食洗機の電源が入らない原因は?自分でできる対処法を解説

毎日の食器洗いの手間を大幅に軽減してくれる食洗機。しかし、ある日突然その電源が入らないとなると、途方に暮れてしまいますよね。
一口に食洗機といっても、パナソニックや三菱といった主要家電メーカーの製品から、リンナイ、クリナップ、タカラスタンダード、アクア、LIXIL、TOTOなどが手がけるシステムキッチン一体型のビルトイン食洗機まで、その種類は多岐にわたります。
また、食洗機だけでなく、シンプルな構造の食器乾燥機や、パワフルな業務用モデルで、それぞれ構造や操作方法が異なります。
だから、いざ電源が入らないなどの問題が起きると、「そもそも電源どこにあるの?」「ボタンが反応しない…」「電源は入るが動かないのはなぜ?」といった、さまざまなトラブルに直面することもあるでしょう。
動かない原因が特定できなければ、すぐに故障を疑い、高額な修理代を心配してしまうかもしれません。
しかし、多くの場合、専門業者に連絡する前にご自身で試せる簡単なリセット方法や対処法が存在します。実は、電源トラブルの多くは、見落としがちな単純なことが原因であるケースも少なくありません。
この記事では、食洗機の電源が入らない時に考えられる原因の特定方法から、壊れる前兆となるサインの見極め方、そして最終的に修理を依頼する際の費用目安まで、順を追って網羅的に解説していきます。
この1ページを読むだけで、あなたの抱える問題を解決へと導きます。
記事のポイント
- 電源が入らない主な原因と自分でできるチェック項目
- 症状別(電源が入らない/電源は入るが動かない)の詳しい対処法
- 主要メーカー・機種ごとの特有の注意点と解決策
- 故障が疑われるサインと修理・買い替えの判断基準
- 1. 食洗機の電源が入らない?まず確認すべき原因と対処法
- 1.1. 電源はどこにある?
- 1.1.1. 無理な確認は禁物です
- 1.1.2. ビルトイン食洗機の電源 確認場所リスト
- 1.2. 動かない原因は単純なことかも
- 1.2.1. 1. 電源プラグは抜けていませんか?
- 1.2.2. 2. コンセントは通電していますか?
- 1.2.3. 3. ブレーカーは落ちていませんか?
- 1.2.4. ブレーカーがすぐに落ちる場合は重大な異常のサイン
- 1.2.5. 4. ドアは完全に閉まっていますか?
- 1.3. 電源は入るが動かないのはなぜか解説
- 1.3.1. 給水ができていない
- 1.3.2. エラーコードが表示されている
- 1.3.3. 取扱説明書が見当たらない場合の対処法
- 1.3.4. 静音運転の待機中
- 1.4. ボタンが反応しない時のチェックポイント
- 1.4.1. チャイルドロック機能が作動していませんか?
- 1.4.2. ボタンの周りに汚れが溜まっていませんか?
- 1.4.3. 一時的な電子エラー(フリーズ)
- 1.5. 自分で試せる食洗機のリセット方法
- 1.5.1. 誰でもできる!食洗機リセットの基本手順
- 1.5.2. 基本手順
- 2. 食洗機の電源が入らない時のメーカー・機種別解決策
- 2.1. 三菱・東芝・日立・パナソニックの対処法
- 2.1.1. パナソニック(Panasonic)
- 2.1.2. 三菱電機(Mitsubishi Electric)
- 2.1.3. 東芝(TOSHIBA)・日立(HITACHI)
- 2.1.4. 困った時は公式サイトへ!各メーカーのサポート情報
- 2.2. クリナップ・リンナイ・タカラスタンダードのケース
- 2.2.1. リンナイ(Rinnai)
- 2.2.2. クリナップ(Cleanup)・タカラスタンダード(Takara Standard)
- 2.2.3. OEM製品の問い合わせ先
- 2.3. ビルトイン・業務用・食器乾燥機の場合
- 2.3.1. ビルトイン食洗機
- 2.3.2. 業務用食洗機
- 2.3.3. 食器乾燥機
- 2.4. 修理のサイン?食洗機が壊れる前兆
- 2.4.1.1. 異音がする
- 2.4.1.2. 水漏れが起きる
- 2.4.1.3. 洗浄能力の低下
- 2.4.1.4. エラー表示が頻発する
- 2.5. 故障した場合の気になる修理代の相場
- 2.5.1. 修理か買い替えか?賢い判断の目安「50%ルール」
- 2.6. 食洗機の電源が入らない問題の解決ガイド
食洗機の電源が入らない?まず確認すべき原因と対処法
- 電源はどこにある?
