引っ越し時の家電搬入タイミングと失敗しないための全知識

引っ越しの準備を進める中で、多くの方が頭を悩ませるのが引っ越しの家電搬入タイミングではないでしょうか。
新しい生活への期待が膨らむ一方、家具や家電の搬入には適切な順番や段取りがあり、何日前にどこで買うかによって、当日のスムーズさが大きく変わってきます。
特に、冷蔵庫や洗濯機、エアコンといった大型家電は、新居に運ぶのか、それとも買い替えや処分に踏み切るのか、大きな決断が求められます。
家電量販店、例えばエディオン、ビックカメラ、ヤマダ電機などで購入し、新居へ引越し先に配送してもらう際の注意点や、万が一搬入が間に合わない場合、どうするべきかという現実的な問題もあります。
また、そもそも家具搬入はいつが適切なのか、運搬と購入にかかる費用、そして忘れてはならない電気の手続きや使用開始日の設定など、考えるべきことは山積みです。
この記事では、これらの複雑な疑問を一つひとつ丁寧に解消し、あなたが最適なスケジュールを立て、トラブルなく新生活をスタートするための具体的な方法を網羅的に解説します。
記事のポイント
- 最適な家電購入・搬入のスケジュール
- 状況別の搬入タイミングのメリット・デメリット
- 主要家電ごとの具体的な準備と注意点
- 費用を抑えつつトラブルを回避するコツ
- 1. 失敗しない引越しの際の家電搬入タイミング
- 1.1. いつが適切?スケジュールの基本
- 1.1.1. 理想的なスケジューリングのポイント
- 1.2. 何日前にどこで買うのがベストか
- 1.3. 量販店のセールと配送サービスを比較
- 1.4. 買い替えか継続か?処分の判断基準
- 1.4.1. 家電の寿命で判断する
- 1.4.1.1. 主な家電の寿命と買い替えサインの目安
- 1.4.2. 引っ越し先の環境で判断する
- 1.4.3. 古い家電を運び続ける「見えないコスト」
- 1.5. 搬入と購入でかかる費用の内訳
- 1.5.1. 運搬費用
- 1.5.2. 購入・処分費用
- 1.5.3. 家電リサイクル料金の目安(2025年9月時点)
- 1.6. 電気の手続きと使用開始日の設定方法
- 1.6.1. 手続きはオンライン完結が主流で便利
- 2. 引越し当日の段取りと家電搬入のタイミング
- 2.1. 引越し先の新居へ配送する流れと注意点
- 2.1.1. 搬入経路の徹底的な確認は必須中の必須
- 2.1.2. 「搬入不可」が引き起こす最悪のシナリオ
- 2.2. 家具と家電の搬入、順番の段取りを解説
- 2.3. 冷蔵庫・洗濯機・エアコンの事前準備
- 2.3.1. 冷蔵庫の「水抜き」と「霜取り」
- 2.3.2. 洗濯機の「水抜き」
- 2.3.3. エアコンの取り外し・取り付け
- 2.4. 搬入が間に合わない時はどうする?
- 2.4.1. 搬入が大幅に遅れる、または翌日以降になる場合の具体的な対策
- 2.4.1.1. 家電レンタルサービスを緊急手配する
- 2.4.1.2. クーラーボックスと保冷剤を最大限活用する
- 2.4.1.3. 近隣のコインランドリーの場所を把握しておく
- 2.4.1.4. 必需品は近隣の店舗で購入する
- 2.5. 確実に失敗しない引越し時の家電搬入タイミング
失敗しない引越しの際の家電搬入タイミング
- いつが適切?スケジュールの基本
- 何日前にどこで買うのがベストか
- 量販店のセールと配送サービスを比較
- 買い替えか継続か?処分の判断基準
- 搬入と購入でかかる費用の内訳
- 電気の手続きと使用開始日の設定方法
いつが適切?スケジュールの基本
家具や家電の購入・搬入計画は、引っ越し日の1ヶ月〜2ヶ月前から着手するのが理想的です。一見、早すぎるように感じるかもしれませんが、この「時間的余裕」こそが、引っ越しを成功させる最大の鍵となります。
なぜなら、特に新生活が集中する3月〜4月の繁忙期には、人気のある家具や家電の在庫が払底したり、配送業者のスケジュールが数週間先まで埋まってしまったりする可能性が非常に高まるからです。
早めに動き出すことで、選択肢の幅が広がり、希望の商品を確実に確保し、希望の日時に配送予約を確定させることができます。逆に言えば、直前の手配は「妥協の連続」になりかねません。
具体的なスケジュールとしては、まず引っ越しの2ヶ月前には新居の内見を済ませ、部屋の各箇所のサイズやコンセントの位置、そして最も重要な搬入経路を詳細に採寸します。
この情報をもとに、必要な家具・家電のリストアップを完了させましょう。
そして、1ヶ月前までには購入する商品を決定し、注文を済ませておくのが賢明な判断です。これにより、引っ越し当日に合わせてスムーズに搬入作業を進めるための土台が整います。
理想的なスケジューリングのポイント
- 2ヶ月前
- 新居の採寸(部屋、収納、搬入経路)、持ち込む家具と新規購入品のリストアップ、予算策定
- 1ヶ月前
- 商品の比較検討、購入と配送予約の完了、引っ越し業者の見積もりと選定
- 2〜3週間前
- 引っ越し業者の契約、不用品の処分計画(粗大ごみ予約など)
- 1週間前
- ライフライン(電気・ガス・水道)の手続き、引っ越し業者と配送業者への最終確認
このタイムラインを意識することで、焦ることなく、着実に準備を進めることが可能になります。

