ダウンライトとシーリングライトどちらが安い?費用と選び方を徹底比較

新築やリフォーム、あるいは模様替えのタイミングで照明を選ぶ際、「ダウンライトとシーリングライト、結局のところどちらが安いの?」という疑問は、多くの方が直面する大きなテーマではないでしょうか。
照明は単に部屋を明るくするだけの設備ではありません。空間の印象を決定づけ、日々の暮らしの快適性を左右し、さらには長期的な家計にも影響を与える重要なインテリア要素です。
カタログに記載された器具の値段だけで判断してしまうと、「こんなはずではなかった…」と後悔につながることも少なくありません。
本当の意味で「安い」照明を選ぶためには、LED化による月々の電気代の違いはもちろん、10年後を見据えた交換費用や専門業者の工事相場まで、トータルコストで考える必要があります。
また、ダウンライトは一体1個で何畳分を照らせるのか、最近よく聞くダウンシーリングとは何か、といった基本的な知識から、それぞれのメリット・デメリットを正確に理解することが、賢い選択への第一歩です。
この記事では、リビングや玄関といった場所ごとの最適な選び方、賃貸物件における注意点、そして人気のダウンライトをやめてシーリングライトに交換する方法、新築時の照明費用を上手にコストダウンする秘訣まで、あらゆる角度から徹底的に掘り下げて解説していきます。
記事のポイント
- ダウンライトとシーリングライトの初期費用と長期的な総コストの違い
- 電気代や交換費用を抑えるための具体的なポイント
- リビングや玄関など部屋の用途に合わせた最適な照明の選び方
- 新築やリフォームで後悔しないための照明計画のコツ
- 1. 初期費用で比較!ダウンライトとシーリングライトではどちらが安い?
- 1.1. まず知りたい両者の基本的な違い
- 1.1.1. 第3の選択肢「ダウンシーリング」とは?
- 1.2. それぞれのメリット・デメリットを解説
- 1.2.1. シーリングライト
- 1.2.1.1. メリット
- 1.2.1.2. デメリット
- 1.2.2. ダウンライト
- 1.2.2.1. メリット
- 1.2.2.2. デメリット
- 1.3. 器具本体と工事費を含めた値段の比較
- 1.3.1. シーリングライトの場合:手軽さと低コストが魅力
- 1.3.2. ダウンライトの場合:工事費が総額を押し上げる構造
- 1.3.2.1. 8畳の部屋における初期費用シミュレーション
- 1.4. 新築の照明費用コストダウンのコツ
- 1.4.1. 1. 「適材適所」のハイブリッド照明計画を立てる
- 1.4.1.1. 【ハイブリッド計画の具体例】
- 1.4.2. 2. メリハリのある「施主支給」を検討する
- 1.4.2.1. 施主支給の注意点と賢い活用法
- 1.4.3. 3. 機能とデザインの「シンプル化」を意識する
- 1.5. リビングや玄関での最適な選び方
- 1.5.1. リビング:多様な過ごし方に応える「一室多灯」が鍵
- 1.5.1.1. リビングにおける「一室多灯」のプラン例
- 1.5.2. 玄関:人感センサー付きダウンライトで、すっきり&スマートに
- 1.5.2.1. 玄関演出のワンポイントアドバイス
- 2. 維持費で比較!ダウンライトとシーリングライトどちらが安い?
- 2.1. 毎月の電気代はどちらがお得?
- 2.1.1.1. 8畳の部屋における電気代シミュレーション
- 2.2. 最新LED照明ならさらに節約できる?
- 2.2.1.1. 調光機能(明るさの調整)
- 2.3. 交換費用の相場と業者の選び方
- 2.3.1. シーリングライトの交換:シンプルかつ低コスト
- 2.3.2. ダウンライトの交換:専門工事必須の高コスト作業
- 2.3.2.1. 10年後の交換費用シミュレーション(8畳・8台)
- 2.3.3. 信頼できる業者の選び方のポイント
- 2.4. ダウンライトをやめてシーリングにするには
- 2.4.1. ダウンライトからシーリングライトへの交換手順
- 2.4.1.1. Step1既存ダウンライトの撤去
- 2.4.1.2. Step2:天井の穴の補修工事
- 2.4.1.3. Step3:引掛シーリングの新設工事
- 2.4.1.4. Step4:新規シーリングライトの取り付け
- 2.5. ダウンライトは1個で何畳分を照らせる?