- 動かない原因は単純なことかも
- 電源は入るが動かないのはなぜか解説
- ボタンが反応しない時のチェックポイント
- 自分で試せる食洗機のリセット方法
電源はどこにある?
ビルトイン食洗機の電源が入らないトラブルに直面した際、多くの人が最初に戸惑うのが「電源プラグはどこにあるのか?」という点です。
卓上型の食洗機のようにコンセントがすぐに見える場所にはなく、キッチンと美しく一体化しているがゆえに、その場所は意図的に隠されています。
結論から言うと、ビルトイン食洗機の電源コンセントは本体背面側の壁面に設置されているのが一般的です。
具体的には、家庭用の100V(ボルト)電源を使用し、定格15A(アンペア)のアース端子付き埋め込みコンセントをシンク下または隣接するキャビネットの背壁側奥深くに設ける施工が標準的となっています。
これは、水しぶきがかかりやすいキッチン環境での感電リスクを低減し、見た目の美観を損なわないようにするための重要な設計思想に基づいています。
まずは、一番可能性の高いシンク下の収納スペースの扉を開け、中にある物を一度取り出して奥の壁をよく確認してみてください。
給水管や排水管が複雑に入り組んでいる中に、食洗機専用のコンセントが見つかるケースが多くあります。
もしシンク下になければ、コンロ下や隣の引き出し収納など、食洗機に隣接するキャビネットの奥も探してみましょう。
コンセントを発見できたら、電源プラグが緩んでいたり、抜けかかっていたりしないかを指で触って確認します。
食洗機は運転中に微細な振動を発生させるため、長年の使用で少しずつプラグが緩んでしまうことは珍しくありません。しっかりと奥まで差し込み直すだけで、あっさり問題が解決することもあります。
無理な確認は禁物です
これらの場所を探してもコンセントが見つからない場合、食洗機本体の真裏に設置されている可能性があります。
しかし、ビルトイン食洗機を自力で引き出すのは、給排水管の破損や床の傷、本体の転倒などのリスクを伴うため、絶対におすすめできません。
どうしても見つからない場合は、無理せず専門の業者に点検を依頼しましょう。
ビルトイン食洗機の電源 確認場所リスト
- 最優先
- シンク下の収納スペースの奥壁。給排水管の周辺を探す。
- 次点
- コンロ下や隣のキャビネット収納の奥壁。一度収納物を出すと見やすい。
- 最終手段
- 食洗機本体の背面(※専門業者による確認が必須)

動かない原因は単純なことかも
「電源が入らない!」とパニックになり、すぐに故障だと決めつけてしまいがちですが、実際にはごくごく基本的な見落としが原因であるケースが後を絶ちません。
高額な出張費を払って業者を呼んだ結果、原因がコンセントの抜けだった…という事態を避けるためにも、まずは以下の4つの基本ポイントを冷静に確認してみましょう。
1. 電源プラグは抜けていませんか?
これは最も基本的かつ、最も見落とされがちなポイントです。前述の通り、ビルトイン食洗機の場合はシンク下などを確認し、プラグがしっかりと差し込まれているかを確認します。
卓上型の場合も、何かの拍子に足が引っかかったり、掃除機がぶつかったりして、コンセントからプラグが抜けていないか、緩んでいないかを必ず確かめてください。
2. コンセントは通電していますか?