何日前にどこで買うのがベストか
家電を購入する最適なタイミングは、引っ越し日の約1ヶ月前です。そして、購入場所としては、実店舗の家電量販店や各メーカーの公式オンラインストア、大手ECサイトなどが主な選択肢となります。
1ヶ月前に購入する最大の理由は、多くの販売店で配送日の長期指定に対応しているためです。
このサービスを活用すれば、旧居で新しい家電を保管するという物理的な負担やスペースの問題を回避でき、引っ越し当日の朝、空っぽの新居に新品の家電が届くという理想的な状況を作り出せます。
購入場所の選定も重要です。例えば、オンラインストアであれば、価格比較サイトなどを活用して最もお得な店舗を探しやすく、自宅でじっくりと比較検討できるメリットがあります。
一方で、家電量販店の実店舗なら、専門知識が豊富なスタッフに直接相談しながら、実際のサイズ感や操作性を確認できるという大きな利点があります。
特に大型家電の場合、質感や色の微妙な違いは実物を見なければ分からないことも多いため、一度は店舗に足を運ぶことをお勧めします。
どちらで購入する場合でも、「配送日の指定はいつまで可能か」「設置サービスは料金に含まれるか」「古い家電の引き取りは可能か」という3点は、必ず契約前に確認してください。
ここで追加料金が発生し、予算をオーバーするケースが少なくありません。
また、店舗によっては購入から配送まで数ヶ月間の取り置きサービスを提供している場合もあります。
引っ越しが決まったら、まずは近くの家電量販店でこれらのサービスについて相談してみるのが、賢い第一歩と言えるでしょう。

量販店のセールと配送サービスを比較
家電をお得に購入するためには、家電量販店のセール時期を的確に狙うのが最も効果的な戦略です。
また、一見安く見えても、配送や設置、古い家電の引き取りサービスで追加費用がかさむこともあるため、価格だけでなくサービス内容まで含めて総合的に比較検討することが重要になります。
大きなセール時期としては、主に3月と9月の「決算セール」、6月〜7月の「夏のボーナス商戦」、そして11月下旬からの「年末年始セール」が挙げられます。
これらの時期は、旧モデルの在庫一掃や新製品の発売が重なるため、大幅な値引きが期待できます。
さらに、お得なポイント還元キャンペーンや複数購入割引なども同時に開催されることが多いため、新生活の家電をまとめて揃える絶好のチャンスです。
以下に主要な家電量販店の一般的な特徴とサービスを比較表にまとめました。ご自身のニーズに最も合う店舗を見つけるための参考にしてください。
家電量販店 | 主なセール時期 | 配送・設置サービスの特徴 | 古い家電の引き取りサービス |
---|---|---|---|
ヤマダ電機 | 決算セール(3月, 9月)、新生活応援セール(2月~4月)、年末年始 | 自社配送網による丁寧な設置が強み。時間指定も柔軟に対応可能(一部有料)。大型家電の搬入下見サービスも提供。 | 有料で対応。買い替え時の下取りプログラムが充実しており、実質的な処分費用を抑えられる場合がある。 |
ビックカメラ | 決算セール(2月, 8月)、夏のボーナス商戦(6月~7月)、年末年始セール | 購入金額に応じて送料無料。専門スタッフによるスピーディーな設置。オンラインストアとの連携もスムーズ。 | リサイクル法対象品を有料で引き取り。オンラインサイトからでも申し込み可能で、手続きが簡便。 |
エディオン | 大処分市(不定期)、新製品発売前のモデル入れ替え時期、年末年始 | 「あんしん保証」などの長期保証と連携した手厚いサポートが特徴。購入後のアフターサービスも充実している。 | 有料で対応。フランチャイズ店舗では小型家電を店頭に持ち込むことで無料回収してくれるサービスも実施。 |
これらの情報はあくまで一般的な傾向であり、キャンペーン内容やサービス料金は頻繁に変動します。
購入を検討する際には、必ず各店舗の公式サイトで最新の情報を確認するか、店頭で直接スタッフに問い合わせるようにしてください。

