雷で漏電ブレーカーが落ちる!原因・対処・予防策の全て

雷で漏電ブレーカーが落ちる!原因・対処・予防策の全て

ゴロゴロという遠雷が、次の瞬間には家中の電気を奪う突然の停電に変わり、雷で漏電ブレーカーが落ちるという事態に強い不安を感じていませんか?

「ブレーカーはすぐにあげるべきなのか、それとも安全のために落とした方がいいのか?」「なぜか何度も落ちるけれど、原因が特定できない…」といった緊急時の疑問。

さらには、「うちのようなオール電化住宅で特に落ちる原因はあるのだろうか?」という特定の住環境に関する悩みまで、多くの方が抱える問題は実に様々です。

また、漏電遮断器雷サージの違いを正確に理解しないままでは、テレビやPCといった高価な家電の故障リスクも高まります。

万が一の際には、業者修理を依頼すべきか、賃貸マンションでは誰に連絡すれば良いのか、その判断に迷うこともあるでしょう。

この記事では、安全な復旧方法はもちろんのこと、将来の被害を未然に防ぐためのアース接続や避雷器を用いた効果的な予防策まで、雷が引き起こすブレーカーの問題を、より深く、そして総合的に解説していきます。

記事のポイント

  • 雷でブレーカーが落ちる科学的なメカニズム
  • 安全を最優先した正しいブレーカーの復旧手順
  • 家電を雷の被害から守るための効果的な対策
  • 賃貸やオール電化など状況別の具体的な注意点
目次

雷で漏電ブレーカーが落ちる原因と事前対策

  • 落雷がブレーカーの作動を引き起こす仕組み
  • 漏電遮断器と雷サージで作動する違い
  • オール電化住宅でブレーカーが落ちる原因
  • 雷接近時ブレーカーは落とした方がいいのか
  • アースや避雷器で行う効果的な予防策

落雷がブレーカーの作動を引き起こす仕組み

雷によって家庭のブレーカーが作動する、その背景にある科学的なメカニズムを理解することは、適切な対策を講じる上での第一歩です。

一般的に雷被害というと、建物への直接的な落雷をイメージしがちですが、家庭における電気トラブルの大部分は、より広範囲に影響を及ぼす現象によって引き起こされます。

被害の主犯は「誘導雷」と「雷サージ」

家庭で発生するブレーカー作動や家電故障の多くは「誘導雷」が原因であると言われています。

これは、建物自体に雷が落ちる「直撃雷」とは異なり、自宅から数100m、時には数km離れた場所への落雷によって引き起こされる間接的な被害です。

落雷が発生すると、その周辺の空間には強力な電磁界が瞬間的に形成されます。

この目に見えない電磁界が、近くにある電線、電話線、テレビのアンテナ線、光回線のケーブルといったあらゆる導体に作用し、それらの線に異常な高電圧・大電流を発生させます。

この、いわば電気の津波のような現象が「雷サージ(らいサージ)」です。

雷サージ(過電圧・過電流の突発的な現象)は、電源線や通信線から家庭内へ侵入することが知られています。

家庭用の電圧が通常100Vまたは200Vであるのに対し、雷サージは数千Vから数万Vにも達することがあり、そのエネルギーは電子機器を破壊するのに十分すぎるほど強力なのです。

雷サージの多様な侵入経路

雷サージは、単一の経路から侵入するわけではありません。家庭につながるあらゆる導線が、雷サージの侵入口となり得ます。

  • 電力線(電柱から引き込まれる線)
  • 電話線・ADSL回線
  • 光回線・CATV(ケーブルテレビ)の同軸ケーブル
  • テレビアンテナ線
  • アース線

特に、パソコン(電源+LANケーブル)やテレビ(電源+アンテナ線)のように、複数の異なる経路に接続されている機器は、両端からサージが侵入することで内部回路に致命的なダメージを受けやすくなります。

落雷がブレーカーの作動を引き起こす仕組み
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漏電遮断器と雷サージで作動する違い