食洗機本体の故障ではなく、電源を供給しているコンセント側に問題が発生している可能性も十分に考えられます。この切り分け作業は非常に重要です。
食洗機のプラグを一度抜き、そのコンセントにドライヤーや電気ケトル、スマートフォンの充電器など、正常に動作することが分かっている別の電化製品を接続してみてください。
もし、その電化製品も動かなければ、原因は食洗機ではなく、コンセント自体やご家庭の電気系統にあると特定できます。
3. ブレーカーは落ちていませんか?
コンセントに通電していないことが判明した場合、次に確認すべきはご家庭の分電盤(配電盤)です。
多くの場合、洗面所や玄関の壁、クローゼットの中などに設置されています。蓋を開けると、多数の小さなスイッチが並んでいます。
食洗機はヒーターなどで大きな電力を消費するため、安全を考慮して100V・15Aの専用回路(他の機器と共有しない単独のブレーカー)が割り当てられていることが一般的です。
「食洗機」「キッチン」「台所」などと記載されたスイッチが「切(OFF)」の位置に下がっていないか確認し、もし落ちていれば「入(ON)」の位置に戻してください。
(参考:【ビルトイン食洗機】キッチンの近傍から電源を引き回してもいいですか。 - 食器洗い乾燥機(NP) - Panasonic)
ブレーカーがすぐに落ちる場合は重大な異常のサイン
ブレーカーを「入」に戻しても、食洗機の電源を入れようとするとすぐにまた落ちてしまう場合は、単純な電力の使いすぎではありません。
食洗機本体の内部での漏電やショートの恐れがあります。
これは感電や火災につながる非常に危険な状態ですので、直ちに使用を中止し、コンセントからプラグを抜いた上で、専門の修理業者や電気工事業者に緊急の点検を依頼してください。
4. ドアは完全に閉まっていますか?
食洗機は、運転中に高温のお湯が噴射されるため、安全対策としてドアが完全に閉まり、ロック機構が作動しない限り、電源が入らない、あるいは運転を開始しないように設計されています。
食器や調理器具、カトラリーバスケットの一部がドアに挟まって、わずかな隙間ができているだけでも「半ドア」状態と認識されます。
もう一度、力を入れてゆっくりとドアを閉め直し、「カチッ」というしっかりとしたロック音がするかどうかを確認してみてください。
特にカゴの入れ方が悪いと、食器が庫内からはみ出してドアが閉まらない原因になります。

電源は入るが動かないのはなぜか解説
「電源ボタンを押すと操作パネルのランプは点灯するし、コース選択もできる。でも、スタートボタンを押してもウンともスンとも言わない…」という、もどかしいケースもあります。
この場合、電力は食洗機の頭脳である制御基板まで正常に供給されています。しかし、何らかの安全装置が作動したり、運転開始の条件が満たされていなかったりして、機械が意図的に運転を停止している可能性が高いです。
主な原因として、以下の点が考えられます。
給水ができていない
食洗機は、運転を開始する前にまず給水を行います。しかし、水道から水が供給されていないと、ヒーターが空焚き状態になるのを防ぐため、運転を開始しません。
特に、引っ越しやリフォーム、近隣での水道工事の後には、食洗機専用の止水栓(給水バルブ)が閉められたままになっていることがよくあります。
シンク下の収納スペースにある、食洗機につながる給水管の途中にあるハンドル式のバルブが閉まっていないか確認してください。
ハンドルが配管と平行になっていれば「開」、直角になっていれば「閉」の状態です。
反時計回りに回して、バルブを完全に開けましょう。また、地域での断水の可能性も考慮し、キッチンの蛇口から水が出るかも確認してください。
エラーコードが表示されている
操作パネルの液晶画面に「H01」や「E4」のような英数字が表示されたり、特定のランプ(例:「給水」「排水」)が点滅したりしていませんか。
これは食洗機が自己診断機能で検知した異常の内容をユーザーに知らせるエラーコードです。水漏れ、排水不良、センサー異常など、原因は多岐にわたります。
