賃貸でコンセント増設は可能?許可や費用相場をプロが解説

こんにちは。横浜電気工事レスキューの主任電気工事士、天谷富士夫です。
日々の暮らしの中で、「ここにコンセントがあったらもっと便利なのに」と感じる瞬間はありませんか?
特に賃貸物件にお住まいの方ですと、築年数が経っている物件ではコンセントの数が極端に少なかったり、ライフスタイルの変化によってエアコンやキッチン周りの家電が増えたりして、電源確保に頭を悩ませている方は非常に多いです。
「延長コードでなんとか凌いでいるけれど、見た目も悪いし足を引っ掛けそうで危ない」「キッチンでレンジとケトルを同時に使うとすぐにブレーカーが落ちてしまう」……
そんな悩みを抱えつつも、賃貸だからといって勝手に工事をするわけにはいきませんし、大家さんや管理会社にどう相談すればいいのか、そもそも費用は誰が負担するのかなど、分からないことばかりで諦めてしまっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実は、きちんとした手順と交渉を行えば、賃貸でもコンセントを増設できるケースは決して少なくありません。大家さんにとっても、物件の利便性が上がることはメリットになり得るからです。
この記事では、私が長年現場で培ってきた経験をもとに、賃貸でコンセントを増設するための具体的なステップと交渉術、そして工事ができない場合の代替案について、専門用語をなるべく使わずに分かりやすくお話しします。
記事のポイント
- 賃貸物件でコンセント増設工事を行うための大家さんへの許可取りと交渉のコツ
- 退去時のトラブルを防ぐために知っておくべき原状回復費用と負担のルール
- キッチンやエアコン用など場所別のコンセント増設工事にかかる費用相場の目安
- 工事ができない場合でも電源を確保できる安全な代替策とタコ足配線の注意点
- 1. 賃貸でコンセントを増設する際の許可と交渉術
- 1.1. 勝手な工事は禁止!大家への許可と拒否の理由
- 1.2. DIYでの交換は不可?無資格工事と法的義務
- 1.3. 原状回復費用と退去時の負担を事前に確認
- 1.4. 穴あけ不要な露出配線なら許可が出やすい?
- 1.4.1. 露出配線のメリット
- 1.5. 増設できない時に代わりとなる対策と方法
- 1.6. 欲しいところにない・足りない場所への対処法
- 2. 賃貸のコンセント増設にかかる費用相場と業者
- 2.1. 業者に見積もりを依頼して家のコンセントを増やす
- 2.1.1. 内訳を知ろう!工事費用の3つの構成要素
- 2.1.2. なぜ「現地調査」が絶対に不可欠なのか
- 2.1.3. 「一式見積もり」には要注意!良い業者の見分け方
- 2.2. キッチンやエアコンの専用コンセント増設費用
- 2.3. 200V電圧変更やアース工事の相場を解説
- 2.4. 壁の中やブレーカーから配線を引く工事価格
- 2.4.1. 【コンセント増設工事の費用目安表】
- 2.5. テレビや洗面所・トイレ・ベランダの工事費用
- 2.5.1. テレビ・PC周り:マルチメディアコンセントの増設
- 2.5.2. 洗面所・トイレ:漏電対策とアース工事
- 2.5.3. ベランダ・屋外:防水処理と壁の貫通
- 2.5.4. 【場所別】コンセント増設工事の費用と特徴まとめ
- 2.5.5. 賃貸でのベランダ電源の裏技
- 2.5.6. すき間ケーブルを使う時の重要ポイント
- 2.6. 賃貸でのコンセント増設は慎重に進めよう
- 2.6.1. プロの知見を「交渉の材料」に使うのが成功の鍵
- 2.6.2. 事前相談のメリット
- 2.6.3. 「我慢」のリスクと「投資」のバランスを考える
賃貸でコンセントを増設する際の許可と交渉術
賃貸物件にお住まいのお客様から「コンセントを増やしたいけれど、勝手に工事しても大丈夫ですか?」というご相談を非常によくいただきます。
