電気がつかない!でもブレーカーは落ちてない時の原因と対処法と漏電や停電の関係

こんにちは。横浜電気工事レスキューの主任電気工事士「天谷(あまたに)富士夫」です。

仕事から帰ってきて部屋のスイッチを押しても電気がつかない。慌てて分電盤を見に行っても、なぜかブレーカーは落ちていない。「えっ、どういうこと?」と、真っ暗な中で不安になってしまいますよね。

実は最近、こうした「ブレーカーが落ちていない停電」のご相談が現場でも増えています。

これはスマートメーターの普及や、目に見えない配線のトラブルなど、従来の常識では判断できない原因が隠れていることが多いんです。

このページでは、現場で培った経験をもとに、今まさに電気がつかなくてお困りの方がすぐに試せる対処法と、意外な原因について分かりやすく解説していきます。

記事のポイント

  • スマートメーターが原因で電気が止まる「見えない遮断」の仕組み
  • 一部の部屋だけ電気がつかない時に疑うべき配線トラブルとリスク
  • ブレーカー操作では直らない場合に確認すべき漏電や家電の症状
  • 自分で復旧できない時にどこへ連絡すれば良いかの判断基準
目次

電気がつかないのにブレーカーが落ちてない原因

「停電かな?」と思って窓の外を見ても、近所の家の明かりはついている。それなのに自宅だけ電気がつかず、しかも分電盤のスイッチ(ブレーカー)は全て「ON」のまま。

これは非常に気味が悪い状況ですよね。現場で多くのお客様対応をしてきた経験から申し上げますと、このケースで考えられる原因は大きく分けて2つ。

屋外から電気が来ていない(設備トラブル)」か「家の中で見えない断線や故障が起きている」のどちらかです。まずは状況を冷静に整理して、原因を絞り込んでいきましょう。

なぜ?地域停電や電力会社の情報を確認

まず最初に疑うべきは、やはり「地域停電」です。「お隣さんの電気はついているから、うちは停電じゃないだろう」と判断される方が多いのですが、実はこれ、必ずしも正しくありません。

電線には複数の系統(電気の流れるルート)があり、「道路の向かい側はついているけど、こちら側の一画だけ停電している」というケースや、もっと言えば「同じマンション内でも系統が違えば片方だけ停電する」なんてことも珍しくないんです。

また、ご自宅への「引込線(電柱から家に伸びている電線)」にトラブルが起きている可能性もあります。

特に台風の直後や、強風の日には、この引込線が切れたり、接続部が外れかけたりすることで、ブレーカーに関係なく電気が供給されなくなることがあります。

この場合、家の中の設備は無事でも、そもそも電気が届いていないわけですから、当然電気はつきません。

チェックポイント

まずはスマホで「(お住まいの地域名) 停電情報」と検索し、電力会社の公式サイトを確認してください。

もし情報が出ていなければ、電力会社の送配電設備トラブルか、ご自宅単独のトラブルである可能性が高まります。

スマートメーターでブレーカーが落ちてない場合

最近の戸建てやマンションでは、従来のアナログ式メーターから通信機能を持ったデジタルの「スマートメーター」への交換が進んでいます。

スマートメーターは電気使用量を計測するだけでなく、契約アンペア(契約電流)をスマートメーター側で管理している場合、メーター内蔵の開閉器(アンペアブレーカー相当の機能)で遮断・復帰を行うことがあります。

この方式では、宅内の分電盤に「アンペアブレーカー(契約ブレーカー)」が設置されないケースがあり(いわゆる「アンペアブレーカーレス」または「SBレス」)、使いすぎ(契約アンペア超過)が起きると屋外のスマートメーター側で遮断されるため、分電盤のスイッチがすべて「ON」に見えても家全体が消える、という現象が起こり得ます。

スマートメーターによる遮断と、従来のブレーカーの違いについては、 『アンペアブレーカーがない!スマートメーターの仕組み解説』の記事でも詳しく仕組みを解説していますので、併せて参考にしてみてください。

