IHコンロのブレーカーが落ちる原因は?対処法と修理費用を完全解説

IHコンロのブレーカーが落ちる原因は?対処法と修理費用を完全解説

毎日のお料理に欠かせない、便利で安全なIHクッキングヒーター。ですが、調理の真っ最中に突然「パチン」という音と共にIHコンロのブレーカーが落ちてイライラした経験はありませんか。

一度電源が落ちてIHがつかない状態になると、料理は中断せざるを得ず、ご家族の食事の準備にも影響が出てしまい、本当に困りますよね。

その原因は、単純に電力の使いすぎ(容量オーバー)であることも多いですが、中には漏電や機器の故障といった、より深刻で危険な壊れる前兆を示している可能性も潜んでいます。

放置してしまうと、感電や火災といった重大な事故につながるリスクもゼロではありません。

この記事では、「IHコンロでブレーカーが落ちる」という問題に直面しているあなたが抱えるあらゆる疑問や不安を解消します。

その原因の特定から具体的な対処法、さらには専門家への依頼に至るまでを、順を追って徹底的に解説します。

ご家庭のIH専用ブレーカーはどこにあるのかという基本的な確認方法から、IHブレーカーの容量は何アンペア必要なのかを説明します。

特に30アンペア(30A)契約で運用する際の注意点や、ご自身で試せる漏電センサーの掃除場所と具体的な方法についても詳しく解説します。

さらに、トラブルの元になりやすいIHクッキングヒーターとIHグリルとの関係性や、パナソニック、日立、三菱、東芝といった主要メーカーごとの特徴も解説。

修理業者に依頼すべきタイミングや費用の目安、賃貸マンションでトラブルが発生した場合の正しい対応方法まで、あなたの状況に合わせた解決策が必ず見つかるよう、情報を網羅しています。

記事のポイント

  • IHコンロでブレーカーが落ちる3つの主な原因と見分け方
  • 初心者でもできる応急処置と家庭で確認すべき重要ポイント
  • 修理と交換、どちらが得かを見極める判断基準と詳細な費用相場
  • 賃貸物件で故障した場合に損をしないための正しい対応手順
目次

IHコンロのブレーカーが落ちる主な原因とは?

  • ブレーカーが落ちる3つの原因
  • IH 専用ブレーカーはどこにある?
  • IH ブレーカーの容量を確認しよう
  • IH クッキングヒーターとIH グリルの関係
  • 漏電センサーの掃除場所と方法
  • そもそもIH つかない時のチェック項目

ブレーカーが落ちる3つの原因

IHコンロの使用中にブレーカーが落ちてしまう場合、その現象の背後には複数の可能性が考えられます。原因を正しく突き止めることが、安全で迅速な解決への第一歩です。

原因は主に「電力の容量オーバー」「漏電」「IHクッキングヒーター本体の不具合」という3つのシナリオに大別されます。

そして、ご家庭の分電盤にあるどの種類のブレーカーが落ちたかを確認することで、原因をある程度推測することが可能です。

1. 電力の容量オーバー

これは最も頻繁に発生し、かつ危険度が低い原因です。

ご家庭が電力会社と結んでいる契約アンペア数(同時に使用できる電気量の上限)を超えて電化製品を使用した際に、家全体の電力供給を管理する「アンペアブレーカー」が安全のために作動します。

IHクッキングヒーターは家庭用電化製品の中でも消費電力が大きく、2口を中火で使用すると合計でおよそ3,000W〜3,600W(約15A〜18A)に達することがあります。

そのため、夕食の準備でIHコンロと電子レンジを同時に使ったり、夏場にエアコンをつけたままお湯を沸かしたりすると、契約アンペア数を簡単に超過してしまうのです。

アンペア(A)とは?