買い替えか継続か?処分の判断基準
引っ越しは、長年使ってきた家電の価値を冷静に見直す絶好の機会です。愛着のある家電を運び続けるか、それとも新生活を機に思い切って買い替えるべきか。
感情論だけでなく、いくつかの客観的な基準で判断することが、後悔のない選択につながります。
家電の寿命で判断する
最も分かりやすい判断基準が「寿命」です。家電には、安全上の問題なく使用できる期間の目安としてメーカーが定める「設計上の標準使用期間」と、実際に消費者が買い替えるまでの平均的な年数を示す内閣府の調査による「平均使用年数」があります。
平均使用年数を大幅に超えている場合、性能が低下しているだけでなく、突然の故障リスクや、修理部品が製造終了している可能性が高まります。
主な家電の寿命と買い替えサインの目安
- 冷蔵庫(約13.6年)
- 冷えが悪くなった、異常に大きな音がする、水漏れする。
- 洗濯機(約10.7年)
- 脱水が甘い、運転中に止まる、異音や異臭がする。
- エアコン(約13.8年)
- 効きが悪い、設定温度にならない、室外機から異音がする。
- テレビ(約10.4年)
- 画面に線が入る、色が不自然、電源が入るのに時間がかかる。
ご使用の家電がこの目安に近く、上記のようなサインが見られる場合は、新居の広さや電源容量との適合性を加味して判断しましょう。
平均使用年数は内閣府「消費動向調査 令和7(2025)年3月実施分」の最新データを参考にしています。(参考:消費動向調査の概要)
引っ越し先の環境で判断する
次に考慮すべきは、新居の環境との相性です。間取りや設備によっては、現在使っている家電が適合しない、あるいは性能を十分に発揮できない場合があります。
例えば、家族が増えて広いリビングに引っ越すのに、単身者向けの小さいエアコンを使い続けると、部屋が冷えない・暖まらないだけでなく、常にフルパワーで稼働するため電気代が著しく高騰する原因になります。
他にも、洗濯機置き場の防水パンのサイズが合わない、キッチンの設計上、冷蔵庫のドアの開く向きが逆で使いにくい、といった物理的な問題も発生し得ます。
古い家電を運び続ける「見えないコスト」
古い家電は、最新モデルに比べて省エネ性能が格段に低いことがほとんどです。
目先の運搬費用を節約するために古い家電を運び続けても、結果的に毎月の高い電気代という形で「見えないコスト」を支払い続けることになります。
長期的な視点で見れば、初期投資をしてでも省エネ性能の高い最新家電に買い替えた方が、トータルの出費を抑えられるケースは少なくありません。

搬入と購入でかかる費用の内訳
引っ越しにおける家電関連の費用を考える際、「運搬」と「購入・処分」のどちらが最終的に安く済むのかは、多くの方が悩むポイントです。
これは、家電の状態、引っ越しの距離、そして利用するサービスによって大きく変動するため、それぞれの費用の内訳を正しく理解することが重要です。
運搬費用
現在使用している家電を新居に運ぶ場合にかかる費用です。この費用は、引っ越し業者に支払う基本料金の中に、荷物量の一部として含まれています。
そのため、「冷蔵庫1点でいくら」と明確に提示されるわけではありませんが、一般的に冷蔵庫やドラム式洗濯機のような大型家電が1点増えるごとに、全体の料金が数千円から1万円程度は上乗せされると考えるのが妥当です。
さらに注意が必要なのは、標準作業外の費用です。例えば、搬入経路が狭く、階段を使って2階以上に運ぶ場合は「階段料金」、窓からクレーンで吊り上げる必要がある場合は「クレーン作業費」として、数万円単位の追加料金が発生することがあります。
購入・処分費用
家電を買い替える場合に発生するのが、新しい家電の「購入費用」と古い家電の「処分費用」です。
購入費用は製品によって様々ですが、処分費用は法律で定められた「家電リサイクル料金」と、それを指定場所まで運ぶための「収集運搬料金」の合計で決まります。
家電リサイクル料金の目安(2025年9月時点)
- エアコン:990円~
- テレビ(16V型以上):2,970円~
- 冷蔵庫(171L以上):4,730円~
- 洗濯機・衣類乾燥機:2,530円~
※上記に加えて、収集運搬料金(2,000円~3,000円程度)が別途かかります。
一見、費用がかさむように見えますが、家電量販店の下取りや、5年以内の新しい家電ならリサイクルショップの買取を利用することで、処分費用を削減、あるいはプラスにすることも可能です。

