エコキュートの寿命は20年?交換時期と長持ちのコツをプロが解説

エコキュートの寿命は20年?交換時期と長持ちのコツをプロが解説

こんにちは。横浜電気工事レスキューの主任電気工事士「天谷富士夫」です。

ご自宅で長く愛用しているエコキュート、気づけば設置からかなりの年数が経っていませんか?

「寿命が20年もつ」という噂を聞いて、うちもまだ大丈夫かな?と期待しつつ、そろそろ交換が必要な時期なのかも…と不安に思われている方も多いはずです。

一般的にエコキュートの耐用年数は10年から15年以内と言われています。

しかし、中には丁寧なメンテナンス次第で20年以上使える稀なケースもあるため、実際のところいつまで使い続けて大丈夫なのか判断に迷うところですよね。

もし10年以内なら修理で済むことも多いですが、15年を超えて放置すると故障のリスクが急激に高まり、古くなると電気代があがるというデメリットも見逃せません。

いざ交換となれば費用や値段が気になりますし、ダイキンやパナソニックなどのおすすめメーカーや、買い替えはどこで頼むのが一番安心なのかも悩みどころです。

また、ヒートポンプや三方弁の寿命といった専門的な部品ごとの違いや、10年保証は本当に必要なのか、延長保証に入るべきかといった疑問も出てくるでしょう。

定期的な点検で寿命をどこまで延ばせるのかも含め、現場を知り尽くしたプロの視点で詳しく解説します。

記事のポイント

  • エコキュートを20年使い続けることの現実的なリスクと可能性
  • ヒートポンプや三方弁など主要部品の寿命と故障の前兆サイン
  • 修理と買い替えを判断する具体的な年数と費用の目安
  • 補助金や保証を活用して賢く交換するためのプロのアドバイス

エコキュートの寿命は20年もつ?耐用年数の実態

「天谷さん、うちのエコキュート、もう18年目なんだけどまだ動いてるよ。このまま20年いけるかな?」
現場でお客様からこういったご質問をいただくことがよくあります。

愛着のある設備ですし、できるだけ長く使いたいお気持ちは痛いほど分かります。

しかし、結論から正直に申し上げますと、20年使い続けられるケースは非常に稀であり、安全面や経済面を考慮すると基本的にはおすすめできません。

まずはプロの視点から、エコキュートの寿命に関するリアルな実態について、包み隠さず解説していきます。

耐用年数は20年以内か以上か

まず、メーカーが公表しているエコキュートの『設計上の標準使用期間』についてですが、これは多くの機種でおおむね10年とされています。

よく「10年〜15年」という幅で語られることもありますが、メーカーが公式に定義している「標準的な使用条件のもとで、安全上支障なく使える期間」の目安としては、実は10年という区切りが一般的なんです。

(参考:パナソニック「長期使用製品安全点検制度 Q&A」

私の長年の経験上、設置から10年を超えると、電子基板や温度センサー、配管のパッキンなど、細かい部品からポロポロと不具合が出始めます。

「お湯がちょっとぬるい気がする」「たまにエラーが出るけどリセットすれば直る」といった症状は、典型的な寿命のサインです。

もちろん、運良く大きな故障もなく15年以上、稀に20年近く稼働している個体にお目にかかることもあります。

しかし、それは「設置環境が抜群に良かった」「使用頻度が少なかった」「水質が機器に合っていた」といった好条件が重なった、いわば「奇跡的に運が良かった」ケースであり、全ての機器が20年以上もつわけではありません。

特に、20年前の機種と現在の機種では省エネ性能も段違いです。「動いているから大丈夫」と思って使い続けていても、実は見えないところでリスクが積み重なっていることが多いのが実情ですね。

耐用年数は20年以内か以上か
AIによるイメージ画像

ヒートポンプや三方弁の寿命と故障のサイン

エコキュートは大きく分けて「貯湯タンク」と「ヒートポンプユニット」の2つで構成されていますが、それぞれ寿命が異なります。

特に注意が必要なのが、エアコンの室外機のような見た目をした、お湯を沸かす心臓部であるヒートポンプユニットです。

部品名寿命の目安役割と特徴
ヒートポンプ5年〜15年程度
(平均は10年前後)
お湯を作る心臓部。電子部品が多く最も故障しやすい。
三方弁・混合弁10年前後お湯の通り道を切り替える弁。経年劣化で固着しやすい。
貯湯タンク10年〜15年程度
(好条件ならそれ以上)
お湯を貯めるタンク。ステンレス製で比較的長持ちする。