アンペアは「電流の大きさ」を表す単位です。電力(W)をご家庭の電圧(V、通常は100V)で割ることで計算できます(例: 1500Wの電子レンジ ÷ 100V = 15A)。

IHクッキングヒーターは200Vの電圧を使用するため、計算方法が異なりますが、消費電力が大きいほど多くのアンペアを必要とすると覚えておきましょう。

電化製品消費電力(目安)アンペア数(目安)
IHクッキングヒーター(200V)2,000W~5,800W約10A~18A
電子レンジ1,400W14A
電気ケトル・ポット1,100W11A
炊飯器(炊飯時)1,300W13A
エアコン(暖房時)600W~2,000W6A~20A
食器洗い乾燥機1,300W13A
ヘアドライヤー1,200W12A

例えば、40A契約のご家庭で、IHで煮込み料理(14A)をしながら、電子レンジで冷凍食品を解凍(15A)、さらに炊飯器のスイッチを入れる(13A)と、合計は42Aとなり、契約容量を超過してブレーカーが作動します。

2. 漏電

これは非常に危険な状態を示唆する重大な警告サインです。漏電とは、電気機器の内部やそれに繋がる配線が劣化・損傷することで、電気が本来の回路(通り道)から外に漏れ出している状態を指します。

分電盤にある「漏電ブレーカー」が落ちた場合は、家の中のどこかでこの漏電が発生していることを意味します。IHクッキングヒーターが原因となるケースでは、主に以下のような要因が考えられます。

経年劣化
設置から10年以上経過すると、内部の部品や配線の絶縁体が劣化し、漏電しやすくなります。
水分の侵入
トッププレートのひび割れや、吹きこぼれが排気口から内部に入り込むことで、電子基板がショートし漏電の原因となります。
グリルの汚れ
グリル庫内に蓄積した油汚れや食材カスが炭化し、ヒーター部分の絶縁を劣化させることがあります。
漏電は絶対に放置しないでください!

漏電ブレーカーが落ちた場合、それを無視して使い続けると、人体への感電や、漏電箇所からの発熱による火災につながる可能性があります。

原因が特定され、安全が確認できるまで、むやみにブレーカーを上げたり、IHコンロを使い続けたりすることは絶対に避けてください。

3. IHクッキングヒーター本体の不具合

家全体の電力使用量には余裕があり、漏電ブレーカーも作動していないにも関わらず、IHクッキングヒーター専用の「安全ブレーカー(分岐ブレーカー)」だけが落ちることがあります。

このような場合は、IH本体の内部的な故障が強く疑われます。電力の使いすぎや漏電とは異なり、機器内部の部品そのものに問題が発生していると考えられます。

内部ショート(短絡)
電源基板や制御基板といった電子部品が故障し、内部で電気が正しくないルートで流れてしまう状態です。
冷却ファンの故障
内部の熱を逃がすためのファンが動かなくなり、オーバーヒートを防ぐために安全装置が働いている可能性があります。
インバーター基板の故障
IHの心臓部であるインバーター回路の素子が故障し、過大な電流が流れることでブレーカーが作動します。
どのブレーカーが落ちたか?診断の第一歩です

トラブルが起きたら、まずは分電盤を確認し、どのブレーカーのスイッチが下がっているかを見極めましょう。これが原因を絞り込むための最も重要な手がかりとなります。(参考:東京電力PG「急に電気が消えたとき)

アンペアブレーカー(一番大きいスイッチ)が落ちる
容量オーバーの可能性大。まずは使用中の家電を減らしてみましょう。
漏電ブレーカー(テストボタン付き)が落ちる
漏電の危険性あり。ただちに使用を中止し、専門家への連絡を検討してください。
安全ブレーカー(小さいスイッチの一つ)が落ちる
その回路に接続された機器(IH)の不具合の可能性が高いです。
ブレーカーが落ちる3つの原因
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IH専用ブレーカーはどこにある?

IHクッキングヒーターが正常に作動しない時、まず確認すべきなのが専用ブレーカーです。このブレーカーは、通常、ご家庭の「分電盤」の中に他のブレーカーと並んで設置されています。

分電盤は、家全体の電気を安全に管理・分配するための重要な設備で、多くの場合、洗面所や脱衣所、玄関の靴箱の上、廊下の壁、キッチンなど、少し目立たない場所に設置されています。

分電盤のプラスチック製のカバーを開けると、大小さまざまなスイッチが並んでいるのが見えます。このうち、複数の小さなスイッチが横一列に並んでいる部分が「安全ブレーカー(分岐ブレーカー)」です。

