IHガラス割れの修理費用は?交換との比較と保険活用法

毎日使うIHクッキングヒーターのトッププレートに、突然のひび割れ。「パリン」という聞きたくない音とともに、目の前に広がる亀裂を見て、多くの方が言葉を失うことでしょう。
そんな時、「このままで、割れたまま使うのは危険?」「IHのガラスが割れた場合の修理費用は一体いくらかかるの?」「修理代の相場が知りたいけど、どこに連絡すれば…」といった不安や疑問が次々と浮かんでくるはずです。
特に、ご自宅のクッキングヒーターがパナソニックや日立、三菱といった主要メーカーの製品の場合、メーカーや機種によって費用が異なるため、ご自身のケースではいくらかかるのか不安になることでしょう。
また、賃貸物件にお住まいであれば大家さんとの費用負担の問題も発生します。
さらに、保証や火災保険が使えるのか、あるいは交換を自分でDIYできないものかと考える方もいるかもしれません。
しかし、焦りからくる自己判断は、さらなるトラブルを招く可能性があります。信頼できる業者に見積もりを取るにしても、まずは正しい知識を身につけ、冷静に行動することが何よりも重要です。
この記事では、そんな緊急事態に直面したあなたが、状況を正確に把握し、最も賢明な選択を下せるよう、必要な情報を一つひとつ丁寧に、そして網羅的に解説していきます。
記事のポイント
- ガラスが割れた際の正しい初期対応と絶対にしてはいけないこと
- 修理と本体交換にかかるリアルな費用相場とその判断基準
- パナソニック・日立・三菱など主要メーカー別の料金目安
- 修理費用を抑えるための火災保険の活用法と賃貸物件での注意点
- 1. IHのガラスが割れた!まず知るべき修理費用と危険性
- 1.1. 割れたまま使うことの重大なリスク
- 1.1.1. 感電やショート、火災の危険
- 1.1.2. 怪我やさらなる破損の危険
- 1.1.3. 【最重要】安全のための初期対応手順
- 1.2. トッププレートの軽いひび割れでも放置NG
- 1.3. クッキングヒーターの修理か交換かの判断基準
- 1.3.1. 長期的な視点(ライフサイクルコスト)も忘れずに
- 1.4. 気になる修理代の相場はいくら?
- 1.4.1. 見積もりだけでも費用が発生する「診断料」に注意
- 1.5. 交換を自分でDIYするのは絶対にNG
- 1.5.1. DIYがプロ以外に不可能な3つの理由
- 1.5.1.1. ⒈電気工事士の資格が必須です
- 1.5.1.2. ⒉感電・火災のリスクが常に伴います
- 1.5.1.3. ⒊重量物による二次被害のリスク
- 2. IHのガラスが割れた際に修理費用を抑える必須知識
- 2.1. 修理の依頼はどこに連絡すればいい?
- 2.1.1. ① 購入した販売店(家電量販店や工務店など)
- 2.1.2. ② メーカーの修理相談窓口
- 2.1.3. ③ 電気工事店・リフォーム会社
- 2.1.4. 連絡前の準備で問い合わせをスムーズに!
- 2.2. パナソニック・日立・三菱の料金比較
- 2.3. 保証や火災保険が適用される条件とは
- 2.3.1. ① メーカー保証・延長保証の確認
- 2.3.2. ② 火災保険の「破損・汚損」特約の活用
- 2.3.3. 火災保険適用のチェックポイントと流れ
- 2.3.3.1. ⒈保険証券の確認
- 2.3.3.2. ⒉補償対象の確認
- 2.3.3.3. ⒊保険会社へ連絡
- 2.3.3.4. ⒋必要書類の準備
- 2.3.4. 免責金額(自己負担額)の存在に注意
- 2.4. 賃貸物件での費用負担と対処法
- 2.4.1. 費用負担の原則は「入居者の過失」
- 2.4.2. 知っておきたい「経年劣化」と費用負担の考え方
- 2.4.2.1. 【具体的な負担額の計算例】
- 2.5. 優良な業者選びと見積もりのポイント
- 2.5.1. ① 必須資格の有無を確認する
- 2.5.2. ② 豊富な施工実績と利用者の評判
- 2.5.3. ③ 詳細で透明性のある見積書
- 2.5.4. ④ 必ず「相見積もり」で比較検討する
- 2.6. IHのガラスが割れた場合の修理費用と対策の総まとめ
IHのガラスが割れた!まず知るべき修理費用と危険性
- 割れたまま使うことの重大なリスク
- トッププレートの軽いひび割れでも放置NG
- クッキングヒーターの修理か交換かの判断基準
- 気になる修理代の相場はいくら?