結論から申し上げますと、賃貸での電気工事には必ず貸主側(大家さんや管理会社)の許可が必要です。無断で行うと契約違反になるだけでなく、損害賠償請求に発展する恐れもあります。
また、コンセント増設に伴って「電気を使いすぎてもブレーカーが落ちないように契約容量を上げたい」と考える方も多いですが、これも建物の状況によっては制限されることがあります。
賃貸での契約変更については、以下の記事『賃貸でアンペア変更ができない理由と解決策を解説』もあわせてご覧ください。
ここでは、スムーズに許可を得るための交渉術や、工事が難しい場合の対策について、現場の視点から詳しく解説していきますね。

勝手な工事は禁止!大家への許可と拒否の理由
まず大前提として、賃貸物件で入居者が勝手にコンセントの増設工事を行うことは、契約違反になる可能性が非常に高いです。
これは、壁に穴を開けたり、建物の一部である電気配線に手を加えたりする行為が、大家さんの所有物である「建物」に変更を加えることになるためです。
私が過去に対応した現場でも、入居者様が無断で業者を呼んで工事をしてしまい、退去時に「壁の中の配線を全て撤去しろ」と大家さんから激怒され、トラブルになったケースがありました。
大家さんが工事を拒否する主な理由は、やはり「建物を傷つけたくない(資産価値を下げたくない)」という点と、「素人判断や質の悪い業者による不適切な工事で、火災や漏電のリスクが発生すること」を懸念しているからです。
しかし、決して全ての工事が拒否されるわけではありません。
「エアコンを設置したいが専用コンセントがない」「今のままではタコ足配線になりすぎて発火の危険がある」といった、生活の安全性や必需性に関わる正当な理由があれば、許可が下りる可能性は十分にあります。
まずは管理会社や大家さんに、今の状況がいかに不便で、安全上のリスクがあるかを誠実に伝えることがスタートラインですね。
DIYでの交換は不可?無資格工事と法的義務
最近はホームセンターやネット通販で簡単に部材が手に入るため、「YouTubeでやり方を見たから、コンセントの交換くらいなら自分でできるのでは?」と考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、これだけは声を大にしてお伝えしたいのですが、コンセントの増設や(壁に埋め込まれた)コンセント・スイッチの交換、配線を加工して接続する作業は、原則として「電気工事士」の国家資格が必要です。
「軽微な工事なら資格がいらないのでは?」というご質問もたまにいただきますが、電気工事士法施行令で定められた「軽微な工事」は非常に限定的です。
住宅の壁に埋め込まれているスイッチやコンセントの交換などは、この軽微な工事には当たらず、やはり電気工事士が施工しなければなりません。
(参考:電気工事士等資格が不要な「軽微な工事」とは|経済産業省(PDF))

無資格での工事は、感電事故はもちろんのこと、配線の接続不良による発熱・火災(トラッキング現象や接触不良によるジュール熱発生など)につながる危険性があります。
さらに、万一ご自身で施工して事故が起きた場合、原因調査や賠償の問題に発展することもあるため、見よう見まねのDIYは避け、必ず資格を持った専門業者に依頼してください。
(出典:経済産業省『電気工事の安全(電気工事士法について)』)
インターネット上の動画などで見よう見まねで作業するのは絶対にやめましょう。
私たちプロの電気工事士は、専用の工具と知識を使って、確実かつ安全に施工します。命と財産を守るためにも、ここはプロにお任せくださいね。
無資格工事のリスク 電気工事士法では、同法違反があった場合3月以下の懲役又は3万円以下の罰金に処される可能性があります。何より、見えない壁の中で接続不良や短絡が起き、感電や火災につながるリスクが一番怖いです。
そのため、安易な自己判断は禁物です。コンセント増設のDIYに関する詳しいルールや費用については、以下の『コンセントの増やし方|DIYは可能?費用や工事の注意点を解説』の記事もぜひ参考にしてください。
原状回復費用と退去時の負担を事前に確認