これらは、リビング、寝室、台所といった各部屋や、エアコン、エコキュートといった大型の電化製品へ電気を送る回路を個別にオン・オフする役割を持っています。

その中に、「IH」や「クッキングヒーター」「200V」といったラベルが貼られている、あるいは文字が記載されているスイッチがあれば、それがIH専用ブレーカーです。

他のブレーカーよりも少し大きいサイズのものが使われていることもあります。

分電盤にある3つのブレーカーの役割を理解しよう

分電盤の構造を理解しておくと、いざという時に慌てずに対処できます。基本的な構成は以下の通りです。

  1. アンペアブレーカー(契約ブレーカー)
    通常、一番左(または主電源の位置)にある最も大きなスイッチです。家全体で契約した電気量を超えると作動します。
  2. 漏電ブレーカー(漏電遮断器)
    アンペアブレーカーの隣にあることが多く、「テスト」と書かれた小さなボタンが付いているのが特徴です。家の中で漏電を検知すると作動し、感電や火災を防ぎます。
  3. 安全ブレーカー(配線用遮断器)
    複数の小さなスイッチが並んでいる部分です。各回路での電気の使いすぎやショートを検知して作動します。

この3つの階層構造を覚えておくと、トラブルの原因特定が格段にしやすくなります。

もし分電盤の中にIH専用と明記されたブレーカーが見当たらない場合、古い住宅などでは他の回路と共用になっている可能性もゼロではありません。

しかし、現代のビルトインIHクッキングヒーターは消費電力が非常に大きいため、安全基準上、必ず専用の電気回路で設置することが義務付けられています。

もし見つけられない、あるいは専用回路があるか不明な場合は、賃貸であれば管理会社、持ち家であればお近くの電気工事業者に点検を依頼することをおすすめします。

IH専用ブレーカーはどこにある?
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IHブレーカーの容量を確認しよう

ご家庭で一度にどれだけの電気が使えるかを決める契約アンペア数、つまりIHブレーカー(ここでは家全体のアンペアブレーカーを指します)の容量を確認する方法はいくつかあり、非常に簡単です。

容量を把握しておくことは、電力の使いすぎによるブレーカートリップを防ぎ、ご自身のライフスタイルに合った契約内容かを見直すきっかけにもなります。

最も手軽で確実な方法は、分電盤にあるアンペアブレーカー自体を目で見て確認することです。

アンペアブレーカーには、多くの場合、その容量を示す「30A」「40A」といった数字がはっきりと記載されています。

また、主要な電力会社(例:東京電力エナジーパートナー)の管内では、契約アンペアごとにブレーカー全体が色分けされており、一目で容量を識別できるようになっています。

契約アンペア
10A
15A
20A
30A
40A
50A
60A

「うちの分電盤には、一番大きいブレーカーがないみたい…」という方もいらっしゃるかもしれませんね。

最近の住宅では、電力メーターが「スマートメーター」に交換されている場合が多く、その場合は物理的なアンペアブレーカーがなく、スマートメーター内部の機能で契約アンペアを制御しています。

その場合は、毎月電力会社から届く「電気ご使用量のお知らせ(検針票)」や、電力会社のウェブサイトにあるお客様専用ページ(マイページ)で現在の契約内容を確認できますよ。

ブレーカーが頻繁に落ちる場合、それは「電気を使いすぎていますよ」という家からのサインです。まずはご自身の家の契約容量を正確に把握し、日々の電気の使い方を見直すことから始めてみましょう。

それでも改善しない場合は、契約アンペアの変更を検討する必要があります。

IHブレーカーの容量を確認しよう
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IHクッキングヒーターとIHグリルの関係

IHクッキングヒーターの不具合、特に漏電ブレーカーが落ちるという深刻な症状において、見落とされがちながら、実はトラブルの震源地となっていることが多いのが「IHグリル」の存在です。

トッププレートでの加熱調理は問題なく行えるのに、魚を焼こうとグリルのスイッチを入れた瞬間にブレーカーが落ちる、というケースは非常に多く報告されています。

なぜグリルが原因となりやすいのでしょうか。それには主に二つの理由があります。

1. ヒーターの絶縁劣化

グリル内部で食材を加熱しているのは、渦巻き状や棒状の「シーズヒーター」と呼ばれる電熱線です。

このヒーターは、長年の使用による繰り返しの高温加熱や、調理中に出る油・塩分・水分といった過酷な環境に晒され続けることで、内部の絶縁性能が徐々に低下していきます。

絶縁が劣化すると、電気が本来のルートから漏れ出しやすくなり、これが漏電を引き起こし、漏電ブレーカーが落ちる直接的な原因となるのです。

2. 汚れの炭化による漏電センサーの誤作動

もう一つの大きな原因が、グリル庫内の汚れです。

ヒーター自体がまだ劣化していなくても、調理中に飛び散った油やこぼれた食材カスがヒーター周辺や庫内の壁に付着し、加熱されることで真っ黒に炭化します。

この炭化した汚れは電気を通す性質を持つため、近くにある漏電センサーがこれを「漏電している」と誤って検知してしまい、安全のためにブレーカーを落とすというケースも少なくありません。