- 2.5.1. 部屋の広さに応じた必要個数の目安(60W相当)
- 2.5.2. 1. 天井の高さ
- 2.5.3. 2. 内装の色
- 2.5.4. 3. ダウンライトの配光タイプ
- 2.5.4.1. 正確な指標「ルーメン(lm)」を理解しよう!
- 2.6. 結論:ダウンライトとシーリングライトどちらが安いのか
初期費用で比較!ダウンライトとシーリングライトではどちらが安い?
- まず知りたい両者の基本的な違い
- それぞれのメリット・デメリットを解説
- 器具本体と工事費を含めた値段の比較
- 新築の照明費用コストダウンのコツ
- リビングや玄関での最適な選び方
まず知りたい両者の基本的な違い
ダウンライトとシーリングライトは、どちらも現代の住宅で広く採用されている天井照明ですが、その根本的なコンセプトは大きく異なります。
どちらがご自身の住まいに適しているかを見極めるため、まずはその構造、光の質、そして空間に与える印象の違いを深く理解することから始めましょう。
シーリングライトは、その名の通り天井(Ceiling)に直接取り付ける照明器具です。
多くの場合、部屋の中央に一つだけ設置され、大きな発光面から光を拡散させることで、部屋全体を均一かつパワフルに照らし出すことを主目的としています。
勉強や料理、家族団らんといった日常的な活動に必要な明るさを、一台で手軽に確保できる実用性の高さが魅力です。いわば、空間全体のベースとなる光を担う「全体照明」の代表格と言えるでしょう。
一方、ダウンライトは、天井に穴を開けて器具を埋め込む設置方法が最大の特徴です。
照明器具そのものが天井面から突出しないため、視覚的なノイズがなく、非常にすっきりとしたモダンな天井を演出できるデザイン性が高く評価されています。
光は下方向へと集中的に落ちるため、部屋全体を均一に照らすというよりは、特定のエリアを狙って照らす「局所照明」としての役割が得意です。
複数個をリズミカルに配置することで、空間に陰影と奥行き感を生み出し、まるでホテルのラウンジや美術館のような上質な雰囲気を作り出すことができます。
これらの基本的な違いを、より具体的に比較するために以下の表にまとめました。
項目 | シーリングライト | ダウンライト |
---|---|---|
設置方法 | 天井に直接取り付ける(多くは工事不要) | 天井に穴を開けて埋め込む(要電気工事) |
特徴 | 1台で部屋全体を均一に照らす | 複数台を組み合わせて局所的に照らす |
空間の見え方 | 器具の存在感があり、やや生活感が出やすい | 天井がフラットですっきりし、空間が広く見える効果がある |
光の広がり | 拡散的で部屋全体が明るく、影ができにくい | 指向性が強く、スポット的に照らすため陰影が生まれやすい |
雰囲気 | 活動的で明るい、機能的な空間 | 陰影のある落ち着いた、デザイン性の高い空間 |
つまり、「コストを抑えつつ、手軽に部屋全体の明るさを確保したい」という実用性を最優先するならシーリングライトを選択しましょう。
また、「初期費用がかかっても、空間のデザイン性や上質な雰囲気を追求したい」というこだわりを重視するならダウンライトが、基本的な選択の方向性になると言えますね。
第3の選択肢「ダウンシーリング」とは?
最近、この両者の"いいとこ取り"をした「ダウンシーリング」という照明器具が注目を集めてられています。
これは、ダウンライトのようなコンパクトですっきりした見た目を持ちながら、シーリングライトのように電気工事不要で、天井の「引掛シーリング」に自分で簡単に取り付けられる照明です。
ダウンライトのように天井に穴を開ける必要がなく、通常のシーリングライトよりも小型で圧迫感が少ないのが最大の魅力。
廊下やトイレ、クローゼットといった限られたスペースを、工事の手間なくスタイリッシュに照らしたい場合に最適な選択肢と言えます。

それぞれのメリット・デメリットを解説
基本的な特徴の違いを踏まえた上で、次にそれぞれの照明が持つ具体的なメリットとデメリットを多角的に掘り下げていきましょう。
ご自身のライフスタイルや価値観、そして住まいの特性と照らし合わせながら、どちらがより多くのメリットをもたらすかを判断するための重要なセクションです。
シーリングライト
メリット
- 圧倒的なコストパフォーマンス
器具本体が5,000円~20,000円程度と比較的安価でありながら、1台で12畳程度の広さまでカバーできる製品も多く、初期費用を大幅に抑えることが可能です。 - 簡単な設置・交換プロセス