エラーの内容はメーカーや機種によって全く異なるため、お手元の取扱説明書でコードの意味を調べ、指示に従って対処する必要があります。
取扱説明書が見当たらない場合の対処法
取扱説明書を紛失してしまった場合でも、諦める必要はありません。
お使いの食洗機のドアの内側などに貼られているシールで製品の品番(型番)を確認し、メーカーの公式サイトで「(品番) 取扱説明書」と検索すれば、PDF形式で簡単に閲覧・ダウンロードすることができます。
静音運転の待機中
パナソニック製の食洗機では、「ストリーム除菌洗浄」のためのミスト噴射や、「バイオパワー除菌」(洗剤の酵素が働きやすい温度で前処理するプレ洗浄)など、洗浄開始前の準備工程が非常に静かなことがあります。
これらは運転音や水音がほとんどしないため、ユーザーが「動いていない」と誤解しがちです。操作パネルの表示やランプの点滅状態を確認し、工程が進むまでしばらく待つのが正解です。
(参考:【ビルトイン食洗機】「バイオパワー除菌」とは、どのような機能ですか。(ビルトイン食器洗い乾燥機 K8/M8/V7シリーズ・NP-45MC6Tに関して) - 食器洗い乾燥機 - Panasonic)

ボタンが反応しない時のチェックポイント
電源ボタンやスタートボタンを何度押しても、何の反応も示さない、あるいは「ピッピッ」という電子音が鳴るだけで一向に操作を受け付けない、という症状もあります。
この場合は、物理的な接触不良、電子的なロック機能、あるいはシステムの一時的なフリーズが原因かもしれません。
チャイルドロック機能が作動していませんか?
小さなお子様がいるご家庭には必須の安全機能ですが、意図せず作動させてしまうこともあります。
チャイルドロック機能が有効になっていると、運転中の誤操作を防ぐために、一部または全てのボタン操作が無効になります。
多くの場合、鍵のマークや子供の顔のアイコンがパネルに表示されます。
解除方法はメーカーや機種によって異なり、「予約」ボタンと「乾燥」ボタンを同時に数秒間長押しする、「電源」ボタンを5秒以上長押しするなど様々です。
取扱説明書でご自身の機種の解除方法を確認してみてください。
ボタンの周りに汚れが溜まっていませんか?
長年使用していると、調理中の油汚れや水垢、洗剤の粉などがボタンの隙間に少しずつ蓄積し、固着してしまうことがあります。
これにより、ボタンが物理的に押し込まれたまま戻らなくなったり、内部の接点がうまく反応しなくなったりします。
まずは電源を切り(可能であればプラグを抜き)、固く絞った柔らかい布や綿棒などで、ボタンの周りを優しく丁寧に拭き掃除してみてください。
ボタンの反応が悪いからといって、爪楊枝や千枚通しのような硬くて鋭利なもので隙間を掃除するのは絶対にやめてくださいね。
内部のデリケートな電子基板を傷つけてしまい、単純な汚れの問題から本格的な故障へと発展させてしまう恐れがあります。
一時的な電子エラー(フリーズ)
食洗機も内部にマイコン(マイクロコンピュータ)を搭載した精密な電子機器です。
スマートフォンやパソコンが時々フリーズするように、食洗機の制御システムも、電圧の変動や静電気などの影響で一時的にフリーズしてしまうことがあります。
この場合、物理的な故障ではないため、次に紹介する「リセット方法」でシステムを再起動させることが非常に有効な解決策となります。

自分で試せる食洗機のリセット方法
これまで紹介した原因のいずれにも当てはまらない、あるいは原因が特定できない多くの電源トラブルは、食洗機の頭脳であるマイコン(制御基板)を一度リフレッシュさせることで解決する場合があります。
これは、パソコンやスマートフォンの調子が悪い時に再起動するのと同じ原理で、システム内部の一時的なエラーや誤作動を解消する効果が期待できます。
最も簡単で、かつ最も効果的なリセット方法は、本体の電源を完全に遮断する「電源プラグの抜き差し」です。