雷が原因でブレーカーが落ちる際、特に主役となるのが分電盤の中央に位置する「漏電ブレーカー(漏電遮断器)」です。

この安全装置が作動するには、複数の異なるシナリオが考えられ、その背景を理解することが極めて重要です。

「漏電ブレーカーが落ちた」という事実は一つでも、その裏には「本当に危険な状態」と「安全装置の過剰防衛」という全く異なる可能性があります。冷静な見極めが肝心です。

漏電ブレーカーが雷サージによって作動する主な理由は、以下の3つのケースに詳細に分けられます。

Case 1: 実際の漏電が発生している【最も危険】

これは、雷サージが引き起こす最も深刻な事態です。

強力な雷サージが、コンセントに接続されたパソコンの電源ユニット、エアコンの室外機の制御基板、給湯器の電子回路といった家電製品の心臓部を物理的に破壊します。

絶縁されているべき部品が破損することで、電気が本来流れるべき回路から筐体(金属の外装)やアース線へと漏れ出す「漏電」状態が発生します。

漏電ブレーカーは、この微細な電流の漏れ(通常30mA程度)を正確に検知し、感電事故や漏電火災といった二次災害を防ぐために回路を遮断するのです。

これは、漏電ブレーカーがその役割を正常に果たした証拠と言えます。

Case 2: 電気的ノイズによる誤作動

雷サージは、高電圧であると同時に、非常に高い周波数成分を持つ強力な電気的ノイズの塊でもあります。

漏電ブレーカーの内部には、漏電を検知するための精密な電子回路が組み込まれていますが、この回路が雷サージによる強烈なノイズを、実際の漏電と「誤認」してしまうことがあります。

これにより、実際にはどこも漏電していないにもかかわらず、予防的にブレーカーが作動するのです。

近年の漏電ブレーカーは、JIS規格において「衝撃波不動作形」として、雷サージ(7 kV以上のサージ)に対する誤作動防止設計が求められています。

ただし、これはあくまで一定基準に基づく設計であり、規格を超えるような非常に強いサージや経年劣化した機器では誤動作の可能性が依然として残ります。(参考:雷による漏電遮断器の動作と対策|テンパール工業

Case 3: 雷サージによる過電流の検知

多くの漏電ブレーカーは、主目的である漏電検知機能に加え、ショート(短絡)時に流れるような異常な大電流(過電流)を検知して回路を遮断する機能も内蔵しています。

雷サージによって過電圧・過電流が流れると、漏電ブレーカーまたは過電流機能付き遮断器が動作し、電気を遮断する場合があります。

この場合、直接的な漏電や機器の破損が発生する前に、予防的に回路が遮断された形となります。

作動理由背景にある現象危険度と対処の方向性
実際の漏電雷サージで機器が物理的に破損し、電気が漏れている。:火災・感電リスクあり。原因特定と専門家による修理が必須。
誤作動雷のノイズに電子回路が過敏に反応した。漏電はしていない。:危険性は低いが、復旧は慎重な手順で行うべき。古いブレーカーは交換も検討。
過電流検知異常なサージ電流の通過を検知し、予防的に遮断した。:機器は無事かもしれないが、サージの影響は受けている。雷対策の見直しが必要。

このように、復旧作業は常に最悪のケース、すなわち「Case 1: 実際の漏電が発生している」可能性を念頭に置いて、後述する安全な手順に従って進めることが、何よりも重要です。

漏電遮断器と雷サージで作動する違い
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オール電化住宅でブレーカーが落ちる原因