- 交換を自分でDIYするのは絶対にNG
割れたまま使うことの重大なリスク
結論から言うと、ガラス天板が割れたり、ひびが入ったりしたIHクッキングヒーターをそのまま使い続けるのは絶対にやめてください。
見た目以上に重大なリスクが潜んでおり、ご自身やご家族を危険に晒すことになりかねません。その利便性の裏側には、高電圧の電気が流れていることを忘れてはいけません。
主なリスクは、大きく分けて以下の2つに分類されます。
感電やショート、火災の危険
最大の危険は、ひび割れ部分から水分が内部に侵入することです。トッププレートは、内部の精密な電気回路や電子部品を保護する重要な役割を担っています。
この保護層が破れることで、調理中の吹きこぼれや、清掃時のわずかな水分でさえも内部に簡単に到達してしまいます。
水分が電気系統に触れると、部品がショートし、修理不可能なほどの致命的な故障を引き起こす原因となります。
それだけでなく、漏電による感電事故や、内部ショートが原因の火災に発展する可能性も否定できず、命に関わる事態も十分に考えられるのです。
怪我やさらなる破損の危険
割れたガラスの断面は、私たちが思う以上に鋭利な刃物のようになっており、不意に触れると深く手を切るなどの怪我につながる恐れがあります。
また、ひびが入った状態で加熱と冷却を繰り返すと、ガラスの膨張と収縮の力によって亀裂が予期せず拡大し、ある日突然、大きな音と共にガラスが砕け散ることもあります。
特に高温の油を使っている最中などにガラス片が飛散すれば、火傷や怪我など、重篤な事故につながるリスクが格段に高まります。
メーカーもトッププレートに割れなどの異常がある場合は、直ちに使用を中止するように、取扱説明書や公式FAQで明記しています。(参考:パナソニック「トッププレート(ガラス)が割れた場合の対応」)

【最重要】安全のための初期対応手順
万が一ガラスが割れてしまった場合は、パニックにならず、以下の手順を必ず実行してください。
- 使用の即時中止
調理中であれば、すぐに全ての加熱を停止します。 - 本体電源のOFF
IHクッキングヒーター本体にある主電源スイッチを操作し、電源を完全にオフにします。 - ブレーカーの遮断
ご家庭の分電盤(ブレーカーボックス)を確認し、IHクッキングヒーター専用のブレーカーを「切(OFF)」の位置にしてください。これにより、機器への電力供給が完全に遮断され、感電事故を防ぐための最も重要な安全確保ができます。
トッププレートの軽いひび割れでも放置NG
「端が少し欠けただけだから大丈夫だろう」「うっすらと線が入っているだけだから、まだ使えるだろう」といった楽観的な考えは非常に危険です。
たとえ軽いひび割れに見えても、その危険性に変わりはなく、放置することは絶対にやめてください。
IHクッキングヒーターに採用されているガラスセラミック製のトッププレートは、高い耐熱性を誇る一方で、一度傷がつくと物理的な衝撃に対して極端に脆くなる特性を持っています。
表面に目に見えないほどの微細な傷がついただけでも、ガラス全体の強度は大きく低下してしまうのです。