誰でもできる!食洗機リセットの基本手順
基本手順
⒈安全のため、まずは食洗機の電源ボタンで電源を切ります。
⒉食洗機の電源プラグをコンセントから抜きます。
⒊そのまま最低でも1分、できれば5分程度放置します。(この時間で、本体内部のコンデンサなどに蓄えられた残留電気が完全に放電され、マイコンのメモリがクリアになります。)
⒋再び電源プラグをコンセントに奥までしっかりと差し込みます。
⒌食洗機の電源ボタンを押し、正常に動作するかどうかを確認します。
この驚くほど簡単な手順で、原因不明のエラーが嘘のように解消されることは少なくありません。
ビルトイン食洗機でシンク下にコンセントが見つからない、または手が届かない場合は、ご家庭の分電盤にある食洗機専用ブレーカーを一度「切」にし、同様に数分待ってから「入」に戻すことでも同じ効果が得られます。
専門業者を呼ぶ前の最後の砦として、まずはこのリセット方法を試してみることを強くおすすめします。

食洗機の電源が入らない時のメーカー・機種別解決策
- 三菱・東芝・日立・パナソニックの対処法
- クリナップ・リンナイ・タカラスタンダードのケース
- ビルトイン・業務用・食器乾燥機の場合
- 修理のサイン?食洗機が壊れる前兆
- 故障した場合の気になる修理代の相場
三菱・東芝・日立・パナソニックの対処法
基本的なチェックポイントやリセット方法は全メーカーで共通ですが、メーカーごとに特有の機能や設計思想があり、それがトラブルの原因や対処法のヒントになることがあります。
ここでは国内の主要な家電メーカー4社について、その特徴と注意点を詳しく解説します。
パナソニック(Panasonic)
国内シェアトップクラスを誇るパナソニック製の食洗機は、高い洗浄能力と静音性が魅力ですが、その高性能な独自機能がトラブルと誤解されることがあります。
特に注意したいのが、「汚れはがしミスト」や「バイオパワー除菌」といった準備運転です。
これらは洗浄効果を高めるために洗浄開始前に行われる工程で、非常に静かに動作するため、ユーザーが「動いていない」と勘違いしやすいのです。
操作パネルのランプの点滅状態をよく確認し、運転が次のステップに進むまで辛抱強く待つことが重要です。
エラー表示は「H」または「U」から始まる英数字で示されることが多く、取扱説明書でその意味を確認できます。
三菱電機(Mitsubishi Electric)
三菱製のビルトイン食洗機で、他のメーカーにはない最も重要な注意点は電源電圧です。三菱製のビルトインモデルは、現行機種を含め全て単相100V仕様となっています。
しかし、キッチンにはIHクッキングヒーター用に200Vのコンセントが来ている場合があり、リフォームなどの際に誤って200Vに接続してしまうと、内部のヒューズや電源基板が破損し、修理が必要な故障となります。
設置や交換の際は、業者に任せる場合でも電圧の確認を徹底することが不可欠です。エラーは「給水」や「排水」といったランプの点滅回数や点灯パターンで知らされることが多いのが特徴です。
東芝(TOSHIBA)・日立(HITACHI)
東芝は現在、食洗機の新規開発から撤退しており、市場にあるのは過去のモデルのみです。日立もビルトイン型を展開していますが、その多くはパナソニックなど他社が製造したOEM製品です。
そのため、これらのメーカーの食洗機も、基本的な対処法は他メーカーと共通です。電源が入らない場合は、まず電源プラグ、ブレーカー、ドアの密閉確認といった基本に立ち返ることが解決への近道となります。
長年使用しているモデルで「点検」ランプが点灯または点滅した場合は、経年劣化による点検時期(通常約10年)を知らせるサインであり、故障表示ではありません。
ただし、安全に使用を続けるために、メーカーによる点検(有償)を検討することをおすすめします。
困った時は公式サイトへ!各メーカーのサポート情報
エラーコードの詳細な意味や、症状別の詳しい対処法については、各メーカーの公式サイトにあるQ&Aページが最も正確で信頼できる情報源です。