これは実際の漏電ではありませんが、システムとしては区別がつかないため、同様の症状が現れます。

グリルはIHの中でも特に過酷な環境にある「消耗部品」

グリルのスイッチを入れた時だけブレーカーが落ちる場合は、グリル部分の不具合である可能性が極めて高いと言えます。

グリルは汚れが溜まりやすく、直接的な高温に晒されるため、IHクッキングヒーターの中でも特に劣化が進みやすい部品の一つなのです。定期的なお手入れを怠っていると、その寿命はさらに短くなる傾向があります。

たとえグリルしか使わない時でも、内部の電気回路はIH全体の制御基板と繋がっています。

そのため、グリルの不具合を放置することは、IHクッキングヒーター全体の故障リスクを高めることになりかねません。

グリルの不調は、機器全体の寿命が近づいている重要なサインと捉えるべきでしょう。

IHクッキングヒーターとIHグリルの関係
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漏電センサーの掃除場所と方法

前述の通り、グリルの汚れが原因で漏電センサーが誤作動し、ブレーカーが落ちてしまうことがあります。

この場合、高額な修理費用をかけて専門業者に依頼する前に、ご自身でセンサー部分を丁寧に掃除するだけで、問題が劇的に解決する可能性があります。

ぜひ一度、試してみる価値のある対処法です。

【最重要】作業前の安全確保を徹底してください!

掃除を始める前に、感電事故を防ぐため、必ず分電盤のIHクッキングヒーター専用ブレーカーを「切(OFF)」にしてください。

また、調理直後で庫内が熱を帯びている場合は、完全に冷めてから作業を開始してください。安全が第一です。

漏電センサーの場所

漏電センサーは、通常、グリル庫内の奥の壁や、側面の壁に、小さな金属製の突起物として設置されています。

形状はメーカーや機種によって様々ですが、セラミックや金属でできた、直径数ミリ程度の小さな棒やボタンのような形をしています。

取扱説明書に記載があればそれを確認するのが最も確実ですが、なければ庫内をライトなどで照らしながらよく観察して見つけてください。

掃除の手順【5ステップ】

部品の取り外しと洗浄

まず、グリル扉、焼き網、受け皿など、取り外せる部品はすべて取り外します。これらの部品は、台所用中性洗剤とスポンジを使って普段通りに洗浄し、油汚れをしっかり落としておきます。

庫内全体の予備清掃

中性洗剤を薄めたお湯に浸して固く絞った布で、庫内全体の壁や天井に付着した油汚れを丁寧に拭き取ります。ここで大まかな汚れを落としておくことが、後の作業をスムーズにします。

センサーの重点的な清掃

ここが最も重要なプロセスです。割り箸の先端にキッチンペーパーや柔らかい布をしっかりと巻き付け、輪ゴムなどで固定したものを用意します。これに、原液の台所用中性洗剤を少量つけます。

そして、漏電センサーにこびり付いた炭化した黒い汚れを、傷つけないように優しく、根気よくこすり落としていきます。

力を入れすぎるとセンサーを破損する恐れがあるので、あくまで丁寧に作業してください。汚れがひどい場合は、何度か布を替えながら繰り返します。

仕上げの拭き上げ

洗剤成分が庫内に残らないよう、きれいな水で濡らして固く絞った布で、庫内全体とセンサー部分を複数回、丁寧に拭き上げます。洗剤が残っていると、それがまた新たな汚れの原因になることがあります。

完全乾燥と動作テスト

庫内が完全に乾いたことを確認してから、洗浄した部品を元に戻します。その後、分電盤のブレーカーを「入(ON)」にし、グリルの動作をテストします。

この清掃作業でブレーカーが落ちなくなれば、汚れによるセンサーの誤作動が原因だったと確定できます。このひと手間が、数万円の修理費用を節約することにつながるかもしれません。

