60アンペアで使える家電は?目安とブレーカー対策をプロが解説

60アンペア契約を徹底解説!「ブレーカーが落ちる!」を防ぐ賢い電気の使い方

こんにちは。横浜電気工事レスキューの主任電気工事士「天谷(あまたに)富士夫」です。

ご自宅のブレーカーが落ちて真っ暗になり、困った経験はありませんか。特に家族が増えたり新しい家電を買ったりしたタイミングで、頻繁に電気が切れるようになるとストレスが溜まるものです。

今の契約容量で足りているのか、それとも見直しが必要なのかを判断するためには、まず現状の「60アンペアで使える家電」の具体的な目安や上限を知ることが解決への近道になります。

今回は現場での経験をもとに、快適に電気を使うためのポイントを分かりやすくお話しします。

記事のポイント

  • 60アンペア契約で同時に使用できる家電の具体的な組み合わせ
  • エアコンや電子レンジなど消費電力が大きい機器の計算方法
  • 世帯人数やライフスタイルごとの電力使用シミュレーション
  • 頻繁にブレーカーが落ちる場合の原因と効果的な対策
目次

60アンペアで使える家電と基本料金の目安

まずは、60アンペア(60A)という契約容量が、電気の量として具体的にどのくらいの規模なのか、その基本をしっかりと押さえましょう。

多くのご家庭で契約されている「従量電灯B」などのプランでは、このアンペア数が「同時に使える電気の上限」を決めています。

ここを正しく理解し、家電を使うタイミングをほんの少し工夫するだけで、ブレーカーが落ちるトラブルを驚くほど減らせるようになりますよ。

消費電力とワット数からアンペアを計算する方法

「この家電を使うと、どれくらい電気を食うんだろう?」と疑問に思ったとき、カタログや本体の裏側に貼ってあるシールを見てみてください。

そこには必ず「消費電力(W:ワット)」が書かれています。しかし、電力会社の契約は「アンペア(A)」なので、単位が違って分かりにくいですよね。

私たち電気工事士が現場でお客様に説明する際にも使っている、計算の目安があります。

アンペア(A) ≒ 消費電力(W) ÷ 電圧(V)

日本の一般家庭ではコンセントは100Vが基本ですが、リビングの大型エアコンやIHクッキングヒーターなどは「200V」で動いていることがあります。目安として以下の式を頭に入れておくと便利です。

一般的な家電(100V):ワット数 ÷ 100 = アンペア数

大型家電(200V):ワット数 ÷ 200 = アンペア数

例えば、1200Wのドライヤー(100V)なら「1200 ÷ 100 = 12」で、約12アンペアを使います。一方で、最大5000WのIHクッキングヒーター(200V)なら「5000 ÷ 200 = 25」で、約25アンペアとなります。

アンペア(A)はワット(W)÷100(V)で簡易計算できることを示した解説スライド。

カタログ値と実測値の違いに注意

なお、家電の種類によってはカタログに書かれている「消費電力(W)」と、実際に流れる電流が一致しないこともあります。

また、電圧も常に一定ではありません。ギリギリの容量を攻めるのではなく、計算結果に少し余裕を持って考えるのが、ブレーカーを落とさないコツです。

この計算方法を覚えておくと、家電量販店での買い物中や、新しい暖房器具を使おうとした瞬間に、「あ、これを使ったら残り何アンペアだから、今はやめておこう」とサッと判断できるようになります。

100Vのワット数をアンペアに変換する計算式

もう少し具体的に見ていきましょう。先ほどの式を使えば、家にあるほとんどの家電のアンペア数が分かります。ただ、家電によっては「起動した瞬間だけものすごい電気を使う」ものや、「設定モードによって消費電力が大きく変わる」ものがあります。

特に注意が必要なのが、モーターを使っている家電(エアコン、洗濯機、冷蔵庫など)と、熱を出す家電(レンジ、ヒーター、ドライヤーなど)です。これらは「定格消費電力」だけでなく、最大時の負荷を知っておく必要があります。