一度ひびが入った状態では、次回の調理で少し重い鍋を置いた際の衝撃や、急激な温度変化によって、その亀裂が一気に全体へと広がる可能性があります。
また、「これくらいの隙間なら水は入らないだろう」と考えるのも間違いです。
ごくわずかな隙間であっても、表面張力によって水分が引き込まれる「毛細管現象」によって、想像以上に水分は内部へと侵入していきます。
内部でゆっくりとサビや金属部分の腐食が進行し、ある日突然、電子基板の致命的な故障を引き起こす原因となるのです。
「まだ使えるかも」という油断や、「修理代が高そうだから…」という気持ちで対応を先延ばしにすることが、結果的に数万円も高い修理費用や、取り返しのつかない事故につながるケースは後を絶ちません。
安全を最優先し、破損が確認された時点ですぐに専門家へ相談しましょう。

クッキングヒーターの修理か交換かの判断基準
IHクッキングヒーターのトッププレートが割れた際、多くの人が直面するのが「部分的な修理で済ませるか」それとも「本体ごと新品に交換するか」という大きな選択です。
この判断は、感情や目先の費用だけで決めるのではなく、「使用年数」と「修理費用と新品価格のバランス」という2つの客観的な基準で考えるのが合理的です。
まず、重要な指標となるのが製品の寿命です。一般的に、IHクッキングヒーターの設計上の標準使用期間(寿命)は約10年とされています。(参考:パナソニック「IH機器の耐久年数はどのくらいですか」)
この10年という期間を一つの大きな節目として、以下の比較表を参考に、ご自身の状況に合った最適な選択肢を検討してみてください。
判断項目 | 修理がおすすめのケース | 交換がおすすめのケース |
---|---|---|
使用年数 | 購入から5年~7年未満と比較的新しい場合。 | 8年~10年以上経過し、製品寿命が近い場合。 |
故障の状態 | 今回のガラス割れ以外に、特に不具合を感じていない場合。 | 他にも不具合(火力が弱い、ボタンの反応が悪い、異音がするなど)がある、または過去に別の箇所を修理した経験がある場合。 |
費用対効果 | 修理費用が、同等クラスの新品本体価格の50%未満で収まる場合。 | 修理費用が、同等クラスの新品本体価格の60%以上になる場合。 |
求める機能 | 現在の機能で特に不満はなく、使い慣れたものが良い場合。 | 最新の省エネ性能や、スマートフォン連携、便利な自動調理機能などに魅力を感じる場合。 |
長期的な視点(ライフサイクルコスト)も忘れずに
忘れてはならないのが、長期的な視点です。
例えば、使用年数が8年を超えている場合、たとえ今回はトッププレートの修理だけで済んだとしても、近い将来に加熱コイル(ヒーター)や制御基盤といった他の主要部品が寿命を迎え、再び高額な修理費用が発生する可能性が非常に高いです。
その結果、「最初から交換しておけばよかった」と後悔することになりかねません。
目先の費用だけでなく、今後数年間の維持費を含めた「ライフサイクルコスト」を考えて判断することが、最終的に最も経済的な選択につながります。

気になる修理代の相場はいくら?
