認定電気工事店で行なうアンペア変更の基礎と申請の全手順をご紹介

電気の使い勝手や生活環境の変化に応じて、「アンペア数を変更したい」と考える方は少なくありません。しかし、電気工事店で行なうアンペア変更の手続きは意外と複雑で、事前に知っておくべき契約内容や申請方法、変更届の提出条件など、いくつもの工程が存在します。
特に住宅の区分がマンションや賃貸住宅、あるいはビルマンションである場合、大家さんや管理組合の許可が必要なケースもあり、工事の依頼タイミングにも注意が求められます。
また、ブレーカーやヒューズ、分電盤といった機器の仕様や、30A・60A・100Aといった契約アンペアの選び方にも慎重な判断が必要です。
床暖房や電気負荷、住宅の面積などによっても最適なアンペア数は変わり、誤った選定をするとブレーカーが頻繁に落ちたり、絶縁抵抗測定や変圧器の調整が必要になったりする事もあります。
本記事では、「なぜアンペア変更が必要なのか」から始まり、無料で出来る範囲や費用・工事費・手数料の目安、増額・減額のポイント、見積もりの依頼方法や連絡先の確認など、初心者でも分かり易く網羅的に解説します。
申請書類の通知書や図面の扱い、略記号の読み方、罰則や「出来ないケース」まで触れながら、工事業者への依頼前に知っておくべき知識をまとめてお届けします。
これからアンペア変更を検討している方、費用がどのくらい掛かるか気になる方は、入居前・契約前にぜひご一読下さい。
記事のポイント
- アンペア変更の手続きと申請の具体的な流れ
- 賃貸やマンションで必要な許可と注意点
- 工事内容やブレーカー増設にかかる費用の目安
- 契約アンペア数に応じた電気料金の増減条件
- 1. 電気工事店で行うアンペア変更の基本を解説
- 1.1. 変更の手続きと申請の流れ
- 1.2. 変更の許可が必要な条件とは
- 1.3. 分電盤やブレーカーの区分と確認方法
- 1.4. 変更時の通知書と変更届の扱い
- 1.5. 賃貸住宅やマンションでの注意点
- 2. 電気工事店でのアンペア変更手続きに関する費用と対策
- 2.1. アンペア変更の工事費はどのくらいかかる?
- 2.2. 電気料金や基本料金の増額・減額の違い
- 2.3. 無料でできることと有料になる条件
- 2.4. 費用見積もりを業者に依頼する際の注意点
- 2.5. 工事のタイミングと連絡先のルール
- 2.6. ブレーカー増設と絶縁抵抗測定の必要性
- 2.7. 電気負荷や床暖房が関係する面積と流量
- 2.8. 電気工事店でアンペア変更を検討する際の総まとめ
電気工事店で行うアンペア変更の基本を解説
- アンペア変更の手続きと申請の流れ
- アンペア変更の許可が必要な条件とは
- 分電盤やブレーカーの区分と確認方法
- アンペア変更時の通知書と変更届の扱い
- 賃貸住宅やマンションでの注意点
変更の手続きと申請の流れ
アンペア変更を行なうには、いくつかの手順を踏んで正式に申請を行なう必要があります。これは電力会社と契約している電力量の「上限」を変える事になる為、単なる電化製品の買い替えとは違い、きちんとした手続きが求められます。
まず最初に行なうべき事は、現在の契約アンペア数を確認する事です。これには、自宅の分電盤にあるアンペアブレーカーの表示や、毎月届く「電気ご使用量のお知らせ(検針票)」の記載をチェックする方法があります。また、スマートメーターが導入されている家庭では、Webのマイページから確認する事も可能です。
次に、自分の生活スタイルや家電の使用状況に合わせて、どのアンペア数が適しているかを見極めます。例えば、電子レンジやエアコン、ドライヤーなどを同時に使用する事が多い場合は、現在の契約では容量が不足している可能性があります。そうした状況でブレーカーが頻繁に落ちる様であれば、アンペアの増設を検討するべきでしょう。