また、スマートメーターではなく、家の中のメインブレーカー自体が故障して電気が消えてしまうケースもあります。

実際にブレーカー故障から分電盤交換で復旧した事例もございますので、『アンペアブレーカー故障による全体停電からの復旧事例(分電盤交換)』も参考にしてみてください。

電気が一瞬消えてすぐ復旧する原因:スマートメーターの“使いすぎ遮断”も

「電気が一瞬だけ消えて、10秒くらいですぐにまたついた」という症状は、漏電よりも先に、契約アンペア超過(使いすぎ)によるスマートメーター遮断で起こるケースがあります。

複数の家電を同時に使っていた直後なら、まずは使っている家電を減らして様子を見てください。

送配電事業者の案内でも、契約アンペア超過で遮断した場合、おおむね10秒程度で自動復帰する旨が示されています。

ただし、短時間に遮断と復帰を何度も繰り返すと、自動復帰しなくなる(停電状態のままになる)条件が設定されている場合があります。

電気を減らしても復帰しないときは、送配電事業者のトラブル診断や窓口へ連絡してください。

(参考:スマートメーター展開に伴う契約アンペア容量設定の取扱いについて|東京電力株式会社(資料PDF)

一方で、自動復帰しない/照明がチラつく/焦げ臭いなどがある場合は、漏電や接触不良など別の原因も疑う必要があります。

一番怖いのは「自動復旧しない」かつ「ブレーカーも落ちていない」という状態です。ここで疑わなければならないのが、「見えない場所での断線や接触不良」です。

ブレーカーは基本的に過電流(使いすぎ)、漏電遮断器は一定以上の漏電(地絡)で動作しますが、端子の緩みや炭化による接触不良(抵抗が増えて局所的に発熱する状態)では、動作するほど電流が増えないまま発熱だけが進むことがあり、ブレーカーが落ちないケースがあります。

また「短絡(ショート)」でも、状態によっては一気に大電流にならずに発熱が続くことがあります。

ブレーカーが落ちないから安全、とは限りません。コンセントや分電盤まわりの変色・異臭・異音・発熱がある場合は、ただちに使用を中止してください。

危険なサイン

もし、壁や天井裏から「ジジジ…」という虫の羽音のような異音が聞こえたり、焦げ臭いにおいがしたりする場合は、見えないところで配線がスパーク(火花放電)している可能性があります。

これは火災に直結する非常に危険な状態ですので、すぐにメインブレーカーを落としてください。

マンションやアパートで一部の部屋だけ消える

「リビングのテレビはついているのに、寝室の電気だけがつかない」「キッチンのコンセントだけ全滅してしまった」といった、家の中の一部だけが停電するトラブル。

これ、実はマンションやアパートなどの集合住宅で非常によくあるご相談なんです。

通常、特定のエリアで電気を使いすぎれば、分電盤の右側にズラッと並んでいる小さな「安全ブレーカー(子ブレーカー)」が「バチン!」と音を立てて落ちます。

しかし、「ブレーカーは全部上がっている(ON)のに、なぜかその部屋だけ電気が来ない」という場合、単なる使いすぎではなく、設備の故障や配線の断線が疑われます。現場でよく遭遇する3つの原因を見ていきましょう。

1. 安全ブレーカー自体の内部故障・端子の緩み

ブレーカーも機械ですので、経年劣化します。目安として、住宅用分電盤に内蔵されるブレーカ(配線用遮断器など)は、業界資料で「製造後約13年」が一つの更新目安として示されています。

もちろん設置環境や使用状況で前後しますが、13年を超えている場合は点検・更新を検討しましょう。見た目は「ON」の位置にあっても、内部の接点やバネの劣化で通電不良が起きることがあります。

(参考:住宅用分電盤用遮断器の更新推奨時期に関する調査|JEMA 一般社団法人 日本電機工業会(報告書PDF)

また、特に築年数の経った物件で多いのが「端子ネジの緩み」です。ブレーカーに電線を固定しているネジが、長年の微細な振動や温度変化による膨張・収縮で徐々に緩み、そこで接触不良(隙間ができること)を起こします。

こうなると電気が流れなくなるだけでなく、その隙間で火花が飛び、分電盤が焦げる原因にもなります。更新目安の考え方は、一般社団法人 日本配線システム工業会(JEWA)や、メーカーの解説でも確認できます。(出典:一般社団法人 日本配線システム工業会(JEWA)『Safety安全にお使いいただくために』/Panasonic『住宅分電盤に関するQ&A』)