賃貸でコンセントを増設する際に、技術的な問題と同じくらい重要なのが「原状回復」の取り決めです。
一般に原状回復とは、退去時に「借りた当時の状態に完全に戻す」ことではなく、通常の使用による損耗(経年変化・通常損耗)を超えて、入居者の故意・過失や不適切な使用などで生じた損耗等を回復する考え方です。
(参考:「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版) - 国土交通省)
しかし、入居者の希望で行う「コンセント増設」のような造作・変更工事は、まさに「通常損耗を超える変更」にあたるため、原則として退去時に撤去・復旧を求められる可能性が高いです。
もし「元に戻してください」と言われれば、その撤去工事費用と内装復旧費用はお客様の負担になってしまいます。これでは、設置費用と撤去費用で二重の出費になり、コストが跳ね上がってしまいますよね。
そこで交渉の際には、「退去時は増設したコンセントをそのまま残置(置いていく)しても良いか」という点を確認することを強くお勧めします。
コンセントが増えていることは、次の入居者にとってもメリットになることが多いため、大家さんによっては「便利になるなら置いていっていいよ」と承諾してくれることもあります。
この「造作買取請求権の放棄(設備を置いていく代わりに費用は請求しない)」などの取り決めは、後々の「言った言わない」のトラブルを防ぐために、必ず書面やメールの履歴で残しておきましょう。

穴あけ不要な露出配線なら許可が出やすい?
「壁の中に配線を通す工事(隠蔽配線)」は、壁に穴を開けたり、場合によっては壁紙を剥がしてボードを切り欠いたりする必要があるため、大家さんが難色を示すことが多いです。建物へのダメージが大きいと感じられるからですね。
そこで私が賃貸のお客様によく提案するのが、「露出配線(モール配線)」という方法です。
露出配線とは、壁の表面にプラスチックのカバー(モール)を貼り付け、その中に電線を通してコンセントを設置する方法です。
これなら壁に大きな穴を開ける必要がなく、モールを固定するための小さなビス穴や両面テープ程度で済むため、建物への物理的なダメージを最小限に抑えられます。
見た目は多少配線カバーが見えてしまいますが、最近は壁紙に馴染む白や木目調のモールもありますし、巾木(床と壁の境目にある部材)の上に這わせれば目立ちません。
「壁を壊さずに済み、退去時の復旧も簡単です」と伝えることで、大家さんからの許可が格段に出やすくなります。交渉の強力なカードとして持っておくと良いでしょう。
露出配線のメリット
壁内配線に比べて工事費が安く済むことが多く、工期も短いです。家具の裏などに配線を通せば、見た目もそこまで気になりません。賃貸派には最適解と言えます。

増設できない時に代わりとなる対策と方法
交渉の結果、どうしてもコンセントの増設工事が許可されなかった場合や、コンクリート打ちっ放しの物件などで構造的に工事ができない場合でも、諦める必要はありません。
安全に電源を確保する代わりの方法はいくつかあります。
一つは、高品質な「延長コード」や「電源タップ」を上手に活用することです。ただし、100円ショップなどの安価なものを何本も繋げるタコ足配線は非常に危険です。
使用電力の合計が許容量を超えないよう、個別のスイッチが付いているものや、雷ガード、そして何より「ブレーカー内蔵型」の安全性の高いタップを選びましょう。
万が一使いすぎた場合に、大元のブレーカーが落ちる前にタップ側で電気を遮断してくれます。
(参考:テーブルタップ・延長コード「5.たこ足配線で異常発熱」|製品安全|製品評価技術基盤機構(NITE))
万が一、過剰な使用でコンセントが熱を持ったり焦げてしまったりした場合は、火災につながる危険があるため早急な対応が必要です。詳しくは『コンセントが焦げた時の対処法と修理費用|火災リスクも解説』をご覧ください。