電気の手続きと使用開始日の設定方法
引っ越し作業の中でも、電気・ガス・水道といったライフラインの手続きは、生活の基盤に関わるため絶対に忘れてはなりません。特に電気は、入居当日から照明や家電製品の動作確認に不可欠です。
手続き自体は非常にシンプルですが、引っ越し日の1週間〜2週間前までには必ず済ませておくのが安心です。
手続きが必要なのは、「旧居の電気の停止(解約)」と「新居の電気の開始(契約)」の2つで、現在契約している電力会社と、新居で契約する電力会社の両方に連絡が必要です。
手続きはオンライン完結が主流で便利
現在、ほとんどの電力会社では、インターネット上の公式サイトから24時間いつでも解約・開始の手続きが可能です。
お客様番号がわかる検針票(電気ご使用量のお知らせ)を手元に用意しておけば、5分〜10分程度で申し込みが完了します。
電話が混み合う繁忙期でも、オンラインなら待つことなくスムーズに手続きを進められます。
使用開始日の設定については、迷わず「引っ越しの入居日」を指定してください。これにより、あなたが新居に到着したその日から電気が使える状態になります。
引っ越し当日は、掃除機をかけたり、夜には照明をつけたり、冷蔵庫の電源を入れたりと、すぐに電気が必要になります。業者によっては、当日の開始手続きに対応していない場合もあるため、事前の申し込みが不可欠です。
入居当日は、室内の分電盤にあるアンペアブレーカーと漏電遮断器、配線用遮断器のスイッチをすべて「入」にすることで電気が使えるようになります。
もしこれでも電気がつかない場合は、すぐに電力会社に連絡しましょう。(参考:使用開始日になっても電気がつかない | 東京電力エナジーパートナー)

引越し当日の段取りと家電搬入のタイミング
- 新居へ引越し先に配送する流れと注意点
- 家具と家電の搬入、順番の段取りを解説
- 冷蔵庫・洗濯機・エアコンの事前準備
- 搬入が間に合わない時はどうする?
- 確実に失敗しない引越し時の家電搬入タイミング
引越し先の新居へ配送する流れと注意点
新しく購入した家電を旧居を経由せず、引越し先に直接配送してもらう方法は、運搬の手間と引っ越し費用を同時に削減できる、非常にスマートで効率的な手段です。
しかし、この方法を成功させるためには、流れを理解し、いくつかの重要な注意点を押さえておく必要があります。
基本的な流れは、家電量販店やオンラインストアで商品を購入する際に、配送先として新居の住所を正確に入力し、配送希望日を「引っ越し当日」または「翌日の午前中」に設定するだけです。
ここで重要なのが時間帯の調整です。
特に、引っ越し業者と家電配送業者が異なる場合、作業時間帯が重なってしまうと、玄関や廊下で作業員が鉢合わせになり、効率が著しく低下するだけでなく、壁や家財を傷つけるリスクも高まります。
引越業者と家電配送業者の時間帯が重複しないよう調整しましょう。
量販店の配送は地域・商品種別で指定可否が異なり、大型は「設置便」の枠で当日朝に到着時間帯連絡の運用もあります。事前に販売店の配送ガイドを確認しておくと齟齬を防げます。
搬入経路の徹底的な確認は必須中の必須
この方法における最大の注意点であり、最も悲劇的なトラブルの原因となるのが、搬入経路の確認不足です。
新居の玄関ドアの幅と高さ、廊下の最も狭い部分、曲がり角、階段の幅と踊り場のスペース、エレベーターの内寸などを、メジャーを使って1cm単位で正確に測ってください。
そして、その寸法と購入予定の家電の「製品寸法」だけでなく、段ボールなどで梱包された状態の「梱包寸法」を比較することが極めて重要です。
「搬入不可」が引き起こす最悪のシナリオ
万が一、当日になって「サイズが大きすぎて玄関を通りません」と宣告された場合、その後の選択肢は限られています。
- クレーンによる吊り上げ搬入
ベランダや窓から搬入する方法。数万円の高額な追加料金が発生します。 - 返品・交換
搬入可能な別の商品に交換する。ただし、希望の商品がすぐに手に入るとは限りません。 - キャンセル
購入自体を諦める。家電のない生活が数日間続くことになります。
こうした事態を避けるためにも、採寸は慎重に行い、少しでも不安な場合は、販売店が提供している有料の「搬入下見サービス」などを積極的に利用しましょう。
横浜・川崎・東京都南部エリアで業者をお探しの方へ
ちなみに、いざ設置する段階で「コンセントの形状が合わない」「電圧が違う」といった電気関連のトラブルが発覚することも少なくありません。
そうした急な電気工事にも、私たち「横浜電気工事レスキュー」のような専門家が対応可能ですので、万が一の際はごぜひ相談ください。

