法の利点は、分電盤から直接新しい線を引くよりも、配線距離が短く済むため工事費用を抑えやすい点にあります。
掃除機を使いたい廊下や、スマートフォンの充電用にベッドサイドなど、「ここにあったら便利」という場所にコンセントを増設する際に一般的に選ばれます。
しかし、この方法にも注意すべき点が存在します。
前述の「差し込み口の交換」と同様に、分岐元の回路と電気の容量を共有することになるため、回路全体で使用できる電気の総量は増えません。
例えば、キッチンにあるコンセントから配線を分岐させた場合、新設したコンセントで電気ケトルを使用すると、元のコンセントに接続している電子レンジと同時に使った際にブレーカーが落ちる可能性が高まります。
そのため、分岐や渡り配線でコンセントを増設する際は、どの回路から電気を分けるのか、その回路では他にどのような家電が使われているのかを業者としっかり確認し、電力容量に余裕のある回路から分岐させることが大切になります。

マンションや戸建てでの増設はどうすればいいですか?
コンセントを増設したいと考えたとき、お住まいがマンションか戸建てかによって、進め方や注意すべき点が変わってきます。
マンションの場合
賃貸マンションにお住まいの場合、コンセント増設は個人の判断で自由に行うことはできません。
壁に穴を開けたり、配線を変更したりする工事は、建物の資産価値に関わるため、必ず事前に大家さんや管理会社の許可を得る必要があります。
許可なく工事を進めてしまうと、契約違反となり、退去時に高額な原状回復費用を請求される可能性があります。まずは正直に理由を伝え、工事の許可を書面で得ることが最初のステップです。
分譲マンションの場合でも、壁が共有部分に影響する可能性があるため、管理規約を確認し、必要であれば管理組合に確認することをおすすめします。
戸建ての場合
持ち家である戸建ての場合は、基本的には所有者の判断で工事を行うことが可能です。ただし、建物の構造によって工事の難易度や方法が異なります。
例えば、木造住宅は壁の内部に空間が多いため比較的配線を通しやすいですが、鉄筋コンクリート造の場合は配線を通すのが難しく、工事が大掛かりになることも考えられます。
どのような工法が最適か、まずは専門の業者に現地調査を依頼して相談するのが良いでしょう。いずれの住宅タイプであっても、工事自体は資格を持つ専門業者に依頼するという原則は変わりません。

具体的なコンセントの増やし方と工事依頼
- 工事はどこに頼む?ヤマダ電機でも可能?
- 増設にかかる費用の目安
- 壁の外と壁の中の配線による料金の違い
- エアコン等のための200V化
- 増設工事は何日かかる?
- 増設すると電気代はいくら増えるのか
- 安全で最適なコンセントの増やし方まとめ
工事はどこに頼む?ヤマダ電機でも可能?
コンセントの増設工事を依頼する先は、主に「地域の電気工事店」「リフォーム会社」「大手家電量販店」の3つが考えられます。
まず、地域の電気工事店は、電気工事を専門に扱っているため、専門的な知識と技術力に期待ができます。地域に密着しているため、迅速な対応や細かな相談に乗りやすいのが特長です。
次に、リフォーム会社は、壁紙の張り替えなど内装工事と合わせてコンセント増設を行いたい場合に適しています。電気工事と内装工事をまとめて依頼できるため、窓口が一つで済み、段取りがスムーズに進む利点があります。
そして、ヤマダ電機のような大手家電量販店でも、エアコンや食洗機などの家電製品購入に伴う設置工事の一環として、コンセント増設を依頼することが可能です。
ただし、実際に工事を行うのは提携している下請けの電気工事店であることが多く、中間マージンが発生するため、費用が直接工事店に頼むより割高になる傾向があります。
家電購入と同時に工事を済ませたい場合には便利な選択肢と言えます。
どこに依頼するにしても、必ず複数の業者から見積もりを取り、料金やサービス内容を比較検討することが、納得のいく工事を行うための鍵となります。
なお、実際のコンセント工事がどのように行われているのか気になる方は、弊社がこれまでに手がけた施工事例をご覧いただくと参考になります。

増設にかかる費用の目安
コンセント増設の費用は、どのような工事を行うかによって大きく変動します。ここでは、主な工事方法ごとのおおよその費用相場を紹介します。
工事の種類 | 費用の目安 | 工事内容の概要・注意点 |
---|---|---|
差し込み口の増設 | 5,000円 ~ 10,000円前後 | 既存のコンセントを2口から3口などに交換する工事。作業時間が短く最も安価ですが、使える電気の総量は増えません。 |
既存配線からの分岐 | 8,000円 ~ 16,000円前後 | 近くの配線から電気を分岐させて新しい場所にコンセントを設置します。配線距離が短い場合に適しています。 |
分電盤からの専用回路増設 | 16,000円 ~ 30,000円以上 | 分電盤から独立した配線を引く工事。消費電力の大きい家電に必須です。分電盤からの距離や壁の構造で費用が大きく変わります。 |
上記の費用はあくまで一般的な目安です。実際の費用は、配線の距離、建物の構造(木造、鉄筋コンクリートなど)、配線を壁の中に隠すか外に出すか、といった現場の状況によって変わってきます。
例えば、分電盤に空きがなく、増設が必要な場合は追加の費用が発生します。正確な金額を知るためには、必ず事前に業者に現地調査をしてもらい、詳細な見積もりを提出してもらうことが大切です。

