二人暮らしの電気アンペア数は?平均と選び方【決定版】

2人暮らしを始めるにあたり、二人暮らしに最適な電気アンペア数の契約で悩んでいませんか。
新生活の準備で忙しい中、電気の契約は見落としがちなポイントです。引っ越し先のアンペア数がわからない場合や、賃貸物件での調べ方が不明な方も多いでしょう。
現在の契約が20アンペアでは明らかに足りないと感じたり、憧れのオール電化(IH)の物件ではどれくらいの容量が必要なのか見当がつかないこともあります。
また、一般的に30アンペア・40アンペア・ 50アンペアが二人暮らしの目安とされますが、この数字だけを見て決めてしまうのは早計です。
平均的なアンペア数ではなく、自分たちの平均的な電気使用量に合った適切な契約を選ばないと、基本料金を無駄に払い続けることになります。
かといって、電気代を安くすることだけを考えて契約アンペア数を小さくしすぎると、容量不足で頻繁にブレーカーが落ちたりするストレスフルな生活になりかねません。
電気代はいくらかかるのか、また、契約している事業者をこの機に見直して切り替えるべきか、この記事では二人暮らしのアンペア数に関するあらゆる疑問を、基本から分かりやすく解説します。
記事のポイント
- 二人暮らしに適したアンペア数の具体的な目安がわかる
- 在宅勤務やIH導入などライフスタイル別の最適な選び方が理解できる
- 契約アンペア数と毎月の「基本料金」の密接な関係が明確になる
- アンペア数を変更する方法や、賃貸物件特有の注意点がわかる
- 1. 二人暮らしに適切な電気アンペア数の目安
- 1.1. 2人暮らしの平均アンペア数は?
- 1.1.1. アンペア選びの最重要ポイント
- 1.2. 30アンペア・40アンペア・50アンペアの選び方
- 1.2.1. 30A:家電の同時使用が少ない・節約志向の世帯向け
- 1.2.2. 40A:最も一般的でバランスの取れた選択肢
- 1.2.3. 50A:大型家電やIHを使用する世帯向け
- 1.3. 20アンペアでは足りないのか
- 1.4. オール電化(IH)に必要なアンペア数
- 1.5. 賃貸など引っ越し先でわからない時の調べ方
- 1.5.1. 1. 大家さん・管理会社に問い合わせる
- 1.5.2. 2. 内見時に分電盤(ブレーカー)を確認する
- 1.5.2.1. 【最重要】賃貸物件でのアンペア変更の注意点
- 2. 二人暮らしに最適な電気アンペア数と料金
- 2.1. 契約アンペアと基本料金の関係
- 2.2. 2人暮らしの電気代はいくら?
- 2.3. 月々の平均電気使用量
- 2.4. ブレーカーが足りない時の対処法
- 2.4.1. 1. 家電の同時使用を避ける(運用でカバー)
- 2.4.2. 2. 契約アンペア数の変更を検討する(根本解決)
- 2.4.3. 【重要】アンペア変更時の注意点・ルール
- 2.4.3.1. 賃貸の場合は必須の確認
- 2.4.3.2. 「1年間は再変更不可」の原則
- 2.4.3.3. 工事の有無と費用
- 2.5. 電力会社(業者)を切り替えるポイント
- 2.5.1. 1. 基本料金が安いプランを選ぶ(または0円プラン)
- 2.5.2. 2. ライフスタイルに合ったプランを選ぶ
- 2.5.3. 3. セット割を活用する
- 2.6. 二人暮らしに最適な電気アンペアの選択
二人暮らしに適切な電気アンペア数の目安
- 2人暮らしの平均アンペア数は?
- 30アンペア 40アンペア 50アンペアの選び方
- 20アンペアでは足りないのか
- IH オール電化に必要なアンペア数
- 引っ越し先わからない時の賃貸 調べ方
2人暮らしの平均アンペア数は?
