エコキュートからぬるいお湯しか出ない原因は?故障の判断と対処法

エコキュートからぬるいお湯しか出ない原因は?故障の判断と対処法

こんにちは。横浜電気工事レスキューの主任電気工事士「天谷富士夫」です。

毎日当たり前のように使っているエコキュートから、急にぬるいお湯しか出ないというトラブルに見舞われたら本当に困ってしまいますよね。

特に寒い冬の朝や、一日の疲れを癒やすお風呂の時間にシャワーがぬるいと、ただ不便なだけでなく風邪を引いてしまわないかと不安になるものです。

実は現場でお客様からご相談いただく内容でも、「お湯が出ないけど水は出る」「設定温度通りのお湯にならない」といった声は非常に多いんです。

故障を疑って焦る気持ちも分かりますが、実は設定の見直しや簡単なメンテナンスで直るケースも少なくありません。

もちろん、混合弁の不具合やエラー表示が出ている場合は修理が必要ですが、まずは落ち着いて状況を確認することが大切です。

この記事では、私が現場で培った経験をもとに、ご自身でできる対処法からメーカー別の故障診断まで、分かりやすく解説していきます。

記事のポイント

  • エコキュートのお湯がぬるくなる原因とご家庭でできる対処法
  • メーカーごとのエラーコードから故障内容を判断するポイント
  • 混合弁やセンサーの不具合による症状と修理の必要性
  • 修理費用や使用年数に応じた買い替えの判断基準
目次

エコキュートからぬるいお湯しか出ない時の原因と対処法

まずは、機械の故障を疑う前に確認していただきたいポイントがいくつかあります。

「お湯がぬるい」という症状は、実はエコキュート本体のトラブルではなく、使い方の環境や設定、あるいは配管の物理的な特性によって引き起こされていることが意外と多いんです。

家中のどこでどんな症状が出ているかを整理しながら原因を切り分けたい場合は、「オール電化でお湯が出ないときの原因と対策を整理した解説記事」も役に立つと思います。

ここでは、修理を依頼する前に試せるチェック項目を順を追って見ていきましょう。

シャワーが急にぬるくなる原因と同時使用の圧力低下

「お風呂でお湯張りをしている最中にシャワーを浴びたら、急にぬるくなった」という経験はありませんか?実はこれ、エコキュートの故障ではなく「給湯圧力の分散」による現象であることがほとんどです。

給湯と給水の圧力差による混合不良

一般的なエコキュート(標準圧力型)は、「減圧弁」という部品で水道の圧力を約170kPa〜190kPa程度まで弱めてからタンクに水を送っています。

近年の「高圧給湯タイプ」では約290kPa〜320kPa程度まで加圧できる機種もありますが、それでも水道直圧よりは低いケースが大半です。

一方で、温度調整のために混合される水道水(水側)は、お住まいの地域や建物の条件にもよりますが、元の比較的高い水圧(およそ200kPa〜500kPa程度)で供給されていることが多いんです。

この圧力差がある状態で、キッチンや洗面所、お風呂などで同時にお湯を使おうとすると、ただでさえ減圧されているお湯の勢いがさらに分散して弱くなってしまいます。

その結果、圧力の強い「水」の方が勝ってしまい、混合水栓(蛇口)の中で水がたくさん混ざって、意図せずぬるいお湯が出てしまうのです。

ここがポイント

これは「流量干渉」と呼ばれる現象です。お湯張りの時間をずらすか、シャワーを使うときは他の場所でお湯を使わないようにするだけで解決することがあります。

シャワーの「止水ボタン」が引き起こす逆流

また、シャワーヘッドにある「手元スイッチ(止水ボタン)」を使っている場合も注意が必要です。止水した瞬間に配管内で圧力が変動し、水がお湯側の配管へ逆流する現象が起きることがあります。

これを防ぐには、混合水栓に内蔵されている「逆止弁」が正常に機能しているか確認する必要があります。

朝にお湯が出ないのは凍結や水漏れが原因か

冬の寒い朝、「お湯側をひねっても水しか出ない、あるいはお湯の出が極端に悪い」という場合は、配管の凍結が疑われます。

氷点下の朝に起こる配管閉塞

特に外気温が氷点下になるような日は、屋外にある給湯配管が凍ってしまい、タンクからお湯が出てこられなくなります。

この場合、リモコンにエラーが出ずに単にお湯が出ないだけというケースも多いですね。無理にお湯を出そうとせず、気温が上がって自然に解凍されるのを待つのが一番配管を傷めない方法です。