また、最近ではキャンプや防災用として人気の「ポータブル電源」を日常使いする方も増えています。夜間に充電しておけば、コンセントのないベランダや部屋の中央、ダイニングテーブルなどでも自由に家電を使えます。
さらに、天井の照明用引掛シーリングに取り付ける「ライティングレール(ダクトレール)」を使って、天井からコンセントプラグを吊るして電源を取るという裏技もあります。これなら床を配線が這うこともありません。

欲しいところにない・足りない場所への対処法
「ベッドの枕元にスマホ充電用のコンセントがない」「ダイニングテーブルでホットプレートを使いたいけれどコードが届かない」といった、ピンポイントでコンセントが欲しい場所にないケースも多いですよね。
こうした場合は、既存のコンセントから「モール」を使って壁沿いに延長コードを固定して伸ばす方法がおすすめです。
床をそのまま這わせると足を引っ掛けて転倒したり、コードが断線してショートしたりする危険がありますが、壁の隅(入隅)にモールで固定してしまえば、見た目もスッキリしますし、掃除機をかける時の邪魔にもなりません。
賃貸でも使える、壁紙を傷めにくい「はがせる両面テープ」を使ったモール固定や、家具に固定するタイプのタップホルダーを活用すれば、退去時も安心です。
ただし、キッチンで電子レンジ、トースター、炊飯器を同時に使いたい場合など、消費電力が大きい家電のためにコンセントを増やしたい場合は注意が必要です。
単に延長コードで口数を増やしても、大元のコンセントやブレーカーの容量は変わらないため、すぐに電気が落ちてしまいます。
その場合は、やはり専用回路の増設工事を検討するか、家電を使う時間をずらす工夫が必要になります。
なお、「なぜブレーカーが落ちるのか(使いすぎ・漏電・ショートなど)」の切り分けと対処法については、以下の『ブレーカーやヒューズが切れる原因は?違いと対処法を徹底解説』も参考にしてください。
賃貸のコンセント増設にかかる費用相場と業者
次に、実際にプロの業者に依頼した場合にかかる費用の目安についてお話しします。
コンセントの増設と一口に言っても、今の配線を分岐させるだけの簡単な工事から、分電盤から新しい線を引く大掛かりな工事まで様々です。
「思っていたより高かった」とならないよう、適正価格を知っておくことで、業者選びの失敗を防げますよ。
「ホームセンターに頼んだほうが安いのでは?」と迷われる方もいらっしゃるかもしれません。
依頼先ごとのメリット・デメリットについては『コンセントの修理をホームセンターに頼む前の完全ガイド』の記事もぜひ参考にしてみてください。
業者に見積もりを依頼して家のコンセントを増やす
コンセントの増設をプロに頼むとき、やはり一番気になるのは「最終的にいくらかかるのか」という点ですよね。
しかし、電話口で「コンセントを1つ増やしたいんですけど、いくらですか?」と聞かれても、私たち電気工事士は「現場を見てみないと……」と歯切れの悪い返事をしてしまうことがあります。
これは決して金額を隠したいわけではなく、お家の状況によって工事内容がガラリと変わってしまうからなんです。ここでは、見積もりの仕組みと、信頼できる業者を見極めるためのポイントを、裏事情も含めて詳しくお話しします。
内訳を知ろう!工事費用の3つの構成要素
コンセント増設工事の費用は、大きく分けて以下の3つの要素で構成されています。「何にお金がかかっているのか」を知ることで、見積書を見た時の納得感が違ってきますよ。
| 費用の内訳 | 内容とチェックポイント |
|---|---|
| 1. 基本技術料(人件費) | 電気工事士が作業を行うための技術料です。作業の難易度や所要時間によって変動します。危険を伴う活線作業や、狭い天井裏での作業などは高くなる傾向があります。 |
| 2. 部材費(材料費) | コンセント本体、プレート、電線(VVFケーブル)、配線カバー(モール)、ブレーカーなどの材料代です。使用する部材のグレードや配線の長さで変わります。 |
| 3. 出張費・諸経費 | 業者の拠点からご自宅までの移動費、車両のガソリン代、有料駐車場代、現場で出た廃棄物の処理費用などが含まれます。 |