もし設置から13年以上経過していて交換をご検討される場合は、費用の相場や注意点についてもあらかじめ確認しておくと安心です。

交換にかかる具体的な費用やポイントについては、『電気工事の基礎知識:分電盤の交換費用と注意点を徹底解説』の記事もぜひ参考にしてください。

2. コンセント裏での「送り配線」の断線

「部屋のコンセントが全部使えなくなった」という場合、意外と知られていない原因がこれです。

実は、壁の中の電気配線は、1つのブレーカーから複数のコンセントへ「数珠つなぎ(送り配線)」で電気が送られていることが多いのです。

もし、このルートの「一番大元に近いコンセント」の裏側で、電線が抜けかかっていたり、熱を持って焼き切れたりすると、そこから先に繋がっているコンセントも道連れになって全滅します。

「何もしていないのに急に使えなくなった」という時は、この「送り配線」のトラブルが非常に疑わしいです。

3. 照明スイッチの故障

「コンセントは使えるけれど、天井の照明だけがつかない」という場合は、壁のスイッチ自体が故障している可能性があります。

スイッチを押した時の感触が普段より軽かったり、逆に固くて戻らなかったりしませんか?スイッチ内部のバネが折れたり接点が劣化したりすると、ONにしても電気が照明器具まで届きません。

賃貸物件にお住まいの方へ:対応の鉄則

マンションやアパートの場合、電気設備は大家さんや管理会社の所有物であることがほとんどです。ご自身で電気工事店を手配する前に、まず「管理会社または大家さん」へ連絡してください。

勝手に修理すると、後で費用の精算トラブルになることがあります。

ただし、「焦げ臭い」「煙が出ている」といった緊急時は、消防へ連絡するか、ブレーカーを落として安全を確保することを最優先してください。

これらのトラブルは、壁の中や機器の内部で起きているため、外見からは判断がつきません。

特に「接触不良」は放置すると火災のリスクが高い危険な状態です。「おかしいな」と思ったら、無理にスイッチをカチカチせず、プロによる点検を受けてください。

雷の影響やコンセントのショート以外も確認

「落雷があった直後から電気がつかない」「コンセントから変な音がする」といった場合、原因は単純な使いすぎではありません。

自然災害や器具の破損といった物理的なトラブルが疑われます。ここでは、ブレーカーが落ちていないのに電気が使えなくなる、少し特殊で危険なケースについて解説します。

1. 雷サージによるブレーカー・家電の「見えない破壊」

雷が近くに落ちると、電線や通信線を伝って「雷サージ」と呼ばれる異常な過電圧が家の中に入り込むことがあります。雷サージは瞬間的に数千V~数万V規模になる場合があり、家電や分電盤機器の故障につながることがあります。

通常、分電盤にはある程度の保護機能がありますが、許容量を超えた電気が流れると、ブレーカー自体が故障してしまいます。

怖いのは、「スイッチのレバーはONのままなのに、内部の接点が焼き切れて電気が通らなくなる」あるいは「内部で溶けてくっついてしまい、遮断できなくなる(溶着)」という現象です。

見た目には何の変化もないため、故障に気づくのが遅れがちです。

(参考:自然災害時にまさかの製品事故!?(落雷で損傷した電気製品の注意)|NITE(製品評価技術基盤機構)

雷の後はここをチェック

雷が鳴った後に特定の部屋だけ電気がつかない、またはインターネットがつながらない等の症状があれば、ブレーカーだけでなく、コンセントに挿していたパソコンや家電製品の基板が焼損している可能性もあります。

2. ブレーカーが落ちない「不完全ショート」の恐怖

「ショート(短絡)」というと、バチン!と火花が出てブレーカーが即座に落ちるイメージがあると思います。

しかし、現場では「ショートしているのにブレーカーが落ちず、電線だけが燃えている」という非常に恐ろしい状況に遭遇することがあります。

コンセントカバーが変色している、触ると熱い、プラスチックが焦げたような酸っぱいにおいがするといった場合は、まさにこの状態である可能性が高いです。直ちに使用を中止してください。