日本の住宅の天井には、多くの場合「引掛シーリング」という配線器具が標準装備されています。これがあれば、特別な工具や資格は不要で、多くの方がご自身で簡単かつ安全に取り付けや交換を行えます。 - 多彩な便利機能
現代のLEDシーリングライトは、単に明るいだけではありません。リモコン一つで明るさを10段階以上に調整できる「調光機能」や、光の色を活動的な昼光色からリラックスできる電球色まで変えられる「調色機能」は、もはや標準装備。生活シーンに合わせて最適な光環境を瞬時に作り出せます。 - 影のできにくい均一な光
大きな面で発光し光を拡散させるため、部屋の隅々まで明るさが届きやすく、手元に影ができにくいのが大きな利点です。お子様の学習スペースや書斎、キッチンなど、細かな作業を行う部屋には最適と言えるでしょう。
デメリット
- デザイン性の限界
構造上、どうしても天井から器具が突出するため、空間の圧迫感につながることがあります。特に天井が低い部屋では、その存在感が気になるかもしれません。おしゃれなデザインのものも増えていますが、ダウンライトのような完全なフラットさは実現できません。 - 避けられないメンテナンス
照明カバーと天井の間には隙間があり、時間とともにホコリや小さな虫が侵入しがちです。明るさを保ち、衛生的に使用するためには、定期的にカバーを取り外して清掃する手間が発生します。 - 単調になりがちな光環境
部屋全体を均一に照らすという長所は、裏を返せば、陰影に乏しい「のっぺり」とした単調な光になりがちである、という短所にもなります。雰囲気のあるリラックス空間や、ドラマチックなインテリア演出にはあまり向きません。
ダウンライト
メリット
- 卓越したデザイン性と空間演出力
天井面と一体化するミニマルなデザインは、あらゆるインテリアに調和し、モダンで洗練された空間を創出します。視線が抜けるため天井が高く感じられ、部屋全体が広く開放的に見える効果は絶大です。 - 計画性の高い自由な配灯
家具のレイアウトや生活動線に合わせて、「ここを照らしたい」という場所にピンポイントで光を配置できます。壁のアートを照らしてアクセントにしたり、キッチンの手元を明るくしたりと、光を自在にデザインする楽しみがあります。 - 上質な雰囲気の創出
複数の光源が作り出す柔らかな光と影のコントラストは、空間に立体感と奥行きをもたらします。夜、ダウンライトだけの明かりで過ごす時間は、日中の喧騒を忘れさせてくれるような、上質で落ち着いたひとときを演出してくれるでしょう。 - メンテナンスフリーに近い手軽さ
天井に埋め込まれているため、シーリングライトのようにホコリが溜まる心配がほとんどありません。日常的な掃除の手間から解放される点は、忙しい現代人にとって大きなメリットです。
デメリット
- 高額になりがちなトータルコスト
広い部屋を照らすためには6~10個といった複数台の設置が必須です。器具単価は安くても、1台ごとに専門家による電気工事費が発生するため、初期費用の総額はシーリングライトの数倍に膨れ上がることが一般的です。 - 困難で高コストな交換作業:
寿命(約10年)が来た際の交換は、自分では行えません。再び電気工事士に依頼する必要があり、器具代に加えて高額な工事費・出張費が発生します。この長期的な維持費の高さは、導入前に必ず理解しておくべき最大の注意点です。 - 計画失敗による明るさのムラ:
配灯計画が不十分だと、部屋の中に暗いエリアができてしまい、「なんだか薄暗い」「作業しづらい」といった不満につながる可能性があります。均一な明るさを求める空間には慎重な計画が求められます。 - 直接光による眩しさ(グレア):
ソファやベッドなど、長時間くつろぐ場所の真上に設置してしまうと、寝転んだ際に光源が直接目に入り、強い眩しさを感じて不快になることがあります。配置には細心の注意が必要です。

器具本体と工事費を含めた値段の比較
結局のところ、「どちらが安いの?」という最も気になる疑問に答えるには、器具本体の価格と設置工事費を合算した「初期費用」を具体的に比較することが不可欠です。
ここでは、最も一般的な広さである8畳のリビングに照明を新規で設置するケースを想定し、現実的な費用をシミュレーションしてみましょう。
シーリングライトの場合:手軽さと低コストが魅力
シーリングライトは、前述の通り1台で8畳の空間を十分にカバーできます。