ざっくりとした目安を表にまとめましたので、参考にしてください。

家電製品消費電力(W)の目安目安アンペア(A)注意点
ドライヤー1200W12Aスイッチを入れた瞬間から最大出力です。
IH炊飯器(炊飯時)1300W13A保温時は低いですが、早炊き等は高負荷です。
電気ケトル1300W13A沸騰するまでの数分間、常に最大パワーです。
電子レンジ1000W〜1450W10A〜15A「500W温め」でも消費電力は1000W超です。
アイロン1200W〜1400W12A〜14A立ち上がり時に大きく消費します。
食洗機(乾燥時)1100W〜1300W11A〜13Aヒーターを使う乾燥工程で跳ね上がります。
ドラム式洗濯機(乾燥)800W〜1300W8A〜13Aヒーター乾燥タイプは高負荷が長時間続きます。
テレビ(液晶・大型)100W〜300W1A〜3A画面の明るさ設定で多少変動します。
冷蔵庫(450Lクラス)50W〜300W0.5A〜3A霜取り運転時などに一時的に上がります。

(参考:東京電力エナジーパートナー「主な電気機器のアンペアの目安」

ドライヤー、IH炊飯器、電気ケトル、電子レンジ、エアコンなどの高負荷家電のイラストと、それぞれの消費電流目安(12A〜15Aなど)。

電子レンジの「500W」は“加熱出力”です

よくある勘違いが、電子レンジの「500Wで温め」設定です。「500Wだから5アンペアだろう」と思いがちですが、これはあくまで食品を温めるマイクロ波の出力のことです。

実際にコンセントから消費する電力は、機種の仕様(インバーター式など)や運転条件で変わりますが、一般的に定格消費電力は1,000W台になることが多く、アンペア換算でも10A前後以上になるケースがあります。

正確な値は、本体の銘板や取扱説明書にある「定格消費電力」で確認してください。

電子レンジの500W設定はあくまで温める出力であり、実際の消費電力は1400W(14A)近くになることを解説した図。

エアコンは何台使える?3台や4台の同時使用

60アンペア契約のご家庭で一番気になるのが、夏や冬のエアコン事情ではないでしょうか。「60アンペアで、家族全員の部屋のエアコンをつけたら落ちますか?」「4台同時は無理ですか?」という質問は、私たちも現場で頻繁にいただきます。

結論から言うと、60アンペア契約でもエアコン3台〜4台を同時に使えるケースはあります。ただし、畳数・機種・外気温(特に暖房時)・設定温度によって消費電力は大きく変動するため、必ずしも「常に余裕」とは限りません。

そのうえで重要なポイントが「同時起動を避けること」です。

エアコンの「突入電流」に注意

エアコンは、スイッチを入れてコンプレッサー(圧縮機)が動き出し、部屋を設定温度まで一気に冷やしたり暖めたりする「立ち上がり」のタイミングで、猛烈な電気を使います。

機種や外気温にもよりますが、起動直後(立ち上がり〜設定温度に近づくまで)は、運転電流が一時的に大きくなることがあります。

もし、家族4人が帰宅して「せーの」で4台のエアコンを一斉につけると、瞬間的に合計が許容範囲を超え、ブレーカーが落ちる可能性が非常に高くなります。

プロが教えるエアコン運用のコツ

「時間をずらして起動する(シーケンシャル起動)」

これだけで解決します。まずはリビングをつけて、5分〜10分ほど待ちます。部屋が冷えて(暖まって)安定運転に入れば消費電力が下がることは多いですが、実際の電流値は機種・畳数・外気温(特に暖房)・設定温度で大きく変わります。

安定したのを確認してから2台目、3台目……と順につけていけば、同時使用できる可能性は高まりますが、合計アンペア数は「数十Aになることもある」と考えて、余裕を持って運用してください。