二人暮らしで必要とされる契約アンペア数は、一般的に30A(アンペア)から40Aが最も一般的な目安とされています。これは、生活家電を一通り揃え、ある程度の同時使用を考慮した上での現実的な数値です。
一人暮らしの場合は、家電が少ないため20A、または標準的な30Aで十分なことが多いです。
しかし、二人暮らしになると、冷蔵庫が大型化し、テレビやエアコンの使用時間が増え、朝の準備時間にはドライヤーや電子レンジ、電気ケトルなどを同時に使用する場面が格段に増えます。
そのため、一人暮らしの時と同じ契約アンペア数のままだと、朝の忙しい時間帯や夕食の準備中にブレーカーが落ちるといった事態に陥りやすくなるのです。
ただし、これはあくまで多くの世帯に当てはまる一般的な目安に過ぎません。例えば、二人とも在宅勤務で日中もエアコンやPCをフル稼働させるライフスタイルであれば、40A以上が推奨されます。
逆に、二人とも日中はほとんど外出しており、夜も食事は外食が多いなど、家で家電を同時に使うことが極端に少なければ30Aでも問題なく生活できる場合があります。
アンペア選びの最重要ポイント
二人暮らしのアンペア数は、世間の「平均値」ではなく、二人の生活で最も家電を同時に使う「ピーク時」を基準に考えることが、快適な生活に最も重要です。

30アンペア・40アンペア・50アンペアの選び方
30A・40A・50Aのどれを選ぶべきか。
これは、二人のライフスタイルと、所有している(またはこれから購入する)家電の種類によって具体的に決まります。
それぞれのアンペア数でどのような生活ができるのか、家電のアンペア数目安を交えながら詳しく見ていきましょう。
30A:家電の同時使用が少ない・節約志向の世帯向け
30Aは、二人暮らしにおける基本的な、あるいは最小限の目安となるアンペア数です。同時に使用できる電力の上限は3,000Wです。
【おすすめの世帯】
共働きで日中は二人ともほとんど家にいない、家電を同時に使うことを日頃から意識的に避けている(例:電子レンジ中はドライヤーを使わない)、調理はガスコンロがメイン、といった世帯に向いています。
【シミュレーション】
例えば、夕食の準備で「エアコン(冷房6A)+電子レンジ(15A)+冷蔵庫(常時2.5A)+照明(1A)」を同時に使った場合、合計は24.5Aとなり、30Aで十分対応可能です。
しかし、ここで電気ケトル(12A)やドライヤー(12A)を追加で使用すると、合計が30Aを超え、ブレーカーが落ちてしまいます。
40A:最も一般的でバランスの取れた選択肢
40Aは、現代の二人暮らしで最も多く選ばれている、バランスの取れたアンペア数です。同時に使用できる電力の上限は4,000Wです。
【おすすめの世帯】
一方が在宅勤務で家にいる時間が長く、エアコン、電子レンジ、ドライヤーなどを同時使用する可能性があり、食器洗い乾燥機(約7A~13A)やドラム式洗濯乾燥機(乾燥時7A~13A)を導入済の世帯におすすめです。
【シミュレーション】
30Aではブレーカーが落ちてしまう「エアコン(暖房7A)+電子レンジ(15A)+冷蔵庫(2.5A)+ドライヤー(12A)」の組み合わせ(合計36.5A)でも、40Aなら余裕を持って対応できます。
頻繁なブレーカー落ちによるストレスを避け、快適な生活を送りたい場合の、最も現実的で汎用性の高い選択肢と言えます。
50A:大型家電やIHを使用する世帯向け
50Aは、二人暮らしにおいては比較的余裕のある契約です。同時に使用できる電力の上限は5,000Wです。
【おすすめの世帯】
家電を同時に使う頻度が非常に高い世帯や、消費電力の特に大きな家電を複数所有・多用する場合に検討します。
具体的には、IHクッキングヒーター(2口以上同時使用で最大30A超)、大型のドラム式洗濯乾燥機、食器洗い乾燥機、浴室換気乾燥機などを同時に動かす可能性がある場合です。
【シミュレーション】
「エアコン(暖房7A)+IHクッキングヒーター(中火2口で20A)+電子レンジ(15A)+食器洗い乾燥機(13A)」といった状況でも、合計55Aとなり50Aを超えてしまいます。
このように、IHと他の大型家電を同時に使うと50Aを超える可能性があり、その場合は「IH・オール電化」の項目で説明する60A以上の契約が推奨されます。
したがって、50Aは「ガスコンロ併用で、大型家電(食洗機や乾燥機)を多用する世帯」または「IHを導入しているが、同時使用をかなり意識して行う世帯」向けの選択肢となります。
迷った場合は、まず40Aで契約してみるのがおすすめです。30Aでは不便を感じる可能性が高く、50Aでは基本料金がもったいないことになるかもしれません。
40Aで生活してみて、もし頻繁にブレーカーが落ちるようなら、その時に50Aへの変更を検討するのが合理的です(賃貸の場合は要許可)。