定期的なグリルのお手入れが、IHを長く安心して使い続けるための秘訣です。

漏電センサーの掃除場所と方法
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そもそもIHがつかない時のチェック項目

ブレーカーが落ちた後、分電盤のスイッチを元に戻したにも関わらず、IHクッキングヒーターの電源が入らない、あるいは「IHがつかない」という二次的なトラブルに陥ることがあります。

すぐに「故障だ!」と結論付けてしまう前に、いくつか基本的な点を確認してみましょう。意外な見落としや簡単な操作ミスが原因であることも少なくありません。

故障と判断する前に!誰でもできる6つのセルフチェックリスト

1. 主電源スイッチは入っていますか?

多くのIHクッキングヒーターには、調理のボタンとは別に、本体のどこかに「主電源」スイッチがあります。これがオフになっていると、いくら操作パネルをタッチしても反応しません。

まずは主電源がオンになっているかを確認してください。

2. チャイルドロック(オールロック)がかかっていませんか?

小さなお子様のいたずらや誤操作を防ぐための安全機能が「チャイルドロック」です。知らないうちにこの機能が作動していることがよくあります。

操作パネルにある「ロック」や鍵のマークのボタンを3秒ほど長押しすることで解除できる場合が多いです。解除方法はメーカーや機種によって異なるため、一度取扱説明書で確認しましょう。

3. トッププレートの上に物が置かれていませんか?

鍋やフライパンといった調理器具以外の物(ふきん、まな板、食材の袋など)がトッププレートの上に置かれていると、安全装置が働き、一切の操作を受け付けないことがあります。

トッププレートの上はきれいに片付けてから再度操作してみてください。

4. 鍋の位置や種類は適切ですか?

加熱したいヒーター(コンロ)の中心に正しく鍋が置かれていないと、センサーが検知できずに加熱が始まらなかったり、エラー表示が出たりします。

また、使用している鍋が「IH対応」であるかも再確認しましょう。鍋底が反っていたり、汚れていたりする場合も正常に反応しないことがあります。

5. 吹きこぼれや水滴はありませんか?

操作パネル部分やトッププレートが濡れていると、タッチセンサーが正しく操作を認識できないことがあります。また、吹きこぼれを検知して自動で電源が切れる安全機能が搭載されている機種もあります。

乾いた柔らかい布で水分をきれいに拭き取ってから、もう一度電源を入れてみてください。

6. 電源プラグは抜けていませんか?(据置型の場合)

キッチンに据え置いてコンセントに挿して使うタイプのIHコンロの場合、壁のコンセントから電源プラグが抜けていたり、緩んでいたりしないかを確認しましょう。

ビルトインタイプの場合は、通常コンセントがキャビネットの奥にあるため、この確認は難しいです。

これらの項目をすべて丁寧に確認しても電源が入らない、あるいはブレーカーを上げてもすぐにまた落ちてしまうという場合は、残念ながら本体内部の電気系統の故障の可能性が高まります。

その際は、無理に操作を続けず、次のステップとして専門の業者に相談することをおすすめします。

そもそもIHがつかない時のチェック項目
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IHコンロのブレーカーが落ちる問題の対処法

  • 何アンペア必要?30アンペア(30A)は?
  • 壊れる前兆と各メーカーの特徴
  • 賃貸マンションでの注意点
  • 修理業者の選び方と費用相場
  • ih コンロのブレーカーが落ちる問題のまとめ

何アンペア必要?30アンペア(30A)は?

IHクッキングヒーターを導入したり、頻繁にブレーカーが落ちる問題に悩んでいたりする場合、「そもそも自分の家には何アンペア必要なのか?」という疑問は非常に重要です。