実際に修理を依頼するとなると、最も気になるのが費用です。IHクッキングヒーターの修理代は、主に「部品代」、「技術料(作業費)」、そして技術者が自宅まで訪問するための「出張料」の3つの合計で決まります。
破損で最も多いトッププレート(ガラス天板)交換の費用相場は、メーカーや機種、サイズ、地域によって異なります。公式の目安として、三菱電機は約29,700〜42,900円(税込)、日立は約48,000〜72,000円(税込)と公表しています。
一方、パナソニックは一律の金額は公開せず、型番を入力して個別見積を提示する方式です。
特に、メーカーに直接修理を依頼する場合、純正部品の安心感がある一方で、部品代や技術料が町の修理業者よりも高めに設定されている傾向が見られます。
以下に、修理内容ごとの費用相場を一覧にまとめましたので、ご自身の状況と照らし合わせて参考にしてください。
修理内容 | 費用相場の目安(税込) | どのような時にこの修理になるか | 備考 |
---|---|---|---|
トッププレート(ガラス)交換 | 約29,700円〜42,900円(三菱)/約48,000円〜72,000円(日立)/パナソニックは機種別見積 | 天板のひび割れ、欠け、深い傷など。メーカーや機種、サイズ(60cm/75cm)により変動。 | (参考:三菱電機「修理料金の目安<IHクッキングヒーター>」) |
ヒーター(加熱コイル)交換 | 約15,000円〜35,000円(メーカー・機種により異なる) | 左右どちらか片側のIHが加熱しない、火力が極端に弱い場合など。 | メーカー公表値の一例:三菱電機 約22,000〜33,000円前後 |
制御基板の交換 | 表示部基板:約15,400〜27,500円(三菱) 制御キバン:約45,000〜55,000円(日立) インバーター基板:約54,000〜79,000円(日立) | 電源が入らない、操作しても反応がない、エラー表示が消えないなど電気系統のトラブル。 | (参考:三菱電機「修理料金の目安<IHクッキングヒーター>」) |
グリル部分の修理・交換 | 約15,000円〜63,000円(メーカー・機種により異なる) | グリルのヒーターが加熱しない、温度センサー異常、扉破損など。 | 例:日立 グリルヒーター交換 約20,000〜35,000円前後 |
電源ボタン・表示パネル交換 | 約10,000円〜60,000円(メーカー・機種により異なる) | ボタンが反応しない、液晶表示が欠ける・映らないなどの操作パネル不具合。 | 例:三菱 表示部基板 約15,400〜27,500円 |
見積もりだけでも費用が発生する「診断料」に注意
修理を正式に依頼する前に、まずは見積もりを取りたいと考えるのが普通です。
修理を依頼する前に見積もりだけを取る場合でも、メーカーや業者によっては「診断料」や「出張料」が発生します。
例えば、日立は出張修理で修理をキャンセルした場合、診断料と出張料の合計として5,830円(税込)が発生すると明示しています。(参考:家電製品の修理サービス | 日立の家電品)
この料金は修理をキャンセルした場合にもかかることがあり、日立など他メーカーも同様の体系を採用しています。
電話で問い合わせる際に、修理をキャンセルした場合の料金体系について、事前に必ず確認しておくようにしましょう。

交換を自分でDIYするのは絶対にNG
インターネットで検索すると、交換用のトッププレート部品が販売されているのを見かけることがあります。
これを見て、「部品だけ購入して自分で交換すれば、修理費用を大幅に節約できるのでは?」と考える方もいるかもしれません。
しかし、その考えは非常に危険です。IHクッキングヒーターの交換や修理を自分で行う(DIYする)のは、法的な側面と安全性の両面から絶対にやめてください。
DIYがプロ以外に不可能な3つの理由
⒈電気工事士の資格が必須です
キッチンに埋め込まれているビルトインタイプのIHクッキングヒーターの交換は、電源の配線を直接扱う「電気工事」にあたります。
そのため、この作業は法律(電気工事士法)により、「第二種電気工事士」以上の国家資格を持つ人でなければできません。無資格での作業は法律違反となるだけでなく、感電や火災を引き起こす危険な行為です。
コンセントにプラグを差し込むだけで設置できる「置き型」タイプと異なり、ビルトインタイプの自己判断での交換は絶対にやめてください。
メーカーも安全性と保証維持の観点から、有資格者以外による分解・交換を固く禁止しています。
無資格や非推奨の作業を行えば、感電・火災の危険だけでなく、保証の失効や事故時の責任発生につながるため、必ず資格を持つ専門業者へ依頼してください。
参考:【ビルトインIH】IHクッキングヒーター設置上の注意を教えてください(電気工事に関して)
⒉感電・火災のリスクが常に伴います
専門知識なしに内部の複雑な配線に触れることは、感電やショート、そして火災の原因に直結します。
正しい手順でアース(接地)を接続しなかったり、配線を間違えたりすれば、機器の故障だけでなく、家全体を巻き込む大きな事故につながりかねません。
⒊重量物による二次被害のリスク
IHクッキングヒーター本体の重量は、機種によっては20kg~30kgにもなります。これを一人でキッチンから取り外したり、設置したりするのは非常に困難です。
作業中に誤って本体や購入したばかりの新しいトッププレートを落とした場合、部品代が二重にかかる恐れがあります。
さらに、キッチンの床やカウンターまで傷つけてしまうと、追加の修理費用が発生するという最悪の事態も考えられます。
安全かつ確実に修理・交換を行うためには、費用がかかったとしても、必ず資格を持った専門の業者に依頼することが唯一の正しい選択です。

IHのガラスが割れた際に修理費用を抑える必須知識
- 修理の依頼はどこに連絡すればいい?