60アンペアで使える家電の一覧と使用例

では、実際に60アンペアの上限ギリギリまで電気を使うとどんな状態になるのか、具体的な生活シーンでシミュレーションしてみましょう。目安として、60Aは100V換算で約6,000W(=6kVA)と考えるとイメージしやすいです。

ただし実際の上限感は、100V/200V機器の有無や回路の分かれ方(どの子ブレーカーに繋がっているか)でも変わります。あくまで「目安」として捉えてください。

【注意!】冬の夕方(18:00〜19:00頃)の危険な組み合わせ

最も電気が使われる時間帯です。エアコンをつけながら夕食の準備をするシーンを想像してください。

冬の夕方18時、エアコン2台、炊飯器、電子レンジなどを同時使用して、60A契約のうち51Aを使用している状態のメーター図。
  • エアコン(リビング・暖房安定時):約6A
  • エアコン(子供部屋・暖房起動時):約15A
  • IH炊飯器(炊飯中):約13A
  • 電子レンジ(温め使用中):約13A
  • 照明・テレビ・冷蔵庫・Wi-Fiなど:約4A

ここまでの合計:51A

この状態なら、まだギリギリセーフです。60Aまであと9Aの余裕があります。しかし、ここに家族の誰かがお風呂上がりにドライヤー(12A)を使い始めるとどうなるでしょうか?

合計:63A(オーバー!) → バチン!とブレーカーが落ちてしまいます。

先ほどの51Aの状態にドライヤー(12A)が加わり、合計63Aとなって契約容量60Aを超え、ブレーカーが落ちる様子を示した図。

「熱源トリオ」の同時使用は避けよう

私がお客様によくお伝えしているのが、「ドライヤー」「炊飯器」「電子レンジ(または電気ケトル)」の3つです。これらはどれも1つで10A以上を使う高負荷家電です。

このうち「3つ同時に使うと60Aでも落ちる」と覚えておいてください。2つまでなら、エアコンをつけていても何とか耐えられることが多いですが、3つ重なると限界を超えます。

ドライヤー、炊飯器、電子レンジなどの熱を出す家電は、同時に使うのを「最大2台まで」にするというルールを図解したスライド。

ブレーカーが落ちる原因と対策を知ろう

「60アンペア契約なのに頻繁に落ちる」という場合、単に契約容量が足りない以外の原因も考えられます。ご自宅の分電盤を見て、どのブレーカーが落ちているかを確認することで、原因と対策が見えてきます。

もし「契約容量は十分なはずなのに落ちる」という場合は、設備自体のトラブルも疑われます。

実際の現場でどのように原因を特定し解決したか、『町田市で頻繁なブレーカー落ちのお悩みを解消!漏電調査からブレーカー交換まで電気のプロが丁寧に対応します!』の事例で詳しく紹介しています。

アンペアブレーカー(家全体の使いすぎ)、安全ブレーカー(一部屋の使いすぎ)、漏電遮断器(故障・漏電)のそれぞれの役割と落ちる原因を解説した図。

1. アンペアブレーカー(またはリミッター)が落ちる場合

分電盤の一番左にある大きなブレーカー、もしくはスマートメーターの機能で家全体の電気が消える場合です。

  • 原因
    家全体の電気の使いすぎ(60Aオーバー)。
  • 対策
    先ほど紹介したように、ドライヤーやレンジなどの高負荷家電を使うタイミングをずらしてください。
スマートメーター(アンペアブレーカー機能)の注意点

最近の住宅では、物理的なアンペアブレーカーではなく、スマートメーター側の機能で家全体の電気が止まるケースがあります。多くの場合、一定時間(目安として約10秒程度)で自動復旧します。

ただし、復旧直後に同じ家電をそのまま使い続けると再び遮断されやすく、短時間に何度も繰り返すと、安全のため自動復旧しない状態になることがあります。その場合は、負荷を落としてから電力会社の案内に従って対応してください。

一度落ちたら、すぐにエアコンやヒーターなどをオフにして負荷を減らし、復旧後もしばらくは高負荷家電の同時使用を避けるのが鉄則です。(参考:ブレーカーが落ちる3つの原因と復旧と対策|東京電力パワーグリッド

