分電盤カバーの爪が折れた!応急処置と修理法をプロが解説

こんにちは。横浜電気工事レスキューの主任電気工事士「天谷(あまたに)富士夫」です。
普段あまり意識することのない分電盤。ですが、大掃除のついでにホコリを拭こうとカバーに手をかけたとたん「パキッ!」と乾いた、嫌な音が…。
恐る恐る見てみると、カバーを本体に固定しているプラスチックの小さな爪が見事に折れていた、なんて経験はありませんか?
分電盤のカバーがグラグラしたり、完全に閉まらなくなったりすると、見た目が悪いのはもちろんですが、実はそれ以上に安全面での心配が出てきます。
隙間からホコリや湿気が内部に侵入し、漏電やショートといった電気事故の原因になる可能性もゼロではないんですね。
特に、シェアの大きいパナソニック(Panasonic)製の分電盤をお使いのお客様から、この「爪折れ」に関するご相談は多く寄せられます。
- 「とりあえずガムテープでぐるぐる巻きに応急処置してみたけど、これって本当に安全なのかな?」
- 「折れた部分を瞬間接着剤でくっつければ元通りになりそうだけど、何か問題はあるんだろうか?」
- 「うちは賃貸マンションなんだけど、大家さんに言うべきか、自分でこっそり直してもバレないかな?」
- 「そもそも、この折れた爪の部品だけって売ってないの?」
などなど、次から次へといろいろな疑問や不安が頭をよぎるかと思います。ご安心ください。
この記事では、そんな分電盤カバーの爪が折れてお困りの方のために、私たち電気工事のプロが、安全を最優先した応急処置の方法から、やってはいけない危険な修理、具体的な修理の選択肢、部品の探し方、そして最終手段としての分電盤交換まで、一つひとつ丁寧に、そして分かりやすく解説していきますね。
記事のポイント
- 爪破損時にまず行うべき安全な応急処置
- 接着剤での安易な修理が絶対NGである深刻な理由
- メーカー純正部品の探し方およびDIY修理時の注意点
- 分電盤ごと交換するメリットや費用・保険適用の可能性
- 1. 分電盤カバーの爪が折れた時の原因と応急対処法
- 1.1. プラスチック製の爪が折れる原因
- 1.1.1. 紫外線や環境による化学変化
- 1.1.2. 設置場所も劣化速度に関係します
- 1.2. テープを使った安全な応急対処法
- 1.2.1. 応急処置に最適!おすすめのテープ
- 1.2.2. テープを貼る際の重要チェックポイント
- 1.3. 接着剤での修理がNGな理由
- 1.3.1. なぜ?プロが教える接着剤修理の3大リスク
- 1.4. 分電盤カバーのスマートな固定術
- 1.4.1. マジックテープ(面ファスナー)を使う場合
- 1.4.2. ネオジム磁石を使う場合
- 1.5. 賃貸で試せるDIY前の連絡が鉄則
- 1.5.1. 費用の負担はどうなる?
- 2. 分電盤カバーの爪が折れたら部品交換か修理が必要
- 2.1. パナソニックなど純正部品の探し方
- 2.1.1. まずは分電盤の「型番」をチェック!
- 2.2. 部品がない場合の交換以外の選択肢
- 2.2.1. 汎用品のラッチや留め具で代用する
- 2.2.2. 私たちプロの電気工事業者に相談する
- 2.3. プラリペアを使った本格DIY修理
- 2.3.1. プラリペアを使った修理の基本手順
- 2.4. 分電盤ごと交換する費用と保険
- 2.4.1. 最新の分電盤はこんなに進化している!
- 2.4.2. 交換にかかる費用と保険適用の可能性
- 2.5. 分電盤カバーの爪が折れた時の対応まとめ
分電盤カバーの爪が折れた時の原因と応急対処法
さて、実際にカバーの爪が折れてしまった場合、慌てて行動するのは禁物です。まずは、なぜこのようなことが起こるのか、その根本的な原因を理解することから始めましょう。原因がわかれば、今後の対策にも繋がります。
そして、すぐに実践できる、安全を確保するための正しい応急処置の方法について、プロの視点から詳しく解説していきます。正しい知識が、無用なトラブルや事故を防ぐ第一歩ですよ。
プラスチック製の爪が折れる原因