必要な契約アンペア数は、ご家庭のライフスタイル、家族構成、そして同時に使用する電化製品の種類によって大きく変わります。

一般的な目安として、オール電化ではない2~4人家族の家庭であれば、40A~50Aの契約が推奨されます。

この契約容量があれば、日常生活で電力の使いすぎを過度に意識することなく、ある程度安心してIHクッキングヒーターを使用できます。

では、一人暮らしや二人暮らしの世帯に多い30アンペア(30A)の契約ではどうでしょうか。

結論から言うと、IHクッキングヒーターの使用自体は可能ですが、電力の使い方にかなりの工夫と注意が必要になります。

30Aという契約は、同時に使える電力の上限が3000Wであることを意味します。

一方で、IHクッキングヒーターは2口を中火程度で使うだけで2000W~3000Wを消費するため、その時点でほぼ電力の上限に達してしまいます。

つまり、IHを使っている間にエアコンをつけたり、電子レンジを使ったり、ドライヤーを使ったりすれば、ほぼ確実にブレーカーが落ちてしまうでしょう。

もし現在30A契約で、IHを使い始めてから頻繁にブレーカーが落ちるようになってしまったのであれば、それは故障ではなく、単純に電気の容量が足りていない可能性が高いです。

その場合は、電力会社に連絡して契約アンペアを40A以上に変更することを強く検討するのがおすすめです。月々の基本料金は少し上がりますが、調理中に電気が止まるストレスからは解放されます。

家族構成・ライフスタイル推奨される契約アンペア備考
一人暮らし(家電少なめ)30A家電の同時使用を常に意識する必要あり
二人暮らし・カップル40A一般的な使用であれば問題なく過ごせるレベル
3~4人家族(ファミリー層)50A複数の家電を同時に使っても安心できる余裕のあるレベル
5人以上・オール電化住宅60A以上電力消費が多い家庭や、将来的な家電の増加にも対応可能

契約アンペア変更の注意点
契約アンペアを一度変更すると、原則として1年間は再度変更することができません。(参考:アンペア変更の手続き方法を知りたい)

そのため、変更する際は、エアコンを最も使う夏場や冬場など、一年で最も電力を使用する時期を想定して、少し余裕を持ったアンペア数を選ぶことが重要です。

また、賃貸物件の場合は、必ず事前に管理会社や大家さんの許可を得る必要があります。ご自身の家庭の電力使用状況を一度見直してみて、ストレスなく暮らせる最適な契約を選びましょう。

何アンペア必要?30アンペア(30A)は?
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壊れる前兆と各メーカーの特徴

IHクッキングヒーターの一般的な寿命は、使用頻度やお手入れの状況にもよりますが、およそ8年~10年と言われています。

この年数を超えると、部品の経年劣化が進み、ブレーカーが落ちるという症状以外にも、様々な「壊れる前兆」が現れやすくなります。

これらのサインに早めに気づくことが、突然使えなくなるという最悪の事態を避けるために重要です。

これは危険信号!壊れる前兆のサイン

以下のような症状が見られたら、それはIHクッキングヒーターが寿命を迎えつつあるサインかもしれません。修理や交換を本格的に検討し始める時期です。

操作ボタンの反応が鈍い、または全く反応しないことがある
内部のスイッチや基板が劣化している可能性があります。
火力の調整がうまくいかない
火力が勝手に強くなったり弱くなったりと不安定な場合、制御基板の故障が疑われます。
加熱中に「ブーン」という冷却ファン以外の異音がする
「ジー」「カチカチ」といった普段とは違う音がする場合、内部のコイルや部品に異常が起きている可能性があります。
トッププレート(天板)のガラスにひびが入った
これは非常に危険な状態です。ひび割れから内部に水分が侵入し、漏電やショートを引き起こす原因となるため、ただちに使用を中止してください。
特定のエラーコードが頻繁に表示され、リセットしても消えない
一時的なエラーではなく、部品の恒久的な故障を示している可能性が高いです。

主要メーカーの特徴と傾向

買い替えを検討する際に参考になる、主要メーカーのIHクッキングヒーターの特徴です。故障の傾向もメーカーによって若干異なります。

パナソニック(Panasonic)
「エコナビ」機能による高い省エネ性能や、「焼き物アシスト」「揚げ物温度コントロール」といった調理をサポートするきめ細やかな機能が特徴です。ユーザー数が多く、修理に関する情報も見つけやすい傾向があります。
日立(HITACHI)
「ラク旨グリル&オーブン」が代名詞。魚焼きだけでなく、多彩なオーブン料理が楽しめるグリル機能に定評があります。お手入れのしやすさを追求したモデルが多いのも魅力です。
三菱電機(Mitsubishi Electric)
「びっくリングIH」という独自のコイル形状により、鍋を置く位置の自由度が高く、鍋振りも可能です。また、対流煮込み加熱「びっクリア」など、独自の加熱技術で調理の質を高める機能が特徴です。
東芝(TOSHIBA)
残念ながら、2021年頃に家庭用のビルトインIHクッキングヒーターの新規開発・生産から撤退しています。
「10年」が一つの大きな判断基準