| アンペア数 | 上限(目安) | おすすめの世帯 | 同時に使える家電の組み合わせ例 |
|---|---|---|---|
| 30A | 3,000W | 同時使用が少ない / 日中不在がち / 節約志向 | エアコン(暖房) + テレビ + 冷蔵庫 + 電子レンジ |
| 40A | 4,000W | 家電を同時に使うことが多い / 在宅時間あり / バランス重視 | エアコン(暖房) + テレビ + 冷蔵庫 + 電子レンジ + ドライヤー |
| 50A | 5,000W | 大型家電を多用 / 家電を同時に使う頻度が極めて高い(ガス併用) | エアコン(暖房) + 食洗機 + 電子レンジ + ドライヤー + 炊飯器 |

20アンペアでは足りないのか
結論から言うと、二人暮らしで20A(上限2,000W)の契約は、現代の生活スタイルではほぼ確実に足りません。
20Aという容量は、一人暮らしであっても、電子レンジ(約15A)と電気ケトル(約12A)を同時に使えないなど、かなりの制約があるレベルです。
二人暮らしになれば、家電の数も使用頻度も増えるため、容量不足は明らかです。
エアコンは起動(立ち上がり)時に、通常運転時(例:10畳用暖房で660W程度)とは比較にならないほど大きな電力(例:同モデルの起動時で最大2000W程度)を消費します。
2000Wは20A(2000W÷100V)に相当するため、冬場に暖房をつけただけで20Aの容量をほぼ使い切り、他の家電がほとんど何も使えなくなる可能性があるのです。
(参考:家電製品の消費電力について知りたい | 東京電力エナジーパートナー)
また、朝の準備中に電子レンジ(約15A)とドライヤー(約12A)を同時に使うと、合計で27Aとなり、即座にブレーカーが落ちます。
電気代の基本料金を節約したいという理由だけで20Aを選ぶと、日常生活で「家電を使う順番」を常に気にする必要があり、頻繁な停電(ブレーカー落ち)によってかえって大きなストレスを抱え込むことになります。
快適な二人暮らしを送るためには、最低でも30A以上を検討するのが賢明です。

オール電化(IH)に必要なアンペア数
アパートやマンションでも増えている、キッチンがIHクッキングヒーターの住宅や、給湯も電気で行うオール電化住宅の場合、必要なアンペア数はガス併用住宅とは全く異なります。
これらの住宅では、調理や給湯という生活の根幹をすべて電気でまかなうため、同時に使用する電力量が桁違いに大きくなります。
特にIHクッキングヒーターは、それだけで非常に大きな電力(W)を消費します。例えば、多くの製品は200V(ボルト)の電源を使用し、最大火力時には5,800W(5.8kW)に達します。
これはアンペア数に換算すると 29A(5,800W÷200V)となります。仮にこれを100Vで計算(58A)してしまうと、必要な契約容量を大きく見誤ることになります。
この29Aに加えて、エアコン(7A~)、電子レンジ(15A)、ドライヤー(12A)などを使うため、30Aや40Aの契約では全く足りず、最低でも50A、一般的には60Aの契約が目安となります。
このため、IHやオール電化の住宅では、アンペア契約(従量電灯B)の上限である60A、またはそれ以上の容量が必要となります。
30Aや40Aの契約では、調理中にエアコンや電子レンジを使っただけでブレーカーが落ちてしまい、まともに料理ができないという事態になりかねません。
補足:kVA(キロボルトアンペア)契約とは
実際、多くのオール電化住宅は、6kVA(=60A相当)以上の「主開閉器契約(従量電灯Cなど)」を結んでいるのが基本です。
これは「アンペア契約(A契約)」とは異なり、ブレーカーの容量や使用実績に応じて基本料金が決まる契約方式です(※1kVA=約10A)。
アンペア契約(最大60A)と違い、60A相当(6kVA)を超える契約も可能なため、オール電化の大きな電力消費に対応できます。
したがって、IH・オール電化の物件を選ぶ際は、「60A相当以上」を前提に、契約方式が「A契約」なのか「kVA契約」なのかを確認することが重要です。

賃貸など引っ越し先でわからない時の調べ方
引っ越し先のアンペア数がわからない場合、入居してから「足りなかった!」と慌てないよう、事前に確認しておくことが非常に重要です。
特に賃貸物件の場合は、後からの変更が難しいケースもあるため、必ずチェックしましょう。
1. 大家さん・管理会社に問い合わせる
これが最も早くて確実な方法です。不動産屋の担当者、または物件の大家さんや管理会社に直接連絡し、「入居予定の部屋の契約アンペア数はいくつですか?」と確認しましょう。