- パナソニック・日立・三菱の料金比較
- 保証や火災保険が適用される条件とは
- 賃貸物件での費用負担と対処法
- 優良な業者選びと見積もりのポイント
修理の依頼はどこに連絡すればいい?
いざ修理をしようと決めた時、「一体どこに電話すれば良いのだろう?」と迷うかもしれません。
IHクッキングヒーターの修理を依頼する場合、主な選択肢は「①購入した販売店」、「②メーカーの修理窓口」、「③地域の修理専門業者・リフォーム会社」の3つです。
どこに連絡すべきかは、保証期間が残っているか、費用と安心感のどちらを重視するかによって最適な選択肢が変わってきます。
① 購入した販売店(家電量販店や工務店など)
家電量販店などで独自の延長保証に加入している場合は、まず購入したお店に連絡するのが基本中の基本です。
メーカーの1年保証が切れていても、販売店の延長保証の範囲内で無償または安価に修理できる可能性があります。まずは購入時の保証書を確認し、連絡先を調べてみましょう。
新築時に設置した場合は、家を建てた工務店やハウスメーカーが窓口になることもあります。
② メーカーの修理相談窓口
「やはりメーカー純正部品を使った確実な修理が一番安心」と考える方には、各メーカーの修理相談窓口への直接依頼がおすすめです。
自社製品の構造を熟知した専門技術者が対応してくれるため、最も信頼性が高い方法と言えます。
ただし、後述するように、費用は地域の修理業者に比べて高くなる傾向があることは念頭に置いておく必要があります。
③ 電気工事店・リフォーム会社
「費用を少しでも抑えたい」場合に検討したいのが、地域で活動している電気工事店やリフォーム会社です。
メーカーを介さない分、中間マージンが発生せず、修理費用を安く抑えられることが多く、また、スケジュールが合えば迅速に対応してくれることもあります。
ただし、業者によって技術力や対応品質に差があるため、信頼できる業者を慎重に選ぶ「目」が求められます。
横浜・川崎・東京都南部エリアで業者をお探しの方へ
この記事を執筆している私、天谷 富士夫が所属する「横浜電気工事レスキュー」でも、IHクッキングヒーターの交換・取付工事を承っております。
この記事でも解説した「第二種電気工事士」の資格を持つプロが安全・確実な工事をお約束しますので、お困りの際はぜひ選択肢の一つとしてご検討ください。
連絡前の準備で問い合わせをスムーズに!