注意!絶対にやってはいけないこと

凍結した配管に熱湯を直接かけるのは厳禁です!急激な温度変化で配管が破裂する恐れがあります。

どうしても早く溶かしたい場合は、タオルを巻いた上から「40℃前後のぬるま湯」をゆっくりかける程度に留め、焦っても熱湯だけは絶対に使わないようにしてくださいね。

自然解凍後も水漏れがないか確認を

もし気温が上がってもお湯が出ない、あるいは晴れているのにタンクの周りが水浸しになっている場合は、凍結による配管破損や水漏れが起きている可能性があります。

水道メーターのパイロット(コマ)が回っていないか確認してみましょう。

朝にお湯が出ないのは凍結や水漏れが原因か
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タンクのお湯がすぐなくなる時の残湯量確認

「お湯を使っていると、すぐに水になってしまう」「タンクのお湯が減るのが早い気がする」。これは故障ではなく、単純な「湯切れ」の可能性があります。

冬場はお湯の消費スピードが倍増する

エコキュートは夜間にまとめてお湯を沸かす仕組みですが、タンク内の熱湯を使い切ってしまうと、それ以上はお湯が出ません。

特に冬場は水道水の温度が低いため、設定温度(例:40℃)のお湯を作るために混ぜる熱湯の量が夏場よりも多く必要になります。

つまり、夏場と同じようにお湯を使っていても、冬場はタンクのお湯が減るスピードが圧倒的に早くなるんです。

学習機能の落とし穴

また、多くのエコキュートには「学習機能」が搭載されており、普段の使用量を学習して無駄な沸き上げを控える制御をしています。

急に来客があったり、普段お湯を使わない時間帯に大量に使ったりすると、学習機能が裏目に出て湯切れを起こすこともあります。

残湯量表示が目盛り1つや点滅していたら、すぐに「沸き増し」ボタンを押して対応してください。

タンクのお湯がすぐなくなる時の残湯量確認
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冬にぬるいお湯しか出ないなら設定温度を見直す

「故障ではないけれど、冬はどうしてもお湯がぬるく感じる」という場合、これは配管からの放熱ロスが原因かもしれません。

(参考:【エコキュート】お湯がぬるい時はどうしたらいいですか?|パナソニック

配管距離による温度低下を計算に入れる

エコキュートのタンクから蛇口までの距離が長いお宅では、配管を通っている間に外気でお湯が冷やされてしまいます。

タンクからは60℃で送り出されていても、冷たい床下や壁内を通過する間に熱を奪われ、蛇口に到達する頃には50℃近くまで下がってしまうことも珍しくありません。

これを補うために、冬場だけはリモコンの給湯設定温度を少し高め(目安として50℃前後、必要に応じて最大60℃)に設定変更することをおすすめしています。

ただし、設定温度を上げる際はヤケド防止のため、蛇口側での温度確認を必ず行うようにしてくださいね。

プロのワンポイントアドバイス

リモコンの設定温度を上げることで、蛇口側のサーモスタット水栓で水を混ぜる余地が生まれ、結果的に安定した適温のお湯が出せるようになります。

ただし、お子様や高齢の方がいらっしゃる場合は、火傷防止のために蛇口側での温度確認を徹底してくださいね。

冬にぬるいお湯しか出ないなら設定温度を見直す
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お風呂の追い焚きがぬるいならフィルター掃除を

「シャワーからは熱いお湯が出るのに、お風呂の追い焚きだけがいつまで経ってもぬるい」。この症状が出たら、まずは浴槽の循環アダプター(フィルター)を疑いましょう。

循環不良による誤検知メカニズム

追い焚きは、浴槽のぬるくなったお湯を吸い込んで、タンクの熱で温め直して戻す仕組みです。この吸い込み口であるフィルターに髪の毛や湯垢が詰まっていると、お湯がうまく循環しません。

すると、エコキュート側が「お湯が流れていない=空焚き防止」や「もう設定温度になった」と誤判断して、加熱を止めてしまうのです。

古い歯ブラシなどでフィルターを掃除するだけで、驚くほど改善することがよくあります。

また、入浴剤(特に発泡系や白濁系)を使っている場合、配管内部のセンサーが汚れて誤作動を起こしている可能性もありますので、説明書で使用可能な入浴剤を確認してみてください。

断水や停電後にお湯が出ない時の復旧手順

台風による停電や、水道工事による断水の後に「お湯が出ない」「お湯が濁っている」といったトラブルが起きることがあります。

エア噛み解消と時計合わせ

断水後は配管内に空気が溜まりやすく(エア噛み)、これが原因でお湯の流れが悪くなることがあります。

この場合は、家中の蛇口をゆっくり開けて、空気と混ざった水を出し切ることで解消します。お湯側から「ボコボコ」と音がしなくなるまで出し続けましょう。

また、停電復帰後はエコキュートの時刻設定がリセットされていることがあります。

時刻がズレていると、本来安い夜間電力でお湯を沸かすはずが昼間に沸き上げて電気代が高くなったり、予定した時間帯に十分なお湯が作られず、結果として湯量不足になってしまうこともあるんです。