分電盤カバーの爪が折れてしまう最大の原因、それはズバリ「プラスチックの経年劣化」です。分電盤に使われているプラスチック(主にABS樹脂など)は、新品のうちは柔軟性や弾力性がありますが、時間とともにその性質が変化していきます。
紫外線や環境による化学変化
プラスチックは、長年にわたって紫外線や熱、温度変化などの影響を受けると、表面の酸化や微細なひび割れなどが進み、弾力を失って硬く・もろくなっていくことがあります。すると、まるで乾燥したおせんべいのように「パキッ」と割れやすい状態になってしまうんですね。
特に、築10年、15年以上が経過しているお住まいでは、こうした劣化が進んでいるケースも多く見られます。そんな脆くなった状態で、ブレーカーの点検や掃除のためにカバーを開け閉めした際の、ほんのわずかな「しなり」や「ねじれ」の力が、折れる最後の引き金になってしまう、というわけです。
もちろん、無理な角度でこじ開けようとしたり、バタンと勢いよく閉めたりといった物理的な衝撃も原因にはなりますが、「いつも通り丁寧に扱っていたのに、突然折れた」というケースのほとんどは、この経年劣化が背景にあると考えて間違いないでしょう。
設置場所も劣化速度に関係します
分電盤が設置されている場所の環境も、劣化のスピードに影響を与えます。例えば、窓際に近く、直射日光や西日が当たりやすい場所にある分電盤は、紫外線の影響を強く受けるため劣化が早まる傾向にあります。
また、脱衣所や洗面所など、湿気がこもりやすい場所に設置されている場合も、プラスチックの材質によっては劣化を促進する一因となる可能性がありますね。
テープを使った安全な応急対処法

爪が折れ、カバーがしっかりと閉まらなくなってしまったら、何よりもまず安全を確保するための応急処置が必要です。カバーが開いたままの状態は、内部の充電部(電気が流れている金属部分)が露出する可能性があり、非常に危険です。
ホコリが溜まればトラッキング現象による火災の原因になりますし、湿気が入り込めば漏電のリスクも高まります。(参考:電源プラグ「1.トラッキング現象で発火」|製品安全|製品評価技術基盤機構(NITE))
そこで、誰でも手軽に、かつ安全に行えるのが「テープによる仮固定」です。ただし、ここで重要なのは「どのテープを使うか」という点。間違ったテープを選ぶと、後々もっと面倒なことになりかねません。
応急処置に最適!おすすめのテープ
養生テープ
引越しや塗装作業で使われる緑色のテープですね。粘着力が比較的弱く、剥がしたときに粘着剤(糊)が残りにくいのが最大の特徴です。分電盤本体の塗装を傷める心配も少ないため、最もおすすめできます。
マスキングテープ
こちらも粘着力が弱く、きれいにはがせるのが利点です。デザイン性の高いものも多いですが、応急処置には幅が24mm以上ある、幅広のタイプを選ぶとしっかりと固定できて使いやすいですよ。
逆に、一般的に家庭でよく使われるガムテープ(布製や紙製)は、粘着力が強力すぎるため、剥がす際に分電盤の塗装ごと剥がしてしまったり、ネバネバした糊がベットリと残ってしまったりすることがあります。
この糊残りは見た目が悪いだけでなく、新たなホコリを吸着する原因にもなるため、応急処置での使用は避けた方が賢明です。
また、電気工事で使うビニールテープも、絶縁性はあるものの時間が経つと糊が溶けてベタつきやすい性質があるため、仮留めにはあまり向いていないかな、と私は思います。