そもそも「うちにアンペアブレーカーなんてついてないけど?」という方もいらっしゃるかもしれません。

スマートメーターで電気が止まる仕組みについては、『アンペアブレーカーがない!スマートメーターの仕組み解説』の記事でも詳しく解説しています。

2. 安全ブレーカー(子ブレーカー)が落ちる場合

分電盤の右側にたくさん並んでいる小さなスイッチの一つだけが落ちる場合です。

  • 原因
    特定の回路(部屋やコンセント)での使いすぎ。
  • 対策
    一般的な分岐回路(子ブレーカー)は15A〜20A程度で設計されていることが多く、特定の回路に負荷が集中すると、家全体の60Aに余裕があってもその回路だけが先に落ちます。

また家庭用コンセント自体も、基本は15A(1,500W目安)までの使い方を前提にしています。タコ足配線で高負荷家電を重ねないよう、コンセントや回路を分散させましょう。

「使いすぎているつもりはないのに落ちる」という場合、単純な過負荷以外の原因も考えられます。

ブレーカーやヒューズが切れる原因と正しい対処法については、『ブレーカーやヒューズが切れる原因は?違いと対処法を徹底解説』の記事が参考になります。

3. 漏電遮断器が落ちる場合

分電盤の真ん中あたりにある、黄色や赤のボタンがついているブレーカーが落ちる場合です。

  • 原因:家電の故障や配線のショート(漏電)。
  • 対策:これは電気の使いすぎではありません。どこかで電気が漏れている危険な状態です。無理に上げようとせず、私たちのような電気工事店にご相談ください。

特にオール電化住宅では、エコキュートなどの機器トラブルが原因になることもあります。詳しい原因については『オール電化住宅で60Aのブレーカーが落ちる?原因と解決策を解説』の記事でも解説しています。

基本料金は平均でどれくらいかかる?

契約アンペアを見直す際、やはり一番気になるのは「毎月の固定費(基本料金)がいくらになるのか」という点ですよね。 60アンペアは、一般的な家庭向けプランである「従量電灯B」の中で最も大きな容量です。そのため、基本料金もそれなりに高くなります。

「ウチの地域だといくらなの?」という疑問にお答えするため、アンペア制を採用している主な電力会社の料金目安をまとめました。地域によって意外と差があることに驚かれるかもしれません。

主な電力会社の60A基本料金一覧(目安)

(参考:従量電灯B・C|電気料金プラン|東京電力エナジーパートナー

電力会社エリア60A基本料金(月額・税込)備考
北海道電力2,508円00銭この比較表の範囲では最も高い設定です。
東北電力2,217.60円(※東京電力エリアより高い傾向ですが、最新の公式単価表でご確認ください)
東京電力EP1,870.50円関東エリアの標準的な価格です。
中部電力ミライズ1,926.84円
北陸電力1,815.00円
九州電力1,897.44円
Information

※金額は2024年〜2025年時点の目安です。燃料費調整額や再エネ賦課金は含みません。 正確な料金は各電力会社の公式サイトでご確認ください。

【重要】関西・中国・四国・沖縄エリアにお住まいの方へ

関西電力、中国電力、四国電力、沖縄電力のエリアでは、アンペアごとの基本料金ではなく「最低料金制」という仕組みを採用しています。

この地域では、アンペアブレーカー(リミッター)による契約制限がなく、どれだけ電気を使っても基本料金(最低料金)が変わらない、あるいは契約容量という概念自体が異なる場合があります。

そのため、上記の表のような「60Aだからいくら」という計算は当てはまりません。「ブレーカーが落ちる」という悩みがある場合は、契約容量ではなく設備自体の容量不足の可能性があるため、管轄の電力会社や電気工事店にご相談ください。

(参考:従量電灯A|電気|関西電力 個人のお客さま

その金額は「安心料」として高いか安いか?