申請の方法としては、契約している電力会社に連絡を取り、アンペア変更の希望を伝えます。多くの場合、Webフォームや電話で申し込む事が出来、スマートメーターが設置済みのお家の場合は遠隔操作でアンペア切替(60Aまで可能)が完了しますので工事は不要です。またスマートメーターがまだ設置されていなかったり、電波が届かない山岳地帯やコンクリートマンション内の場合など必要に応じてお施主様お立ち合いの元、作業員が訪問して設定変更やアンペアブレーカーの交換工事を行ないます。
このように、アンペア変更はただのスイッチ操作ではなく、正確な契約変更手続きと場合によっては工事を伴う重要な作業です。使用状況をしっかり把握した上で、電力会社及び、東京電力に加盟している電気工事店に相談し、適切な申請を行ないましょう。

変更の許可が必要な条件とは
アンペア変更には、住宅の構造や契約形態により、事前に「許可」を得なければならない場合があります。特に集合住宅や賃貸物件に住んでいる場合、この点は軽視出来ません。
まず、マンションやアパートなどの集合住宅では、建物全体の電気供給設備に上限が設けられている事がよくあります。個別の住戸で契約アンペア数を上げると、建物全体のバランスに影響を与えてしまう可能性がある為、管理会社やオーナーの事前承諾が必要になります。
これは、例えばワンルーム6世帯(各々30A)のアパートで、1部屋だけ100Aに変更する事で、他の部屋で使用出来る電力量が減ってしまうリスクがある為です。
また、分譲マンションでも同様に、管理規約で電気容量に関する規定が設けられている場合があります。この様な場合には、管理組合へ申請を行ない、承認を得なければ変更は出来ません。これを怠ると、原状回復義務が発生したり、最悪の場合は契約違反とみなされる可能性もある為、注意が必要です。
一戸建ての場合でも、築年数の古い住宅では電気配線や分電盤の耐容量が低い事がよくあり、希望するアンペア数に対応出来ないケースがあります。この場合は、電気工事士による配線の改修が求められる事もあり、申請前の厳密な現地調査が必要になります。
つまり、アンペア変更を検討する際は、住まいの「契約形態」と「建物設備の制限」をよく確認し、必要に応じて管理者からの許可を得る事が大前提となります。無許可で工事を進めた場合には、後々トラブルに発展する恐れがある為、慎重に対応する事が重要です。
分電盤やブレーカーの区分と確認方法
アンペア変更を検討する際、最初にチェックすべき箇所が「分電盤」と「ブレーカー」です。これらの設備は、家庭内の電気使用量や回路構成を知る為の重要な手掛かりとなります。
分電盤とは、住宅内に電気を分配する為の装置で、通常は玄関や洗面所、または収納スペースの壁面に設置されています。この分電盤の中にあるのが、主に3種類のブレーカーです。
1つ目は「アンペアブレーカー」で、契約アンペア数を制御しています。2つ目が「漏電ブレーカー」、3つ目が「安全ブレーカー」で、それぞれ安全管理や回路の分岐に関係しています。
アンペアブレーカーには、契約アンペア数が直接表示されており、その値を見れば現在の契約内容が分かります。東京電力の例で言えば、10Aは赤、30Aは緑、60Aは紫など、色分けもされている為、識別は比較的容易です。
ただし、最近はスマートメーターで契約を管理している場合が殆どで、このような色分けのブレーカーが設置されていないケースも増えています。
このような場合は、電力会社のマイページや「検針票」に記載されている契約アンペア数を確認しましょう。検針票には「ご契約内容」欄があり、そこに「30A」や「50A」などの記載があります。
また、分電盤を見る事で、どの回路にどの家電が接続されているかの把握にも役立ちます。例えば、エアコンや電子レンジが専用回路になっているか、複数の家電が一つのブレーカーで管理されていないかなど、使用状況の分析が可能になります。