3. 意外と多い「小動物(ネズミ)」による配線被害

築年数が経過した戸建て住宅や、飲食店が入っている建物のマンションなどで意外と多いのが、天井裏や壁内の配線をネズミにかじられる被害です。

ネズミは歯を削るために硬いものをかじる習性があり、電気配線は格好のターゲットです。配線がかじられて断線すれば、当然その先にある部屋の電気はつきません。

しかし、完全にショートせず、片側の線だけが切れた状態であれば、ブレーカーは落ちないまま停電します。

この場合も、むき出しになった銅線から発火するリスクがあるため、電気工事店による調査と配線の引き直しが必要です。

(参考:身近な動物が思わぬ火災事故を引き起こします~ペットだけでなく、ネズミやゴキブリなどにも気を付けて~ | 製品安全 | 製品評価技術基盤機構

そんなに使ってないのに電気が落ちる原因とは

「エアコンも電子レンジも使っていない。ただテレビを見ていただけなのに、突然電気が消えた」「電気代も高くないし、使いすぎなんてありえない」……そんな不思議な現象に遭遇したことはありませんか?

漏電でも使いすぎでもないのに電気が不安定になる場合、私たちプロの電気工事士が真っ先に警戒し、最も恐れるトラブルがあります。

それが「中性線欠相(ちゅうせいせんけっそう)」です。これは単なる停電ではなく、家電製品を一瞬で全滅させ、火災を引き起こす非常に危険な現象です。

1. 命綱である「真ん中の線」が切れる恐怖

少し専門的な話になりますが、日本の一般家庭の多くは「単相3線式」という方式で電気が送られています。

これは、電圧のかかった2本の線(L1相・L2相)と、電圧のかからない中性線(N相・地面にアースされている線)の合計3本ワンセットで引き込まれています。

通常、家の中の100Vコンセントは、電圧側の線と真ん中の中性線をつないで作られています。この「真ん中の線(中性線)」が、アンカーのような役割を果たし、どちらのコンセントにも均等に100Vずつ電気が流れるようにバランスを保っているのです。

ところが、分電盤のネジの緩みや引込線の劣化によって、この「真ん中の線(中性線)」だけが切れてしまうことがあります。これが中性線欠相です。

中性線欠相により異常な過電圧が発生し、テレビから煙が出ているイラスト。ブレーカーが落ちない危険性を指摘。

こうなると、電圧のバランスを保つアンカーが失われ、電気は抵抗値のバランスによってシーソーのように傾きます。

(参考:電気を安全にご利用いただくために(漏電・感電を防ぐには)|関西電力

2. コンセントに100V以上の電気が流れ込む

中性線欠相が起きると、回路の負荷バランスが崩れ、片側は電圧不足になる一方で、もう片側の100V回路に本来の100Vを大きく超える過電圧(場合によっては150V~200V近く)がかかり、家電製品を損傷するおそれがあります。

過電圧の大きさは、つながっている負荷(家電)の組み合わせで変わるため、数値を一律に決め打ちできません。

(参考:“古い”単相3線式配線の中性線欠相に注意(国民生活センター発表資料から)|日本電気協会分電盤のトラブルで家電が一度に故障する相談について|国民生活センター

こんな症状があったら即座にブレーカーを切ってください!

中性線欠相が疑われる危険なサインです。

  • 部屋の照明が、普段より異常に明るくなったり、暗くなったりと不安定になる。
  • テレビや冷蔵庫などの家電から「ボンッ」という破裂音や、焦げ臭いにおいがした。
  • 特定の部屋だけ電気がつかず、別の部屋はつく(または異常に明るい)。
  • 換気扇の回転が極端に速くなったり遅くなったりする。

3. ブレーカーが落ちない理由と対処法

恐ろしいことに、古い分電盤や、中性線欠相保護機能が付いていないブレーカーの場合、この異常事態が起きてもブレーカーは落ちません。

過電流(使いすぎ)ではないため、ブレーカーが「異常なし」と判断してしまうのです。その間にも、過電圧が流れた家電製品の基板は焼け焦げ、火災のリスクが高まり続けます。

もし上記のサインに心当たりがある場合は、ブレーカーを上げて復旧させようとは絶対にしないでください。再通電した瞬間に、生き残っていた家電まで被害を与えてしまう可能性があります。