例えば東京電力エリアの場合、標準的な30A契約(935.25円)と比べると、60A契約(1,870.50円)は月額で約935円高くなります。年間で計算すると約11,000円の差です。

この金額をどう捉えるかは、皆様の価値観次第ですが、現場で多くのお客様を見てきた私個人としては「必要経費として十分に価値がある」と考えています。

ブレーカーが落ちると、単に電気が消えるだけではありません。

  • デスクトップパソコンの作業データが消える
  • 録画中のテレビ番組が途切れる
  • Wi-Fiルーターが再起動するまで数分間ネットが使えなくなる
  • 給湯器や家電の時刻設定がリセットされる
  • 何より、家族が「また?」とイライラする

特に在宅ワークをされている方や、デスクトップパソコンを愛用されている方にとって、ブレーカー落ちは死活問題です。

どうしても契約容量を上げられない場合や、万が一の備えとしては「UPS(無停電電源装置)」の導入も有効ですよ。

もしブレーカー作動や瞬停が起きても、UPSの容量とPCの消費電力によっては数分〜数十分程度バッテリーで稼働でき、その間に安全に保存・シャットダウンができます。

契約アンペアの見直しUPSの導入、どちらがご自身の生活スタイルや優先順位に合っているか、一度検討してみるのも良いでしょう。

月1,000円弱の追加やUPSへの投資で、これらのトラブルやストレスから解放され、ドライヤーもレンジも気兼ねなく使えるようになるなら、決して高い出費ではないはずです。

契約アンペアを上げる月額差額はコーヒー1杯分程度であり、それによってPCのデータ消失などのトラブルを防げることを訴求するイメージ画像。

「基本料金0円」の新電力という選択肢も

「60Aの容量は欲しいけれど、どうしても基本料金を安く抑えたい」という場合は、電力会社の切り替え(新電力への乗り換え)を検討するのも一つの手です。

最近では、電力会社の中には基本料金(または固定費)が低いプランもあります。ただし、料金体系は頻繁に見直されており、新電力でも固定費が設定されているプランが増えています

検討する際は、基本料金(固定費)と電力量単価(kWh単価)を、必ず最新の公式情報で確認したうえでシミュレーションしてください。

60アンペアで使える家電を世帯別にシミュレーション

ここからは、家族構成や住まいのタイプ別に、60アンペア契約が「適正」なのか、「余裕がある」のか、それとも「足りない」のかを具体的にシミュレーションしていきます。ご自身の状況に近いものをチェックしてみてください。

二人暮らし、4人家族(ガス併用)、4人家族(オール電化)、EVありの各世帯タイプに対し、60A契約が「余裕」「最適」「不足」のどれに当たるかを判定した表。

一般家庭や戸建てにおける4人家族の目安

戸建て住宅にお住まいの4人家族(例えばご夫婦+お子様2人)の場合、60アンペアは最も推奨される「安心の黄金スペック」と言えます。

私たちが現場で電気工事の相談を受ける際も、この条件であれば「まずは60Aにしておけば間違いありません」と太鼓判を押すことが多いです。

なぜ60Aが最適解なのか、そしてどのような場面で「余裕」や「限界」を感じるのか、生活シーンに合わせて具体的に解説していきましょう。

ガス併用住宅なら「最強」の組み合わせ

もしお住まいが、キッチン(コンロ)やお風呂(給湯器)にガスを使っている「ガス併用住宅」であれば、60アンペアは非常に強力です。

家庭内で最もエネルギーを消費するのは「お湯を沸かすこと」と「食材を加熱すること」です。この2大エネルギー源をガスが担ってくれているおかげで、電気契約の60Aは、ほぼすべてを「エアコン(空調)」と「生活家電」に振り向けることができます。

ガス併用×60Aの余裕度イメージ
  • リビング
    大型エアコン+テレビ+ホットカーペット
  • 子供部屋A
    エアコン+ゲーミングPC+照明
  • 子供部屋B
    エアコン+スマホ充電+照明
  • キッチン
    電子レンジ+炊飯器+冷蔵庫