ガスを一切使わず、家庭内のエネルギーを全て電気でまかなうオール電化住宅は、その特性上、雷に対して特に注意が必要な側面を持っています。

一般的な住宅に比べて多くの高機能な電気設備を備えているため、雷サージの影響を受けるリスクポイントも多くなります。

特に注意が必要なのは、「エコキュート(自然冷媒ヒートポンプ給湯機)」「IHクッキングヒーター」、そして「太陽光発電システム」です。

エコキュートは、室外に設置されるヒートポンプユニットと屋内に設置される貯湯タンクユニットから構成されます。

室外機は常に屋外の風雨に晒され、電源ケーブルや制御線が直接接続されているため、雷サージが直接侵入しやすい脆弱なポイントとなります。

実際に、雷の後に「リモコンにエラー表示が出てお湯が出ない」といった故障は非常に多い事例です。

また、安全のために必須のアース線が、雷サージのエネルギーを地面に逃がす際の経路となり、その過程で漏電ブレーカーが作動する引き金にもなります。

IHクッキングヒーター太陽光発電システムのパワーコンディショナ(パワコン)も同様に、内部に高度で繊細な電子制御基板を多数搭載しています。

これらの基板は雷サージのような異常電圧に極めて弱く、一度のサージで致命的なダメージを受けることがあります。

これらの機器は200Vの強力な電力を使用しており、基板交換などの修理費用も数十万円に及ぶケースも珍しくありません。

オール電化住宅の雷対策の重要性

オール電化住宅は、生活の根幹を支える重要設備が雷サージの脅威に晒されやすい構造を持っています。

快適な生活を維持するためにも、後述するSPD(避雷器)の設置など、より積極的な雷対策を検討することが強く推奨されます。

オール電化住宅でブレーカーが落ちる原因
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雷接近時ブレーカーは落とした方がいいのか

「雷が近づいてきたら、被害を最小限に抑えるために、あらかじめブレーカーを落としておくべきか?」これは非常によくある疑問ですが、その答えは「状況による」というのが正確です。

ただし、雷鳴が聞こえる状況では絶対に分電盤に近づかず、雷が完全に遠ざかってから作業を行ってください。ねません。

最優先事項:身の安全の確保

雷鳴がはっきりと聞こえ、稲光が見えるような状況、すなわち雷が近くに迫っている最中には、感電の危険があるため分電盤やコンセント、家電製品には絶対に触らないでください。

これは鉄則です。新たな雷サージがいつ襲ってくるか予測できず、分電盤の操作中に感電する最悪のケースも考えられます。まずは建物の中心部など、壁や窓から離れた安全な場所で待機することが最優先です。

一方で、予防的な措置として、まだ雷が遠い段階で、あるいは雷注意報が出ている状況で外出する前などに行動することは、被害を軽減する上で有効な手段となり得ます。

有効な予防的措置とは

最も効果的なのは、ブレーカー操作とプラグを抜く行為の組み合わせです。

重要機器のプラグを抜く
パソコン、テレビ、オーディオ機器、ルーターなど、高価で繊細な電子機器の電源プラグをコンセントから抜きます。
この時、電源ケーブルだけでなく、LANケーブルやアンテナケーブル、電話線など、外部と繋がる全てのケーブルを抜くことが重要です。
安全ブレーカーを個別に切る
上記でプラグを抜いた機器が接続されている回路の「安全ブレーカー(小さいスイッチ)」だけを個別に「切」にします。
どのブレーカーがどの部屋に対応しているか、普段から分電盤にシールなどで明記しておくと、いざという時に慌てずに行動できます。

この方法であれば、冷蔵庫や常時稼働が必要な機器への電力供給を維持しつつ、特に守りたい機器へのリスクを限定的に遮断できます。

しかし、これもあくまで雷が遠い段階での「備え」であり、雷が迫ってからの行動ではないことを強く認識しておく必要があります。

一番大切なのは、身の安全です。ブレーカー操作は、あくまで安全が確保された状況下での「予防策」の一つと考えてください。

接近時ブレーカーは落とした方がいいのか
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アースや避雷器で行う効果的な予防策

落雷のたびに家電の心配をしたり、慌ててプラグを抜いて回ったりするのは現実的ではありません。大切な資産と平穏な生活を守るためには、恒久的な雷対策設備を導入することが、最も確実で賢明な選択です。

現代の雷対策の基本思想は、一つの対策に頼るのではなく、複数の防御壁を組み合わせる「多層防御(Defense in Depth)」です。これは、城の防御に例えることができます。

雷対策の「多層防御」戦略

  • 第一の壁(外堀):家庭用SPD(避雷器) → 家の入口で強力な雷サージを食い止める
  • 第二の壁(内壁):雷ガード付き電源タップ → 各部屋で、第一の壁を乗り越えてきた弱いサージを迎え撃つ