テープを貼る際の重要チェックポイント

テープで固定する際は、ただやみくもに貼るのではなく、以下の2点に必ず注意してください。
通気口を塞がないこと
分電盤には、内部の熱を逃がすための小さな通気口(スリット)が設けられている場合があります。ここをテープで完全に塞いでしまうと、内部に熱がこもり、ブレーカーの誤作動や寿命を縮める原因になる可能性があります。
ブレーカー操作の邪魔にならないこと
テープは、カバーのフチと本体の枠を留めるように貼るのが基本です。メインブレーカー(一番大きなブレーカー)や、各部屋につながる安全ブレーカー(小さなブレーカー)のレバー操作の邪魔にならない位置、そしてカバーの開閉の軌道を考えて貼ることが大切です。
あくまで本格的な修理までの「仮の姿」として、安全を確保することを第一に考えて作業してくださいね。
接着剤での修理がNGな理由

「折れたプラスチックなんだから、プラモデルみたいに接着剤でくっつければいいんじゃない?」多くの方がそう考えがちですが、私たちプロの立場から言わせていただくと、その考えは非常に危険なので絶対にやめてください。
簡単そうに見えるこの方法には、実は深刻なリスクがいくつも潜んでいます。
なぜ?プロが教える接着剤修理の3大リスク
⒈強度が全く確保できない
カバーの爪には、閉じる際に「パチン」と留まるためのテンション(張力)や、開閉時のねじれの力が常にかかっています。市販の瞬間接着剤や多用途接着剤では、この力に耐えうる強度を出すことはまず不可能です。
仮に一時的にくっついたとしても、次にカバーを開け閉めした際に、また同じ場所か、あるいは接着剤で硬化した周辺部分からポキッと折れてしまうのが関の山です。
⒉カバーが開かない「最悪の事態」を招く恐れ
これが最も多い失敗例かもしれません。折れた爪を接着しようとした際に、接着剤が少しはみ出してしまい、カバーのパーツと分電盤の本体側がくっついて固着してしまうケースです。こうなると、カバーが二度と開かなくなってしまいます。
いざ停電してブレーカーを操作したい時や、将来的に電気工事が必要になった際にカバーが開けられず、最終的に分電盤ごと破壊して交換するしかなくなり、余計に高くついてしまう可能性があります。
いざという時に慌てないためにも、停電時の正しい操作手順については、以下の『漏電ブレーカーが落ちたらどうする?原因と正しい戻し方を解説』の記事も確認しておくと安心です。
3.トラブルの原因を招く恐れ
万が一、接着剤が内部に垂れてしまったら…これはもう目も当てられません。内部の端子や金属部に接着剤が付着すると、カバーが正しく閉まらなくなったり、ホコリを呼び込みやすくなったりして、結果的にトラブルの原因になることがあります。
分電盤は安全確保が最優先の設備なので、内部に異物が入るような修理は避けるのが基本です。
「ちょっとくらいなら大丈夫だろう」という安易な判断が、後々、数万円単位の修理費用や、取り返しのつかない電気事故につながる可能性があるのです。ですから、私たちは接着剤による修理を固くお断りしているんですね。