これらをすべて同時に使っても、まだブレーカーは落ちません。 50A契約だと、ここで誰かがドライヤーを使った瞬間にアウトになるラインですが、60Aならその「あと一押し」を受け止めるだけの余力があります。

子供の成長と「個室需要」の変化に注意

お子様が小さいうちは家族全員がリビングに集まっていることが多いため、電気の使われ方もシンプルです。しかし、中学生・高校生になると生活スタイルが一変します。

  • 個室での滞在時間増加
    それぞれの部屋でエアコンと照明、パソコンなどが長時間稼働します。
  • ドライヤー時間の増加・重複
    朝の通学前や夜の入浴後、洗面所が混み合い、ドライヤーやヘアアイロンの使用時間が長くなります。
  • 夜型の生活
    親が寝た後も子供部屋の電気がついている、といった状況が増えます。

こうした変化があっても、60A契約であれば対応できるケースがほとんどです。「誰かが我慢する」というストレスを感じずに生活できるギリギリのラインではなく、ある程度の「無茶」が効くライン、それが60Aだと思ってください。

50Aでは厳しい理由

「節約のために50Aにしたい」というご相談も受けますが、4人家族の戸建てで50Aにすると、冬場の朝晩に「ドライヤーを使うからヒーターを消して!」といった家族間の調整が必要になる場面が増えます。

月額数百円の差で、こうした家族間のプチトラブルを回避できるなら、60Aを選んでおくメリットは大きいと私は思います。

マンションや二人暮らしでどれくらい使える?

マンションやアパートでの二人暮らし(カップル、夫婦のみ)の場合、60アンペアは「かなり余裕がある(オーバースペック気味)」と言えます。

一般的な二人暮らしであれば、同時に使う家電の数も限られます。エアコンも稼働するのはせいぜい2台でしょう。私の経験上、二人暮らしなら40A、多くても50Aあれば十分快適に暮らせることがほとんどです。

もし現在、二人暮らしで60A契約をしていて、「毎月の電気代(基本料金)を少しでも安くしたい」と考えているなら、契約を40Aか50Aに下げることを検討しても良いです。年間で数千円の節約になります。

賃貸物件の注意点

賃貸マンションやアパートの場合、建物全体の電気設備の都合で、個別の部屋だけ「契約アンペアを上げられない」というケースがよくあります(下げることは可能な場合が多いです)。

逆に、60Aから一度下げてしまうと、また60Aに戻したいと思った時に「今の規定では上げられません」と断られてしまうリスクもゼロではありません。

賃貸特有のアンペア変更事情については、『賃貸でアンペア変更ができない理由と解決策を解説』の記事で詳しく解説していますので、変更手続きをする前に必ず目を通してください。

オール電化とガス併用住宅の違いと適性

ここで一番重要なポイントをお伝えします。もしこれからお住まいになる家、あるいはリフォームを検討している家が「オール電化住宅」なら、60アンペアは「最低ライン」あるいは「少し足りない」可能性があります。

オール電化では、ガスを使わない分、すべてのエネルギーを電気でまかないます。特に以下の2つの機器は計算に注意が必要です。

IHクッキングヒーター

家庭用は単相200Vで使う機種が多く、定格消費電力が5.8kWクラスの場合、電流の目安は約29A(5.8kW ÷ 200V)です。

もちろん常に最大ではありませんが、複数口+グリルを同時に使うと総消費電力が上がりやすいため、他の高負荷家電(電子レンジ・ケトル等)と重なるとブレーカーが落ちやすくなります。

エコキュート(電気給湯器)