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第一の壁:家庭用SPD(避雷器)の設置

SPD(Surge Protective Device)は、分電盤の主幹(大元)に設置する、いわば「雷対策の門番」です。

外部から侵入しようとする強力な雷サージを検知すると、非常に短い時間でその膨大なエネルギーを安全なアース(地面)へと迂回させます。

これにより、家全体のコンセントや配線に到達する前に、雷サージの威力を大幅に減衰させることができるのです。

SPDには性能に応じてクラスが分かれており、一般家庭の分電盤に設置するのは、主に誘導雷に対応する「クラスⅡ」の製品です。

設置には電気工事士の資格が必須のため、専門の電気工事店への依頼が必要となります。費用は機器本体と工事費を合わせて数万円からとなります。

一度の雷害で失われる可能性のある多数の家電(テレビ、PC、冷蔵庫、エアコン、給湯器など)の合計金額を考えれば、非常に合理的な投資と言えるでしょう。

第二の壁:雷ガード付き電源タップの賢い選び方

SPDという強力な第一の壁を設置した上で、パソコンやテレビ、オーディオ機器といった特に重要で繊細な機器を守るための最後の砦が、雷ガード機能付きの電源タップです。

選ぶ際には、以下のスペックに注目してください。

最大サージ電圧(V)
どれだけ大きな電圧のサージに耐えられるかを示す数値。この数値が大きいほど高性能です(例
4,000Vより12,500Vの方が安心)。
保護ポートの種類
電源コンセントだけでなく、LANポート、電話線ポート、テレビアンテナ(同軸)ポートも保護できる複合タイプが理想的です。雷サージはあらゆる線から侵入するため、電源だけを保護しても意味がない場合があります。
作動表示ランプ
保護機能が正常に機能しているかを示すランプは必須機能です。一度大きなサージを受けると、タップは身代わりとなって保護機能を失います。その際、このランプが消灯するため、交換時期が一目でわかります。

基本の安全対策:アース線の接続

洗濯機や電子レンジ、エアコン、PCのデスクトップなどに付いている緑色のアース線は、漏電時の感電防止だけでなく、雷サージのエネルギーを地面へ逃がす重要な役割も担っています。

アース端子のあるコンセントでは、必ずこのアース線を接続しておくことが、基本的な安全対策として非常に重要です。

アースや避雷器で行う効果的な予防策
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雷で漏電ブレーカーが落ちる時の復旧と事後対応

  • 停電からの正しい復旧手順
  • ブレーカーはすぐにあげるべきか
  • 何度も落ちる場合に確認すべき点
  • 家電の故障が疑われる際の業者への修理相談
  • 賃貸マンションで取るべき対応とは

停電からの正しい復旧手順

雷によってブレーカーが落ち、突然家中が真っ暗になった時、最も重要なのは慌てず、安全を最優先し、正しい手順で行動することです。

これから紹介する手順は、単に電気を復旧させるための作業ではありません。それは、一般の方が安全に家の中のどこで電気的な問題が起きているのかを特定するための「診断プロセス」でもあります。

停電すると焦ってしまいますが、この手順通りに進めれば大丈夫です。一つずつ、ゆっくりと確認していきましょう!

安全なブレーカー復旧・診断フロー

  1. 【初期化】まず、全ての安全ブレーカー(小さいスイッチ)を「切」にする。
  2. 【主幹投入】次に、漏電ブレーカー(中央のスイッチ)を「入」にする。
  3. 【個別チェック】安全ブレーカーを一つずつ、間隔をあけて「入」にしていく。
  4. 【原因特定】特定の安全ブレーカーを「入」にした瞬間に漏電ブレーカーが落ちたら、その回路が問題箇所
  5. 【部分復旧】問題の回路の安全ブレーカーは「切」のまま、他の安全な回路だけを復旧させる。

Step 1: 全ての安全ブレーカーを「切」にする【初期化】

まず、分電盤の蓋を開けます。内部の右側に複数並んでいる小さなスイッチ(安全ブレーカー)を見つけ、その全てを「切(OFF)」の位置に確実に下げてください。

これは、意図しない回路への突然の通電を防ぎ、診断プロセスを安全に開始するための重要な初期化作業です。

Step 2: 漏電ブレーカーを「入」にする【主幹投入】

次に、分電盤の中央あたりにある、一回り大きい漏電ブレーカーのスイッチを「入(ON)」の位置に上げます。

もし、分電盤の一番左に電力会社との契約用のさらに大きなアンペアブレーカー(サービスブレーカー)がある場合は、それも「入」になっていることを確認してください。

Information

※スマートメーターが導入されている家庭では、このアンペアブレーカーは存在しない場合があります。

漏電ブレーカーのスイッチ操作のコツ

漏電ブレーカーの中には、作動(トリップ)するとスイッチが「切」まで完全に下りず、中間位置で止まるタイプがあります。

この場合、一度スイッチを指で完全に「切」の位置まで押し下げてから、改めて「入」に上げる必要があります。この「一度下げる」操作を行わないと、スイッチが入らないことがあるので覚えておきましょう。