「格安工事!」と謳っている業者の中には、この中の「基本技術料」だけを安く見せて、後から高額な部材費や出張費を請求するケースもあります。広告の安さだけで飛びつかず、トータルコストで判断することが大切ですね。

なぜ「現地調査」が絶対に不可欠なのか
私がお客様に「必ず現地調査をさせてください」とお願いするのは、主に以下の3つの「見えないリスク」を確認するためです。
分電盤(ブレーカー)の空き状況
新しい回路を引くためには、分電盤の中に「空き回路(増設用の予備スペース)」が必要です。
注意したいのは、単に「スイッチが足りない」だけでなく、「新しいブレーカーを取り付けるための物理的な枠(スペース)すら残っていない」というケースがあることです。
特に古いアパートや単身用物件の小さな分電盤で起こりやすく、この場合は増設ができず、分電盤本体ごとの交換(回路数の多い盤への更新)が必要になります。
そうなると、回路増設の見積もりとは別に、追加で数万円〜10万円程度費用が上乗せになってしまうことも……。
最終的には、現地で盤の種類や全体の電気容量(主幹)などをプロが目視確認して判断する、非常に重要なポイントなんです。
壁の内部構造と隠蔽配線の可否
「壁の中に配線を隠したい」というご要望があっても、壁裏に断熱材がびっしり詰まっていたり、柱や筋交い(補強材)が邪魔をしていたりすると、配線を通すことができません。
その場合、露出配線への変更や、別のルートを提案する必要があります。
建物の材質と穴あけのリスク
壁が石膏ボードなのか、コンクリートなのか、あるいは砂壁なのかによって、使用する工具や難易度が異なります。特に賃貸の場合、どこまで穴を開けて良いかの判断も慎重に行う必要があります。
これらは電話やメールだけでは判断できません。
「行ってみないと分からない」状態のまま工事当日を迎えてしまい、「追加工事をしないと設置できません」と言われて高額請求トラブルになる……なんてことは絶対に避けたいですよね。
だからこそ、事前の現地調査と確定見積もりが重要なのです。
「一式見積もり」には要注意!良い業者の見分け方
見積書をもらった時、ぜひチェックしていただきたいのが「明細の細かさ」です。
もし見積書の項目が「コンセント増設工事一式:○○円」としか書かれていない場合は、少し注意が必要です。これでは、具体的にどんな部材を使い、どんな作業をするのかが全く分かりません。
信頼できる業者であれば、「コンセント部品代:○○円」「配線工事費(○m):○○円」「開口補修費:○○円」といったように、ある程度内訳を明確にしてくれます。
分からない項目があった時に、「これは何のための費用ですか?」と質問して、丁寧に説明してくれるかどうかも、良い業者を見極めるリトマス試験紙になります。
私たち横浜電気工事レスキューでは、まずは現場を拝見し、お客様のご予算や建物の状況に合わせた最適なプランをご提案することを徹底しています。
「とりあえず見積もりだけ」というご相談も大歓迎ですので、お家の電気のことで迷ったら、ぜひお声がけくださいね。
キッチンやエアコンの専用コンセント増設費用
消費電力が1000W(10A)を超えるような大きい家電、例えばエアコン、電子レンジ、IHクッキングヒーター、食洗機、浴室乾燥機などを安全に使うためには、分電盤から直接配線を引く「専用回路(専用コンセント)」の増設が必要です。
これらを他の部屋の照明やコンセントと同じ回路で使うと、容量オーバーで頻繁にブレーカーが落ちてしまい、家電の故障原因にもなります。
この専用回路増設工事の費用相場は、配線の長さや建物の構造にもよりますが、大体15,000円〜30,000円程度が目安となります。
分電盤から設置場所までの距離が遠かったり、天井裏や床下を通す作業が複雑だったりすると、費用は高くなる傾向にあります。
特にエアコンは、専用コンセント(専用回路)がない場合、設置工事の前に専用回路の新設や電源工事が必要になることがあります。購入前に、コンセントの有無と形状、分電盤側の回路構成を確認しておくと安心です。