どこに連絡する場合でも、事前にIHクッキングヒーターの「品番(型番)」と「製造番号」を調べてメモしておくと、オペレーターとの話が非常にスムーズに進みます。
品番は本体の正面下部や側面、グリル扉の内側、あるいは取扱説明書や保証書に記載されています。
また、破損状況が具体的にわかる写真をスマートフォンで何枚か撮っておくことも、状況を正確に伝える上で非常に有効です。

パナソニック・日立・三菱の料金比較
修理費用、特に交換部品代は、お使いのIHクッキングヒーターのメーカーによって大きく異なる場合があります。
ここでは、国内で高いシェアを誇る主要メーカーであるパナソニック、日立、三菱電機の3社について、公式サイトで公表されている修理料金の目安を比較してみましょう。
特に、最も依頼が多くなるであろうトッププレート(ガラス)の交換費用に注目すると、メーカーごとの価格設定の違いがはっきりと見えてきます。
修理を検討する際の重要な判断材料としてください。
メーカー | トッププレート交換費用(目安) | 制御基盤交換費用(目安) | 特徴・備考 |
---|---|---|---|
パナソニック | 金額の一括公開なし | 金額の一括公開なし | パナソニックは、IHクッキングヒーターの修理料金を一律で公表しておらず、公式サイトの「修理診断ナビ」で品番と症状を入力することで、症状別の修理料金目安を確認できる仕組みです。(参考:パナソニック「修理診断ナビ 修理料金の目安」) |
日立 | 約48,000円~72,000円 | 約45,000円~55,000円 | 公式サイトで公表されているトッププレート交換費用の目安が、他メーカーと比較して高めの価格帯に設定されています。このため、日立製品の修理を検討する際は、新品への交換費用と慎重に比較することが特に重要になります。(参照:日立公式サイト 修理料金の目安) |
三菱電機 | 約29,700円~42,900円 | 約15,400円~27,500円 | パナソニックと並び、標準的な価格帯です。出張料込みの概算料金をWebで公開しており、費用のイメージがつきやすいです。(参照:三菱電機公式サイト 修理料金の目安) |
ご覧の通り、メーカーによって数万円単位で費用が変わることがお分かりいただけると思います。これは各社の部品価格や技術料の設定が異なるためです。
修理を依頼する前には、必ずお使いの機種のメーカー公式サイトで最新の料金目安を確認し、後述する地域の修理業者の見積もりと比較検討することが、費用を抑えるための鍵となります。

保証や火災保険が適用される条件とは
「修理代が思ったより高額で支払えない…」そんな時に、大きな助けとなるのが「保証制度」や「火災保険」です。
これらを活用することで、高額な修理費用の自己負担を大幅に軽減できる可能性がありますので、諦める前に必ず確認しましょう。
① メーカー保証・延長保証の確認
まず最初に確認したいのが、製品に付帯する保証書の存在です。
- メーカー保証:新品購入から1年間が基本的な保証期間です。期間内であれば、取扱説明書に沿った正常な使用状態での自然故障(経年劣化など)は無償修理の対象となります。
- 延長保証:家電量販店やハウスメーカーなどで購入・設置する際に加入する有料の保証サービスです。3年、5年、8年、10年といった長期保証に加入している可能性も十分にありますので、購入時の契約書類一式を今一度確認してみましょう。
- メーカー保証
- 新品購入から1年間が基本的な保証期間です。期間内であれば、取扱説明書に沿った正常な使用状態での自然故障(経年劣化など)は無償修理の対象となります。
- 延長保証
- 家電量販店やハウスメーカーなどで購入・設置する際に加入する有料の保証サービスです。
- 年、5年、8年、10年といった長期保証に加入している可能性も十分にありますので、購入時の契約書類一式を今一度確認してみましょう。
ただし、残念ながら、鍋を落とした、物をぶつけたといったご自身の過失による物理的な破損は、たとえ保証期間内であっても有償修理となるケースがほとんどです。
そんな時にこそ、次の火災保険が役立ちます。
② 火災保険の「破損・汚損」特約の活用