家具と家電の搬入、順番の段取りを解説
引っ越し当日の作業効率、そして新生活のスタートダッシュは、荷物をどの順番で新居に運び込むかという「段取り」で9割が決まると言っても過言ではありません。
無計画に手近なものから運び込むと、部屋の中心に段ボールの山ができあがり、後から大きな家具を動かすために全てを移動させる、といった二度手間が発生してしまいます。
プロの引っ越し業者が実践する基本原則は、「①奥の部屋から」「②大きな物から」「③床を保護しながら」の3つです。
まず、寝室や書斎など、玄関から最も遠い部屋のスペースを確保し、そこにベッドや本棚、机といったその部屋で最も大きな家具から配置を確定させます。
その後、リビングのソファやテレビ台、ダイニングテーブルといった準主役級の家具を設置し、最後に玄関周りや廊下に小さな収納家具や段ボールを運び込むのが最も効率的な流れです。
家電もこの原則に完全に従います。特に冷蔵庫や洗濯機、大型テレビといった重量物は、他の荷物で動線が塞がれる前に、真っ先に所定の位置へ設置します。
これらを最初に動かない「核」として配置することで、その後の段ボール開梱作業や細々とした荷物の整理が格段にスムーズになります。
事前に新居の簡単な間取り図を描き、「ここにソファ」「ここに冷蔵庫」といった形で家具・家電の配置計画を立てておくと、当日の作業員への指示が驚くほどスムーズになります。
図面を印刷して作業員に渡せば、あなたが細かく指示しなくても作業が進むため、他のことに集中できますよ。

冷蔵庫・洗濯機・エアコンの事前準備
大型家電の中でも、水や冷媒ガスを内部に含む冷蔵庫・洗濯機・エアコンは、運搬前にそれぞれの特性に合わせた適切な準備が不可欠です。
この下準備を怠ると、運搬中の水漏れで他の家財を濡らしてしまったり、製品の故障を引き起こしたりする深刻なトラブルにつながります。
冷蔵庫の「水抜き」と「霜取り」
引っ越し前日までに冷蔵庫の中身を完全に空にし(計画的な食材の消費が重要です)、遅くとも引っ越しの15〜24時間前には電源プラグを抜いておきます。
電源を切ることで、冷却器についた霜が自然に溶け始めます。溶けた水は、本体下部や背面にある「蒸発皿」という受け皿に溜まる仕組みになっています。
引っ越し当日の朝、この蒸発皿に溜まった水を捨てれば「水抜き」は完了です。自動製氷機能付きのモデルは、製氷皿の氷と給水タンクの水も忘れずに捨ててください。
洗濯機の「水抜き」
最後の洗濯は引っ越し前日までに済ませておきましょう。水抜きの手順は以下の通りです。
- 蛇口を固く閉めます。
- 電源を入れ、標準コースで1分ほど運転し、給水ホース内に残った水を抜きます。
- 電源を切り、給水ホースを蛇口から外します。
- 再び電源を入れ、最も短い時間設定で「脱水」のみを運転し、洗濯槽と排水ホース内の水を完全に抜きます。
- 5. 運転終了後、排水口から排水ホースを抜けば完了です。
特にドラム式洗濯機の場合は、輸送中の振動でドラムを支える精密な部品が破損するのを防ぐための「輸送用固定ボルト」の装着が絶対に必要です。
紛失した場合は、メーカーの公式サイトや家電量販店で必ず取り寄せてください。これを付けずに運ぶと、ほぼ確実に故障します。
(参考:【洗濯機全般】洗濯機を引っ越し・運搬する時の水抜き方法 - 洗濯機/衣類乾燥機 - Panasonic)
エアコンの取り外し・取り付け
エアコンの移設は、内部の冷媒ガスを室外機に回収する「ポンプダウン」という専門作業が伴います。
この作業には専門的な知識と工具が不可欠です。冷媒フロンガスをみだりに大気中に放出することは「フロン排出抑制法」で固く禁じられており、違反した場合は罰則の対象となります。
また、作業には感電やガス漏れ、場合によっては爆発といった重大な事故のリスクも伴います。
安全かつ合法的に作業を行うため、第二種電気工事士の資格や専門知識を持つ、信頼できる専門業者(引越し業者のオプションサービスやエアコン設置専門業者など)に必ず依頼してください。
また、新居にエアコン専用のコンセントや配管用の穴があるかも、事前に不動産管理会社などに確認しておくことが必須です。
(参考:フロン類の大気放出抑制についてのお願い|家庭用エアコン|関連製品|一般社団法人 日本冷凍空調工業会)