200V電圧変更やアース工事の相場を解説
リビング用の広い部屋(14畳以上など)に対応した大型エアコンや、海外製の高火力なIHクッキングヒーターを使用する場合、通常の家庭用100V電源ではなく、ハイパワーな200Vの電源が必要になることがあります。
この場合、分電盤での「電圧切り替え工事(100V→200V)」と、部屋にある「コンセント形状の交換」が必要です。
電圧切り替えとコンセント交換のみであれば、3,000円〜8,000円程度で済むことが多いですが、もし200Vに対応できる配線自体が来ていない場合は、先ほどの専用回路増設費用がかかります。
また、洗濯機や温水洗浄便座などの水回り家電は、漏電時の感電リスクを下げるため、取扱説明書等でアース(接地)接続が求められることが多いです。
「アース工事も資格が必要?」と聞かれますが、実は接地端子付きコンセントが既にある場合、機器の接地線を端子にねじ止めするだけの作業は、法律上「電気工事」とは扱われないため、ご自身で行っても問題ありません。
一方で、接地線(アース線)そのものがコンセントまで来ていない場合は、新たに配線を引く工事が必要になり、これは電気工事士の資格が必要です。
費用は状況によりますが10,000円〜20,000円程度かかる場合があります。賃貸マンションでは共用部の取り合い等もあり得るため、必ず管理会社へ確認してから進めましょう。
なお、同じ「専用回路・電圧まわり」の工事でも、エアコン用コンセントを200Vへ変更するケースは費用感や注意点が少し変わります。
具体的な相場と確認ポイントは、以下の『エアコンのコンセントを200Vに変更する工事費用』も参考にしてください。
壁の中やブレーカーから配線を引く工事価格
コンセントを新設する方法には、大きく分けて2つのパターンがあります。一つは既存のコンセントから電気を分ける「分岐増設」、もう一つは先ほどお話しした「専用回路増設」です。
近くにあるコンセントの裏から配線を分岐させて、すぐ隣や裏側の壁に増設する場合、費用は比較的安く、8,000円〜15,000円程度が相場です。
この方法は電気容量が増えるわけではありませんが、「ここに差込口が欲しい」「充電ステーションを作りたい」という利便性を高めるには最適で、コストパフォーマンスも良いです。
一方、ブレーカー(分電盤)から配線を引く場合、配線を壁の中に隠す「隠蔽配線」にすると、手間がかかるため費用が上がります。
賃貸では壁を壊して配線を通すことが難しいため、露出配線(モール施工)になることが一般的ですが、それでも距離が長ければ部材費と作業費で3万円近くになることもあります。
見た目の美しさをとるか、コストと許可の取りやすさをとるか、業者と相談して決めましょう。
【コンセント増設工事の費用目安表】
| 工事内容 | 費用相場(目安) | 特徴・注意点 |
|---|---|---|
| 既存コンセントからの分岐増設 | 8,000円〜15,000円 | 近くの電源から延長。電気容量は増えないので注意。 |
| 専用回路の増設(露出配線) | 15,000円〜25,000円 | ブレーカーから直接配線。エアコンやキッチン家電に必須。 |
| 専用回路の増設(隠蔽配線) | 20,000円〜40,000円 | 壁の中に配線を隠す。賃貸では許可が下りにくい場合も。 |
| 電圧切替(100V⇔200V) | 3,000円〜8,000円 | 分電盤の切替と差込口の交換。配線工事がない場合。 |
テレビや洗面所・トイレ・ベランダの工事費用
一口にコンセント増設と言っても、リビングのテレビ裏と、水気のある洗面所や屋外のベランダでは、求められる機能や工事の内容が全く異なります。
場所ごとに適した部材選びや、特有の注意点がありますので、それぞれの特徴と費用感を詳しく解説していきますね。

テレビ・PC周り:マルチメディアコンセントの増設