この様に、分電盤やブレーカーの状態を正しく理解しておく事で、適切なアンペア変更の判断や、必要な工事内容の把握がしやすくなります。特に初めて変更を検討する方にとっては、確認作業の第一歩として非常に大切な工程と言えるでしょう。

変更時の通知書と変更届の扱い
アンペア変更を行なう際には、電力会社との契約内容を更新する事になります。この時重要なのが「通知書」と「変更届」の扱いです。これらの書類は、手続きの記録や確認の為に欠かせないものです。
まず、「通知書」とは、電力会社が契約者に対して送付する書類で、アンペア数の変更に関する正式な案内を意味します。
この通知書には、変更前と変更後の契約アンペア数、変更日、そして場合によっては工事の日時や内容なども記載されており、契約内容の確認に役立ちます。特に後日、電気料金の計算や契約内容に疑問が生じた時に、通知書は重要な証拠書類となります。
一方、「変更届」は、契約者側が電力会社へ提出する書類です。これは、アンペア数の増減を希望する際に必要で、Web申請が可能な電力会社もありますが、地域や契約状況によっては紙での提出が求められる事もあります。
この変更届には、契約者情報、希望するアンペア数、変更理由、住宅の種類などを記入し、場合によっては管理会社や大家の承諾書も添付する必要があります。
これらの手続きを怠ると、変更自体が無効となったり、契約違反とみなされる事もあります。したがって、アンペア変更の際は通知書と変更届の役割をしっかり理解し、必要な書類を確実に管理・提出する事が重要です。
後々のトラブルを避ける為にも、コピーを保管しておく事をお勧めします。
賃貸住宅やマンションでの注意点
賃貸住宅や分譲マンションでアンペア変更を希望する場合は、戸建て住宅と異なり、いくつかの特有の注意点があります。無断で手続きを進めてしまうと、トラブルや費用負担の問題に発展する可能性がある為、より慎重な対応が求められます。
まず賃貸物件に住んでいる場合、電気設備の変更は基本的に「原状回復義務」に関わってくる為、大家(オーナー)の許可が必要です。これは、ブレーカーの容量や配線を変更する事で、元の状態に戻す必要が生じる可能性があるからです。勝手にアンペア数を増やし、後で退去時に元に戻す様求められると、多額の費用が掛かるケースもあります。
マンションにおいても、管理規約や建物の電気設備の容量制限によって、アンペア変更が制限されている事があります。
特に築年数の古いマンションでは、全体の電力供給に余裕がなく、個別の住戸でのアンペア数引き上げが出来ない場合もあります。その為、まずは管理組合や管理会社に確認を取り、必要であれば書面での承認を得る事が大切です。
また、共用部の電力供給と混同されるケースもある為、変更によって他の住戸に影響が出ないかの確認も重要です。集合住宅では、住戸単位だけでなく全体の電気使用バランスが関わってくる為、事前調査が欠かせません。
この様に、賃貸住宅やマンションでは、単に「使いたい電力量を増やす」という理由だけで気軽に手続きを進める事は出来ません。許可の取得、契約上の確認、規約との整合性など、複数の視点から事前の確認が必要になります。こういう場合は、電気工事業登録している信頼のおける電気業者にまとめてご相談頂くのが一番です。
電気工事店でのアンペア変更手続きに関する費用と対策
- アンペア変更の工事費はどのくらい掛かる?
- 電気料金や基本料金の増額・減額の違い
- 無料で出来る事と有料になる条件
- 費用見積もりを業者に依頼する際の注意点
- 工事のタイミングと連絡先のルール
- ブレーカー増設と絶縁抵抗測定の必要性
- 電気負荷や床暖房が関係する面積と流量
アンペア変更の工事費はどのくらいかかる?