ヒートポンプは、夏も冬も雨の日も雪の日も、過酷な屋外環境でお湯を沸かし続けています。

当たり外れや設置環境にもよりますが、早いと5年〜7年程度で基板トラブルが出ることも珍しくありません。

高圧の冷媒ガスを圧縮するコンプレッサーや、熱を逃がすファンモーターなどが常に動いているため、タンクよりも先に寿命を迎えることがほとんどです。

また、タンク側でも「お湯張り」や「追い焚き」の回路を切り替える三方弁(さんぽうべん)や、お湯と水を混ぜて適温にする混合弁も、消耗品の一つです。

これらが壊れると「お風呂のお湯が増えない」「設定温度にならない」「シャワーの温度が安定しない」といったトラブルが起きます。

もし、リモコンに「H」や「F」から始まるエラーコードが頻繁に出たり、お湯がぬるかったりする場合は、これらの部品が限界を迎えているサインかもしれません。

詳しい症状については、『エコキュートからぬるいお湯しか出ない原因は?故障の判断と対処法』の記事でも解説していますので参考にしてみてください。

20年放置して使えるか?危険性とリスク

「壊れるまで使えばいいや」と、20年近く点検もせずに放置して使い続けるのは、電気工事士として正直おすすめできません。

なぜなら、単にお湯が出なくなるだけでなく、水漏れや漏電といった事故につながる重大なリスクがあるからです。

長期間使用した機器は、内部の銅配管が腐食してピンホール(小さな穴)が開いたり、パッキンが硬化して水漏れを起こしやすくなります。

漏れた水が電気部品にかかれば、漏電遮断器が作動して家全体の電気が消えてしまったり、最悪の場合はトラッキング現象による発煙・発火の原因にもなりかねません。

注意!経年劣化による事故リスク

独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)のデータでも、長期間使用した製品の経年劣化による事故は、設置から10年を超えると増加する傾向にあると報告されています。「まだ使える」と「安全に使える」は別物だと考えてください。

(参考:長期使用製品安全点検制度対象製品の経年劣化による事故の防止について(注意喚起) | 製品評価技術基盤機構

もし漏電ブレーカーが落ちるようなことがあれば、それは機器からのSOSサインです。危険ですので無理に復旧させず、すぐに専門業者へ相談してください。

エコキュートとブレーカについては、『エコキュートの漏電遮断器が落ちる原因?水漏れや故障の確認方法』も参考になります。

20年放置して使えるか?危険性とリスク
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古くなると電気代があがる?効率低下の真実

「最近、電気代が高くなった気がする…使用量は変わっていないはずなのに」

そう感じているなら、エコキュートの老朽化が原因かもしれません。古くなると電気代があがるというのは、残念ながら事実です

長く使っていると、ヒートポンプ内の熱交換器に汚れ(スケール)が溜まったり、冷媒ガスの効率が落ちたりして、以前と同じお湯の量を作るのに多くの電力が必要になります。

これを「COP(成績係数)やAPF(年間給湯保温効率)の低下」と言います。わかりやすく言うと、新品の頃は「1」の電気で「3」の熱を作れていたのが、「1」の電気で「2」しか作れなくなっているような状態です。

また、貯湯タンクの断熱材(ウレタンフォームや真空断熱材)も経年劣化で性能が落ちてきます。

そのため、夜間に沸かしたお湯が翌朝までに冷めやすくなり、結果として日中の高い電気代で「沸き増し」をする回数が増えてしまうのです。

最新機種への買い替えメリット

最新のエコキュートは省エネ性能が飛躍的に向上しています。

古い機種を無理に使い続けるよりも、買い替えた方が月々の電気代が数千円安くなるケースも珍しくありません。10年スパンで見れば、数十万円の差が出ることもありますよ。

ダイキンやパナソニックの寿命と特徴

お客様から「ダイキンとパナソニック、どっちが長持ちしますか?」「三菱はどうですか?」と聞かれることも多いですが、結論から言うと、大手メーカーによる寿命の差はほとんどありません。

  • ダイキン
    空調メーカーとしての技術力を活かした丈夫なヒートポンプや、交換時にヒートポンプだけ交換できる機種がある点が特徴です。
  • パナソニック
    「エコナビ」などの省エネ機能や、スマホ連携などの便利機能に定評があります。

三菱電機やコロナ、日立なども含め、どの国内メーカーも高い品質基準で作られていますが、耐用年数の目安はやはり同じく10年〜15年です。

重要なのはメーカー選びよりも、「設置環境」や「メンテナンス頻度」です。例えば、海沿いなら「耐塩害仕様」、寒冷地なら「寒冷地仕様」を選んでいるか。

井戸水を使っているなら「井戸水対応」の機種か。環境に合った機種を選んでいるかどうかが、寿命に大きく影響します。

ダイキンやパナソニックの寿命と特徴
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定期点検をすれば20年は大丈夫か