使用年数が10年に近い、または超えている状態で不具合が頻発するようになったら、一つの部品を修理しても、すぐに別の部品が故障する「いたちごっこ」状態に陥る可能性が高いです。

その場合、修理を繰り返すよりも、最新の安全機能や省エネ性能を備えたモデルに交換する方が、結果的に経済的で安心できる選択となるケースが多いです。

壊れる前兆と各メーカーの特徴
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賃貸マンションでの注意点

賃貸マンションやアパートにお住まいで、キッチンに備え付けられているIHクッキングヒーターのブレーカーが落ちる場合、その対応にはいくつかの重要な注意点があります。

自己判断で行動してしまうと、思わぬ費用負担やトラブルにつながる可能性があるため、正しい手順を知っておくことが非常に大切です。

最も重要な原則は、不具合を発見したら、まず自分で修理業者を手配する前に、必ず物件の管理会社や大家さんに連絡することです。

IHクッキングヒーターは、エアコンや給湯器などと同じく、お部屋の「設備」の一部として扱われます。

そのため、普通に使用していて自然に故障した場合(経年劣化など)の修理や交換にかかる費用は、原則として貸主(大家さん)が負担することが法律(民法第606条)で定められています。

絶対にNG!自己判断での修理・交換はトラブルの元

「早く直したいから」と焦って、管理会社や大家さんに無断で修理業者を呼んだり、ましてや新しいものに交換したりした場合、その費用を全額自己負担しなければならなくなる可能性が非常に高いです。

また、物件の設備を勝手に変更したとして、退去時の原状回復トラブルの原因にもなりかねません。必ず、貸主側の指示を仰いでから行動するように徹底してください。

ただし、故障の原因が入居者の「故意・過失」によるものであると判断された場合は、修理費用を請求されることもあります。例えば、以下のようなケースが該当します。

  • 調理中の激しい吹きこぼれを清掃せず、長期間放置したことによる内部基板の腐食・故障
  • 重い鍋や硬い物を落としてトッププレートを割ってしまった
  • 日常的なお手入れを怠ったことで、グリルの汚れが原因で発火・故障した
  • 不適切な洗剤や清掃方法で機器を損傷させた

契約アンペア数が足りずにブレーカーが頻繁に落ちる、というケースもありますよね。

この場合も、アンペア変更には建物の電気設備全体の状況確認や、場合によっては幹線工事が必要になることもあるため、勝手に電力会社に連絡してはいけません。

まずは管理会社に「電力使用量が多くて困っている」と相談することが正しい手順です。

トラブルが発生したら、慌てずに、「いつから」「どのような状況で」「どのブレーカーが落ちるのか」を具体的にメモしておきましょう。

そして、その情報を元に速やかに管理会社や大家さんに報告することが、最もスムーズで円満な解決への近道となります。

賃貸マンションでの注意点
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修理業者の選び方と費用相場

IHクッキングヒーターの修理や交換が避けられない状況になった際、「どこに依頼すればよいのか」「費用は一体どれくらいかかるのか」は、誰もが直面する大きな悩みです。

依頼先にはそれぞれメリット・デメリットがあり、また費用も故障の箇所や内容によって大きく変動します。後悔しない選択をするために、これらの情報を事前に把握しておきましょう。

主な依頼先とその特徴

依頼先は大きく分けて4つあります。それぞれの特徴を理解し、ご自身の状況に合わせて最適な依頼先を選びましょう。

依頼先メリットデメリット
メーカーのサービスセンター・自社製品に関する知識が豊富で、診断が正確
・純正部品を使用するため安心感が高い
・費用が比較的高めになる傾向がある
・対応までに日数がかかる場合がある
購入した家電量販店・購入履歴からスムーズに話が進む
・長期保証に加入していれば無料で修理できる
・ポイントが使える・貯まることがある
・実際の工事や修理は下請け業者が行うことが多い
・保証期間外の修理は割高になることも
地域の電気工事業者・対応が迅速で、フットワークが軽い
・費用が比較的安い場合がある
・IHだけでなく分電盤など電気設備全体を見てもらえる
・業者によって技術力や対応、料金に差がある
・信頼できる業者を見極める必要がある
ガス会社・リフォーム会社・ガスコンロからの交換や、キッチン全体のリフォームと合わせて依頼できる・IH単体の工事だと割高になることがある
・専門性が電気工事業者に劣る場合も