主にお湯を沸かすのは深夜ですが、冬場にお湯切れを起こして日中に「沸き増し」をする場合、負荷がかかる点は要注意です。

ただし消費電力・電流は機種差が大きく、仕様表では単相200Vで消費電力が1〜2kW台(電流は数A〜10A前後)といったケースもあります。

正確な値は、お使いの機種の仕様書にある「定格消費電力」「定格電流」で確認してください。

4人家族でオール電化の場合、私たちは60A(従量電灯B)ではなく、6kVA〜10kVA(従量電灯Cなどの主開閉器契約)をおすすめすることが多いです。

もし60A契約のままでオール電化にする場合は、「料理中はリビングの暖房を弱める」「炊飯器は深夜か早朝にタイマーで炊く」といった、運用面での工夫が必須になると覚悟しておいた方が良いでしょう。

【要注意】EV・PHEV(電気自動車)の自宅充電を検討中の方へ

近年増えている電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)。「ガソリン代がかからないから経済的」ですが、電気の契約容量という点では最大の注意が必要です。

一般的な家庭用の普通充電(3kW級)を使用する場合でも、充電中は常に約15A〜16Aの電気が流れ続けます(AC200Vで約3.0〜3.2kW相当)。さらに、6kWの倍速充電の場合は、なんと約30Aもの電流が長時間流れ続けることになるんです。

IHクッキングヒーターが最大約29A、EV充電が30Aを占有することを示し、これらがある家庭では60Aが最低ラインになることを警告する図。

60A契約でも「6kW充電」でブレーカーが落ちやすい?

6kW(約30A)の充電器を使うと、契約が60Aあっても電気の「余裕」はかなり小さくなります。

車の充電だけで約30A取られてしまうので、残りの電力で家中の家電を動かさなければなりません。夜間に「充電しながらIHで夕食準備」「充電しながら複数台エアコン」なんて状況になると、ブレーカーが落ちやすくなってしまいます。

対策としては、充電時間を深夜にタイマー設定するなど、他の家電と同時使用を避ける工夫が有効です。また、電気の契約はアンペア(A)で決まるものだけではありません。

電力会社やプランによっては、kVAなどの考え方で契約の大きさが決まるもの(東京電力エナジーパートナーの「スマートライフ」など)もあります。

ただし、こうしたプランには設備状況などの加入条件があり、契約の決まり方も様々です。ご自宅の設備や生活スタイルに合うかどうか、事前に電力会社や私たち電気工事店へご相談ください。

40Aや50Aとの違いや上げる費用を比較

「今は40Aだけど、60Aに上げようか迷っている」という方のために、基本料金の差額目安を整理しておきましょう。

アンペア制のプランでは、10A上がるごとに基本料金が上がりますが、上げ幅は電力会社エリアで異なります(例:東京電力エリアの従量電灯Bでは10Aあたり311.75円)。

この金額をどう捉えるかですが、私個人の意見としては、「月数百円でストレスフリーな生活が買えるなら安い」と思います。

ドライヤーを使うたびに「テレビ消して!」「レンジ止めて!」と家族に叫んだり、パソコンで作業中に突然プツンと切れてデータが飛んだりするリスクを考えれば、60Aに上げてしまうのが精神衛生上もおすすめです。

逆に、一人暮らしの方で30A契約をしていて頻繁に落ちるなら、まずは40Aに上げるだけでも劇的に改善します。いきなり60Aにする必要はありません。

アンペア変更にかかる工事費と手続きの流れ

「契約を変えるのって、大掛かりな工事が必要でお金もかかるんでしょ?」と心配されるお客様も多いですが、アンペア変更はスマートメーターの遠隔設定などで対応できる範囲なら、費用がかからないケースも多いです。

実際に電気容量の不足を解消するために行った工事の様子については、『寒川町で安心快適な電気工事!ご家庭の電気容量不足を解消するアンペア変更工事例』の施工事例も参考にしてみてください。

寒川町で安心快適な電気工事!ご家庭の電気容量不足を解消するアンペア変更工事例 | 横浜電気工事レスキュー↗

「じゃあウチの場合は無料なの?有料なの?」と気になった方は、『アンペア変更工事の費用はいくら?基本無料?料金相場を解説』の記事で費用の相場や無料になる条件を詳しく解説していますので、ぜひ確認してみてください。

スマートメーター設置済みか、幹線の太さは十分かによって、電力会社への連絡だけで済むか電気工事店への依頼が必要かを判断するフローチャート。

工事が必要なケースとは?