定期的なメンテナンスやプロによる点検を行えば、寿命を延ばすことは確かに可能です。しかし、それでも「20年大丈夫」と無責任に言い切ることはできません。

なぜなら、ゴムパッキンや配管の断熱材、そして何より電子基板に使われている「電解コンデンサ」など、どうしても経年劣化を避けられない部品があるからです。これらは時間とともに確実に消耗していきます。

定期点検はあくまで「不具合を早期発見して、安全に使える期間を少しでも延ばす」ためのものであり、「新品同様に蘇らせて永久に使えるようにする」ものではないとご理解ください。

私たちプロが点検しても、15年を超えた機器に関しては「今は動いていますが、いつ壊れてもおかしくない状態です」とお伝えすることが多いですね。

15年目での修理と買い替えの判断基準

もし設置から15年目で故障した場合、修理して使い続けるべきか、思い切って買い替えるべきか。これは非常に悩ましい問題ですが、私は間違いなく「買い替え」をおすすめします。

判断の決定的なポイント

メーカーの「補修用性能部品」の保有期間は、製品の製造終了から約10年と定められています。

つまり、設置から15年経過しているということは、そのモデルの製造終了からも10年以上経っている可能性が高く、直したくても部品自体がメーカーに在庫していない可能性が極めて高いのです。

これを「修理不能(補修部品なし)」と言います。

運良く部品が残っていて修理できたとしても、15年ものの機械です。すぐに別の場所が壊れる「イタチごっこ」になるリスクが高いです。

設置から10年以内なら修理もアリですが、13年〜15年を超えているなら、修理費を新しい本体の頭金に回した方が、長い目で見て賢明かなと思います。

15年目での修理と買い替えの判断基準
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エコキュートの寿命20年を迎える前に知る交換費用

「いざ交換となると、いくらかかるんだろう?」エコキュートは決して安い買い物ではありません。

急な出費に備えるためにも、費用の相場やお得な買い替え方法を知っておくことは大切です。ここでは、現場の価格感をもとに解説します。

交換費用と値段の相場

エコキュートの交換にかかる費用の総額は、本体価格+リモコン+脚部カバー+標準工事費込みで、おおよそ40万円〜60万円程度が相場です。

もちろん、タンクの容量(370Lか460Lか)や、機能(フルオートか給湯専用か)、選ぶメーカーやグレード(高圧タイプなど)によって値段は変動します。

最近は物価高騰や輸送コストの上昇もあり、以前より少し相場が上がっている傾向にありますね。

相場より極端に安すぎる業者(例えば30万円以下など)は、必要な部材を使い回していたり、工事が雑だったり、アフターフォローが一切なかったりすることもあるので注意が必要です。

安物買いの銭失いにならないよう、適正価格を知っておきましょう。

買い替えはどこで頼むのがおすすめか

買い替えの依頼先としては、主に「家電量販店」「ネット通販系の施工業者」「地元の電気工事店・リフォーム店」があります。

それぞれにメリットがありますが、私が個人的に電気工事士としておすすめするのは、「自社施工を行っている専門店」です。

家電量販店は窓口としては安心感がありますが、実際の工事は下請け業者が行うことが多く、中間マージンがかかる分、費用が割高になることがあります。

また、どんな職人が来るか当日まで分からないという不安もあります。

ネット系や地元の専門店で、かつ自社で職人を抱えているところなら、商品知識も豊富で、何かあった時の対応もスムーズな場合が多いですよ。

どこで頼むか迷っている方は、『エコキュート買い替えはどこで?6つの購入先を比較』の記事で詳しく比較していますので、ぜひ参考にしてください。

買い替えはどこで頼むのがおすすめか
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10年保証は必要か?延長保証に入るべき理由

メーカーの無料保証期間ですが、一般的には本体が1年〜2年、冷媒回路(ヒートポンプの重要部分)が3年、そして貯湯タンクが5年程度に設定されています。

しかし、エコキュートが実際に故障しやすくなるのは7年〜10年目あたりから。残念ながら、ちょうどメーカーの無料保証が切れた頃を見計らったように不具合が出ることが多いんです。

「延長保証、有料だけど入るべき?」と聞かれたら、私は「絶対に入るべき」と即答します。これはセールストークではなく、本心からのアドバイスです。

修理代は基板交換で3〜5万円、ヒートポンプの主要部品交換だと10万円〜15万円近くかかることもあります。

プロの豆知識:バスタブ曲線

機械の故障率を表す「バスタブ曲線」というものがありますが、初期不良期間を過ぎると故障率は下がりますが、摩耗故障期間(寿命付近)に入ると急激に故障率が上がります。

10年延長保証に入っていれば、この期間内の故障にかかる修理費――部品代だけでなく、出張費や技術料も含めた費用――が、保証上限額の範囲内であれば実質0円になるケースがほとんどです。