リビングのテレビ周りや書斎スペースは、テレビ本体に加え、レコーダー、ゲーム機、Wi-Fiルーターなど、最も電源不足になりやすい場所です。
最近では、テレワーク環境を整えるために「電源と一緒にLANポート(インターネット配線)も壁に作りたい」というご相談が急増しています。
こうした要望に応えるのが、電源コンセント、テレビ端子、LANポートが一体となった「マルチメディアコンセント」です。これらを一箇所にまとめることで、壁から伸びる配線がスッキリし、掃除もしやすくなります。
ただし、LANケーブルを壁の中に通す工事は、壁内にあらかじめ「空配管(CD管)」というパイプが通っているかどうかで難易度と費用が大きく変わります。
配管があればスムーズに通せますが、ない場合は露出配線になったり、天井裏からの配線が必要になったりします。
そのため、費用相場は15,000円〜25,000円程度と幅がありますが、通信環境も同時に整えたい方には非常に満足度の高い工事です。
洗面所・トイレ:漏電対策とアース工事
洗面所やトイレは、湿気が多く水ハネのリスクがあるため、通常の居室とは異なる安全対策が必須です。
特にドライヤー、電動歯ブラシ、温水洗浄便座(ウォシュレット)などは消費電力が意外と高いものが多く、専用回路が必要になるケースもあります。
また、これらの場所では感電防止のために「アースターミナル付きコンセント」の設置が基本となります。
もし既存の配線にアース線(緑色の線)が含まれていない場合、分電盤からアース線を新たに引いてくる追加工事が発生するため、費用が少し高くなる傾向があります。
トイレにコンセントが全くない古い物件の場合、近くの廊下や洗面所から露出配線で引き込む方法が一般的ですが、照明器具から電源を分岐できるケースもあります。
状況によりますが、費用の目安としては12,000円〜20,000円程度を見ておくと良いでしょう。
ベランダ・屋外:防水処理と壁の貫通
最近のアウトドアブームや防犯意識の高まりで、「ベランダで高圧洗浄機を使いたい」「防犯カメラを設置したい」「EV(電気自動車)の充電がしたい」といった屋外電源のニーズが増えています。
屋外への設置には、雨風に耐えられる「防水コンセント(防雨型コンセント)」を使用します。
コンセントの差し込み口を下向きにして蓋をつけることで、水の侵入を防ぐ構造になっています。重要なのは、室内から屋外へ配線を出すためのルート確保です。
最も確実なのは壁に穴を開けて配線を通す方法ですが、賃貸物件では壁の貫通は大家さんの許可が下りにくいハードルの高い工事です。
その場合、エアコンのダクト穴(配管穴)の隙間を利用して配線を屋外に出すというプロのテクニックを使うこともあります。
壁を貫通させる場合は、雨水が壁内部に浸入して建物を腐らせないよう、徹底した防水処理(コーキング)が不可欠です。
この防水処理の質が建物の寿命に関わるため、DIYは絶対に避けてください。費用は防水部材費を含めて16,000円〜が目安となります。
【場所別】コンセント増設工事の費用と特徴まとめ
| 設置場所 | 費用目安 | 工事の特徴・必須項目 |
|---|---|---|
| テレビ・PC周り | 15,000円〜25,000円 | LAN配線やTV端子とのセット工事(マルチメディア化)。配管の有無で費用変動あり。 |
| 洗面所・トイレ | 12,000円〜20,000円 | アース接続が必須。水気対策のため漏電遮断器付きタップを推奨する場合も。 |
| ベランダ・屋外 | 16,000円〜30,000円 | 防水コンセント必須。壁貫通部分の防水コーキング処理が最重要。 |
賃貸でのベランダ電源の裏技
壁に穴を開けられない場合、サッシ(窓枠)の隙間を通せる極薄の「フラットケーブル(すき間ケーブル)」を使って、室内コンセントからベランダへ電源を引く方法もあります。これなら工事不要で、窓も施錠可能です。
すき間ケーブルを使う時の重要ポイント
便利なアイテムですが、薄く作られている分、「定格(流せる電気の量)」が低めに設定されている製品が多いんです。