Step 3: 安全ブレーカーを一つずつ「入」にしていく【個別チェック】

漏電ブレーカーが「入」の状態を維持できることを確認したら、Step 1で「切」にした安全ブレーカーを、一つずつ、5秒ほど間隔をあけながらゆっくりと「入」にしていきます。

「台所」「居間」「エアコン1」といったように、どの回路に電気を流しているか意識しながら操作するのがポイントです。

Step 4: 問題のある回路を特定する【原因特定】

安全ブレーカーを一つずつ入れていく過程で、ある特定の安全ブレーカーを「入」にした瞬間に、再び漏電ブレーカーが「バチン!」と音を立てて落ちた場合があります。

この場合、その安全ブレーカーが担当している回路で漏電やショートが発生しているとほぼ断定できます。これが、この診断プロセスの核心です。

Step 5: 部分的に電力を復旧させる【応急処置】

原因となっている回路が特定できたら、その問題回路の安全ブレーカーは「切」のまま、絶対に触らないでください。

その後、再度Step 2とStep 3の手順を繰り返し、問題のない他の全ての安全ブレーカーを「入」に戻します。

これにより、家の中の安全な回路にだけ電気を供給し、冷蔵庫や最低限の照明など、生活への影響を最小限に抑えることができます。

この応急処置が完了したら、問題が特定された回路については、後述するさらなる原因の切り分けを行うか、専門業者に点検・修理を依頼してください。

停電からの正しい復旧手順
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ブレーカーはすぐにあげるべきか

雷でブレーカーが落ちた際、最もやってはいけない行動が、原因を究明せずに、ただ闇雲に何度もブレーカーのスイッチを「入」に戻そうとすることです。

これは、燃えかけている火に油を注ぐような行為であり、非常に危険です。

ブレーカーが落ちるのは、電気系統が「ここに異常がある!」と発している明確な警告サインです。この警告を無視して無理やり電気を流し続けると、以下のような深刻な二次災害を引き起こす可能性があります。

  • 火災の発生
    漏電やショートしている箇所では、異常な発熱や火花が発生しています。そこに繰り返し電流を流すことで、壁の中の断熱材や近くのホコリなどに着火し、火災につながる恐れがあります。
  • 家電の完全な破壊
    雷サージの第一波でかろうじて生き残った、あるいは部分的に損傷しただけの電子回路に、さらに不安定な電流が繰り返し流れることで、修理不可能なレベルまで完全に破壊されてしまうことがあります。
  • 感電のリスク
    漏電しているとは知らずに、その回路に接続された家電の金属部分に触れてしまい、深刻な感電事故につながる危険性があります。

絶対NG!ブレーカーの連続投入は二次災害の元

ブレーカーが落ちた際は、「なぜ落ちたのか?」を考えることが最優先です。警告を無視して何度もブレーカーをON/OFFする行為は、被害を拡大させるだけであり、大変危険です。

必ず前述した安全な手順で、原因を特定しながら復旧作業を行ってください。

また、ブレーカーの復旧作業を始める前には、まず主要な家電製品、特にパソコンやテレビ、オーディオ機器などの繊細な機器の電源プラグをコンセントから抜いておく一手間も重要です。

これは、電力が復旧した瞬間に流れる「突入電流(ラッシュカレント)」と呼ばれる一時的な過電流によって、機器がダメージを受けるのを防ぐための、もう一つの重要な安全策です。

ブレーカーはすぐにあげるべきか
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何度も落ちる場合に確認すべき点

正しい手順で復旧を試みた結果、特定の回路で漏電ブレーカーが何度も落ちてしまう場合、次はその原因をさらに詳しく切り分けるステップに進みます。

原因は大きく分けて「家電製品側」にあるか、それとも「家屋の配線側」にあるかのどちらかです。この切り分けは、その後の対応(自分で対処できるか、専門家を呼ぶべきか)を判断する上で非常に重要になります。