分電盤カバーのスマートな固定術

「テープでの固定は見た目が悪くて、どうしても気になる…」という方もいらっしゃるかと思います。そんな方のために、もう少し見た目がスマートな応急処置の方法もご紹介しておきましょう。
それは、マジックテープ(面ファスナー)や、薄型の強力なネオジム磁石を活用する方法です。これらは100円ショップやホームセンターで手軽に購入できますね。
マジックテープ(面ファスナー)を使う場合
裏面がシールになっているタイプのマジックテープを用意します。カバー側と分電盤本体側の、平らで干渉しない部分を探し、それぞれに貼り付けます。
バリバリっと開け閉めできるので、操作性も悪くありません。貼り付ける前には、貼る場所のホコリや油分をアルコールなどで拭き取っておく(脱脂する)と、両面テープがしっかり接着しますよ。
ネオジム磁石を使う場合
非常に強力なネオジム磁石(直径1cm程度の薄い円盤状のものが使いやすいです)を2つ用意し、それぞれを両面テープでカバー側と、分電盤の金属製の箱(筐体)部分に貼り付けます。磁力でパチっと閉まるので、見た目はかなりスッキリします。
磁石を使う際のちょっとした注意点
磁石を設置する際は、ブレーカー本体の真上や、配線が集中している場所は避けるようにしましょう。基本的には影響ないと考えられていますが、念のため、分電盤の金属製の枠とカバーを留めるようなイメージで、ブレーカーから少し離れた位置に設置するのがより安心かなと思います。
ただし、これらの方法はテープでの固定と同様、あくまで本格的な修理を行うまでの「つなぎ」の処置である、ということを絶対に忘れないでください。根本的な解決にはなっておらず、振動などで不意に外れてしまう可能性も残ります。できるだけ早めに、根本的な修理を検討することが大切です。
賃貸で試せるDIY前の連絡が鉄則

もし、今お住まいのお部屋がアパートやマンションなどの賃貸物件である場合、自分で修理を試みる前に、必ず守っていただきたい鉄則があります。
それは、何よりも先に大家さんや管理会社に連絡し、状況を報告して指示を仰ぐことです。
分電盤は、エアコンや給湯器と同じく、お部屋の「設備」の一部と見なされます。つまり、その所有権は入居者さんではなく、物件のオーナーである大家さんにあります。入居者には、借りている部屋を善良な管理者として注意を払って使用する義務(善管注意義務)があります。
分電盤のような設備は、無断で加工したり、穴あけなどの修理をしたりするとトラブルになりやすいので、まずは大家さんや管理会社に連絡して指示を仰ぐのが安全です。
もし、大家さんや管理会社に無断で修理を試み、万が一にも状態を悪化させてしまったり、テープ以外の方法で傷をつけてしまったりすると、退去時に「原状回復義務」を問われ、高額な修理費用を請求されるといったトラブルに発展する可能性があるのです。
(参考:「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版)のダウンロード|国土交通省)
費用の負担はどうなる?
「大家さんに言ったら、修理代を請求されるんじゃないか…」と心配になるかもしれませんが、ご安心ください。普通に生活していて、経年劣化によってカバーの爪が折れてしまった場合、その修理費用は、一般的には貸主(大家さん)側の負担になることが多いです。
ただし、借主側の故意・過失で破損させた場合などは扱いが変わることもあります。
連絡する際は、「いつ、どのような状況でカバーの爪が折れてしまったのか」「現在はカバーが閉まらないため、安全のために養生テープで仮留めしていること」などを正直に伝え、今後の対応について相談してみてください。多くの場合、大家さん側で電気工事業者を手配してくれるはずです。
分電盤カバーの爪が折れたら部品交換か修理が必要
さて、応急処置で当座の安全を確保したら、次はいよいよ本格的な修理へとステップを進めましょう。修理の方法には、大きく分けていくつかの選択肢があります。ご自宅の分電盤の状況や、ご自身のスキル、そして予算などを考慮しながら、最適な方法を選んでいくことが大切になります。
パナソニックなど純正部品の探し方
最も理想的で確実な修理方法は、メーカーから折れてしまった爪の部品、あるいはカバー全体の純正部品を取り寄せて交換することです。これができれば、元通りにきれいに直すことができますね。そのためには、まずご自宅の分電盤の「身元」を正確に把握する必要があります。
まずは分電盤の「型番」をチェック!