保証料はメーカーや販売店によって多少異なりますが、おおよそ2万円〜3万円台が目安ですね。

故障した時の出費やストレスを考えれば、この金額で10年間の「安心」が買えるのは、決して高い買い物ではないと思いますよ。

補助金を活用してお得に買い替える方法

エコキュートの交換には、国や自治体の補助金が使える大きなチャンスがあります。

特にここ数年は、省エネ性能の高い機種に対して、1台あたり数万円から、条件次第では10万円を超える手厚い補助が出るケースも珍しくありません。

ただし、注意していただきたいのが「予算上限制度の変更」です。

人気のある補助金制度は、年度の途中で予算が尽きて早期終了してしまうことが多々あります。また、古い機器の「撤去加算」などの条件も、年度によってあったりなかったりと変動します。

「後で申し込もうと思っていたら終わっていた…」と後悔しないよう、交換を検討し始めたら、まずは「今使える補助金があるか?」を最新情報で必ずチェックしてくださいね。

補助金を活用してお得に買い替える方法
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寿命を20年まで延ばすコツ

少しでも長く、あわよくば20年近く使いたい!という方のために、寿命を延ばすためにユーザー自身ができるコツをいくつか伝授します。

入浴剤に注意する

これが意外と多い故障原因です。推奨されていない入浴剤(特に硫黄成分、酸・アルカリ成分、濁り湯タイプ、発泡タイプの一部)は、配管の銅を腐食させたり、ポンプを詰まらせたりする原因になります。

必ずお使いのメーカーが指定する「使用可能」なものだけを使いましょう。

定期的な水抜き

年に1回程度を目安に、貯湯タンクの下部にある排水栓を開けて1〜2分ほどお湯を抜いてあげてください。

(参考:エコキュートを長持ちさせるためのメンテナンス|ダイキン

これだけで、タンクの底に溜まった水道水の沈殿物(汚れ)を排出できます。

基本は年1回で十分ですが、もし水質や汚れが気になる場合は、半年に1回程度行ってあげるとより安心ですね。タンク内を清潔に保つことで、サビやセンサーの誤作動を防げますよ。

ヒートポンプ周りの整理

室外機の周りにタイヤや植木鉢、段ボールなどを置いていませんか?風通しが悪いと熱交換の効率が落ち、コンプレッサーに過度な負担がかかります。

背面や前面はスペースを空け、雑草などもこまめに除去してあげてください。

寿命を20年まで延ばすコツ
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故障して使えなくなる前の交換タイミング

エコキュートが一番壊れやすい時期をご存知ですか?それは「冬」です。外気温が下がり、水温も下がる冬場は、お湯を作るために機械がフル稼働するため、負荷が最大になります。

寿命が近い古い機器は、この高負荷に耐えきれずにとどめを刺されてしまうんです。

真冬にお湯が出なくなると、本当に悲惨です。お風呂に入れないだけでなく、洗い物も冷たい水でやらなければなりません。

しかも冬場は給湯器の故障が多く、業者も繁忙期で工事が混み合っているため、交換まで1週間以上待たされる…なんてことも現実に起こります。

「最近お湯の減りが早いな」「ヒートポンプから変な音がするな」と感じたら、完全に壊れる前、できれば本格的に寒くなる前に交換を検討してください。

エコキュートの残湯量の減りが早いと感じたときの詳しい原因と対策は、『エコキュートで残湯量の減りが早い原因と対策【完全ガイド】』で詳しく解説しています。

まとめ:エコキュートの寿命は20年持つか

最後にまとめとなりますが、エコキュートの寿命が20年もつかと言われれば、「可能性はゼロではないが、現実的ではない」というのがプロとしての回答です。

10年〜15年が一般的な寿命の目安であり、それ以上使い続けることは故障や事故のリスク、そして電気代の増加につながります。

「まだ動くから」と粘るよりも、15年を目処に最新の省エネ機種へ交換する方が、結果的に安心で経済的かなと思います。

横浜電気工事レスキューでは、エコキュートの点検から交換工事まで幅広く対応しています。

「うちのエコキュート、そろそろかな?」「補助金使えるかな?」と不安な方は、ぜひお気軽にご相談くださいね。最適なプランをご提案させていただきます。

まとめ:エコキュートの寿命は20年持つか
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