ご自身のうっかりミスでガラスを割ってしまった場合に、大きな助けとなるのが火災保険です。
「火災保険は火事の時だけ」と思われがちですが、実は多くの火災保険契約には、「不測かつ突発的な事故による破損・汚損」を補償する特約が付帯しています。
「調理中に棚からスパイスの瓶を落として天板が割れてしまった」というような偶然の事故は、まさにこの補償の典型的な適用例です。
諦めてしまう前に、ご自身の保険証券を確認してみてください。
火災保険適用のチェックポイントと流れ
⒈保険証券の確認
ご自身の火災保険契約に「破損、汚損等」の補償が含まれているかを確認します。
⒉補償対象の確認
多くの火災保険では、住宅に固着・組み込まれた設備(ビルトインIHクッキングヒーターなど)は「建物」に分類され、据置型や持ち運び可能な電化製品は「家財」に分類されます。
ただし、分類基準は保険会社や契約内容によって異なります。
必ずご自身の契約書や保険約款で「建物の範囲」「家財の範囲」の定義を確認してください。(参考:東京海上日動「建物・家財の範囲」、ソニー損保「火災保険の建物と家財の違い」)
⒊保険会社へ連絡
【最重要】修理業者を手配する前に、まず契約している保険会社か保険代理店に事故の発生を連絡します。担当者の指示に従って手続きを進めることが重要です。
⒋必要書類の準備
通常、「保険金請求書」「修理業者の見積書」「破損状況がわかる写真」の3点が必要になります。
免責金額(自己負担額)の存在に注意
保険が適用される場合でも、多くの場合、契約時に設定した「免責金額(自己負担額)」を支払う必要があります。
これは「損害額のうち、この金額まではご自身で負担してください」というもので、例えば0円、1万円、3万円、5万円などに設定されています。
仮に、免責金額が3万円の契約で修理費用が6万円だった場合、受け取れる保険金は差額の3万円です。
修理費用が免責金額を下回る場合は、保険を使っても自己負担額は変わらないため、申請するメリットはありませんのでご注意ください。

賃貸物件での費用負担と対処法
賃貸マンションやアパートにお住まいの場合、キッチンに備え付けられているIHクッキングヒーターは、大家さんの所有物(設備)にあたります。
そのため、万が一破損してしまった際の対応は、持ち家の場合とは全く異なります。誤った手順を踏むと、思わぬトラブルに発展しかねません。
最も重要なルールは、破損に気づいた時点で、自己判断で修理業者を手配せず、まず大家さんや物件の管理会社に連絡・相談することです。
これを怠り、勝手に修理を進めてしまうと、その費用を全額自己負担しなければならなくなる可能性が非常に高いです。
費用負担の原則は「入居者の過失」
原則として、入居者の故意または過失によって設備を壊してしまった場合の修理費用は、入居者(借主)の負担となります。
「物を落としてガラスを割ってしまった」というケースは、残念ながらこの「過失」に該当します。
しかし、「修理代を全額請求される」と決まったわけではありません。ここで入居者を守るための重要な考え方が「経年劣化・減価償却」です。
知っておきたい「経年劣化」と費用負担の考え方
国土交通省が公表している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、設備の価値は年数が経つにつれて直線的に減少していくと考えられています。
このガイドラインでは、賃貸物件の設備等の耐用年数について、税法上の考え方を参考にすることが一般的です。
IHクッキングヒーターのような「器具・備品」に分類される設備の法定耐用年数は6年とされています。 これは、「6年経てばその設備の市場価値はほぼなくなる」と考える目安です。
入居者は、新品価格に対してではなく、破損時点でのその設備の残存価値に対してのみ、責任を負うことになります。
【具体的な負担額の計算例】
新品への交換費用が80,000円のIH(耐用年数6年)が、入居者さんの過失により、設置から4年が経過した時点で破損してしまった場合…
- 経過年数:4年
- 残存価値の割合: (6年 - 4年) ÷ 6年 = 2/6 = 約33%
- 借主が負担すべき上限額の目安: 80,000円 × 33% = 約26,400円