価格帯は機能やデザインによって幅がありますが、調光・調色機能付きの標準的なLEDシーリングライトであれば10,000円~20,000円程度が現在の相場です。
そして最大のメリットは、天井に引掛シーリングが設置済みであれば、追加の工事が不要な点。つまり、多くのケースで専門業者に支払う工事費は0円で済ませることが可能です。
ただし、天井に引掛シーリングが設置されていない場合は、別途電気工事が必要になります。
ダウンライトの場合:工事費が総額を押し上げる構造
一方、ダウンライトで8畳の部屋に快適な明るさを確保するには、一般的に6個から8個程度の設置が必要とされています。
器具本体の価格は1個あたり2,000円~5,000円程度と手頃に見えますが、真のコストは専門的な工事費にあります。
ダウンライトの設置は、天井への穴あけ、配線工事などが伴うため、法律で定められた電気工事士の資格が必須です。
工事費用は地域や業者によって異なりますが、一般的に1個あたり7,000円~13,000円が相場。これに出張費や材料費を含めた総額では、1台あたり10,000円~15,000円程度が現在の相場となっています
8畳の部屋における初期費用シミュレーション
項目 | シーリングライト(1台) | ダウンライト(8台) |
---|---|---|
器具本体代 | 約15,000円 | 約24,000円(@3,000円 × 8個) |
設置工事費 | 0円(既存の引掛シーリングに自分で設置) | 約80,000円~104,000円(@10,000円~13,000円× 8個) |
出張費(参考) | 0円 | 上記工事費に含まれる場合が多い |
合計 | 約15,000円 | 約104,000円~128,000円 |
このシミュレーション結果が示す通り、初期費用という観点では、シーリングライトの方が圧倒的に安く、ダウンライトはその6倍以上のコストがかかる可能性があることが明確にわかります。
ダウンライトを選ぶ際は、器具単体の価格に惑わされず、必ず工事費を含めた総額で見積もりを取得し、比較検討することが極めて重要です。

新築の照明費用コストダウンのコツ
洗練された空間を演出できるダウンライトは、特に新築住宅を建てる際に多くの方が憧れる照明です。しかし、家中をダウンライトにすると、照明費用が予算を大幅にオーバーしてしまうことも少なくありません。
ここでは、デザイン性を損なわずに、全体の照明費用を賢くコストダウンするための実践的な3つのコツをご紹介します。
1. 「適材適所」のハイブリッド照明計画を立てる
最も効果的で、かつ満足度も高い方法が、部屋の用途に応じて照明を使い分ける「ハイブリッド計画」です。すべての部屋に同じ照明を採用するのではなく、それぞれの空間の役割に最適な照明を選びましょう。
【ハイブリッド計画の具体例】
- LDK(こだわりゾーン)
家族やゲストが集まる家の中心は、ダウンライトを主体に計画。壁を照らす、手元を照らすなど、複数の点灯パターンを用意すると、シーンに合わせた豊かな空間演出が可能です。 - 個室・寝室(実用ゾーン)
子供部屋や書斎、寝室など、プライベートな空間は、コストパフォーマンスと機能性に優れたシーリングライトを選択。調光・調色機能があれば、勉強から就寝まで快適に過ごせます。 - 廊下・トイレ(限定ゾーン)
廊下やトイレ、クローゼットといった狭い空間は、少ない個数で効果を発揮するダウンライトが最適。空間をすっきり見せることができます。
このように、こだわりたい場所と実用性を重視する場所を明確に分けることで、全体のコストを大きく削減できます。
2. メリハリのある「施主支給」を検討する
ハウスメーカーや工務店経由で照明器具を購入すると、中間マージンが上乗せされ、割高になることが一般的です。
そこで、施主(建築主)が自らインターネットや家電量販店で器具を購入し、取り付けのみを依頼する「施主支給」を検討しましょう。ただし、これには注意が必要です。
施主支給の注意点と賢い活用法
施主支給はコストダウンの切り札ですが、製品の保証責任の所在が曖昧になる、発注ミスや納期の遅れが工期全体に影響を与える、といったリスクも存在します。
特に、専門工事が必要なダウンライトの施主支給は、不具合発生時の原因究明が困難になりやすく、トラブルに発展しやすいため、慎重な判断が求められます。
おすすめは、取り付けが簡単なシーリングライトやペンダントライトに絞って施主支給を行うこと。これならリスクを最小限に抑えつつ、コストメリットを享受できます。
3. 機能とデザインの「シンプル化」を意識する