修理・交換にかかる費用の相場

費用はあくまで目安であり、製品のグレードや現場の状況によって変動します。特に修理費用は、出張費・診断料・技術料・部品代の合計で構成されます。

作業内容費用相場(部品代+技術料+出張費込み)
グリルヒーター/ユニット交換15,000円 ~ 60,000円
制御基板の交換21,000円 ~ 50,000円
トッププレートのガラス交換30,000円 ~ 50,000円
冷却ファンの交換15,000円 ~ 30,000円
IH本体の交換工事(製品代別途)16,000円 ~ 30,000円
後悔しないための信頼できる業者の選び方

安心して任せられる業者を見つけるために、以下の4つのポイントを必ずチェックしましょう。

  1. 必ず相見積もりを取る
    最低でも2~3社から見積もりを取り、料金だけでなく、提案内容や担当者の対応、保証内容を総合的に比較検討しましょう。「今すぐ契約すれば安くします」といった営業トークには注意が必要です。
  2. 必要な資格を確認する
    IHクッキングヒーターの設置や修理には「第二種電気工事士」以上の国家資格が必須です。ウェブサイトで資格保有の有無を確認したり、直接質問したりして、無資格業者でないことを必ず確認してください。
  3. 実績と評判をしっかり調べる
    業者のウェブサイトで施工事例を確認したり、Googleマップの口コミや地域の評判を調べたりして、信頼できる業者かを見極めましょう。
  4. 詳細で分かりやすい見積書を要求する
    「工事一式 〇〇円」といった曖昧な見積もりではなく、どの部品にいくら、どの作業にいくらかかるのかが項目ごとに明記された、詳細な見積書を提出してくれる業者を選びましょう。

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    横浜・川崎エリアに特化し、東京電力の指定工事店(登録番号:701-1730)として、IH工事やアンペア変更工事を承っております。

もちろん、相見積もりのご依頼も歓迎しております。

IHコンロの交換や修理、原因不明のブレーカー問題でお悩みでしたら、まずは無料の現地調査・お見積もりからお気軽にご相談ください。

特に使用年数が10年近く経過している場合、5万円近い高額な修理費用を払うのであれば、思い切って最新の製品に交換した方が、長期的に見て機能面でも経済面でもお得になるケースは少なくありません。

修理と交換、両方の選択肢を視野に入れて、慎重に判断することが重要です。

修理業者の選び方と費用相場
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IHコンロのブレーカーが落ちる問題のまとめ

この記事で解説してきた、IHコンロのブレーカーが落ちる問題に関する原因、対処法、そして解決策についての要点を、最後にリスト形式でまとめます。トラブルに見舞われた際のチェックリストとしてご活用ください。

  • ブレーカーが落ちる主な原因は「容量オーバー」「漏電」「本体故障」の3つ
  • どの種類のブレーカー(アンペア、漏電、安全)が落ちたかで原因がある程度推測できる
  • 容量オーバーはIHと他の大型家電(レンジ、エアコン等)の同時使用で起こりやすい
  • 漏電は経年劣化やグリルの汚れが主な原因で、感電や火災のリスクがあり危険なサイン
  • IH専用ブレーカーは通常、洗面所や玄関などにある分電盤の中に設置されている
  • IHクッキングヒーターの寿命は一般的に約10年で、これを超えると故障のリスクが高まる
  • グリルの漏電センサーに付着した炭化した汚れを掃除することで、誤作動が改善する場合がある
  • 電源が入らない時は、故障と決めつける前に主電源やチャイルドロックを確認する
  • 快適な使用には、一般家庭で40A以上の契約アンペアが推奨される
  • 30A契約では、IH使用中の電力管理に常に注意を払う必要がある
  • ボタンの反応鈍化、異音、火力の不安定さは、本格的な故障の前兆である可能性が高い
  • 賃貸物件で備え付けのIHが故障した場合は、自分で業者を呼ばず、まず管理会社や大家さんに連絡する