このように、たとえ交換費用が8万円かかったとしても、入居者の負担額は理論上26,400円が上限となります。
この考え方を知っておけば、万が一、管理会社から修理費用の全額を請求された場合でも、冷静に交渉するための強力な根拠となります。
まずは正直に状況を報告し、費用負担についてしっかりと相談しましょう。

優良な業者選びと見積もりのポイント
メーカー保証が切れており、費用を少しでも抑えたい場合、地域の修理専門業者に依頼するのは有効な選択肢です。
しかし、インターネット上には数多くの業者が存在し、どこに頼めば良いか迷ってしまうことでしょう。
安さだけで選んでしまい、ずさんな工事や後々のトラブルにつながるケースも少なくありません。信頼できる優良な業者をいかに見つけるかが、修理成功の鍵となります。
業者選びと見積もり依頼の際は、以下の4つの重要なポイントを必ずチェックし、慎重に判断してください。
① 必須資格の有無を確認する
何度か触れていますが、ビルトインIHクッキングヒーターの設置・交換工事には「第二種電気工事士」の国家資格が法律で必要です。
業者の公式サイトの会社概要や事業内容のページで、資格保有者が在籍していることを必ず確認してください。この記載がない業者は避けるのが賢明です。
② 豊富な施工実績と利用者の評判
その業者の公式サイトで、IHクッキングヒーターに関する施工実績が豊富に掲載されているかを確認しましょう。
多くの事例を写真付きで紹介している業者は、それだけ経験が豊富である証拠です。
また、Googleマップの口コミや、地域の情報サイト、リフォーム関連の比較サイトなどで、実際にその業者を利用した人の第三者からの客観的な評判を調べることも非常に有効です。
③ 詳細で透明性のある見積書
信頼できる業者は、明朗会計を心がけています。
「工事一式 ○○円」のような大雑把な見積もりではなく、「部品代」「基本技術料」「出張費」「既存機器の廃棄処分費」など、項目ごとに料金が詳細に記載された見積書を提示してくれます。
また、見積もり以外の追加料金が発生する可能性があるか、その条件は何かについても、契約前に必ず書面で確認しておくことが後のトラブルを防ぎます。
④ 必ず「相見積もり」で比較検討する
最も重要で、かつ効果的なのが、複数の業者から見積もりを取る「相見積もり」です。
少し手間はかかりますが、その価値は十分にあります。最低でも2~3社から見積もりを取ることで、ご自身のケースの適正な料金相場を把握することができます。
それだけでなく、料金を比較するのはもちろんのこと、電話やメールでの問い合わせに対する担当者の対応の丁寧さ、質問に対する回答の的確さ、専門知識のレベルといった、価格以外の重要な要素を比較検討することが可能になります。
これにより、ご自身の状況に最も合った、心から納得のいく業者を選ぶことができるのです。
相見積もりを依頼する際は、「他社さんにも見積もりをお願いしています」と正直に伝えることで、業者側も競争を意識し、より誠実な対応や価格提示をしてくれる可能性があります。
面倒がらずに、ぜひ実践してみてください。

IHのガラスが割れた場合の修理費用と対策の総まとめ
- IHのガラスが割れたら直ちに使用を中止しブレーカーを落とす
- 軽いひび割れでも感電や火災のリスクがあるため放置は危険
- トッププレート交換費用はメーカー・機種によって異なり、例として三菱電機は約29,700〜42,900円、日立は約48,000〜72,000円(パナソニックは機種別見積)
- 費用は部品代、技術料、出張料で構成される
- 使用年数が8年以上の場合は本体交換も視野に入れる
- DIYでの交換は資格が必要な上、非常に危険なため絶対に避ける
- 修理依頼は購入店、メーカー、専門業者のいずれかに連絡
- 連絡前に製品の型番を控えておくとスムーズ
- パナソニックや三菱に比べ日立は修理費用が高めな傾向がある
- 火災保険の「破損・汚損」特約が使える場合がある
- 保険を使う際は免責金額(自己負担額)を確認する
- 賃貸物件ではまず大家や管理会社に報告・相談する
- 賃貸での修理費用は経過年数を考慮した負担になる
- 業者選びでは複数の業者から相見積もりを取ることが重要
- 見積もりでは総額だけでなく内訳やキャンセル料も確認する