分電盤のカバーを開けた内側の面や、分電盤本体の側面、あるいは下部などに、製品情報が記載された銀色や白色のシールが貼られているはずです。この情報が、部品を探すための重要な手がかりになります。スマートフォンのカメラで鮮明に撮影しておくと、後で確認しやすくて非常に便利ですよ。
- メーカー名
Panasonic、河村電器産業、日東工業、東芝ライテックなどが主要なメーカーです。 - 品番・型番
アルファベットと数字が組み合わされた記号です。(例:Panasonicの「BQR85102」や「BJF350325」など) - 製造年月日
いつ頃製造された製品なのかも、部品の有無を判断する上で重要な情報になります。
これらの情報を手に入れたら、いよいよ部品探しです。
メーカーの公式サイトで探す
まずは、パナソニックなどのメーカー公式サイトにアクセスし、「お客様サポート」や「よくあるご質問(FAQ)」、「部品・消耗品」といったページを探してみましょう。型番を入力して検索すると、交換用のカバーや補修部品が見つかる場合があります。
電材専門のオンラインショップで探す
モノタロウ、アスクル、あるいは電材堂といった、プロの電気工事業者が利用するような電設資材の専門オンラインショップで型番を検索してみるのも有効な手段です。個人向けにも販売しているサイトが多く、メーカーの直販サイトでは見つからなかった部品が手に入ることもあります。
メーカーのサポートセンターに問い合わせる
ウェブサイトで情報が見つからない場合は、最終手段としてメーカーのサポートセンターに電話で直接問い合わせてみましょう。その際、撮影しておいた型番や製造年月日の情報が役立ちます。
ただし、ここで一つ大きな壁があります。それは、製造から10年以上経過した古い分電盤の場合、部品の供給が終了(廃盤)している可能性が非常に高いという点です。
補修部品の保有期間はメーカーや品目によって異なりますが、古い分電盤ほど補修部品の供給が終了しているケースは珍しくありません。もし部品が手に入らない場合は、別の方法を検討する必要があります。
部品がない場合の交換以外の選択肢
メーカーのサポートに問い合わせても「申し訳ございません、その型番の部品はすでに生産を終了しております…」と告げられてしまった場合、がっかりしてしまいますよね。しかし、ここで諦めるのはまだ早いかもしれません。交換以外にも、いくつか考えられる代替案があります。
汎用品のラッチや留め具で代用する
これはDIYの上級者向けの方法になりますが、ホームセンターの家具金物コーナーなどで販売されている「キャッチラッチ」や「マグネットキャッチ」といった小さな留め具を流用する方法です。
これらは本来、食器棚や収納ボックスの扉を固定するための部品ですが、サイズや形状が合うものを見つけられれば、分電盤カバーの固定に応用できる可能性があります。
ただし、この方法には大きな注意点があります。多くの場合、これらの留め具を取り付けるには、分電盤のカバーや本体にドリルで穴を開けるなどの加工が必要になります。
金属製の分電盤に穴を開ける際に、内部の配線や充電部を傷つけてしまうと、重大な感電事故や漏電につながる危険性があります。電気的な知識と、安全を確保する技術がない場合は、絶対におすすめできない方法です。