彼らは物件の設備情報を正確に把握しています。
また、この時に「もしアンペア数を変更したい場合、変更は可能ですか?」と併せて聞いておくことが非常に重要です。後述する通り、賃貸物件では変更が許可されないケースがあるためです。
2. 内見時に分電盤(ブレーカー)を確認する
物件の内見が可能であれば、自分の目で直接確認するのが確実です。分電盤(ブレーカーボックス)は、一般的に玄関のドアの上、洗面所、キッチンの壁際などに設置されています。
フタを開けると、複数のスイッチが並んでいます。その中で一番大きなスイッチ(または左端にあることが多い)が「アンペアブレーカー(サービスブレーカー)」です。
このブレーカーのスイッチ部分に、「30A」「40A」といった数字が記載されています。これが現在の契約アンペア数です。
電力会社によっては、このブレーカーが色分けされている場合もあります。例えば、東京電力管内では以下のように色が決められています。
- 緑色:30A
- 灰色:40A
- 茶色:50A
- 紫色:60A
この色と数字を見れば、一目で契約状況がわかります。
【最重要】賃貸物件でのアンペア変更の注意点
アパートやマンションなどの集合住宅では、建物全体で使える電気容量の上限(契約電流上限値)が、変圧器などの設備によって決まっています。
そのため、自分の部屋だけアンペア数を上げたくても(例:30A→40A)、建物全体の上限を超えてしまうため、管理会社や大家さんの承諾が必須です。
もし無断で電力会社にアンペア変更を申し込んでも、上限を超える申込みは電力会社側で「差戻し」(受付不可)となり、手続きができません。
また、古い建物では配線が細く、高いアンペア数に対応できない(火災の危険がある)ため、安全上の理由から変更を禁止していることもあります。
契約後に「アンペア数が足りないから上げたい」と思っても変更できないリスクがあるため、必ず入居前に「アンペア変更が可能か」を管理会社・大家さんに確認してください。

二人暮らしに最適な電気アンペア数と料金
- 契約アンペアと基本料金の関係
- 2人暮らしの電気代はいくら?
- 月々の平均的な電気使用量
- ブレーカーが足りない時の対処法
- 契約の切り替え業者のポイント
- 二人暮らしに最適な電気アンペアの選択
契約アンペアと基本料金の関係
最適なアンペア数を選ぶ上で、電気料金の仕組みを理解することは非常に重要です。毎月の電気料金は、主に「①基本料金」と「②電力量料金」(+燃料費調整額、再エネ賦課金)で構成されています。
このうち「①基本料金」は、その月に電気をどれだけ使ったか(使用量)に関わらず、契約アンペア数に応じて毎月固定で発生する料金です。
そして、この基本料金は契約アンペア数が大きいほど、段階的に高く設定されています。
つまり、50Aの契約をしている家庭は、30Aの契約をしている家庭よりも、たとえ電気使用量が同じでも、毎月必ず高い固定費を支払っていることになるのです。
参考として、東京電力エナジーパートナーの「従量電灯B」プラン(2025年10月時点)の基本料金を見てみましょう。
| アンペア数 | 基本料金(月額・税込) | 30Aとの差額(月額) | 30Aとの差額(年間) |
|---|---|---|---|
| 30A | 935円25銭 | - | - |
| 40A | 1,247円00銭 | +311円75銭 | +3,741円00銭 |
| 50A | 1,558円75銭 | +623円50銭 | +7,482円00銭 |
| 60A | 1,870円50銭 | +935円25銭 | +11,223円00銭 |
このように、30Aと50Aを比較すると、毎月約623円、年間では約7,500円もの差額が発生します。
必要以上に大きなアンペア数で契約することは、使わなくても払い続ける固定費を増やすことになり、家計の無駄につながってしまいます。
補足:エリアによる料金体系の違いに注意
料金体系はエリアによって異なり、主に以下の2種類に分かれます。
- アンペア制(契約アンペア数で基本料金が決まる): 北海道・東北・東京・北陸・中部・九州電力エリア など
- 最低料金制(一定の最低料金が設定/“アンペア契約”の概念なし): 関西・中国・四国・沖縄電力エリア など
【最低料金制エリアの注意点】 最低料金制のエリアでは、契約アンペア(A)単位で基本料金が変動することはありません。
ただし、建物ごとに一度に使える電力の上限(通常は6kVA=60A相当など)は決まっており、それを超えて家電を同時使用すればアンペア制エリアと同様にブレーカーが落ちます。
したがって、最低料金制エリアでも家電の同時使用による容量オーバーには注意が必要です。

2人暮らしの電気代はいくら?