ただし、以下のようなケースでは、私たちのような電気工事店による物理的な工事(有料)が必要になります。

引き込み線(幹線)が細い場合

家に入ってきている電線が細く、60Aの大電流に耐えられない場合、電線の張り替えが必要です。

分電盤の交換が必要な場合

古い分電盤で、60A対応のブレーカーが取り付けられない場合や、回路数を増やしたい場合など。

実際に老朽化した分電盤を交換して容量不足を解消した事例については、『パナソニック製で快適・安全に!老朽化と容量不足に対応した相模原市の分電盤交換工事例』の記事が参考になります。

マンションの規定制限

マンション全体の変電設備の容量不足で、各戸の上限が決まっている場合(これは工事でも解決できないことがあります)。

特に戸建てで「昔からの30A契約だったのを、一気に60Aにしたい」というような場合は、幹線の張り替えが必要になることが多いです。

具体的な工事の内容や申請手順については、プロの視点で詳しく解説した記事の 『認定電気工事店で行なうアンペア変更の基礎と申請の全手順をご紹介』がありますので、そちらも参考にしてください。

60アンペアで使える家電を知り快適に暮らす

ここまで、60アンペアという契約容量について、計算方法や具体的な家電の組み合わせ、ブレーカー対策などを詳しくお話ししてきました。

結論として、60アンペアは現代の一般的な家庭生活において、非常にバランスの取れた「安心の基準」となる容量です。

特にガス併用住宅にお住まいの方であれば、よほど特殊な使い方をしない限り、ブレーカーが落ちる恐怖におびえることなく、ストレスフリーで快適に過ごせる十分な余裕があります。

一方で、オール電化住宅や二世帯住宅、あるいは大型エアコンを全部屋でフル稼働させるようなライフスタイルの場合は、60Aが「限界ライン」になることも事実です。

しかし、だからといってすぐに高額な契約変更をしなければならないわけではありません。

大切なのは、単にアンペア数を上げることだけでなく、ご自身の家族が「いつ」「どの家電を」同時に使っているかという生活リズムを把握することです。

  • 「ドライヤーを使う時は、電子レンジが終わってからにする」
  • 「冬場の朝、エアコンは起床時間の15分前から1台ずつ順次タイマーで入れる」
  • 「炊飯器の保温は切って、食べる直前に電子レンジで温める運用にする」

こうしたちょっとした「ピークシフト(時間の分散)」のコツを家族全員で共有し、実践するだけで、今の60アンペアのままでも驚くほど快適に、そして電気代を抑えながら暮らすことができます。

家電を使う時間をずらす「ピークシフト」、エアコンの「タイマー活用」、家族での「ルール共有」という3つの対策ポイントをまとめた図。

横浜・川崎・東京都南部エリアで業者をお探しの方へ

電気の使い方を見直すことは、ブレーカー対策になるだけでなく、結果として無駄な電気を使わない「省エネ」にもつながります。

アンペア変更は「電気の健康診断」の良い機会です

もし「60アンペアに上げたい」あるいは「古い分電盤が心配」と感じているなら、ぜひ一度ご相談ください。

契約変更の工事は、長年使い続けた分電盤や配線に異常がないか、プロの目でチェックする絶好のタイミングでもあります。

今回の記事を参考に、賢く電気を使って、ブレーカー落ちのストレスがない毎日を送ってくださいね。

もし「うちの場合は60Aで足りるのかな?」「設備が古くてアンペア変更できるか心配」といった疑問があれば、いつでも横浜電気工事レスキューにご相談ください。

私たちは横浜を中心とした地域密着の電気工事店です。

マニュアル通りの対応ではなく、お客様一軒一軒の暮らしに合わせた最適なプランを、親身になってご提案させていただきます。

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