例えば、スマホの充電や照明程度なら問題ありませんが、高圧洗浄機や電気ヒーターのようなパワーの強い家電を繋ぐと、熱を持って被覆が溶けたり、最悪の場合は発火したりする恐れがあります。
購入時はパッケージや説明書の「定格○A」「合計○○Wまで(例:7A・700Wなど)」という数字を必ずチェックして、使いたい家電のパワーがその範囲内に収まっているか確認してくださいね。

賃貸でのコンセント増設は慎重に進めよう
ここまで、賃貸物件におけるコンセント増設の許可取りから費用相場、工事の種類まで詳しく解説してきました。読み進めていただく中で、「意外とクリアすべき課題が多いな」と感じられたかもしれません。
確かに、持ち家と違って大家さんや管理会社との調整が必要になる分、少し慎重に進める必要があります。
しかし、だからといって「賃貸だから仕方ない」と諦めて、不便な生活や危険なタコ足配線を我慢し続けるのは、決して正解ではありません。
最後に、トラブルを避けつつ理想の電気環境を手に入れるための心構えと、私たちがどのようにお力になれるかをお話しして締めくくりたいと思います。
プロの知見を「交渉の材料」に使うのが成功の鍵
大家さんへの交渉がうまくいかない最大の原因は、具体的な工事内容が伝わっていないことにあります。「壁に穴を開けたい」とだけ伝えてしまうと、大家さんは「壁がボロボロになるのではないか」と過剰に警戒してしまいます。
そこで重要になるのが、交渉の前に一度、私たちのような専門業者に相談していただくことです。
「露出配線なら壁への穴あけはビス数本で済みます」「退去時はこのように復旧可能です」…
といったプロの具体的な提案や、もし可能であれば簡単な図面や見積書を用意することで、大家さんも「それなら建物の価値を損なわないな」と安心して許可を出しやすくなるんですね。
いきなり管理会社に電話をするのではなく、まずは電気工事士を味方につけて、説得力のある材料を揃えてから交渉に臨む。これが賃貸での増設工事を成功させる一番の近道かなと思います。
事前相談のメリット
業者が作成した「工事計画」や「仕様書」があれば、大家さんも工事のリスクを正しく判断できます。口頭だけで説明するよりも、許可が得られる確率はグッと上がりますよ。

「我慢」のリスクと「投資」のバランスを考える
コンセントの増設には数万円の費用がかかります。「賃貸の部屋に自腹で工事をするのはもったいない」と考える方もいらっしゃるでしょう。そのお気持ちもよく分かります。
ですが、毎日延長コードに足を引っ掛けないよう気を使いながら歩いたり、キッチンでブレーカーが落ちるたびに作業を中断したりするストレスは、積み重なると意外と大きな負担になります。
何より、無理な配線による発火リスクを抱えたまま生活するのは、精神衛生上も良くありませんし、万が一の事故が起きた時の損失は工事費の比ではありません。
数万円の工事費で、これからの毎日の快適さと安心が手に入ると考えれば、それは決して無駄な出費ではないと私は思います。特に長く住む予定であればあるほど、そのメリットは大きくなるはずです。

横浜・川崎・東京都南部エリアで業者をお探しの方へ
まずは現地調査で可能性を探ってみませんか?
横浜電気工事レスキューでは、これまでに数多くの賃貸物件での施工実績がございます。
「管理会社にどう説明すればいいか分からない」「原状回復のことで揉めたくない」といったご不安に対しても、過去の事例をもとに、大家さんへの説明の仕方や書類の書き方まで親身にアドバイスさせていただきます。
もちろん、現地を見た結果、どうしても工事が難しいという場合でも、無理に工事を勧めることはありません。
その場合は、ポータブル電源の活用や安全なタップの配置など、工事なしでできる最善の代替案をご提案します。
コンセント一つで、暮らしの快適さは劇的に変わります。
お一人で悩まず、まずはお気軽に私たちにご相談ください。お客様の暮らしがより安全で便利になるよう、精一杯サポートさせていただきます。