二人暮らしの電気代が一体いくらになるのか、平均額は気になるところです。総務省統計局が公表している「家計調査」のデータを見てみましょう。
総務省統計局が公表している「家計調査」のデータによると、二人暮らし世帯の電気代の平均は、年間平均で月額約11,000円前後となっています。(参考:統計局ホームページ/家計調査)
これはあくまで年間の平均であり、実際には季節によって大きく変動します。
ちなみに、単身世帯の電気代平均が約6,800円であることと比較すると、人数が2人になったからといって電気代が単純に2倍になるわけではなく、約1.6倍程度に増加していることがわかります。
これは、冷蔵庫や照明など、人数が増えても使用量が変わらない(または微増にとどまる)家電があるためです。
しかし、二人暮らしになると一人暮らしの時よりも部屋数が増えて照明やエアコンが増えたり、家電が大型化したりします。
さらに、二人がそれぞれ別の電化製品(スマートフォン、パソコン、ドライヤーなど)を気兼ねなく使うようになるため、結果として電気代は高くなる傾向にあります。
もちろん、これは全国の平均値です。
在宅時間が長く日中もエアコンを稼働させている二人暮らしや、前述のオール電化の家庭では、この平均額よりも高くなるでしょう。
逆に、日中は二人とも不在で、家電も省エネモデルで揃えている場合は、平均より安くなることも十分にあります。

月々の平均電気使用量
電気代の増減は、料金単価だけでなく「電気使用量(kWh:キロワットアワー)」によって決まります。
公的調査ベースでは、二人世帯の月平均の電気使用量は概ね270~330kWh程度が目安です(住宅種別で差あり)。
(参考:参考リンク:家庭の省エネハンドブック|クール・ネット・東京)
例えば、東京都の調査では、集合住宅が約272kWh、一戸建てが約331kWhと推計されています。
ただし、この使用量は季節によって大きく変動することを理解しておく必要があります。データによれば、エアコン(冷暖房)の使用が比較的少ない春(4月・5月)や秋(10月・11月)は使用量が落ち込みます。
一方で、暖房を多用する冬場(1月・2月)に使用量がピークを迎えます。
例えば、冬場(1月・2月)の平均使用量は約450~500kWh程度となり、使用量が少ない春秋(5月・6月頃で約250~300kWh)と比較すると、冬は約1.6~2倍近い電気を使用していることがわかります。
冬の電気代が跳ね上がるのは、設定温度と外気温の差が夏よりも大きい(例:夏は外気温35℃→設定28℃=差7℃、冬は外気温5℃→設定22℃=差17℃)ためです。
それにより、エアコンが室温を維持するためにより多くの電力を消費することになります。
電気代が高いと感じる月は、電気の使いすぎだけでなく、こうした季節的な要因が大きく影響していることを理解しておくとよいでしょう。

ブレーカーが足りない時の対処法
新生活を始めたものの、「電子レンジやドライヤーを使うとブレーカーが落ちる」など、頻繁にブレーカーが落ちる(=アンペア数が足りない)場合は、非常に不便でストレスが溜まります。
その際は、以下の対処法を段階的に検討してください。
1. 家電の同時使用を避ける(運用でカバー)
まず最初に試すべきは、消費電力の大きい家電を同時に使わないように二人でルールを決めて工夫することです。特に注意が必要な、消費電力が10A(1,000W)を超える可能性のある家電は以下の通りです。
- 電子レンジ(約13A~15A)
- IHクッキングヒーター(1口で最大14A~30A)
- ドライヤー(約12A)
- 電気ケトル・電気ポット(湯沸かし時 約11A~13A)
- 炊飯器(炊飯時 約13A)
- 食器洗い乾燥機(約13A)
- ドラム式洗濯乾燥機(乾燥時 約13A)
- オーブントースター(約12A)
- アイロン(約14A)
- 掃除機(強モード時 約10A)