照明器具は、調光・調色機能、人感センサー、角度調整機能など、高機能・高性能になるほど価格も上昇します。
本当にその機能が全ての場所で必要か、今一度見直してみましょう。例えば、普段あまり使わない納戸やウォークインクローゼットの照明は、最もシンプルなON/OFFのみの安価なモデルで十分なはずです。
デザインも、奇をてらったものではなく、飽きのこないシンプルな形状のものを選ぶことで、コストを抑えられます。
照明計画は、家づくりの終盤で慌てて決めてしまいがちなポイントですが、後から変更するのは非常に困難です。
設計の早い段階で、建築士やインテリアコーディネーターとしっかりと打ち合わせを行い、費用とデザイン、そして機能性のバランスが取れた、納得のいく計画を立てることが、後悔しないための最大の秘訣ですよ。

リビングや玄関での最適な選び方
照明計画において、特に重要となるのが家の中心である「リビング」と、家の顔となる「玄関」です。
それぞれの空間が持つ役割や特性を理解し、最適な照明を選ぶことで、住まい全体の快適性とデザイン性が大きく向上します。
リビング:多様な過ごし方に応える「一室多灯」が鍵
リビングは、家族が集い食卓を囲む、ソファでくつろぎテレビを観る、時には子供が勉強したり、ゲストを招いたりと、一日の中で最も多様な活動が行われる空間です。
そのため、部屋全体を一つの照明で均一に照らす「一室一灯」方式では、すべてのシーンに最適な光環境を提供するのは困難です。
そこでおすすめしたいのが、複数の異なる照明を組み合わせて、シーンに応じて使い分ける「一室多灯(多灯分散)」という考え方です。
リビングにおける「一室多灯」のプラン例
- ベースの光(主照明)
まず、空間全体に基本的な明るさを行き渡らせる照明として、中央にシーリングライトやデザイン性の高いペンダントライトを設置します。食事や団らんなど、全体が明るくあってほしい時に活躍します。 - くつろぎの光(補助照明)
部屋の四隅や壁際にダウンライトを複数配置します。夜、映画を観たり、静かに過ごしたい時間には、主照明を消してダウンライトだけを点灯させることで、光が壁を伝い、空間に奥行きと落ち着きが生まれます。間接照明のような上質な雰囲気を手軽に演出できるテクニックです。 - 目的の光(タスク照明)
読書をするソファの横にフロアスタンドを置いたり、飾り棚のアートを照らすスポットライトを設置したりと、特定の目的のための光を追加すると、空間の機能性とデザイン性がさらに高まります。
このように、シーリングライトの「実用性」とダウンライトの「デザイン性」を組み合わせることで、あらゆる過ごし方に対応できる、機能的かつ表情豊かなリビング空間を創り出すことが可能になります。
玄関:人感センサー付きダウンライトで、すっきり&スマートに
玄関は、お客様を最初にお迎えする「家の顔」でありながら、スペースが限られていることがほとんどです。そのため、照明選びのポイントは「圧迫感を与えず、空間を広く見せること」と「利便性」の2点に集約されます。
この条件に最適なのが、天井に埋め込むダウンライトです。器具の出っ張りがないため、天井がフラットになり、限られた空間でも圧迫感を感じさせません。特に天井が低い玄関では、その効果は絶大です。
さらに、人感センサー付きのダウンライトを選べば、機能性が飛躍的に向上します。買い物帰りで両手がふさがっている時でも、ドアを開ければ自動でパッと点灯。
そして、人がいなくなれば自動で消灯してくれるため、消し忘れの心配もありません。これは日々の小さなストレスを解消してくれるだけでなく、省エネにも大きく貢献します。
玄関演出のワンポイントアドバイス
玄関のメイン照明として、工事不要で手軽にすっきりさせたい場合は「ダウンシーリング」が非常に有効です。引掛シーリングさえあれば、ダウンライトのようなスタイリッシュな見た目を自分で実現できます。
さらに空間をグレードアップさせるなら、間接照明の追加もおすすめです。例えば、靴箱(下駄箱)の下にテープライトなどを仕込むと光が床に広がり、足元がふわりと明るくなることで、お客様にワンランク上の上質な印象を与えることができます。

維持費で比較!ダウンライトとシーリングライトどちらが安い?
- 毎月の電気代はどちらがお得?
- 最新LED照明ならさらに節約できる?
- 交換費用の相場と業者の選び方
- ダウンライトをやめてシーリングにするには
- ダウンライトは1個で何畳分を照らせる?
毎月の電気代はどちらがお得?