私たちプロの電気工事業者に相談する
部品が見つからず、自分で加工するのも不安…そんな時こそ、私たちのような電気工事の専門家を頼っていただければと思います。
私たちプロは、長年の経験から、メーカー純正品がなくても安全に修理できる代替案の知識を持っていたり、様々な現場で培った応用技術を持っていたりします。
例えば、他機種の部品を少し加工して流用したり、絶縁性に優れた素材を使って安全な留め具を自作したりと、状況に応じた最適な解決策をご提案できる場合があります。
また、修理を試みる前に、分電盤全体の劣化状況を診断し、「修理してあと数年使うのが得策か、それともこの際、安全のために交換した方が良いか」といった、長期的な視点でのアドバイスも可能です。
無理に自分で解決しようとせず、まずは一度、地域の信頼できる電気工事業者に相談してみるのが、結果的に最も安全で確実な近道かもしれませんね。
プラリペアを使った本格DIY修理
DIYに自信があり、どうしてもご自身で修理に挑戦してみたい、という方向けに、もう一つ、少し高度な修理方法をご紹介します。それは、「プラリペア」という特殊な造形補修材を使用する方法です。
これは、一般的にイメージされる「接着剤」とは全く異なるものです。アクリル樹脂の粉末(パウダー)と専用の液体(リキッド)を化学反応させることで、プラスチックそのものを再生・溶着させるという、いわば「プラスチックの溶接」のような技術です。正しく施工すれば、接着剤とは比較にならないほどの強度を出すことができ、折れた爪を元の形に復元することも可能です。
プラリペアを使った修理の基本手順
大まかな流れは以下のようになります。作業にはある程度の器用さと丁寧さが求められます。
- 下準備(折れた断面の清掃)
まず、折れてしまった爪の根本部分と、折れた爪の破片の断面を、デザインナイフやヤスリなどできれいに整え、接着面積を確保します。 - 型取り(折れていない爪から型を作る)
100円ショップなどで手に入る、お湯で柔らかくなる粘土(「おゆまる」などが有名ですね)を使います。これを熱いお湯に浸して柔らかくし、まだ折れていない、正常な方の爪に押し付けて、爪の形状の「型」を作成します。 - 造形(プラリペアを流し込む)
作成した型を、折れてしまった爪の根本部分に正確にセットします。そして、プラリペアの粉と液体を混ぜ合わせ、型の内部に流し込んでいきます。化学反応で硬化が始まるので、手早く作業する必要があります。 - 仕上げ(成形)
プラリペアが完全に硬化したら(数分で硬化します)、ゆっくりと型を取り外します。すると、新しい爪が再生されているはずです。あとは、ヤスリやカッターで余分な部分(バリ)を取り除き、形をきれいに整えれば完成です。
プラリペア修理の注意点と心構え
この方法は非常に有効ですが、手先の器用さが求められる上、型の作成やプラリペアの流し込みに失敗するリスクも伴います。また、作業中は有機溶剤の匂いがするため、必ず窓を開けるなどして十分な換気を行ってください。
あくまでも、全ての作業を自己責任で行うDIYという位置づけになります。分電盤という重要な電気設備の一部を修理するということを十分に認識し、少しでも作業に不安を感じる方は、無理をせず専門の業者に依頼することを強くお勧めします。
分電盤ごと交換する費用と保険