品番を入力して検索することで、ご自身の機種に特化した情報を得ることができます。
メーカー | サポートページの特徴 | リンク(公式サイト) |
---|---|---|
パナソニック | 公式サポートに加え、「電源は入るが動かない」など症状別FAQが充実。準備運転(バイオパワー除菌等)で静止に見えるケースの注意喚起あり。 | 食洗機 サポートトップ(公式) 【ビルトイン】電源ランプは点灯するが動かない(公式FAQ) |
三菱電機 | ビルトイン食洗機のFAQカテゴリ。故障かな?診断/点検お知らせランプ(10年相当)など、項目別に確認手順がまとまっている。 | ビルトイン食器洗い乾燥機 – よくあるご質問(公式) |
リンナイ | 公式FAQでエラーごとの対処を掲載。特に「88(使用期間お知らせ表示)」は故障ではなく点検推奨のサインである旨を明記。 | これって故障?(食洗機FAQ一覧|公式) 食洗機|エラーコード88(使用期間お知らせ表示) |

クリナップ・リンナイ・タカラスタンダードのケース
システムキッチンに組み込まれているビルトイン食洗機の場合、キッチンのメーカー名と食洗機の製造元が異なるケースがあり、どこに問い合わせるべきか迷うことがあります。
リンナイ(Rinnai)
リンナイはガス機器メーカーとして有名ですが、高品質な食洗機を自社で開発・製造している数少ないメーカーの一つです。
リンナイ製食洗機で特徴的なのは「点検お知らせ機能」です。
これは故障ではなく、製品を安全に長期間使用するための機能で、使用開始から約10年が経過すると、操作パネルの全てのランプが同時に点灯したり、液晶画面にエラーコード「88」が交互に表示されたりします。
これは経年劣化による事故を防ぐため、専門家による有償点検を促すサインです。点検を受けるか、製品を買い替えるまで表示は続きますが、基本的な洗浄機能はそのまま使用することが可能です。
(参考:食器洗い乾燥機|エラーコード88 が表示 | リンナイ|Q&A(よくあるお問い合わせ))
クリナップ(Cleanup)・タカラスタンダード(Takara Standard)
クリナップやタカラスタンダード、LIXIL、TOTOといった大手システムキッチンメーカーが提供するビルトイン食洗機は、その多くがパナソニックやリンナイ、三菱電機などが製造したOEM製品です。
クリナップやタカラスタンダード、LIXIL、TOTOといった大手メーカーが提供するビルトイン食洗機は、その多くがパナソニックやリンナイ、三菱電機などが製造したOEM(相手先ブランドによる生産)製品です。
つまり、キッチンのブランド名はクリナップでも、中の食洗機はパナソニック製、ということが一般的です。
そのため、トラブルが起きた際は、まず食洗機のドアを開け、内側の側面や上部に貼られている銀色の銘板(めいはん)シールを確認することが非常に重要です。
ここには、製品の正式な品番(型番)と共に、「製造元:Panasonic株式会社」のように、実際にその製品を製造したメーカー名が記載されています。
製造元メーカーが特定できれば、そのメーカーのサポートページで正しい対処法を調べたり、修理を依頼したりすることができます。
OEM製品の問い合わせ先
- まず食洗機の銘板シールで製造元メーカーを確認する。
- 製造元メーカーの公式サイトで対処法を調べる。
- 修理が必要な場合は、製造元メーカーの修理窓口、またはキッチンを設置した工務店に連絡する。

ビルトイン・業務用・食器乾燥機の場合
食洗機と一口に言っても、その種類は様々です。種類によって構造や電源の仕様が異なるため、トラブルの際に着目すべきポイントも変わってきます。
ビルトイン食洗機
これまで繰り返し述べてきた通り、ビルトイン食洗機で最も多い電源トラブルの原因は、見えない場所にある電源プラグの抜けや緩みです。