1. 家電製品が原因か、家屋の配線が原因かを切り分ける

まず、復旧手順で問題が特定された回路(例:「リビング」の安全ブレーカーを入れると漏電ブレーカーが落ちる場合)に接続されている全ての家電製品の電源プラグを、一つ残らずコンセントから抜いてください。

テーブルタップや延長コードなども含め、その回路に繋がる全ての電気製品を物理的に切り離します。

その回路から家電が完全に切り離された状態で、再度、停電からの復旧手順(Step 1から)を試み、問題の安全ブレーカーを「入」にしてみてください。この時の漏電ブレーカーの反応によって、原因の所在が判明します。

【この時点で漏電ブレーカーが落ちなければ…】

原因は、先ほどプラグを抜いた家電製品のいずれかにある可能性が極めて高いです。どの製品が原因かを特定するため、一つずつコンセントに差して電源を入れ、ブレーカーが落ちるかを確認します。

原因と特定された製品は、感電や火災の危険があるため直ちに使用を中止し、メーカーへの修理依頼または買い替えを検討してください。

【全てのプラグをいてもなお漏電ブレーカーが落ちるなら…】

原因は家電製品ではなく、壁の中の配線、コンセント、スイッチといった家屋側の電気設備にあると断定できます。

この場合は個人での修理は不可能であり、危険です。直ちに専門の電気工事店に連絡してください。

2. ブレーカー自体の寿命や故障を疑う

雷とは関係なく、特に何もしていないのに漏電ブレーカーが頻繁に作動する場合や、明確な原因が見当たらない場合は、漏電ブレーカー自体の経年劣化や故障も考えられます。

一般的な分電盤および内部のブレーカーの交換推奨時期は、設置から約13年〜15年とされています。

長年使用されたブレーカーは、内部の検知回路の感度が変化し、実際には問題ないレベルの微細な電気的ノイズにも過敏に反応して誤作動を起こしやすくなることがあります。

専門家による点検を依頼すべきサイン

以下のような状況が見られる場合は、自己判断を続けずに速やかに専門家に相談することを強く推奨します。

  • 家屋側の配線に問題がある可能性が高いと判断された場合
  • 原因の特定がどうしても困難な場合
  • 分電盤本体やその周辺が変色している、焦げたような異臭がする、または「ジー」といった異音が聞こえる場合
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家電の故障が疑われる際の業者への修理相談

雷が通り過ぎた後、テレビの電源が入らない、パソコンが起動しない、給湯器のリモコンが反応しない…といった事態に直面した場合、高額な修理費用や買い替え費用を前に頭を抱えてしまうかもしれません。

しかし、その経済的負担を大幅に軽減できる可能性があることを、ぜひ知っておいてください。

その強力な味方となるのが、ご加入の火災保険に付帯している「落雷補償」です。

多くの火災保険契約では「落雷」による損害が補償対象に含まれ、誘導雷サージによる電化製品の故障も対象となる場合があります。

Information

誘導雷サージによる電化製品の故障については、保険会社や契約内容によって対応が異なるため、事前に保険約款を確認するか、保険会社に直接問い合わせることが重要です。

そして、この補償の素晴らしい点は、直撃雷による屋根の破損といった物理的な損害だけではありません。

誘導雷サージによって引き起こされた電化製品の内部的な電子回路の故障も、補償の対象となるのが一般的です。

火災保険の「建物」と「家財」の補償範囲

保険の対象は「建物」と「家財」に分かれています。どちらの契約があるかで補償されるものが異なります。

補償対象主な対象品目の例
建物エアコン、ビルトイン食洗機、給湯器(エコキュート含む)、インターホン、太陽光発電システムなど、建物に固定されていて容易に動かせない設備。
家財テレビ、パソコン、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、ゲーム機、オーディオ機器など、建物内に収容されている動産。

ご覧の通り、パソコンやテレビなどの家電の故障に対して補償を受けるためには、この「家財」の補償に加入していることが必須条件となります。

この機会にご自身の保険証券を一度確認してみることを強くお勧めします。

保険金請求をスムーズに進めるには

保険金を請求する際は、故障が「落雷」によるものであることを客観的に示すことが重要です。

修理を依頼する業者には、必ず「雷が鳴った後に故障した」旨を伝え、「雷による故障の可能性」を診断してもらいましょう。

その上で、「修理見積書」「故障診断書」にその旨を記載してもらうと、保険会社とのやり取りが非常にスムーズになります。また、被害を受けた家電の写真を撮っておくことも有効です。