カバーの純正部品はもう手に入らない、DIYでの修理も自信がない…そして何より、「この分電盤、設置してからもう10年以上経っているな…」という場合。
そんな時は、カバーの爪折れを一つのきっかけと捉え、分電盤本体を丸ごと新しいものに交換するという選択肢が、実は最も安全で、長期的には賢い判断になることが多いです。
分電盤そのものに一律の「取替え推奨時期」があるわけではありませんが、内蔵ブレーカは製造後約13年が目安とされており、古くなっている場合は安全のため早めの点検・交換を検討するのがおすすめです。
古い分電盤は、カバーだけでなく、内部のブレーカー自体も劣化が進んでいます。特に、漏電を検知して電気を遮断する「漏電ブレーカー」の感度が鈍っていたり、配線を留めるネジが緩んでいたりすると、いざという時に正常に作動せず、電気事故を防げない可能性もあるのです。
(参考:安全にお使いいただくために|日本配線システム工業会 住宅盤専門委員会)
最新の分電盤はこんなに進化している!

現在の新しい分電盤は、単に電気を分配するだけでなく、私たちの暮らしをより安全・快適にするための様々な機能が搭載されています。
| 機能 | 概要 |
|---|---|
| 感震ブレーカー | 設定値以上の地震の揺れを感知すると、自動的にメインブレーカーを遮断します。地震後の通電火災(電気の復旧時に、倒れた家電などから出火する火災)を防ぐのに非常に有効です。 |
| 避雷機能(雷サージ) | 落雷時に発生する異常な高電圧(雷サージ)が、電線を通って家庭内に侵入するのを防ぎ、パソコンや高機能な家電製品を故障から守ります。 |
| コンパクト化・デザイン性向上 | 昔の分電盤に比べて大幅に薄型・コンパクトになっており、見た目もスッキリ。お部屋のインテリアを損ないません。 |
| HEMS対応 | 家庭のエネルギー使用量を「見える化」し、太陽光発電や蓄電池などと連携して、エネルギーを賢く管理するシステム(HEMS)に対応した機種も増えています。 |
交換にかかる費用と保険適用の可能性
分電盤の交換にかかる費用は、既存の分電盤の回路数(ブレーカーの数)や、新しく設置する分電盤の機能、そして工事の内容によって変動しますが、一般的なご家庭の場合、分電盤交換の総費用(製品代+工事費)は、回路数や機能、現場状況で変わりますが、おおよそ5万円~8万円前後が目安になることが多いです。
もちろん、回路数が非常に多い大きなお住まいや、特殊な機能を持つ分電盤を選ぶ場合は、これよりも高くなることがあります。
より詳しい費用感や、業者選びのポイントについては、『分電盤(ブレーカー)交換の費用相場は?工事にかかる時間や業者選びのポイントも解説』の記事でも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
また、もし爪が折れてしまった原因が、地震の揺れや、お子さんがボールをぶつけてしまった、家具を運んでいる際にぶつかった、などの突発的な事故によるものである場合は、ご加入の火災保険に付帯する「破損・汚損」補償が適用される可能性があります。
契約内容によって補償の範囲は異なりますので、一概には言えませんが、一度ご自身の保険証券を確認したり、保険会社の担当者に問い合わせてみたりする価値は十分にあるでしょう。
電気設備のトラブルにおける保険適用の考え方については、コンセントの事例ですが『コンセントが焦げた!修理費用と対処法【火災保険は?】』の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
分電盤カバーの爪が折れた時の対応まとめ

今回は、多くの方が一度は経験するかもしれない「分電盤カバーの爪折れ」というトラブルについて、原因から応急処置、そして本格的な修理方法まで、段階を追って詳しく解説してきました。最後に、今回の重要なポイントをもう一度おさらいしておきましょう。
安全第一で最適な選択を!
- 爪が折れたら、まずは慌てず、養生テープなど糊残りの少ないテープで安全に応急処置をしましょう。カバーが開いたままの放置は絶対に避けてください。
- 簡単そうに見えても、接着剤での修理は絶対にNGです。強度が足りないだけでなく、カバーの固着やトラブルといった、より深刻な事態を招く危険性があります。
- お住まいが賃貸物件の場合は、DIYや修理を試みる前に、まず大家さんや管理会社に連絡するのが鉄則です。経年劣化であれば、大家さんの負担で修理してもらえることがほとんどです。
- 修理の基本は「メーカー純正部品での交換」です。しかし、設置から10年以上が経過している場合は部品が手に入らないことも。その際は、私たちプロに相談するか、自己責任でのDIY、あるいは分電盤自体の交換を検討しましょう。
- 分電盤の寿命(ブレーカーの目安)は約13年。古い分電盤をお使いなら、今回のトラブルを機に、感震機能などが付いた安全性能の高い新しい分電盤への交換も非常に有力な選択肢です。
「たかがカバーの爪が一本折れただけ」と軽く考えがちですが、その小さな破損が、住まいの電気の安全を守る「砦」の機能低下に繋がっているかもしれません。
分電盤は、私たちの生活に欠かせない電気を安全にコントロールしている、まさに「心臓部」です。常に安全で、正常な状態を保つことが、安心して暮らすための基本ですね。
横浜・川崎・東京都南部エリアで業者をお探しの方へ
もし、部品の探し方がどうしても分からない、DIYで修理するのはやっぱり不安、分電盤の交換も検討したいけど、うちにはどんなものが合うんだろう…
分電盤に関するトラブルでお困りの際は、どんな些細なことでも、私たち横浜電気工事レスキューにいつでもお気軽にご相談ください。
現場の状況をしっかりと確認させていただき、お客様のご予算やご希望を伺いながら、最も安全で最適な解決方法を一緒に考えさせていただきます。