- エアコン(起動時は非常に大きい例:暖房起動時に最大2000W=約20A程度)
例えば、「電子レンジを使っている間は、ドライヤーを使わない」「炊飯器と電気ケトルの使用時間をずらす」「エアコンがフル稼働している時は、掃除機をかけない」といったルールを二人で決めましょう。
それだけでも、30Aの契約でもブレーカーが落ちる頻度を劇的に減らせる可能性があります。
2. 契約アンペア数の変更を検討する(根本解決)
上記のような工夫をしても日常生活で頻繁にブレーカーが落ちる場合は、二人のライフスタイルに対して契約アンペア数が根本的に合っていません。
無理に我慢を続けるよりも、契約アンペア数の変更(例:30Aから40Aへ上げる)を検討するのが現実的です。
手続きは簡単で、現在契約している電力会社のカスタマーセンターに電話するか、公式ウェブサイトのマイページから「契約アンペア変更」を申し込むだけです。
【重要】アンペア変更時の注意点・ルール
賃貸の場合は必須の確認
前述の通り、変更前に必ず大家さんや管理会社の許可を得てください。無断での変更は契約違反にあたる可能性があり、最悪の場合トラブルに発展します。
許可が出ない場合は、残念ながら「1. 同時使用を避ける」工夫で乗り切るしかありません。
「1年間は再変更不可」の原則
電力の契約は「年間契約」が基本となるため、多くの電力会社では、一度アンペア数を変更(上げても下げても)すると、契約開始または変更から1年間は、原則として次の変更ができません。
また、電力会社の切り替えキャンペーンなどでも「1年以内にアンペア変更をしていないこと」が条件になる例があります。
「やっぱり不便だから戻したい」「電気代が高いから下げたい」と思ってもすぐには対応できないため、変更は慎重に判断する必要があり、頻繁な変更は難しいと考えるのが現実的です。
(参考:家電製品の消費電力について知りたい | 東京電力エナジーパートナー)
工事の有無と費用
自宅の電気メーターが「スマートメーター」の場合、10A~60Aの範囲内でのアンペア変更は、電力会社による遠隔設定で行うのが基本です(現地工事や立ち会いは原則不要/費用も無料)。
メーターが旧式の「アンペアブレーカー」の場合は、作業員が訪問してブレーカー自体を交換する工事が必要になります。この場合も、立ち会いが必要ですが、原則として工事費用は無料です。
ただし、どちらのメーターであっても、ご自宅の設備状況(配線や分電盤の状態)次第では、電力会社が遠隔設定やブレーカー交換を行う前に、電気工事店による【有料の】改修工事(例:分電盤の交換、屋内配線の張り替えなど)が必要になるケースがあります。
これは、特に古い建物で高いアンペア数に対応できない場合や、賃貸でアンペア変更の許可は出たものの設備が古い場合などに見られます。
こうしたアンペア変更に伴う分電盤やブレーカーの工事が必要になった場合は、信頼できる「指定工事店」に相談するのが確実です。
横浜・川崎・東京都エリアで業者をお探しの方へ
記事筆者(天谷 富士夫)が所属する「横浜電気工事レスキュー」は、東京電力の指定工事店(工事店登録番号:701-1730)です。
「電力会社から、アンペア変更のために先に工事が必要と言われた」 「賃貸の大家さんから、指定工事店に工事を依頼するよう言われた」 「分電盤(ブレーカー)が古くて心配なので見てほしい」
といったお悩みがあれば、現地調査やお見積もりから承っております。アンペア変更やブレーカー工事でお困りの際は、お気軽にご相談ください。

電力会社(業者)を切り替えるポイント
電気代の基本料金や、使用量に応じてかかる電力量料金は、契約する電力会社(業者)によって異なります。
2016年の電力小売全面自由化により、私たちは地域の大手電力会社(東京電力、関西電力など)だけでなく、様々な「新電力」と呼ばれる業者を自由に選べるようになりました。