まずはシンク下などを入念に確認することが基本となります。また、給排水管としっかりと接続されているため、本体を安易に動かせないのが難点です。
電源リセットを行う際は、コンセントに手が届かなければ、慌てずに分電盤のブレーカー操作で対応しましょう。水漏れなどのトラブルは床下への被害につながる可能性があるため、特に注意が必要です。
業務用食洗機
レストランや施設などで使用される業務用食洗機(ホシザキやJCM等のドアタイプ機など)は、家庭用とはパワーも構造も全く異なります。
三相200Vなどの特殊で強力な電源を使用していることが多く、消費電力も非常に大きいため、まずは専用の分電盤でブレーカーが落ちていないかを確認します。
内部の構造も複雑で、高温・高圧の水を扱うため、専門知識のない人が内部を触るのは非常に危険です。
基本的なチェックで改善しない場合は、無理に原因を探ろうとせず、速やかに保守契約を結んでいる専門のサービス業者に連絡するのが鉄則です。
食器乾燥機
洗浄機能を持たないシンプルな食器乾燥機の場合、構造は食洗機に比べて格段にシンプルです。
電源が入らない原因としては、基本的な電源コードの問題のほか、長年の使用による温度ヒューズの断線が考えられます。
これは、何らかの異常で内部が高温になりすぎた際に、火災を防ぐために電流を遮断する安全装置です。また、運転時間を設定する機械式のタイマー部分の故障も原因となり得ます。
これらの部品交換は専門知識と技術が必要となるため、ご自身での分解は避け、メーカーや販売店に修理を依頼することになります。

修理のサイン?食洗機が壊れる前兆
ある日突然「電源が入らない」という致命的なトラブルに見舞われる前に、実は食洗機はいくつかのSOSサイン(故障の前兆)を発していることが多いものです。
これらのサインに早期に気づき、適切に対処することで、突然使えなくなるという最悪の事態を防いだり、修理か買い替えかの判断を余裕をもって行ったりすることができます。
「いつもとちょっと違うな?」という小さな違和感こそが、重大な故障を防ぐための重要なヒントになります。
異音がする
「ブーン」という通常の運転音に加えて、「ガリガリ」「ガラガラ」「キーキー」といった金属が擦れるような音や、これまで聞いたことのない大きなモーター音がする。
そのような場合、水を循環させる洗浄ポンプや排水ポンプのベアリングが摩耗している可能性があります。放置すると、最終的にポンプが動かなくなり、洗浄や排水ができなくなります。
水漏れが起きる
ドアの隙間や本体下部からじわじわと水が漏れてくる場合、ドア周りのゴムパッキンの劣化や、内部の給排水ホースの亀裂が考えられます。
最初は少量でも、放置すると被害が拡大し、床材や下の階への漏水といった二次被害につながる恐れがあります。
洗浄能力の低下
以前と同じように食器をセットし、同じ洗剤を使っているのに、グラスが白く曇ったり、ご飯粒などの汚れが残ったりすることが増えた場合、洗浄ポンプの圧力低下や、洗浄ノズルの回転不良が疑われます。
また、乾燥サイクルが終わっても食器がびしょ濡れの状態であれば、乾燥用のヒーターやファンの性能が低下しているサインです。
エラー表示が頻発する
これまで問題なく使えていたのに、特定のコースで頻繁にエラーが出て停止するようになったり、リセットしないと復帰しなくなったりする。
そういった場合は、各種センサーや電子部品、制御基板自体の寿命が近づいている可能性があります。
これらの症状が一つではなく複数見られるようであれば、今回の電源トラブルは単なる一時的なエラーではなく、製品全体の寿命が近いことの現れである可能性が非常に高いと言えるでしょう。

故障した場合の気になる修理代の相場
ご自身でできる対処法を全て試しても症状が改善しない場合、いよいよ専門業者に修理を依頼することになります。
その際に最も気になるのが「一体いくらかかるのか?」という費用面でしょう。修理費用は主に「①出張費」「②技術料(作業料)」「③部品代」の3つの合計で構成されます。