「どうせ保険は使えないだろう」と諦めてしまうのは、本当にもったいないです。年間数千億円とも言われる落雷被害額の一部は、こうした保険によってカバーされています。

まずは保険会社の事故受付窓口に相談してみましょう。

電の故障が疑われる際の業者への修理相談
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賃貸マンションで取るべき対応とは

賃貸マンションやアパートといった集合住宅にお住まいの場合、雷でブレーカーが落ちた際の対応には「入居者の責任範囲」「大家・管理会社の責任範囲」があります。

この境界線を正しく理解しておくことが、トラブルを避ける上で非常に重要です。

入居者が自分でできる対策と責任範囲

入居者の責任範囲は、基本的に「専有部分」内での自己防衛が中心となります。建物の根幹に関わる電気設備を勝手に変更することはできません。

  • 雷ガードタップの活用
    ご自身の所有物であるテレビやパソコン、ゲーム機などを守るため、高品質な雷ガードタップを自衛策として導入するのが最も現実的で効果的です。
  • 緊急時の基本行動
    雷が鳴り始めたら重要な家電のプラグを抜く、ブレーカーが落ちた際に本記事で紹介した正しい復旧手順を把握・実践するといった基本的な行動を徹底します。
  • データのバックアップ
    パソコン内の大切なデータは、物理的な機器の故障とは別に、ご自身の責任で守る必要があります。日頃から外部ストレージやクラウドサービスにバックアップしておくことが賢明です。

大家・管理会社の責任範囲と連絡のタイミング

分電盤、壁の内部配線、コンセント設備、そして建物全体の避雷針といった基幹設備は、建物の所有者である大家または管理会社の管理責任範囲となります。

したがって、安全な復旧手順を試みても電力が回復しない場合や、原因の切り分けによって明らかに家屋の配線側に問題があると判断される場合があります。

このときは、自分で電気工事店などを手配する前に、必ず大家さんや管理会社に第一報を入れてください。

賃貸住宅における責任分界点と対応フロー

事象責任の所在入居者のアクション
自分のテレビやPCが故障した入居者雷ガードタップで予防。故障時は自身の家財保険を検討。
備え付けのエアコンや給湯器が故障した大家・管理会社速やかに状況を報告し、修理や交換を依頼する。
ブレーカー復旧手順で配線の異常が判明大家・管理会社自己判断で業者を呼ばず、まず大家・管理会社に連絡し指示を仰ぐ。

勝手に業者を手配して修理を行うと、その費用負担を巡ってトラブルになる可能性があります。まずは状況を正確に伝え、指示を仰ぐのが正しい手順です。

賃貸マンションで取るべき対応とは
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雷で漏電ブレーカーが落ちる問題の総まとめ

  • 家庭での雷被害の多くは、直接の落雷ではなく誘導雷が原因
  • 誘導雷は、電線などを伝って侵入する雷サージを発生させる
  • 漏電ブレーカーが落ちる理由は実際の漏電、誤作動、過電流検知の3つ
  • オール電化住宅ではエコキュートなどが雷サージの侵入経路になりやすい
  • 雷が近い時に分電盤を触るのは感電の危険があり絶対NG
  • 予防策として、雷が遠いうちに特定の安全ブレーカーを落とすのは有効
  • 最も効果的な対策はSPD(避雷器)と雷ガードタップの多層防御
  • 停電からの復旧は、安全ブレーカーを全て切り、一つずつ入れるのが鉄則
  • この手順は漏電箇所の特定診断も兼ねている
  • ブレーカーが落ちても、何度も上げ下げするのは火災の原因となり危険
  • 家電プラグを全て抜いても落ちるなら、原因は家屋の配線にある可能性が高い
  • 家電の雷による故障は、火災保険の落雷補償(家財)が適用される場合がある
  • 賃貸住宅で建物側の問題が疑われる場合は、まず大家や管理会社に連絡する
  • ブレーカーの寿命は約13年〜15年が交換の目安
  • 雷対策は、突然の出費と生活の混乱を防ぐための賢明な投資