まずはリモコンの時計が合っているかを確認し、必要であれば再設定を行いましょう。

それでも直らない場合は、一度漏電遮断器(エコキュート本体の電源)を切って、1分ほど待ってから入れ直す「リセット操作」を試してみる価値はあります。

(参考:お湯が出ない(エコキュート)|ダイキン 公式FAQ

断水や停電後にお湯が出ない時の復旧手順
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キッチンでお湯の出が悪い時のチェックポイント

特定の場所、例えば「キッチンだけお湯がぬるい、出が悪い」という場合は、エコキュート本体ではなくキッチンの蛇口(混合水栓)の不具合である可能性が高いです。

シングルレバー混合栓の寿命

最近のシングルレバー混合栓は、内部のカートリッジという部品で温度と湯量を調整しています。

この部品が経年劣化すると、レバーをお湯側に回しても十分にお湯の流路が開かず、水が多く混ざってしまうことがあります。一般的に水栓の寿命は10年前後です。

また、シンクの下にある止水栓(湯側)が何らかの拍子に閉まり気味になっていないかも確認してみてください。

他の蛇口からは熱いお湯が出るのであれば、エコキュートは正常です。キッチンの蛇口交換やカートリッジ交換を検討しましょう。

キッチンでお湯の出が悪い時のチェックポイント
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エコキュートからぬるいお湯しか出ない場合の故障とエラー診断

設定や環境要因を確認しても改善しない場合、残念ながら機器内部の部品が故障している可能性が高くなります。「エラーコードが出ている」「異音がする」「どうしても温度が上がらない」。

こうなると専門的な診断が必要ですが、事前に「どの部品が悪いのか」の目安を知っておくことは、修理依頼をスムーズにするために役立ちます。

リモコンがつかないがお湯は出る症状の故障診断

「リモコンの画面が真っ暗で何も表示されないけれど、蛇口をひねればお湯は出る(あるいは水しか出ない)」というケース。

これはリモコン配線の断線や、リモコン自体の故障、あるいは本体の制御基板の不具合が考えられます。

設定温度が固定されるリスク

お湯が出る状態であれば、以前の設定温度(例えば40℃)が本体に記憶されたまま動いていることになりますが、温度変更や追い焚き操作ができないため非常に不便です。

一方で、リモコンもつかずお湯も出ない場合は、エコキュート本体の漏電遮断器が落ちているか、基板が完全にショートしている可能性があります。

一度、室外のタンクユニットにある漏電遮断器を確認してみてください。もし「切」になっていたら、一度だけ「入」にしてみて復旧するか試せます。

しかし、すぐにまた落ちるようであれば深刻な漏電ですので、絶対に触らずに業者へ連絡してください。

ブレーカーが何度も落ちる場合の原因や、水漏れ・故障の見分け方については、「エコキュートの漏電遮断器が落ちる原因と水漏れチェックの詳しい解説」もあわせてご覧ください。

リモコンがつかないがお湯は出る症状の故障診断
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混合弁の不具合でぬるいお湯しか出ないケース

エコキュートの故障で「ぬるいお湯しか出ない」原因のナンバーワンと言っても過言ではないのが、「給湯混合弁(ミキシング弁)」の故障です。

スケール詰まりによる固着

この部品は、タンク内の熱湯(約90℃)と水道水(水)を混ぜ合わせて、設定温度(42℃など)を作る役割を担っています。

長年使っていると、水道水に含まれるカルシウムやマグネシウムなどのミネラル分が結晶化(スケール化)して弁の内部に付着し、モーターが動かなくなってしまいます(固着)。

家中の蛇口で症状が出る

もし弁が「水側」に開いた状態で固まってしまうと、タンクの中でお湯が沸いていても、蛇口には水ばかりが供給されることになります。

特徴としては、お風呂もキッチンも洗面所も、家中のすべての蛇口からぬるいお湯しか出なくなる点です。この症状が出たら、部品交換が必要になるケースがほとんどです。

混合弁の不具合でぬるいお湯しか出ないケース
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パナソニックやダイキンのエラーコードを確認