故障の箇所や内容によって費用は大きく変動しますが、一般的な費用の相場観を把握しておくことで、見積もりが妥当かどうかの判断材料になります。
故障内容の例 | 修理代の目安(合計) | 主な原因・交換部品 |
---|---|---|
軽微な水漏れ・排水不良 | 10,000円 ~ 25,000円 | 排水ホースの交換、ドアパッキンの劣化、残さいフィルターの奥の詰まり除去 |
電源が入らない・ボタン無反応 | 20,000円 ~ 50,000円 | 制御基板(マイコン)の故障、電源ユニットの不具合、操作パネルの交換 |
洗浄・排水ポンプの故障 | 25,000円 ~ 55,000円 | 洗浄ポンプ、排水ポンプ、モーターの不具合・交換。異音の主な原因。 |
センサー・弁などの不具合 | 15,000円 ~ 35,000円 | 水位センサー、温度センサー、給水弁などの交換 |
修理か買い替えか?賢い判断の目安「50%ルール」
食洗機の設計上の標準使用期間(寿命の目安)は約10年とされています。
購入から7~10年以上が経過している場合、たとえ高額な修理費用をかけて一つの部品を交換しても、すぐに別の箇所が経年劣化で故障する「連鎖的故障」のリスクが高まります。
そこで一つの判断基準となるのが「50%ルール」です。
これは、修理費用が、同等クラスの新しい製品の購入価格の50%を超える場合は、買い替えを検討した方が長期的には経済的という考え方です。
例えば、12万円で新しい食洗機が買える状況で、修理見積もりが6万円を超えた場合は、買い替えを選択するのが賢明かもしれません。
最新モデルは10年前の製品に比べて節水・省エネ性能が格段に向上しているため、買い替えることで毎月の水道代や電気代の節約につながるという大きなメリットもあります。。
横浜・川崎・東京エリアで業者をお探しの方へ
修理か、交換か。もし「交換」を選んだなら、次の課題は「確かな技術を持つ工事店選び」です。
ビルトイン食洗機の交換には、既存機器の適切な撤去、給排水接続、そして安全な電気工事が不可欠。そのすべてを高いレベルで実現できるのが、私たちの強みです。
「横浜電気工事レスキュー」は、東京電力の指定工事店(登録番号: 701-1730)であると同時に、リフォーム会社を母体としています。数多くのキッチンを手がけた経験を活かし、お客様に最適な機種のご提案から責任ある施工まで、安心してお任せいただけます。
横浜市・川崎市・東京都内を中心に、まずはお見積もりから喜んで対応いたしますので、お気軽にご相談ください。

食洗機の電源が入らない問題の解決ガイド
最後に、この記事の要点を総まとめします。食洗機の電源トラブルに直面した際は、慌てずに以下のリストを上から順に確認し、冷静に対処してください。
- 食洗機の電源が入らない時はまず電源プラグの接続を指で触って確認する
- コンセントの通電状態をドライヤーなど別の家電を挿してチェックする
- 分電盤の食洗機専用ブレーカーが落ちていないか確かめる
- ドアが完全に閉まっていないと安全装置が働き電源が入らないことがある
- 電源は入るが動かないのは給水エラーやセンサー異常の問題が多い
- シンク下などにある食洗機専用の止水栓が開いているか確認する
- 原因不明のエラーはまず電源プラグの抜き差しによるリセットを試す
- ビルトイン型でプラグに触れない場合はブレーカーのON/OFFでリセットする
- エラーコードが表示されたら必ず取扱説明書でその内容を調べる
- 異音や水漏れ、洗浄能力の低下といったサインは故障が近い前兆
- パナソニックの静音運転などメーカーごとの特有の動作を理解しておく
- 三菱製ビルトイン食洗機は100V専用なので誤った電圧での接続に注意する
- 修理費用は出張費・技術料・部品代の合計で構成されることを知っておく
- 使用年数が10年に近い場合や修理費が高額な場合は買い替えも賢明な選択肢
- 自分でできることを全て試しても解決しない場合は無理せず専門の修理業者に相談する