壁の外と壁の中の配線による料金の違い
コンセントを増設する際の配線方法には、大きく分けて「隠蔽(いんぺい)配線」と「露出配線」の2種類があり、どちらを選ぶかによって見た目と費用が大きく異なります。
隠蔽配線(壁の中)
隠蔽配線は、その名の通り、電線を壁や天井の内部を通して見えないように設置する方法です。最大のメリットは、配線が一切見えないため、部屋の美観を損なわず、スッキリとした仕上がりになる点です。
しかし、壁の中に配線を通すためには、壁に穴を開ける作業や、天井裏・床下での作業が必要になるため、工事の手間がかかります。その結果、露出配線に比べて工事費用は高くなる傾向があります。
露出配線(壁の外)
露出配線は、壁や天井の表面に配線を這わせて設置する方法です。配線がむき出しにならないよう、通常は「モール」と呼ばれる樹脂製のカバーで保護します。
こちらのメリットは、壁を大きく壊す必要がないため工事が比較的簡単で、費用を安く抑えられる点にあります。一方で、壁や天井にモールが沿って設置されるため、どうしても見た目が気になるというデメリットが生じます。
どちらの方法が良いかは、予算や見た目に対するこだわりによって決まります。費用を抑えたい場合は露出配線、見た目を重視するなら隠蔽配線が適していると言えるでしょう。

エアコン等のための200V化
家庭用のコンセントは通常100V(ボルト)ですが、エアコンやIHクッキングヒーター、一部の大型食洗機など、パワーを必要とする特定の家電製品では200Vの電源が必要になることがあります。
このような家電を設置するためには、コンセントの200V化工事が必須です。この工事は、単にコンセントの形状を交換するだけでは完了しません。
分電盤の内部で配線の繋ぎ変えを行い、電圧を100Vから200Vに切り替える作業が必要となります。また、多くの場合、安全のためにその家電専用の回路(専用配線)として分電盤から直接配線を引く工事が行われます。
ご自宅の分電盤が200Vに対応しているか(単相3線式か)どうかで工事内容も変わってきます。
最近の住宅はほとんどが対応していますが、古い住宅の場合は、まず電力会社に申請して幹線を引き直すといった大掛かりな工事が必要になる可能性もあります。
200V対応の家電を購入する際は、事前に自宅の分電盤の状況を確認し、必要な工事について電気工事業者に相談することが不可欠です。

増設工事は何日かかる?
コンセント増設工事にかかる時間は、その工事内容によって大きく異なります。
最も簡単な、既存のコンセントの差し込み口を増やすだけの工事であれば、作業は30分から1時間程度で完了することがほとんどです。
近くの配線から分岐させて新しいコンセントを1カ所設けるといった一般的な増設工事の場合でも、壁の構造が複雑でなければ、おおむね1時間から2時間程度で終了します。
一方で、工事が1日で終わらないケースもあります。それは、分電盤から新たな専用回路を建物の端から端まで引くような、配線距離が非常に長い工事です。
また、壁の中が鉄筋コンクリートで配管を通す必要があったり、壁紙の張り替えなどの内装工事が伴ったりする場合も、複数日にわたることが考えられます。
多くの場合、一般的なコンセント増設工事は半日もかからずに完了します。ただし、これはあくまで目安であり、正確な所要時間は事前の現地調査の際に業者へ確認するのが確実です。
工事当日のスケジュールを立てるためにも、見積もりを取る際に工事時間についても質問しておきましょう。

増設すると電気代はいくら増えるのか
「コンセントを増やすと、電気の基本料金が上がってしまうのではないか」と心配される方がいますが、コンセントの数を増やしただけで電気代が直接的に上がることはありません。
家庭の電気料金は、毎月の「基本料金」と、使用した電力量に応じた「電力量料金」で構成されています。
コンセントを増設する工事は、あくまで家の中で電気を使える場所を増やすだけであり、電力会社との契約内容(契約アンペア数)を変更するものではないため、基本料金は変わりません。
電気代が増えるかどうかは、コンセントを増やした「後」の電気の使い方次第です。
例えば、これまでコンセントがなくて使えなかった新しい家電を導入すれば、その分だけ使用電力量が増え、結果として電気代は上がります。
しかし、これはコンセントを増やしたからではなく、単純に電気を使う量が増えたためです。
要するに、コンセント増設工事自体が電気代を上げる要因になることはなく、その後のライフスタイルの変化によって電気代が変動すると理解しておくと良いでしょう。

安全で最適なコンセントの増やし方まとめ
この記事で解説した、コンセントの増やし方に関する重要なポイントを以下にまとめます。
- コンセント増設工事には「第二種電気工事士」の資格が必須
- 資格のない個人のDIYは感電や火災の危険があり法律で禁止されている
- 配線に触れないコンセントカバーの交換は資格がなくても可能
- 差し込み口の数を増やすだけでは使える電気の総量は増えない
- 一つの回路で安全に使える電力は一般的に15A(1500W)が上限
- 既存の配線から分岐する方法は比較的安価だが容量に注意が必要
- 消費電力の大きい家電には分電盤からの専用回路増設が推奨される
- 工事は地域の電気工事店やリフォーム会社などに依頼できる
- 家電量販店でも依頼できるが費用は割高になる傾向がある
- 工事費用は配線の方法(隠蔽か露出か)や距離で大きく変動する
- エアコンなどには200Vの電圧に対応した専用コンセントが必要
- 一般的な増設工事は多くの場合1~2時間程度で完了する
- 賃貸物件での工事は必ず事前に大家さんや管理会社の許可が必要
- コンセントを増やしただけで電気の基本料金が上がることはない
- 最適な増設方法を選ぶには専門業者への相談が不可欠