主要メーカーのエコキュートには、不具合を知らせる自己診断機能があります。「ぬるいお湯」に関連する代表的なエラーコードを紹介します。

メーカーエラーコード主な原因と症状
パナソニックH54三方弁の異常。お湯の流路切替ができず、お湯が出なかったりぬるくなったりします。
パナソニックH59給湯混合弁の異常。お湯の温度調節ができず、水やぬるま湯しか出ない状態になります。
ダイキンF27ヒートポンプユニットの圧力異常。お湯が効率よく沸かせなくなり、タンクの湯温が低下します。
ダイキンC55お湯はりに時間がかかりすぎるなどの給湯流量異常を示します。凍結や配管の詰まり、バルブや混合弁の不具合などでお湯の流れが悪いときに出ることがあります。
Information

これらは代表例です。機種によってコードが異なる場合があるので、必ず取扱説明書を確認してください。

三菱や日立でお湯の出が悪い時の対応

三菱電機や日立のエコキュートでも同様の症状が発生します。

三菱電機のエラー「P01」

三菱電機の場合、「P」から始まるエラーコード(P00、P01、P10など)は給湯系統の異常(混合弁やセンサー、流量など)を示していることが多いです。

例えば「P01」は給湯用混合弁の異常で、これが起きるとシャワーや蛇口から設定温度のお湯が出なくなります。

(参考:(エラー表示)リモコンが「P01」,「P20」,「P21」が表示されています。 | 三菱電機 よくあるご質問 FAQ

日立のエラー「Er15」

日立の場合、「Er15」はお風呂の注水流量異常を示すエラーで、ふろユニット側のバルブや配管の不具合により、お湯はりの流量が不足したり不安定になったりする場合があります。

これらの表示が出た際は、一度リセット(漏電遮断器のOFF/ON)を試して、再発するようなら修理依頼が必要です。

三菱や日立でお湯の出が悪い時の対応
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コロナ製でシャワーがぬるい特有の症状とは

コロナ製のエコキュートで非常によく見かけるのが「E24」というエラーコードです。

安全制御による強制的な温度低下

これはメーカーの公式資料でも「給湯ミキシング弁の故障」とされており、「お湯が出ない」「ぬるい」だけでなく、逆に「異常に熱い」お湯が出るなど、給湯温度が安定しないトラブルの原因になります。

給湯ミキシング弁の異常時は、意図せず高温のお湯が出て火傷をしてしまう恐れもあるため、無理な使用は控えて、早めに点検・修理を依頼するのが安全です。

この「E24」が出たら、DIYでの修理は難しく、メーカーサービスや専門業者による混合弁ユニットの交換が必要になるケースがほとんどです。

修理費用の目安としては、部品代・技術料・出張費を含めて3万円〜6万円程度になることが一般的です。

Information

機種や業者の設定により異なります

故障時の修理と買い替えを判断する目安

いざ修理が必要となった時、修理するべきか、思い切って買い替えるべきかは悩ましいところです。判断の基準として、私たちは「10年」というラインを目安にしています。

部品保有期間と「イタチごっこ」のリスク

実は、エコキュートの本体を見ると「設計上の標準使用期間10年」といった表示があるのをご存知でしょうか?これは文字通り、おおむね10年程度の使用を想定して設計されていますよ、という目安なんです。

設置から7〜8年目くらいまでなら、部品交換で修理をして使い続ける価値は十分にあります。

ただ、修理に必要な「補修用性能部品」の保有期間についても、多くのメーカーが「製造終了からおおむね10年程度」と定めています。

そのため、この期間を過ぎてしまうと、直したくても部品が手に入らない……というケースが増えてくるんですね。

10年以上経過したエコキュートで、修理見積もりが5万円を超えるようなら、最新の省エネ機種への買い替えを検討された方が、長い目で見れば経済的で安心かなと思います。

具体的な購入先の選び方や費用の比較については、「エコキュートの買い替え先を比較した詳しいガイド」も参考にしてみてください。

(参考:【修理・家電製品】部品の保有期間を過ぎると修理できないことがあります|国民生活センター

故障時の修理と買い替えを判断する目安
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エコキュートからぬるいお湯しか出ない時の解決策まとめ

エコキュートからぬるいお湯しか出ないトラブルは、生活に直結するだけに焦ってしまいます。

原因は「使いすぎによる湯切れ」や「冬場の配管凍結・放熱」といった一時的なものから、「混合弁の故障」などの本格的な修理が必要なものまで様々です。

まずはリモコンのエラーコードを確認し、リセット操作や設定温度の見直しを試してみてください。

それでも改善しない場合や、設置から10年以上経過している場合は、無理をせずプロに相談することをお勧めします。

私たち電気工事士は、単なる修理だけでなく、お客様のライフスタイルや今後のコストも考えた最適なご提案を心がけています。「おかしいな?」と思ったら、いつでも頼ってくださいね。

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