ただちにメインブレーカーを落とし、電気工事店または電力会社へ「電圧がおかしい」「中性線欠相かもしれない」と伝えてください。これは一刻を争う緊急事態です。

電気がつかないのにブレーカーは落ちてない時の対処法

ここまで原因について解説してきましたが、やはり真っ暗な状態は不安ですよね。ここからは、ご自身でできる確認と復旧作業の具体的な手順をご紹介します。

ただし、電気は目に見えないため、感電のリスクがあります。少しでも「怖いな」と思ったら無理は禁物です。安全を最優先に行動してください。

自分でできる直し方とON・OFFの復旧操作

ブレーカーが落ちていないように見えても、実は「トリップ(中途半端な位置で止まっている)」状態になっていることがあります。

これはブレーカーの安全機能の一つで、過電流などで遮断した際、わざと中間の位置で止まることで「何かが起きて切れたんだよ」と知らせる仕組みです。

一見ONの位置にあるように見えても、内部では回路が切れている状態です。

中途半端な位置で止まったまま戻らない場合や、トリップの原因については、『ブレーカーが中立で戻らない?原因と正しい復旧方法』の記事でも詳しく解説しています。

正しいブレーカーのリセット手順

ブレーカーを単に上げるだけでは復旧しません。以下の手順で行ってください。

  • 分電盤の全てのスイッチ(安全ブレーカーも含む)を一度、手で「OFF(下)」に下げます。
  • 「カチッ」という手応えがあるまで、しっかりと下に押し下げてリセットさせます。
  • その後、メインのブレーカーから順に、再度「ON(上)」に上げていきます。

この操作を行うことで、内部の遮断機構がリセット(ラッチがかかる状態)され、電気が復旧することがあります。スマートメーターの場合も、一度家の中のメインブレーカーを切ってから入れ直すことで、メーター側のロック機能が解除されることがあります。

ブレーカーの詳しい操作方法や仕組みについては、『ブレーカーやヒューズが切れる原因は?違いと対処法を徹底解説』の記事も参考にしてください。

もし、この手順を試しても「すぐに落ちてしまう」「レバーが上がりきらない」という場合は、漏電などのトラブルが起きている可能性があります。

実際にブレーカーが上がらずお困りだったお客様の解決事例『ブレーカーが上がらない原因は漏電かも?分電盤交換で復旧した施工事例』も、あわせてご覧ください。

ブレーカーを上げてもつかない時に漏電しているか確認する方法

ブレーカーを上げ直しても電気がつかない、あるいは上げた瞬間にまた落ちてしまう場合、家の中のどこかで漏電している可能性が高いです。

しかし、ブレーカーが落ちていない状態での停電の場合、一般の方がテスター(測定器)なしで漏電箇所を特定するのは非常に困難です。

簡易的な確認方法として、「全てのコンセントから家電のプラグを抜いてみる」という方法があります。

もし特定の家電(例えば冷蔵庫や古い洗濯機、屋外の給湯器など)をコンセントに挿した瞬間に照明がチラついたり消えたりするなら、その家電製品自体が漏電していることが原因です。

この場合、その家電の使用を中止すれば電気は復旧します。

プロの視点

漏電は雨の日や湿気の多い日に起きやすい傾向があります。屋外コンセントに水が入っていないかなどもチェックしてみてください。

漏電箇所を特定し、古い分電盤を新しくすることで安全を取り戻した実際の施工事例については、『漏電調査と分電盤交換で電気トラブルを解決した施工事例』で詳しくご紹介しています。どのような流れで復旧するのか、イメージをつかむ参考にしてください。

給湯器やエアコン等の家電が使えない場合の相談

「部屋の照明やテレビはいつも通りついているのに、なぜかお風呂のお湯が出ない(エコキュートが動かない)」「リビングの大型エアコンだけがうんともすんとも言わない」……。

生活に直結する機器が使えないと本当に焦りますよね。特に冬場に給湯器や暖房が止まるのは死活問題です。しかし、このケース、機器の故障ではなく「電気の供給トラブル」である可能性が非常に高いのです。