アンペア変更を検討する際に多くの人が気にするのが、「実際にいくら掛かるのか?」という点です。費用の内訳には、ブレーカーの交換、配線工事、立ち会い作業などが含まれる場合があり、条件によって金額に幅があります。
一般的に、スマートメーターが設置されている住宅では、アンペア数の変更が遠隔操作で対応出来る事が多く、その場合は工事費が無料になるケースもあります。例えば、東京電力では条件を満たしていれば、電話申請だけでアンペア変更が完了し、作業員の派遣も不要です(一般住宅で60Aまで)。
しかし、従来型のアナログメーターや、アンペアブレーカーが設置されている住宅では、物理的なブレーカー交換工事が必要です。この場合、工事費は数千円から1万円程度が相場となります。さらに、ブレーカーだけでなく配線工事や分電盤の改修が必要なケースでは、2万円~10万円程度まで費用が上がる事もあります。
特に築年数の古い住宅や、増築された住まいなどでは、電気配線が現在の規格に適合していない場合があり、絶縁抵抗測定や漏電検査などの追加作業が発生する事もあります。こうした検査費用は数千円程度ですが、必要に応じて加算される為、事前に見積もりを取る事が重要です。
工事の費用については、電力会社に直接依頼するか、東京電力登録加盟事業者(弊社)を通じて依頼するかでも異なる為、複数の見積もりを比較するのが賢明です。また、費用が発生するかどうかは地域や住宅の状態によっても変わる為、自己判断ではなく、やはり専門家のアドバイスを受ける様にしましょう。
電気料金や基本料金の増額・減額の違い
アンペア変更を行うと、月々の電気料金にどのような影響があるのかが気になる方も多いのではないでしょうか。ここで理解しておきたいのが、「電気料金」と「基本料金」の違い、そしてアンペア変更によってそれぞれがどう変わるかという点です。
まず、電気料金は使用した電力量(kwh)に応じて計算されます。つまり、どれだけ電気を使ったかによって毎月の支払額が変動する部分です。
一方で基本料金は、契約しているアンペア数に応じて固定的に発生する料金で、たとえ電気を使わなくても請求されます。この為、アンペア数を増やすと基本料金は上がり、減らせば安くなる仕組みです。
例えば、東京電力エナジーパートナーの場合、30アンペアでは月額908円(税込)、40アンペアでは1,211円(税込)、50アンペアでは1,513円(税込)と、契約アンペア数が上がるほど基本料金も上がっていきます。
この増額分は、契約時点で電力会社が「この家庭では多くの電力を使用する可能性がある」と見なして設備対応を行なう為の費用でもあります。
逆に、アンペア数を下げる事で基本料金は減額されます。ただし、契約アンペア数が小さ過ぎると、一度に使用出来る家電の数が限られたり、ブレーカーが頻繁に落ちたりする可能性もある為、注意が必要です。省エネに積極的な家庭や単身世帯など、電力使用量が少ない場合は減額のメリットが大きくなります。
このように、電気料金の「増額・減額」は主に基本料金に関連しており、契約アンペア数の変更が直接影響します。月々の電力使用状況と照らし合わせて、最適なアンペア数を選ぶ事が、無駄のない電気料金の支払いに繋がります。

無料でできることと有料になる条件
アンペア変更に関する手続きや工事には、無料で済むものと有料になるものがあります。何が無料で、どこからが有料になるのかを理解しておく事で、予期せぬ出費を避ける事が出来ます。
まず、近年のスマートメーターが設置されている住宅では、契約アンペア数の変更が遠隔操作で可能な場合があります。この場合、作業員が現地に出向く事なく変更手続きが完了する為、工事費や手数料は基本的に無料です。また、電力会社への申請も電話やオンラインで完結する場合が多く、これも費用が掛からないのが一般的です。
一方で、有料になる条件の代表例は「現地工事」が必要なケースです。従来型のアナログメーターが設置されている場合や、契約アンペア数に見合った分電盤やブレーカーがない場合は、交換工事が必要になります。
この様な場合は、作業費や機材費として数千円~数万円の費用が発生します。工事の規模や住宅の状態によっても金額が変動する為、事前に見積もりを取る事が大切です。