照明選びにおいて、初期費用と並んで重要なのが、日々の暮らしに直結する長期的なランニングコスト、すなわち毎月の電気代です。
現在、家庭用照明の主役は、白熱電球や蛍光灯に比べて圧倒的に消費電力が低いLEDであり、そのおかげで照明にかかる電気代は大幅に削減されました。
では、同じLED照明であるシーリングライトとダウンライトとでは、電気代に違いは生じるのでしょうか。
この疑問を解明するため、今回も8畳の部屋で同程度の明るさ(約3,500~4,000ルーメン)を確保した場合を想定し、1ヶ月あたりの電気代を比較シミュレーションしてみましょう。
8畳の部屋における電気代シミュレーション
項目 | LEDシーリングライト(1台) | LEDダウンライト(8台) |
---|---|---|
合計消費電力の目安 | 約35W | 約40W(@5W × 8個) |
1日の電気代 | 約8.7円 | 約9.9円 |
1ヶ月の電気代 | 約261円 | 約297円 |
シミュレーションの結果を見ると、両者の電気代にはほとんど差がなく、強いて言えばダウンライトの方がわずかに高くなる傾向にあることがわかります。
この差が生まれる理由は、エネルギー効率の考え方にあります。
シーリングライトは、最適化された一つの大きなLEDモジュールで効率よく光を生成するのに対し、ダウンライトは複数の小さなLED電球を同時に点灯させます。
そのため、個々の電源部分などでわずかな電力ロスが積み重なり、合計の消費電力が若干大きくなることがあるのです。
しかし、その差は1ヶ月あたり数十円程度。この結果から導き出される結論は明確です。「月々の電気代の差は、照明選びにおける決定的な判断材料にはならない」ということです。
コストを比較検討する上では、電気代という微々たる差にこだわるよりも、初期費用や次に解説する交換費用といった、より大きな金額が動く項目にこそ注目すべきでしょう。

最新LED照明ならさらに節約できる?
前述の通り、現在のLED照明はそれ自体が非常に高い省エネ性能を誇りますが、最新のモデルには、私たちの暮らしをより快適にし、さらに賢く電気代を節約するための便利な機能が数多く搭載されています。
その代表格が、もはや高級機種だけの機能ではなくなった「調光」と「調色」です。
調光機能(明るさの調整)
これは、照明の明るさをリモコンや壁のスイッチで細かく調整できる機能です。
例えば、太陽光が差し込む日中のリビングでは明るさを50%に落としたり、就寝前の寝室ではリラックスできるよう30%に絞ります。
そうすることで、常に100%の明るさで点灯させる場合に比べて、消費電力を大幅に削減できます。
調色機能(光の色の調整)
こちらは、光の色合いを、集中力を高めるとされる青みがかった「昼光色」から、自然な色合いの「昼白色」、そしてリラックス効果があると言われるオレンジ色の「電球色」まで、自在に変えられる機能です。
朝は昼光色でシャキッと目覚め、夜は電球色でゆったりと過ごすなど、体内リズムに合わせた光環境を整えることで、暮らしの質そのものを向上させることができます。
これらの先進的な機能は、特にシーリングライトにおいて多くの製品で標準搭載されており、比較的手頃な価格帯のモデルでも楽しむことが可能です。リモコン一つで直感的に操作できる手軽さも魅力です。
一方で、ダウンライトでも調光・調色に対応した製品は存在しますが、それぞれのダウンライトを制御するための専用の壁スイッチ(コントローラー)や、場合によっては特殊な配線工事が別途必要になります。
そのため、システム全体が非常に高価になる傾向があります。
「手軽に、そしてリーズナブルに、省エネと快適な光環境の両方を手に入れたい」と考えるのであれば、多機能な最新のLEDシーリングライトは、極めてコストパフォーマンスに優れた選択肢と言えるでしょう。

交換費用の相場と業者の選び方
照明器具は一度設置すれば永遠に使えるわけではありません。
LED照明の光源寿命は非常に長く、一般的に約40,000時間と言われており、これは1日8時間の使用で約13.6年となりますが、照明器具としての適正交換時期は8~10年が推奨されています。
これは、LED自体は長持ちしても、電源部品(コンデンサーやトランスなど)の劣化により、照明器具全体としての安全性を考慮した交換サイクルです。(参考:リニューアルQ&A | JLMA 一般社団法人日本照明工業会)
多くの人が見落としがちですが、この10年後に必ずやってくる「交換」の際に発生する費用と手間こそが、シーリングライトとダウンライトの長期的な総コストを決定づける、最も重要なファクターなのです。
シーリングライトの交換:シンプルかつ低コスト
シーリングライトの交換は、驚くほどシンプルです。前述の通り、天井に引掛シーリングさえあれば、古い器具を回して取り外し、新しい器具をカチッとはめ込むだけ。