アンペア数の見直しと同時に、この契約先の切り替え(乗り換え)も検討することで、電気代をさらに効果的に節約できる可能性があります。
1. 基本料金が安いプランを選ぶ(または0円プラン)
アンペア制のエリア(東京電力管内など)にお住まいの場合、大手電力会社よりも基本料金を安く設定している新電力に切り替えるだけで、毎月の固定費を確実に削減できます。
中には、Looopでんきのように「基本料金が0円」という画期的なプランを提供している業者もあります。
基本料金が0円であれば、アンペア数をどれだけ上げても(例:30A→50A)基本料金は変わりません。
そのため、ブレーカー落ちの心配なく電気を使いたい家庭には大きなメリットとなります(その分、電力量料金が割高になっていないか注意は必要です)。
2. ライフスタイルに合ったプランを選ぶ
自分たちの電気を多く使う時間帯に注目しましょう。例えば、二人とも在宅勤務で日中の電気使用量が最も多い家庭であれば、日中の電力量料金が安くなるプランが適しています。
逆に、日中は不在で、夜間に洗濯乾燥機や食器洗い乾燥機をまとめて動かすことが多い家庭なら、夜間の電力量料金が割安になるプラン(オール電化向けプランなど)が適している場合があります。
3. セット割を活用する
東京ガスや大阪ガスなどのガス会社や、携帯電話キャリア、インターネットプロバイダーなどが提供する電力プランも見逃せません。
ガスと電気、あるいは携帯電話やインターネットと電気をセットで契約することで、セット割引が適用され、光熱費や通信費をトータルで安くできる場合があります。
まずは「検針票(電気ご使用量のお知らせ)」や電力会社のマイページで、自分たちが「毎月どれくらいの電気(kWh)を使っているか」「どの時間帯に使っているか」を把握することが第一歩です。
その上で、電力比較サイトなどでシミュレーションしてみることをおすすめします。

二人暮らしに最適な電気アンペアの選択
二人暮らしでの最適な電気アンペア数を選ぶことは、日々の快適な生活と、長期的な電気代の節約を両立させるために不可欠です。
最後に、この記事で解説した重要な要点を一覧でまとめます。ご自身の状況と照らし合わせて、最適な選択をしてください。
- 二人暮らしのアンペア数は30Aから40Aが一般的な目安
- 30Aは家電の同時使用が少なく、日中不在がちな節約志向の世帯向け
- 40Aは在宅時間があり、快適さを求める多くの二人暮らし世帯におすすめ(最もバランスが良い)
- 50Aはガス併用で大型家電(食洗機・乾燥機など)を多用する場合に検討
- 20Aで二人暮らしはブレーカーが頻繁に落ちるため推奨しない
- IHクッキングヒーターやオール電化の場合は50A~60A以上が必須の目安
- 引っ越し先が賃貸の場合、アンペア数はまず大家さんや管理会社に確認する
- 内見時に分電盤のアンペアブレーカー(色や数字)で確認も可能
- 集合住宅(賃貸)では建物全体の容量制限でアンペア数を上げられない場合があるので注意
- アンペア契約(アンペア制)のエリアでは、契約アンペア数に応じて「基本料金」が決まる
- アンペア数が大きいほど基本料金は高くなり、毎月の固定費が増加する
- 関西電力・中国電力などの「最低料金制」エリアではアンペア契約の概念はない
- 二人暮らしの電気代の平均は月額約11,000円前後が目安
- 月平均の電気使用量は約270kWh~330kWh程度が目安だが、冷暖房により季節変動(特に冬場)が大きい
- アンペア数が足りない時は、まず消費電力の大きい家電(電子レンジ、ドライヤー、IH等)の同時使用を避ける工夫をする
- それでも足りない場合は電力会社に契約変更を申し込む(賃貸は要許可)
- アンペア変更は一度行うと1年間は再変更できない場合があるため慎重に
- 基本料金が安い新電力への切り替えや、ガス・ネットとのセット割も電気代節約に有効