更に、賃貸住宅や集合住宅では、工事の実施にあたり管理会社やオーナーの許可が必要となり、これに関連した書類作成や確認作業が追加料金の対象となる事もあります。特にマンション全体の電力容量に制限がある場合は、管理組合との協議や調査が必要になり、追加費用が掛かる可能性もあります。
この様に、アンペア変更における無料・有料の線引きは、「既存設備で対応可能かどうか」によって決まる事が多いです。初めて手続きを行なう方は、無料の範囲を過信せず、自宅の設備状況や電力会社の方針を確認した上で計画的に進める事をお勧めします。
費用見積もりを業者に依頼する際の注意点
アンペア変更に伴い電気工事業者に見積もりを依頼する場合、注意すべきポイントがいくつかあります。見積もりを正確に、そしてトラブルなく取得する為には、単に「料金はいくらですか」と尋ねるだけでは不十分です。
まず、事前に自宅の現状を出来るだけ詳しく把握しておく事が大切です。分電盤の設置場所、使用中のブレーカーの種類、住宅の築年数、スマートメーターの有無など、基本的な情報を伝える事で、業者側もより的確な見積もりを出しやすくなります。
現地調査が必要な場合でも、こうした情報を先に伝えておけば、訪問回数や打ち合わせの手間を減らす事が出来ます。
次に、見積書の内容をしっかり確認する事です。内訳が「工事一式」などとざっくりしている場合は、後から追加費用を請求されるリスクがあります。ブレーカーの交換費、配線工事費、点検費、出張費など、費用項目が細かく明記されているか確認し、不明点は必ず質問する様にしましょう。
また、複数の業者から見積もりを取る「相見積もり」を行なう事もお勧めです。価格だけでなく、対応の丁寧さや説明の分かり易さも比較ポイントになります。中には、見積もり自体に料金が発生する業者もある為、依頼前に「無料見積もり対応かどうか」を確認する事も忘れない様にして下さい。
更に、悪質な業者による不要な工事の提案にも注意が必要です。アンペア変更の工事で数十万円を超える請求がある場合は、内容が妥当かを疑う視点が必要です。可能であれば、電力会社にも確認を取りながら進めると安心です。
こうした点に留意しながら見積もりを依頼すれば、不安や疑問を解消しながら、納得のいく形でアンペア変更を進める事が出来るはずです。
工事のタイミングと連絡先のルール
アンペア変更に伴う工事をスムーズに進める為には、事前のタイミング調整と連絡体制の整備が欠かせません。これを怠ると、希望する時期に工事が出来なかったり、必要な許可が下りず再調整が必要になるケースもあります。
まず、アンペア変更の工事には「電力会社への申請」と「登録電気工事業者への依頼」という2つの連絡先が関わります。申請に必要な情報が揃っていないと、受付が保留される事がある為、正確な住宅情報や希望するアンペア数、現在の契約内容をあらかじめ確認しておきましょう。
申請が承認された後に、工事のスケジュール調整が行われますが、繁忙期には希望日が取りづらくなる事もある為、余裕を持った日程設定が重要です。
また、集合住宅や賃貸物件の場合には、管理会社や大家さんへの事前連絡が義務付けられている事が多いです。特に分電盤の変更や建物全体の電力に関係する工事が発生する場合、建物側で対応可能かを管理者が確認する必要がある為、安易に自己判断で進めてしまわない様、注意しましょう。
連絡先としては、まず最初に現在契約している電力会社(東京電力の方は東京電力へ、ENEOS電気の方はENEOS電気へ)へ問い合わせるのが基本です。アンペア変更を希望する旨を伝えると、変更可能かの判断や必要な手続きの手順、案内を受けられます。
その後、電気工事業者の紹介を受けるか、自身で選定した東京電力加盟店に依頼する流れになります。なお、緊急対応が必要な場合を除き、複数の業者に問い合わせてスケジュールや費用面での比較を行なうと安心です。
こうして連絡先とスケジュールのルールを把握し、関係先との連携をしっかり取る事で、アンペア変更工事を円滑に進める事が出来ます。特に初めて工事を依頼する場合は、必要な準備事項を早めに確認し、余裕を持って対応する事をお勧めします。

ブレーカー増設と絶縁抵抗測定の必要性
アンペア数の変更を行なう際に、多くの家庭で関係してくるのがブレーカーの増設と絶縁抵抗測定という作業です。これらは見落とされがちですが、電気設備の安全性と安定稼働の為に非常に重要な工程です。
まずブレーカーの増設は、契約アンペア数を引き上げる際に必要となる事があります。というのも、既存のブレーカーが対応可能な上限を超えると、当然ながら機器の交換や増設が求められます。