脚立さえあれば、多くの場合ご自身で数分で完了できます。つまり、交換時にかかる費用は新しい器具本体の購入費用(10,000円~20,000円程度)のみ。専門業者を呼ぶ必要も、追加の工事費も発生しません。
ダウンライトの交換:専門工事必須の高コスト作業
一方、現在主流となっている、光源と器具が一体化した「LED一体型ダウンライト」は、話が全く異なります。
このタイプは電球だけを取り替えることができず、寿命が来たら器具全体を交換する必要があり、これには電気工事士による専門作業が法律で義務付けられています。
費用は、初期設置時とほぼ同額が発生します。器具代に加えて、1台ごとの交換工事費、そして業者を呼ぶための出張費が必要となるのです。
10年後の交換費用シミュレーション(8畳・8台)
- 器具本体代: 約24,000円(@3,000円 × 8個)
- 交換工事費: 約80,000円~104,000円(@10,000円~13,000円× 8個)
- 出張費: 約10,000円
- 合計: 約104,000円~128,000円
もし仮に、8個あるうちの1台だけが故障してしまった場合でも、その1台を交換するためだけに業者を呼ばなくてはなりません。
その結果、「出張費+工事費+器具代」で2万円以上の費用がかかることも珍しくなく、経済的に極めて非効率です。
この「将来にわたって発生し続ける高額な維持管理コスト」こそが、ダウンライトを導入する際に最も熟慮すべきデメリットと言えるでしょう。
信頼できる業者の選び方のポイント
ダウンライトの設置や交換を依頼する際には、信頼できる業者を選ぶことが非常に重要です。以下のポイントを参考に、慎重に選びましょう。
- 相見積もりを取る
必ず2~3社以上の業者から見積もりを取り、料金を比較します。料金だけでなく、対応の丁寧さや説明の分かりやすさも判断基準にしましょう。 - 見積書の内容を確認する
「工事一式」といった曖昧な表記ではなく、「器具代」「工事費」「出張費」などの内訳が明確に記載されているかを確認します。 - 資格の有無を確認する
言うまでもありませんが、電気工事士の資格を保有している正規の業者であることを必ず確認してください。
地域の電気工事業者や、実績の豊富なリフォーム会社、あるいは購入と工事をセットで依頼できる大手家電量販店などに相談するのが一般的なルートです。
横浜・川崎・東京都南部エリアで業者をお探しの方へ
私たち、横浜電気工事レスキューは、ダウンライトやシーリングライトの新規設置から交換工事まで、専門の資格を持つスタッフが対応しています。
お見積もりやご相談は無料で承っておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

ダウンライトをやめてシーリングにするには
「スタイリッシュな空間に憧れてダウンライトにしたけれど、実際に生活してみると部屋が思ったより暗く感じる」「10年後の高額な交換費用を知って、将来が不安になった」といった理由から、設置済みのダウンライトをやめて、実用的なシーリングライトに交換したい、と考える方も少なくありません。
このようなリフォームは十分に可能ですが、想定以上の工事と費用が必要になることを理解しておく必要があります。
工事の主な工程は、以下の4ステップに分かれます。
ダウンライトからシーリングライトへの交換手順
Step1既存ダウンライトの撤去
まずは、天井に設置されている全てのダウンライトを電気配線から取り外します。これは電気工事士による作業が必要です。
Step2:天井の穴の補修工事
ダウンライトが埋まっていた直径10cm程度の穴が天井に複数残ります。この穴を専用のパテで埋め、平らにした上で、部屋全体の天井クロス(壁紙)を新しく貼り直すのが最も美しい仕上げ方です。
部分的な補修も可能ですが、クロスの色味が合わず、補修跡が目立ってしまう可能性があります。
Step3:引掛シーリングの新設工事
部屋の中央など、シーリングライトを取り付けたい位置の天井裏に電線を延長し、シーリングライトを取り付けるためのコンセントの役割を果たす「引掛シーリング」を新設します。
Step4:新規シーリングライトの取り付け
最後に、新しく設置した引掛シーリングに、購入したシーリングライトを取り付けて完了です。
このように、このリフォームには「電気工事」と「内装工事(クロス貼り替え)」の両方が含まれます。
そのため、費用はダウンライトの数や部屋の広さ、天井の状態によって大きく変動しますが、一般的には一室あたり50,000円~100,000円程度が相場となります。
「思ったより高い」と感じるかもしれませんが、将来にわたって発生するダウンライトの高額な交換費用を考えれば、長期的な視点では合理的な投資と捉えることもできます。
交換を検討する際は、必ず事前にリフォーム業者に現地調査を依頼し、詳細な見積もりを取得した上で、慎重に判断しましょう。

ダウンライトは1個で何畳分を照らせる?