修理依頼先を間違えると、無駄な出張費を支払うことにもなりかねません。プロの視点で、確認すべきポイントと正しい対処順序を解説します。

1. 「専用ブレーカー」が落ちている・切れている

消費電力の大きい給湯器(エコキュート・電気温水器)やIHクッキングヒーター、大型エアコンなどは、分電盤の中にある通常のブレーカーとは別に、機器のすぐ近くや屋外に「専用のブレーカー」や「手元開閉器」が設置されていることがあります。

特にエコキュートの場合、貯湯タンクのカバー内部や、ヒートポンプユニットの脇に小さなブレーカーボックスが付いていることが多いです。

何らかの拍子(一時的な過負荷や落雷など)で、この手元のスイッチだけが落ちてしまっているケースが意外とあります。

ここを探してみてください

給湯器の側面や、配管カバーの中を覗いてみてください。「漏電遮断器」や「配線用遮断器」と書かれた小さなスイッチがあれば、それが「切」になっていないか確認しましょう。

2. 家電が「身を守るため」に停止している(電圧異常)

最近の家電製品、特に省エネ性能の高いエアコンや給湯器には、高性能なコンピューター(マイコン)が搭載されています。これらは非常に繊細で、供給される電気の「質」を常に監視しています。

もし、家の配線トラブル(中性線欠相や端子の緩み)によって、本来100Vや200Vあるはずの電圧が、80Vや180Vといった「異常な電圧」になっていた場合、機器はどうするでしょうか?

答えは、「故障する前に、自分自身で運転を強制停止」します。

この時、機器によってはリモコンや本体表示部に電源異常・電圧異常・通信異常などのエラーが表示されることがあります。

表示されるコードや文言はメーカー・機種で異なりますが、「機械が壊れた」と決めつける前に、供給されている電気(電圧・200Vの有無)が正常かも疑ってみてください。

3. 「200Vだけ」が来ていない現象

日本の家庭用電気は「単相3線式」という仕組みで、3本の電線を使って「100V」と「200V」の両方を作っています。

このうちの特定の線が断線したり接触不良を起こしたりすると、「100Vの照明はつくけれど、200VのエアコンやIH、給湯器だけが使えない」という奇妙な現象が起こります。

これは明らかに屋内配線か、引込線のトラブルです。家電を買い替えても直りません。

4. メーカー修理を呼ぶ前に!「損しない」ための判断基準

ここが一番重要なポイントです。もし電圧異常が原因で機器が止まっている時に、メーカーの修理サービスを呼ぶとどうなるでしょうか。

サービスマンは来てくれますが、電圧を測って「機械は壊れていませんね。家の電気設備の問題なので、電気工事店に相談してください」と言って帰ってしまいます。

当然、数千円〜1万円程度の出張点検費は請求されます。これでは踏んだり蹴ったりですよね。

無駄な出費を防ぐためのフローチャート

  1. エラーコードを確認する
    取扱説明書やネット検索でコードの意味を調べます。「電圧異常」「電源異常」「通信異常」といった内容なら電気トラブルの可能性大です。
  2. 他の部屋・機器を確認する
    「エアコンも給湯器も両方ダメ」「照明がチラつく」など、不具合が複数箇所で起きているなら、ほぼ間違いなく電気設備の問題です。
  3. 電気工事店へ連絡
    上記の状況であれば、メーカーではなく、まず私たちのような電気工事店にご相談ください。電圧測定を行い、原因を特定します。

「給湯器が壊れた!」と慌てて買い替えを検討される前に、一度冷静に「電気は正しく来ているか?」を疑ってみてください。コンセントの電圧を測るだけで、原因が判明することも多々あります。