搬入が間に合わない時はどうする?
どれだけ周到に計画を立てていても、予期せぬ交通渋滞や前の現場の作業遅延など、自分ではコントロールできない要因があります。
そのため、家電の搬入が予定時刻に間に合わない、あるいは当日の配送が不可能になるというケースも残念ながら起こり得ます。
そんな不測の事態に直面した時でも、パニックにならず冷静に対処する方法を知っておくことが、被害を最小限に食い止める鍵となります。
まず、配送業者から遅延の連絡が入ったら、感情的にならずに状況を正確にヒアリングし、具体的な到着予定時刻を確認します。
その上で、新生活に最低限必要なものを確保する「プランB」に思考を切り替えましょう。
搬入が大幅に遅れる、または翌日以降になる場合の具体的な対策
家電レンタルサービスを緊急手配する
最近では、ネットで申し込むと即日〜翌日に冷蔵庫や洗濯機を届けてくれる短期レンタルサービスがあります。数日間だけレンタルし、急場をしのぐ最も確実な方法です。
クーラーボックスと保冷剤を最大限活用する
事前に用意しておいたクーラーボックスで、生鮮食品や冷凍食品を保管します。スーパーやコンビニで氷を買い足せば、1日程度は十分に持ちます。
近隣のコインランドリーの場所を把握しておく
引っ越し前に、新居の近くにあるコインランドリーの場所をGoogleマップなどで調べておくと、洗濯物が溜まっても安心です。
必需品は近隣の店舗で購入する
スマートフォンを充電するためのモバイルバッテリーや、お湯を沸かすための電気ケトル、髪を乾かすドライヤーなど、すぐに必要な小型家電は、割り切って近くのディスカウントストアや家電量販店で安価なものを調達するのも一つの手です。
特に食事については、「最初の数日は自炊しない」と割り切り、外食やお弁当、レトルト食品などで済ませるという柔軟な心構えも、余計なストレスを溜めないためには非常に大切です。

確実に失敗しない引越し時の家電搬入タイミング
- 引っ越し計画は余裕を持って1ヶ月〜2ヶ月前からスタートする
- 家電の購入は配送日を長期指定できる1ヶ月前が最適な目安
- セール時期を狙うなら3月・9月の決算期が最もおすすめ
- 搬入経路の採寸は梱包後のサイズを想定して慎重に行う
- 使用年数が8年を超えるような古い家電は買い替えを積極的に検討する
- 古い家電の処分には法律で定められたリサイクル料金が必要
- 電気の解約・開始手続きは1週間前までにオンラインで済ませる
- 電気の使用開始日は必ず引っ越し当日に設定しておくこと
- 新しく購入する家電は旧居を経由せず新居への直接配送が最も効率的
- 搬入作業は奥の部屋の大きな家具から設置するのが鉄則
- 冷蔵庫と洗濯機の水抜き作業は引っ越し前日までに必ず完了させる
- エアコンの移設作業は絶対に自分で行わず専門業者に依頼する
- ドラム式洗濯機を運ぶ際は輸送用の固定ボルトが必須中の必須
- 万が一搬入が遅れる場合に備え家電レンタルサービスも視野に入れておく
- 引っ越し業者と家電配送業者の作業時間が重ならないように時間帯を調整する