ダウンライトで快適な空間を実現するための鍵は、部屋の広さに対して適切な「個数」を設置することに尽きます。
個数が少なすぎれば、生活に支障をきたすほど薄暗い部屋になってしまい、逆に多すぎれば、初期費用が無駄にかさむだけでなく、ギラギラと眩しく落ち着かない空間になってしまいます。
照明計画の簡易的な目安として、古くから「60W(ワット)相当のダウンライト1個で約1畳分を照らせる」と言われています。この目安を当てはめると、部屋の広さに応じた必要個数は以下のようになります。
部屋の広さに応じた必要個数の目安(60W相当)
- 4.5畳: 4~5個
- 6畳: 5~6個
- 8畳: 6~8個
- 10畳: 8~10個
ただし、これはあくまで基本的なセオリーであり、実際には様々な要因によって最適な個数は変わってきます。より正確な照明計画を立てるためには、以下の3つのポイントを考慮する必要があります。
1. 天井の高さ
天井が高くなればなるほど、光源から床までの距離が遠くなり、床面の明るさは暗くなります。
一般的な天井高(2.4m)よりも高い、吹き抜けや勾配天井などの場合は、目安よりも個数を増やしたり、より明るいタイプ(100W相当など)のダウンライトを選んだりする必要があります。
2. 内装の色
壁や床の色も、部屋の明るさを大きく左右します。
白い壁紙は光をよく反射するため部屋全体が明るく感じられますが、ダーク系のアクセントクロスや濃い色のフローリングは光を吸収してしまうため、同じ個数の照明でも暗く感じられます。
内装の色が濃い場合は、少し多めに個数を計画しておくと安心です。
3. ダウンライトの配光タイプ
ダウンライトには、光の広がり方によっていくつかのタイプがあります。光が広範囲にふんわりと広がる「拡散タイプ」は、少ない個数で部屋全体を明るくするのに適しています。
一方、光がシャープに真下を照らす「集光タイプ」は、手元を照らしたり、壁のアートを際立たせたりするのに向いていますが、部屋全体の明るさを確保するには多くの個数が必要になります。
部屋の用途に合わせて適切なタイプを選ぶことが重要です。
正確な指標「ルーメン(lm)」を理解しよう!
「~W相当」という表記は、かつての白熱電球の明るさを基準にしたもので、少し曖昧な表現です。より正確な明るさの指標は、光源が発する光の総量を表す「lm(ルーメン)」という単位です。
多くの照明メーカーは、ウェブサイトなどで「6畳なら〇〇lm~〇〇lm」といったように、畳数ごとの推奨ルーメン値を公開しています。
この数値を参考に、ダウンライト1個あたりのルーメン値で割り算をすれば、より精度の高い必要個数を算出することができます。
ご自身で最適な個数を判断するのが難しい場合は、決して勘で決めず、ハウスメーカーの設計士やインテリアコーディネーター、照明メーカーのショールームにいる照明プランナーといった専門家に相談しましょう。
それが、失敗しないための最も確実な方法です。

結論:ダウンライトとシーリングライトどちらが安いのか
- 初期費用を比較するとシーリングライトが圧倒的に安い
- ダウンライトは器具代に加えて複数個分の高額な工事費が必要となる
- 月々の電気代はどちらも省エネなLEDが主流で大きな差は生まれない
- 10年後を見据えた交換費用は自分で交換できるシーリングライトが格安
- ダウンライトの交換は再度専門業者による電気工事が必須で高コストになる
- つまり総コスト(初期費用+維持費)で判断するとシーリングライトの方が経済的
- デザイン性とホテルのような上質な空間演出を最優先するならダウンライトが優れている
- 機能性、手軽さ、そしてコストパフォーマンスを重視するならシーリングライトが最適
- 新築ではリビングにダウンライト、個室にシーリングなど賢く使い分けるのがおすすめ
- コストダウンを図るなら施主支給の活用やシンプルな機能の器具選びが有効
- リビングはシーリングライトとダウンライトの併用で快適性とデザイン性が両立できる
- 玄関や廊下、トイレといった比較的狭い空間にはダウンライトが向いている
- ダウンライトの明るさの目安は簡易的に「60W相当1個で約1畳分」と覚えると便利
- 照明計画は後からの変更が非常に困難なため設計段階での綿密な検討が何より重要
- どちらを選ぶべきかの最終的な答えは費用、デザイン、機能性の何を最も優先するかで決まる