一人暮らしや戸建てで自分の家だけ停電した時

集合住宅にお住まいの場合は、管理会社や大家さんに連絡するのが第一ですが、戸建てや一人暮らしで頼れる人が近くにいない場合は不安ですよね。

自分の家だけ停電していてブレーカーも落ちていない場合、まずは屋外にあるスマートメーターの液晶画面を確認してみてください。

液晶に表示があり(またはボタン操作で表示が確認できる)場合

メーターまで電気が来ている可能性が高く、メーター以降(分電盤~宅内配線)の不具合が疑われます。賃貸なら管理会社、持ち家なら電気工事店へ相談が基本です。

ボタン操作しても表示が一切出ない/異常表示が出ている/周囲でも停電している場合

引込線や送配電設備側のトラブルも疑われます。まずは送配電事業者の停電・トラブル診断(公式)を確認し、必要に応じて送配電事業者へ連絡してください。

この見分け方を知っておくだけで、どこに電話すれば良いかがすぐに分かります。

(参考:急に電気が消えたとき(トラブル診断)|東京電力パワーグリッド

突然電気がつかなくなったらどこに電話?連絡先

最終的にどこへ連絡すれば良いかの判断基準を分かりやすくまとめました。状況に合わせて適切な連絡先を選んでください。

また、業者選びで失敗したくない方は、依頼先の選び方をまとめた『ブレーカーの交換はどこに頼むのが正解?プロが解説!』もぜひ参考にしてください。

状況連絡先(相談先)主な対応内容(役割)
近所一帯が停電している地域の電力会社(送配電事業者)地域停電の復旧作業
スマートメーターの表示が消えている地域の電力会社(送配電事業者)引込線やメーターの修理
自宅だけ停電・メーター表示あり電気工事店 または 管理会社宅内配線・分電盤の修理
一部の部屋だけつかない電気工事店 または 管理会社断線箇所の調査・修理
焦げ臭い・火花が出た消防(緊急時)または 電気工事店安全確保と漏電修理

東京電力パワーグリッドの管轄エリア(神奈川県など)にお住まいの方は、以下の公式サイトからチャットやLINEで停電の問い合わせが可能です。地域停電かどうかの判断に迷ったら活用してみましょう。

(参考:停電情報|東京電力パワーグリッド株式会社

私たちのような電気工事店に依頼する場合、調査や修理には費用がかかりますが、原因特定から修理までワンストップで対応できるのが強みです。

費用の目安については、『漏電検査の費用相場|業者選びと安く抑える方法を解説』の記事で詳しく解説しています。

電気がつかないのにブレーカーは落ちてない時の対応まとめ

ここまで、ブレーカーが落ちていないのに電気がつかない原因と対処法について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。真っ暗な部屋でこの記事を読まれている方もいらっしゃるかもしれませんね。不安な気持ち、よく分かります。

「たかが電気」と思わず、異常を感じたらすぐに行動することが、ご家族と住まいを守ることにつながります。最後に、今回のお話で特に重要なポイントを整理しました。焦らず、一つひとつチェックしてみてください。

【復旧のための最終チェックリスト】

  • まずは屋外を確認
    近所一帯が消えていれば「地域停電」。自宅のスマートメーターの液晶が消えていれば「引込線の断線」の可能性大です。
  • ブレーカーのリセット
    見た目はONでも内部で切れている「トリップ」の可能性があります。一度すべてのブレーカーを完全に「OFF(下)」にしてから、再度上げ直してみてください。
  • 一部だけつかない時は要注意
    特定の部屋だけ電気が来ない場合、壁の中で配線が切れかかっている(接触不良)恐れがあります。これは火災に直結する危険なサインです。
  • 異変を感じたら触らない
    「ジジジ」という異音、焦げ臭いにおい、コンセントの異常な発熱がある場合は、すぐにブレーカーを落として電気工事店へ連絡してください。
絶対にやってはいけないこと

原因がわからない状態で、何度もブレーカーを上げ下げすることは避けてください。

もし壁の中でショートや半断線が起きている場合、無理に通電させようとすると、その部分が発熱し、最悪の場合、発火する恐れがあります。

電気は見えないインフラだからこそ、トラブルが起きると「どうしていいか分からない」という恐怖を感じやすいものです。

特に、ブレーカーが落ちていない停電は、一般的な知識では対処できないケースが多く、プロによる専用機器での診断が不可欠です。

横浜・川崎・東京都南部エリアで業者をお探しの方へ

横浜電気工事レスキューでは、こうした原因不明の電気トラブルの調査・修理にも迅速に対応しています。

私たちは、単に電気をつけるだけでなく、「なぜ消えたのか」という原因を突き止め、再発防止と安全確保を徹底することをお約束します。

「何かおかしいな」「怖いな」と思ったら、おひとりで悩まず、いつでもお気軽にご相談ください。私たちプロが、あなたの街の明かりと安心を取り戻しに駆けつけます!

▶︎分電盤や漏電ブレーカーの豊富な施工事例はこちら