例えば、30アンペア用の主幹ブレーカーが設置されている住宅で、50アンペアに契約変更をする場合、現状のままでは容量オーバーとなる為、新たに50アンペア対応のブレーカーに交換する必要があるのです。この工事が「増設」や「交換」として実施されます(スマートメーターが設置されていない住宅の場合)。
一方、絶縁抵抗測定は、住宅内の電気配線が安全に使用出来るかを確認する為に行なわれる電気検査です。この測定によって、配線に漏電のリスクがないか、電気が正しく流れる状態かを把握出来ます。
これは特に築年数の古い住宅や、改修履歴の少ない建物で重要な検査となります。ブレーカーの増設を行なう場合や、設備の規模が変わる際には、絶縁抵抗値の確認が義務付けられる事が多く、これに合格しない限り工事が完了しないケースもあります。
こうした作業は、電気工事士などの専門資格を持った業者が行なう必要があり、費用や日数もある程度掛かる為、事前に見積もりと内容の確認をしておくと安心です。住宅の状況によっては、配線の全面張り替えが必要になる事もある為、予想以上の工事になる可能性も否定出来ません。
以上のように、ブレーカーの増設と絶縁抵抗測定は、単なるアンペア数の変更以上に、住宅全体の安全を確保する為の重要な工程です。費用と時間を掛けても省略せず、確実に実施する事が望まれます。
電気負荷や床暖房が関係する面積と流量
住宅のアンペア数を決める際には、単に使用する家電の数だけでなく、「電気負荷」や「床暖房の有無」など、より詳細な要素も重要な判断材料となります。その中でも特に見落とされがちなのが、部屋の面積と電気機器の流量(消費電力)との関係です。
電気負荷とは、ある時間帯に住宅で一斉に使用される電力の合計を指します。例えば、エアコン、電子レンジ、洗濯乾燥機を同時に使えば、それだけ負荷が高くなり、必要なアンペア数も増える事になります。
特に冬場に床暖房を使用する家庭では、消費電力が大幅に上昇する事があり、適切な容量設計をしておかないと頻繁にブレーカーが落ちる原因となります。
また、床暖房はその設置面積によって必要な電力量が異なります。小さな一部屋だけであればそれほど大きな影響はありませんが、リビング全体や複数部屋に渡る広範囲で使用する場合は、予想以上に電気を消費します。
この時、電力会社や工事業者は「流量計算」を行ない、住宅内で同時に使われる可能性のある電力負荷を元に適正なアンペア数を算出します。
更に、住宅の構造や断熱性能によっても必要な電力量は変わってきます。断熱が不十分な家では暖房機器の稼働時間が長くなり、結果的に電気負荷が高くなる傾向があります。その為、見た目には同じ広さの住宅であっても、設置環境によってアンペア数の設定が異なるのです。
この様に、電気負荷や床暖房といった要素は、住宅の面積や機器の流量と密接に関係しています。適切なアンペア数を設定するには、生活スタイルや設備仕様をしっかりと把握し、専門業者の助言を受けながら決定する事が欠かせません。間違った設定は不便なだけでなく、設備に過度な負担を掛けるリスクもある為、慎重な判断が求められます。

電気工事店でアンペア変更を検討する際の総まとめ
- アンペア変更は電力契約の見直しにあたる為、正式な申請が必要
- 分電盤やブレーカーで現在の契約アンペア数をおおよそ確認可能
- スマートメーターがあればWeb上や電話でアンペア変更が可能な場合もある
- 家電使用状況に応じて適正なアンペア数を見極める事が重要
- 集合住宅では管理会社や管理組合の許可が必要になる事が多い
- 分譲マンションでは管理規約によって変更が制限される場合がある
- 古い住宅では配線が対応出来ず工事が必要になるケースもある
- 通知書と変更届は契約変更の証拠として必ず保管しておくべき
- 賃貸では原状回復義務がある為、大家の許可は必須
- アンペア数を増やすと基本料金は上がり、減らすと下がる
- スマートメーター設置済なら変更作業が無料で済む事もある
- 工事(現場作業)が必要な場合は1~5万円ほどの費用が発生する可能性がある
- 見積もりは複数業者から取り、内容の明細を確認する事が大切
- ブレーカー増設や絶縁抵抗測定は安全確認の為、省略出来ない
- 床暖房や住宅の広さにより必要アンペア数が大きく変動するので注意が必要